悪魔城トレキュラ
1 : お兄ちゃん   2025/06/25 17:56:01 ID:utEhiWh9vw
注 作者はウマ娘エアプ勢です。そのうえ掲示板には人生初スレ立て。初SS。色々広い心で許して。

先祖代々伝わる聖鞭せいべんライアーキラー
を持って、突如現れた城、悪魔城トレキュラに
乗り込むバクシン。
なんやかやで色んな中ボスを倒し玉座に到着するサクラ家一行(チヨノオーとローレルもいます)
城主トレキュラにも特効のムチであるライアーキラーでボコボコに追いつめるものの
「オレは3600走れると信じてる‼︎」と叫ぶと、突如第二形態にトレキュラは変身した。

それはいつも支えてくれていたバクトレの姿だった……。
ライアーキラーがダメージを与えられなくなり、絶対絶命のピンチに陥いる。
なす術すべはないと思われたサクラ家の三人は、無意識に奥義トライアングルウソツキストームを繰り出す。
(ハイドロストーム+ペガサス三姉妹的な)
三角形に陣取りバクトレにウソツキという聖なる力が宿った言葉の雨を延々と降らせたのだ。
藤原竜也ばりの悲痛な叫び声を上げつつ、頭をおさえ、胸をかきむしりのたうちまわるトレキュラ。そうこうしているうちに朝日が入り込み城が崩壊しだす。

219 : すまぬ仮面   2025/07/13 17:00:00 ID:t8M0u1yf16
終わってみれば短い間の攻防だった。
だが全員とんでもない汗をかいていた。
ぜーはーぜーはーいっている。エリクサー症候群を払いのけてのリスクある勝利だったとはいえる。

バクシン「……本当にわけがわかりませんが、ありがとうございました。ライトオさん。トランさん。」

トラン「まぁウチらはほんとはトランとかライトオじゃないけどね。」
ライトオ「くわしいことは話してはダメらしい。時空復元力とか、パラドックスとかめんどくさいのがあるらしいから。」

バクシン「はぁ」
おそらく、未来からきた子孫か何かだろうが、余計なことは言わない方がいいのだろう。未来のために。
220 : すまぬ仮面   2025/07/13 17:06:23 ID:t8M0u1yf16
トランセンドはテレビの小型のリモコンみたいな機械をいじりながらぶつぶつつぶやいている。
トラン「帰りのエネルギーはだいじょうぶみたい。夢石(ドリームストーン)に十分まだのこってる」

───つまり、タイムマシンで帰るためには帰りの分のエネルギーが必要とかそんなところだ。
さしあたって二人がつけてる、赤く虹色の宝石がおそらくそのエネルギーというところだろう。

トランのペンダントには赤くて虹色の宝石が、ライトオの刀の鞘にも同じような赤い宝石が巻き付けてあった。
221 : すまぬ仮面   2025/07/13 17:21:00 ID:t8M0u1yf16
トラン「……なんとか無事終わったし、そろそろ帰らな───」
そういっている途中で、赤いオーラが5個分空中に収束しはじめる。
チヨノオー「あ、経験値のやつ」
すると、扉がいつのまにかあいていたのか、いつのまにか誰かがしれっと部屋にいた。
そのしれっといたウマ娘は掃除機でその赤いオーラごと吸い始めた。
ゴーと掃除機の音がした。───プロセルピナのような格好をしたエアグルーヴだ。
どうやら経験値を掃除機ですっているらしい。
ローレル「ダークネスホール!」
エアグルーヴ「な!!にぃ!!?」
スカートが暗闇の渦にすいこまれるので、とっさに掃除機を手放しスカートを押さえながらグルーヴは叫んだ。
チヨノオー「あ!エアグルーヴさんのトレーナーさんならちょっと前に救出しましたよ!!」
エアグルーヴ「た、たわけ!それを早く言ってくれ!!いろんな場所をひたすら掃除してたから知らなかった!広すぎる!!」
そういって掃除機の中の血液パックみたいになった経験値をビニルのゴミ袋ごとグルーヴは取り出した。
エアグルーヴ「すまない。返す」
222 : すまぬ仮面   2025/07/13 17:32:25 ID:t8M0u1yf16
エアグルーヴから少し遠くにいたバクシン達は近寄ろうとした。
その瞬間───エアグルーヴの首が床に転がっていた。
ライトオ「……ッ!!───時よ止まれ!!!」
帰りのエネルギーを考えている暇はなかった。すでに巻き戻すほどの容量は夢石に残っていなかった。
そのため時をとめることにした。
夢幻刀の力を使い時をわずかながらに止める。空間が彩りをうしないモノクロに包まれる。

そして時が止まった。動いているのはライトオとトランだ。
223 : すまぬ仮面   2025/07/13 17:33:13 ID:t8M0u1yf16
視界の端に不気味な色をしたまるで映画のシザーハ◯ズのような格好をしたモンスターをとらえる。部屋から逃げようとしている。
トランが特殊な弾を装填して、そのモンスターであるゼファルの足元をうった。氷が一瞬で広がり、
足元が凍結してゼファルは動けなくなった。

ライトオ「光速直線突き!!!」

あっけなくゼファルは消滅した。

刀を鞘にチンと収めると、それに合わせたかのように、空間が彩を取り戻し時が再び動き出した。
224 : すまぬ仮面   2025/07/13 17:47:09 ID:t8M0u1yf16
エアグルーヴは床によこたわっていた。
大量の出血とともに生気は一切ない。

───アストンマーチャンが突然部屋に現れた。
マーチャン「……まだ間に合うかもしれません」
マーチャンはそういうとエアグルーヴの胸に木の枝をそっと置くと、膝をついて祈り始めた。
木の枝とエアグルーヴの体がまばゆい強い光に照らされる。5分ほどその状態がつづいた。
マーチャンの顔に汗が流れる。やがてエアグルーヴの体が発光したかと思うと、儀式は終わったようだ。
225 : すまぬ仮面   2025/07/13 17:47:41 ID:t8M0u1yf16
マーチャンの切なる願いが起こす技、大樹に宿るひとかけらの思い(デスティニーワン)だ。
エアグルーヴがゲホっと咳をすると、口から少し血をはき出した。
どうやら生き返ったようだ。目を開けゆっくりとエアグルーヴは体を起こした。
グルーヴ「……はぁ……はぁ……一体何が起こった……_

マーチャン「この先の庭園で手に入れた、伝説の大樹の枝、───葉っぱでもいいんですが、その力によって、
奇跡がおこったのです。」
Vサインをするマーチャン。
226 : すまぬ仮面   2025/07/13 17:52:57 ID:t8M0u1yf16
だが次の瞬間、マーチャンの心臓はえぐられていた。ゼファルの鉤爪でもって。

トランはもっていたリモコン型タイムマシンで時を止めた。これでもう帰ることはできないだろう。
目の前にいたのはクロノメイジだ。それがゼファルの鉤爪でマーチャンの心臓をつらぬき、えぐりだしていた。
トランは銃でクロノメイジを撃った。

あっさりクロノメイジは消滅した。
227 : すまぬ仮面   2025/07/13 18:02:28 ID:t8M0u1yf16
仲間の死が何度も発生しては生き返る。その繰り返しだった。
それとも結局誰かが必ず死ぬ強固な運命でそれを変えられないということだろうか。そういう運命なのだろうか。
この短い間でさまざまなできごとがジェットコースターのようにバクシン達におきていた。
感情がバグってしまったのか、部屋の中には静寂が訪れていた。

ガシャンガシャンと部屋にアックスアーマーが入ってきた。
全員攻撃体勢に入る。
???「待ってくれ。僕だ。アストンマーチャンのトレーナーだ!」
兜を脱ぎながら、話すアックスアーマー。たしかにその顔は野営地で見たマートレだった。

マートレ「───僕に任せてくれ。」
228 : すまぬ仮面   2025/07/13 18:14:35 ID:t8M0u1yf16
マートレがマーチャンの心臓部分に手を当てる。

マートレ(───空なる人形に分つ命(デスティニーエアー))
マートレの手からドクンドクンと脈打つように光輝くオーラがマーチャンの体に流れていく。
マートレの顔に大量の脂汗が流れ始める。少しずつ生気増していくマーチャン。

───数分後、マーチャンの心臓の傷跡は完全にふさがりマーチャンは息を吹きかえした。

マートレ「……あまり心配かけないでくれよ」
目を覚ましたマーチャンに向けて優しく呟くマートレ。
そのマートレはほとんど死にそうな顔をしていたが、どうやら全員が無事生き残ったようだ。

ひとまず安心するバクシンだった。

そのあと、ひとしきりバクシンは三女神像にこころから感謝を祈った。
229 : すまぬ仮面   2025/07/13 18:15:34 ID:t8M0u1yf16
(とりあえず今日はここまでで。ありがとうございました。)
230 : トレぴっぴ   2025/07/13 19:11:00 ID:YUYcmYM026
>>39です

お疲れ様です!
231 : モルモット君   2025/07/14 11:13:23 ID:eaZ/6eQrlw
>>230
がんばります。
232 : アナタ   2025/07/14 11:13:39 ID:eaZ/6eQrlw
では投下します。
233 : あなた   2025/07/14 11:14:29 ID:eaZ/6eQrlw
ゼファルとクロノメイジの魔力の玉は特殊で、夢石(ドリームストーン)の力を補充できるものだった。時間に関係するモンスターだからだろうか。
これによってトランとライトオはバクシン達に見送られながら元の未来にタイムマシンで戻った。
すぐに野営地のトランとライトオも普段の彼女達に戻ったようだ。

マートレはマーチャンが心配になって、着ぐるみを脱ぎ捨てて、悪魔城内でマーチャンを探していたらしい。
アックスアーマーの抜け殻はたまたま城内で見つけたらしい。敵とやりあわずにすんだそうだ。

忍者三人達はボスの扉がしまりはじめた時に、ライトオやトランにぶん投げられて、部屋の外に強引に出されたのだが、
そのときのショックでステルスマントは破壊されてしまい、その後野営地勤務となったらしい。
234 : トレーナー   2025/07/14 11:15:17 ID:eaZ/6eQrlw
マーチャン「これはただの気のせいかもしれませんが……、たぶんもう人を生き返らせることはできません。」
バクシン「大樹の枝、というか世界樹の枝や葉を庭園でひろえばまたできるのでは?」
マーチャン「よく探しましたが、もうみつかりませんでした。マーチャンの推測なのですが……、世界樹そのものが、意志をもっていてそうなん度も世界に
干渉しないようにしているのでしょう。神様からの一度きりの素敵なプレゼントということです。」
そういうものなのかもしれない。

ともかくマーチャンはマートレを野営地に連れ帰りたいらしい。その後マーチャンはまだ悪魔城内を探索するつもりらしい。
バクシン「それでは」
マーチャン「はい」

エアグルーヴの掃除機の中の経験値や他の残りの赤い玉を吸収して、バクシン達は次の間に向かうことにした。
235 : すまぬ仮面   2025/07/14 11:16:21 ID:eaZ/6eQrlw
<<参考までに>>

236 : すまぬ仮面   2025/07/14 11:30:26 ID:eaZ/6eQrlw
次の庭園は敵もボスもいなかった。おそらくいたのだろうが、ボス自体各個撃破されないようにまとめたのだ。
大体主人公側をあなどってボスはいつも単独でいて倒されて力をつけられていく……創作物はそんなストーリーが大半だ。
庭園にも誰かしらモンスターやボスがいたのだろうが、まとまっている、もしくはもうボスにザコモンスターの力が吸収されているとか
、そんなところだろう。

礼拝堂には敵がそれなりにいたが、バクシン達は全てのにんじんジュエルを吸収し、フェイクの五人を倒し飛躍的に強くなっていた。
とくに難という難もなくバクシン的に攻略&突破していった。

礼拝堂のボス手前の青白い扉まで来ていた。

バクシン「では行きますよ!」
ボスの間に入った。
237 : すまぬ仮面   2025/07/14 12:12:12 ID:eaZ/6eQrlw
中の部屋にいたのは四人だった。

スイープトウショウ「あいつやっぱりこないじゃない。」
カレン「……そうだね。」
バクシン達がこの部屋に入るなり、そんな会話が始まった。あいつとはデュラトレのことだろう。
スイープ「きたら服従の呪文をかけてやろうと思ったのに。」
カレン「それはやめてっていったでしょ。」
カレンが凄まじい顔でスイープに圧をかけた。
スイープトウショウは二十歳前後の姿をして大人になっていた。彼女自身の魔法の力なのか、トレキュラ城に蔓延する魔力とウソの力のせいかわからない。
カレンチャンはコウモリっぽい羽がついててセクシーな格好になっている。サキュバス風なのだろう。
238 : すまぬ仮面   2025/07/14 12:14:25 ID:eaZ/6eQrlw
スイープトウショウ「ま、とにかくもうちょっとこのトレキュラ城で遊ばせてよ。バクシンオー?」
そう問いかけてきた。
バクシンは無言で首を振る。
スイープトウショウ「いいでしょあとちょっとぐらいの間。この大人の格好気にいってるんだから。───ね、ニシノフラワー。あんただってそうでしょ?」
同じく二十歳そこそこになったニシノフラワーは完全に地面にうまって咲いたモンスターアルラウネのような格好になっている。
ニシノフラワー「……私はもう、やめたいです。」
そういうと、草であるウネから足を出して抜け出し、部屋の向こう側から逃げてしまった。
意外なことにボスが一人減った。
239 : すまぬ仮面   2025/07/14 12:44:10 ID:eaZ/6eQrlw
向こう側の青白い扉が閉まりニシノフラワーの姿が見えなくなった。

スイープトウショウ「あ゛ーーーっ!何アイツ!!」
サイレンススズカ「……いいでしょ。別に私たちだけで」

サイレンススズカもサキュバス風の服にコウモリの羽がついている。胸には赤い宝石が軽く埋め込まれている。───そして胸部装甲がドトウなみになっている。
やっぱりコンプレックスだったのだろうか。
よくみると全員胸に赤い宝石が埋め込まれている。
240 : すまぬ仮面   2025/07/14 15:18:29 ID:eaZ/6eQrlw
バクシン「……もうやめて戻ってきてくれませんか。あとはあなた達だけのようです。」
というと、一瞬で前方空中にいたスズカの姿が消えていた。背後の空中に回られていたのだ。速さなら今までの相手でもトップだろう。
スズカ「もう少しこのままでいたい」
ウマ娘の素体能力を爆上げする魔の力に魅入られたのだろうか、怪しく目が光っている。
そのままスズカの体が五人分に増えた。残像というやつだろう。それも高度な。幻覚なのか超スピードによるものかはわからない。
───だがバクシンには確信があった。
体全体を使いバクシン思い切りよく鞭を振った。スズカは軽く身をスウェーするように最低限の動きで避けた。
───はずだったが。
241 : すまぬ仮面   2025/07/14 15:19:04 ID:eaZ/6eQrlw
スズカの胸の宝石ごと、5体全ての胸に鞭はあたっており、幻影を含む全ての胸と宝石を消滅させたのだ。
ライアーブレイクという幻影や嘘を破壊する技でもって。
(見た目はただ鞭をふっているだけだがそれ相応の気や魔力を込めている)

スズカ「……うそ……でしょ……」
はだけそうな服をおさえながら、スズカは地面にドタっと体を叩きつけて気絶した。コウモリの翼は消えていく。死んではいない。
スピード&パワーともにバクシンは成長しているのだ。スズカがその超速度のムチに反応しきれなかったのだろう。
もしくは慣れない体の変化についてこれ……まぁ野暮なことはいうまい。
242 : すまぬ仮面   2025/07/14 15:20:10 ID:eaZ/6eQrlw
スイープ「……あ〜あ、じゃああたしもやめる!」
そういって箒にのって空中に逃げていたスイープトウショウはバクシン達の前に降りてきた。
箒と魔法の杖を投げ捨て、
スイープ「さっさとやんなさいよ!」と胸の宝石をアピールする。
バクシンがそっとその宝石にムチを接触させると、こなごなになって空中に消えていった。

───バシィ!!

スイープトウショウのほほがビンタされた。
チヨノオー「……ひどいですよスイープさん!!みんな大変な思いしてるのに、そんないい方なんて!!!」
叩いたのはチヨノオーだ。
スイープ「───ふん!!!」
そういうとスイープはバクシン達が入ってきた扉から出ていった。
───ごめんなさい。というかぼそい声とともに。
243 : すまぬ仮面   2025/07/14 15:31:13 ID:eaZ/6eQrlw
残るのは一人だけだった。

バクシン「お願いです。もうここにいるのはやめて、おとなしく帰っていただけませんか。」
カレンチャンはその問いには無言だった。

カレンチャン(……わかってる。結局はわがままっていうか、やつあたりしたいだけ……)

チヨノオー「バクシンオーさん。わたし我慢できません。」
チヨノオーがいいにくいことを強い声で主張しだした。
チヨノオー「カレンさん!、こんなとこにいて一体何をしてるっていうんですか!?もっと自分をふりむかせるために努力するとか、
あきらめて、次の……ごにょごにょを探すとかっ!……デュ、デュランダルさんのトレーナーさんならこんなとこきませんよ!」
彼氏という点はさすがに言い淀んだが、直球をぶつけてしまった。
244 : すまぬ仮面   2025/07/14 15:34:38 ID:eaZ/6eQrlw
チヨノオーがカレンチャンを言葉でせめた。
なぜふりむかせようとしないのか。もしくは新しいのを始めないのか。

カレン「……………………さい」

バクシン達「?」

カレン「…………ハエのようにうるさいわね。」

カレン「私のカワイイにみんなひれふせばいいのに!」
───カレンの体に凄まじいオーラと魔力が集中していく!!
245 : すまぬ仮面   2025/07/14 15:40:39 ID:eaZ/6eQrlw
カレンが一瞬光輝くと、カレンは格好が変化していた。
コウモリの羽ではなく黒い堕天使のような羽となり、周りは幽霊のような陽気が漂っている。
内側のスカートは花柄模様となった。
そして、カレンロックブーケによく似た女性の幽霊の雁首(がんくび)が
カレンの近くにただよっている。サモンゴーストをつかったのだろうか。強力な魔力を雁首から感じる。

デジタル「そっちできた!!カレンチャン+カレンロックブーケで……つまり!!」
ドーベル「親和性や類似性はあったわね。迂闊だったわ。───てか夏コミで使える!!もうあのリメイク版のBGMが聞こえてきたわ!!」

バクシン「……くる!!」
戦闘が始まった。
246 : すまぬ仮面   2025/07/14 15:59:55 ID:eaZ/6eQrlw
カレン「エクソシストスライム!!サモンゴースト!!」
カレンは自前の羽で空中に逃げつつ、緑色のスライムとゴーストを召喚してきた。
エクソシストの少女の吐瀉物(としゃぶつ)が元ネタだろう。
さっきまでバクシン達が立っていた地点の空中に魔法陣が現れてそこからそれぞれスライムが落下してゆく。
そしてゴースト達がゆっくりバクシン達に近づく。

攻撃の手はとまらない。
カレン「シャイニングアーム!!」
空間に一筋の亀裂が入りそこから光がもれる。その亀裂に巨大な指を突っ込み無理やり亀裂を押し広げ、中から鬼のような顔をした巨大なおっさんが、
バクシン達を睨む。にらんだかと思うと、巨大な手を突っ込みバクシン達を捕まえようと腕がこちらの世界で暴れ出した。
ホラー映画のシャイニングだろう。
247 : すまぬ仮面   2025/07/14 16:00:20 ID:eaZ/6eQrlw
バクシン「ぐっ!!」
もろに体に鬼の拳がぶちあたり壁に吹き飛ばされるバクシン。
チヨノオーも鬼の拳が錐揉み回転しながら壁に激突する。
チヨノオー「げほっ!!」
壁に激突したチヨノオーは血反吐をはいた。

ローレルがレイピアで拳ごと切り落とす。すると巨大な鬼の手はひっこんだが───。
カレン「リボルバーキャビン!!」
そう叫ぶと空中に透明な巨大な銃が出現した。
銃の弾倉部分も透明で巨大な箱のような中にさまざまな化物が6種類はいっていた。
ロシアンルーレットのように弾倉部分が回転したかと思うと、銃が発射され、弾丸が破裂した。
弾丸というより小さな部屋から黒く長い髪で白い服の化物が出てきた。
248 : すまぬ仮面   2025/07/14 16:16:49 ID:eaZ/6eQrlw
髪の毛が突然伸びたかと思うと、ローレルの体を髪で拘束した。
ローレル「きもっ!!」
自分たちにせまりつつあった、スライムやゴーストをけちらす、なるべくローレルに近づこうとするチヨノオーとバクシン。

カレン「イヴィルピエロ(it)!!!」
突然ローレルの後ろに現れた不気味なピエロが指ぱっちんすると、ローレルは地面に生えた赤い死者の手に引き込まれるようにズブズブ
床にのめりこんでゆく。Sキングが泣くぜ!!!
髪が邪魔でローレルは動けない。そのままゆっくりずぶずぶしていく。
249 : すまぬ仮面   2025/07/14 16:17:45 ID:eaZ/6eQrlw
バクシンが爆神足で白い服の女に近づきムチで瞬殺し、その後ローレルを抱えて赤い手の沼から守った。
追撃してきたピエロの背後からチヨノオーが霊体犬でピエロを瞬殺する。赤い手も消えた。

カレン「───ウフフ、やるね!これならどう!?」
カレンは両手を波動拳のようにかまえてそこに魔力を集中した。

カレン「にゅ!!」
変なかけ声とともにあたり一面が不思議な霧に包まれる。
だが、ムチをふりまわしただけでバクシンの周りの霧が簡単に晴れてゆく。
それとは別にレイジングファイアの火で霧を晴らしてゆくローレル。
カレン(……ファナティックミストが簡単に払われてゆく。混乱させようと思ったのに!)
250 : すまぬ仮面   2025/07/14 16:25:22 ID:eaZ/6eQrlw
カレン「まだだよ!……私兄(しけい)!!」
バクシン達からはまだ残った霧で見えなかったが、
死神もどきとデュラトレそっくりの男が空間に現れたかと思うと、死神もどきがデュラトレもどきを殺した。
お兄ちゃん「……ぅぅ……なんで……おれが……」
といったかと思うと、黒い怨念を大量に撒き散らして消滅した。その怨念がバクシン達を襲う。

カレン「……ハァハァ……これでもまだダメ……!?」
といいつつなるべくバクシン達から距離をとる。霧の中で怨念と格闘する三人がかろうじて視認できる。
251 : すまぬ仮面   2025/07/14 16:32:45 ID:eaZ/6eQrlw
───1、2分もすると霧は完全に晴れ、三人はほぼ無傷のままそこ立っていた。お兄ちゃんの怨念は全て消滅させられた。

カレン「……はやっ。……これも通用しないなんて。……お兄ちゃん私を見守って……」
両手を胸の前で合わせて、お祈りポーズをするカレン。

チヨノオー「……ん゛ん゛ん゛!?気のせいですか、さっきデュラトレ犠牲にしてませんでしたか?」
カレン「うるさい!」
全ての怒りをぶつけるように叫ぶ。
───そして。

カレン「龍王!!!」
そう声の限り叫ぶと
バハム◯トみたいなドラゴンが空中のカレンの前に守るように現れた。そのまま口にとんでもないエネルギーが光の粒子を伴いながら集まる。
ドラゴンのブレス攻撃だ。
252 : すまぬ仮面   2025/07/14 16:34:06 ID:eaZ/6eQrlw
チヨノオー「ローレルさん!!バクシンさん!!私の背中に隠れて!!」
ローレル「うん!!」
バクシン「わかりました!!」
素早く隠れる二人。


カレン(───全て)



カレン(消しちゃえ───!!!!)
全てが放たれた。
253 : すまぬ仮面   2025/07/14 16:42:50 ID:eaZ/6eQrlw
その光をガードするように直線的に龍王に飛翔する霊体が一人。───デュランダルだ。
大剣の柄で結界をつくりガードしながら高エネルギーのブレスをかきわけ、かきけすように突っ込む。
ブレスは霧散して、バクシン達には届いていない。
光速に飛翔したデュランダルは龍王の口に届きブレスを完全破壊する。
そのまま勢いで柄尻で龍王を突かず、剣を上段に構え───

デュランダル「神魔竜破斬!!!」

───竜を一刀両断した。

カレンチャンの赤い宝石も技の衝撃で破壊された。
カレンは気を失い地面に落下した。
254 : すまぬ仮面   2025/07/14 16:48:01 ID:eaZ/6eQrlw
バクシン「───ひとまず、なんとか全員無事でしたね。」
戦いを終え深呼吸をするバクシン。
チヨノオー「…………」
心配そうにカレンチャンを見るチヨノオー。
まぁ体は無傷ではあるが、カレンの心が立ち直ったかというとそうでもない結果だろう。

ローレル「ん〜私にちょっとまかせてくれない?」
何か考えがあるようだった。
255 : すまぬ仮面   2025/07/14 16:48:56 ID:eaZ/6eQrlw
ー失われた彩画ー


───その日、カレンは夢を見た。

懐かしい夢だった。

自分は幼くなっていて、迷子になったのかどこか暗いところで泣きつづけていた。

全てが逆さになったおかしな古城で誰かに助けられる夢だった。

彼はカレンと手をつなぎ、時には背負い、古城からどこかに連れ出してくれた。

夢だとは半ば気づいていたが、誰かの温もりはまるで本物のようだった。
256 : すまぬ仮面   2025/07/14 16:49:31 ID:eaZ/6eQrlw
───現実。

カレン「……お兄ちゃん」
野営地内の医務室のベッドで寝ているカレン。寝言を言いながら涙が流れていた。

デュラトレ「……もう少し…………もう少しで…ここから出れる…から、カレン…………だいじ……ょ…………」
デュラトレは椅子に座りながら寝ていて、体勢を崩してベッドのカレンにもたれかかっていた。

壁に寄りかかりながらそれらを見ているデュランダル。

デュランダル「……今日だけ。…………今日だけだから」
と言いながら殺意マシマシのジト目でそれらを見ていた。二人はすやすやと手をつなぎながら寝ていた。
257 : すまぬ仮面   2025/07/14 16:50:11 ID:eaZ/6eQrlw
───懐かしい子守唄のような雰囲気が三人を包みながら、時間はゆっくり過ぎていた。


ローレル(……どうやらうまくいった……かな?)
部屋の外で聞き耳を立てていたローレルは心の中でそうつぶやいた。

カレンチャンの夢にデュラトレを入らせたのだ。うまいことやってくれるのを期待して。
サキュバスお得意の夢の力でもって。


死者のようだった寝顔はやがて鮮やかな彩を取り戻し、淡い桜色をほほに宿すようになったのはそれから
まもなくのことであった。
258 : すまぬ仮面   2025/07/14 16:52:15 ID:eaZ/6eQrlw
<<参考までに>>

259 : すまぬ仮面   2025/07/14 17:26:12 ID:eaZ/6eQrlw
スイープトウショウもスズカもすぐに野営地でいつもどおりの姿を見せていた。
これなら大丈夫だろう。バクシン達は礼拝堂のカレンチャン達がいた部屋に戻った。
260 : すまぬ仮面   2025/07/14 17:26:40 ID:eaZ/6eQrlw
ー庭園ー

ニシノフラワー「…………こんなとこにこなければよかった」
魔が差してしまったというしかなかった。自分が大人になった姿になるのはすこし魅力的だった。
とはいえあのあと自分で赤い宝石を外し、こなごなにくだいて、にげまわっていたらこんなところに来てしまった。
ネコ「どうしたの?」
突然白いネコが現れてしゃべりかけてきた。
フラワー「え?え?」
261 : すまぬ仮面   2025/07/14 17:27:14 ID:eaZ/6eQrlw
なんてね、とネコがしゃべったかと思うと、ボワンとねこから煙が出て一気に人の姿に返信した。
セイウンスカイ「───わたし。セイちゃんだよ。」
いたずらっぽい笑顔を浮かべながら、いつもの頭の後ろに手を組むポーズをとってそういってきた。
抱きつくフラワー。優しく受け止めつつ、帰ろっかといって、フラワーの頭をなでなでした。

フラワー「これは……?」
私を食べてと包装紙に印刷されたクッキーを一枚渡された。食べると、フラワーの体が小さくなった。
そしてねこに変身するスカイ。
フラワー「ちかくの女神像までネコバスするから捕まって」
といって小さくなったフラワーをのせて、とことこ出発した。

───十数分後二人は無事に野営地に戻った。
262 : すまぬ仮面   2025/07/14 18:42:02 ID:eaZ/6eQrlw
カレンチャン達がいた部屋に今、バクシン達はいた。チヨノオーがシュヴァルの犬を召喚してそれに乗る。
青白い扉を開け(といってもかってに開くのだが)次の間に進む三人。細い通路をひた走る。
何かの違和感を感じるも、通路を突き進む三人。
広い部屋に出た。

ブローネル「きたか」
ボス用の青白い扉もなくいきなりボス戦が始まるようだ。絵を描く吸血鬼、ブローネルだ。
さっきの青白い扉はあくまでカレンチャンの部屋の出口の扉だ。ここまで結構通路をはしってきたので、
本当は手前に青白い扉があってもいいぐらいなのだが。まぁ細かいことだ。

ブローネル「トレキュラなる輩の使い走りのため無理やり生き返らせられたなど不愉快だが、これも
死神に我が魂を遊ばれている以上仕方あるまい。」
ブローネルは操られているということだろうか。
263 : すまぬ仮面   2025/07/14 18:42:39 ID:eaZ/6eQrlw
シュヴァルの犬が何かくんくん匂いを嗅いでいる。途端にワンと吠え出した。
ブローネル「ゆくぞ」
すると、今まで戦った大勢の相手がブローネルの前にぬるっと地面から立ち上がった。周りには絵の具がこぼれたようなあとがひろがった。

ブローネルのまわりにはベヒモス、ミノタウロス、マンハッタンカフェ、リヒターフェイク達、カレンチャンなどたくさんいる。
今まで倒してきた相手だ、数が多かろうとこわさ、威圧感は不思議となかった。

バクシン、ローレル、チヨノオーは三人何か通じ合ったように、覚悟の表情を決め、同時にうなずいた。

───そして。

ブローネル「なにっ!!」

バクシン達は元来たほうに走り出した。つまり逃げ出した。
264 : すまぬ仮面   2025/07/14 18:42:57 ID:eaZ/6eQrlw
チヨノオー「やっぱりほんとうだったんですね」
バクシン「ええ」
ローレル「私たちはいつのまにかブローネルの絵の中に入ってたんだね。」

幼稚なトリックだが、通路にでかいだまし絵(広い部屋に見せた)を通せんぼのようにおいて、無理やりそれに入るように仕組んだらしい。
バクシンはそのだまし絵にムチをふるった。
だまし絵は大きな炎をまとい、消滅した。だが、消滅寸前にブローネル自身が絵から飛び出してきた。

ブローネル「きさまら……」

シュヴァルの犬はコミュニケーションが苦手なシュヴァルを反映してか、テレパシーフィールドを狭いながらも展開できる。
あの絵の中で、チヨノオーはシュヴァルの犬から絵の世界に閉じ込められたことを読心術で教えられ、さらにそれをみんなに伝え共有したのだ。
倒してきた敵が復活したように見えたが、所詮ハリボテだったので、オーラや魔力はほとんどないため威圧感も怖さもない。
戦うまでもない紙屑のような強さだったのだ。ただ絵の中にとじこめ、時間稼ぎをするつもりだったのだろう。
265 : すまぬ仮面   2025/07/14 18:44:53 ID:eaZ/6eQrlw
ブローネル「まぁいい、私の偉大なる絵の力を見せてやろう。───なっ!?」
突如死神がブローネルの近くに現れる。

死神「───こうも簡単に見破られるとはな。」
死神が手に力を込めると、ブローネルの体が粉々に砕け散り、死神の手に赤い玉となって収束する。
ギャラリーオブラビリンスとは違ってカマすら使わず、瞬殺か。

死神「貴様の力とて、今は必要なのだ。むざむざ敵にわたすこともあるまい」
そういって消える死神。

バクシン「待て!!」

バクシン達は次の間に向けて走り出した。
266 : すまぬ仮面   2025/07/14 18:46:42 ID:eaZ/6eQrlw
<<参考までに>>

267 : すまぬ仮面   2025/07/14 18:55:28 ID:eaZ/6eQrlw
(今日はここまでで。ようやくここまできた〜。あともう少しかな?もう少しで終わらせることがやっとできます
読んでくれてありがとうございました)
268 : 相棒   2025/07/14 21:54:30 ID:tT/SdAAmAA
>>39です

もう少しで終わり?がんばれ!
269 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:49:23 ID:wo5LFVvNDY
投下します
270 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:50:19 ID:wo5LFVvNDY
ちょうどその時ルドルフから通信が入った。
マーチャンが地下で大きな隠し部屋を見つけたことと、宝物庫は別働隊で制圧したが、バクシン達が使えそうなものはなかったとのこと。
すでに宝物庫は死神の手によって荒らされ破壊されたあとだったらしい。
マーチャンが見つけた隠し部屋はパソコンがおいてあったり、盗まれたとみられる我々の女神像が1つ置いてあったり、
何かを研究していたような奇妙な部屋だったらしいがこれももぬけのからだった。

そのまま最後の間であろう、玉座の間へとすすむバクシン達。
それなりに強いモンスターはちらほらいたが、すぐに玉座のある部屋に到着した。
長い階段を登る、バクシン達。階段を登る中、いよいよ最後の敵という気がしてきた。
登りきると豪華でいかにも雰囲気のある廊下に到着した。これまでとは違い青白い扉は廊下になかった。
もうこの廊下の先から強烈な威圧感がただよっていた。

バクシン「準備はいいでしょうか?」
全員うなずく。
271 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:51:59 ID:wo5LFVvNDY
───バクシン達はトレキュラのいる玉座の部屋に入った。

城主トラキュラが足を組みながら不敵に玉座に座っていた。いかにも吸血鬼という感じの、青白い顔をした不気味な中年の男性の顔だった。

バクシン「トレーナーさんはどこですか!?返してください!!」

トレキュラ「その男なら自分の意思で、自分の足でもってこの城に来た。欲深な人間が自ら勝手な行動をとったまで。返すも何もその男の帰る場所がここなのだろう。」

バクシン「そんなのウソです!!」
272 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:52:18 ID:wo5LFVvNDY
トレキュラ「ふっ。それはお前の勝手な言い草にすぎぬ。」

バクシン「私とトレーナーさんは同じ信念のもと、共に歩み、共に走り、共に慈しみあってきたんです。ここが帰る場所なんて───。」

トレキュラ「くだらん。どちらが正しいか死を持ってわからせてやろう。」

戦いが始まった。
273 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:52:39 ID:wo5LFVvNDY
トレキュラは尋常でなく強かった。
一瞬で背後にまわるとローレルの羽を2枚とも素手でちぎり捨て、その後ローレルの腕をつかみ、壁に投げつけるトレキュラ。
全身を強く打ち吐血するローレル。
霊体犬を全て召喚し全力攻撃をする、チヨノオー。
火炎弾(ヘルファイア)を投げつけられ、チヨノオーも霊体犬にも全て直撃し霊体犬が消滅した。
バクシンが全力で鞭をトレキュラに対してふったが、亜空間に逃げられ、背後から黒い炎の弾を発射される。
バクシンは鞭でとっさにガードしようとするが、鞭を貫通をし炎が直撃してしまった。

勝負は一瞬でついてしまった。三人とも体を振るわせながらなんとか立とうとするが……。
274 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:52:59 ID:wo5LFVvNDY
中央司令室で映像を見ていたルドルフは、
「みんな!力を貸して!!彼女らに力が届くように女神像に祈るんだ!!」
そう言って、中央司令室に置いてあった女神像に近づきひざまずいて祈り始めた。
他のウマ娘や人も、やがて野営地にいた全ての人もひざまずいて祈りだした。
275 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:53:34 ID:wo5LFVvNDY
バクシン、ローレル、チヨノオーに、光が降りそそいだ。
ウマ娘たちが遠く離れた場所から女神像を通じて彼らに今一度、力を与えたのだ。
バクシン達の傷が癒える。ローレルの羽は復活しなかったが、
戦いには十分なほど生命力とありったけの戦闘力が彼女達に満ち溢れた。
無敵とも思える力だった。絶対に勝てると思えるほどの力が3人に溢れていた。
きっと、多くの人が限界まで祈ってバクシン達に力を分け与えているのだろう。

バクシン達はそれでもトレキュラに対して注意深く距離をとりながら、正確に時間をかけて
確実にダメージを与え続けた。一方的なほどにボコボコ攻撃し続けた。
276 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:54:26 ID:wo5LFVvNDY
突然トレキュラは
「オレは3600走れると信じている!!」
と叫んだ。そして第二形態にトレキュラは変身した。

それはいつも支えてくれていたバクトレの姿だった……。

ライアーキラーがダメージを与えられなくなり、三人は絶対絶命のピンチに陥いった。

なす術はないと思われたサクラ家の三人は、無意識に奥義トライアングルウソツキストームを繰り出した。
277 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:54:46 ID:wo5LFVvNDY
三角形に陣取りバクトレにウソツキという聖なる力が宿った言葉の雨を延々と降らせたのだ。
心の中にふつふつと湧き上がる何かが彼女らを導き突き動かしたのだろうか。

藤原竜也ばりの悲痛な叫び声を上げつつ、頭をおさえ、胸をかきむしりのたうちまわるトレキュラ。いや今の姿はバクトレだ。
そうこうしているうちに窓が壊れ、朝日がその窓から差しこんだ。

城全体にゴゴゴゴという巨大な地響きが発生した。玉座の部屋の壁が壊れる。天井がくずれさる。
278 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:55:02 ID:wo5LFVvNDY
チヨノオー「城が崩れてきます!!」
ローレル「バクちゃん!逃げよう!!」
バクシン「…でもっ!」

床に横たわるトレキュラ=バクトレを見るバクシン。

床を残して玉座の部屋の全てが崩れてゆく。
それだけではなかった。城全体が崩れているのではなかった。
この玉座の部屋だけ切り離されて空に浮上していっているのだ。高く高く浮遊してやがて雲を追い越していく。
279 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:55:21 ID:wo5LFVvNDY
ドーベル「……くっくっく」
壁が崩れ去り、辺り一面地平線と雲がちらほら見える。中央司令室が遥か遠くに小さく見えた。

ドーベルは倒れて動かないバクトレの前に飛行移動し、バクトレの顔の近くにおりたった。それからドーベルは巨大化した。人間と同じサイズぐらいに。そして、バクトレの
目にドーベルは右手で指をつっこむ。目からぐちゅっと出血する。つぶしたのか、ひっこぬいたのかはわからない。
バクトレの右目からは血がしんじられないぐらい飛び出た。

それからドーベルの左目をドーベルは自分の手ででひっこぬき、それをバクトレの血まみれの右目につっこんだ。
突如ドーベルの体に亀裂が入ったかと思うと、中から死神デスがでてきた。
死神デスは自分の体をバクトレに重ね合わせるとそのままバクトレと融合した。
ドーベルの体だったものから金色の輪っかが落ちてそのまま浮遊した玉座の部屋から転げ落ちて、空中に落下していった。
バクトレの体には幾何学的な刺青のような模様がうかびあがった。右目が死神のような不気味な光を放つ恐ろしい目となった。
いきなりのことで、あっけにとられてみんなは呆然とたっていた。
280 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:55:39 ID:wo5LFVvNDY
バクトレ「……さてはじめようか」

いやバクトレではない、死神デスだ。この声は死神デスだ。

死神デス「私のドーベルはいかがだっただろうか。」

驚く三人と、ウインディ、デジタル。

彼女らの表情を見て、一人得心したのか
死神デス「聞くまでもなかったか。」
とつぶやいた。

同時に今、彼女ら三人に、ピアス型イヤホンからルドルフの声で、本物の妖精ドーベルが地下の隠し部屋で監禁されていたのが見つかったとの連絡が聞こえていた。

───最終戦の始まりだ。
281 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:56:50 ID:wo5LFVvNDY
尋常でない血の量が床にある。全てはバクトレの目から流れたものだ。なのに彼はぴんぴんしている。
死神=バクトレは血溜まりに手をつっこむと、中からズズズと死神の鎌を取り出した。そして、床の血は全て鎌にきれいに吸収されてゆく。

チヨノオー「ド……ドーベルさんは……し」

それを遮るように
死神デス「くだらぬやりとりはもう必要あるまい。」
声をかぶせ、瞬間移動をし、バクシンの前に現れる。
282 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:57:10 ID:wo5LFVvNDY
死神は天高く鎌を構えると、バクシンに振り下ろした。

死神「去ね(いね)」

バクシンは出会いの時と、同じように鞭でもってガードをする。

───が、ライアーキラーは粉々に破壊されてしまった。持ち主の命を一つ一つの鎖で全力で守るかのように、全ては粉々に破壊されてしまった。

バクシン「──────っ!!!!」
283 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:58:08 ID:wo5LFVvNDY
バクシンが驚くのもつかのま、
すかさず、もう一度天高く鎌を振り上げる死神デス。
感慨も余韻も刹那すら許容しない。
あるのは厳然とした死のみ。

それを防ぐため、必死でチヨノオーとローレルが同時に攻撃をしようとする。が、手のひらを死神は彼女らに向けると、風圧のようなもので二人を吹き飛ばした。


デス「一度ならず、二度までも。」

そういい全ての力を両手と鎌にこめる。

トレキュラ城を軽く粉々にいや跡形もなく破壊するほど───そのぐらいの力が集まった。
284 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:58:30 ID:wo5LFVvNDY
───そして無常に鎌を振り下ろす。

もうはやなす術はない。神々しいほどの力と、無機質な死神の瞳が、絶対的な運命(し)を下賜するだけの
事象となった。そこに感情などという塵芥が入り込むすきは無い。ゆっくり、───ゆっくり時だけが流れる。鎌が自分に振り下ろされてゆく。
完全に心があきらめている。死の前の凝縮された走馬灯(しゅんかん)に彼の最後の笑顔がバクシンは脳裏に蘇っていた。
それでもチヨノオーとローレルが手を自分に伸ばしているような……そんなことを目の端にとらえながら、ごめんねとゆっくり瞼をバクシンは閉じた。
285 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:58:52 ID:wo5LFVvNDY
死んでない


まだ自分は死んでない


なぜ死んでいないのだろう。

気づくと両手に何かをにぎっていた。

それはバクトレがくれたネックレスだった。

そのネックレスで死神の鎌を防いでいた。

死神デス「…………!!!!」
286 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:59:13 ID:wo5LFVvNDY
理屈はわからないが、ネックレスを芯としてそれをつつむかのように気(オーラ)でできた、短い鞭が両手にはあった。
───気の鞭、それで防いでいたのだ。
いつの間にか両手で防ぐポーズをとっていたのは、無意識にしていたのだろうか。

死神デス「……………こんなもので私の鎌が……!!」
3度目。鎌の攻撃でこなごなになったのは死神の誇りだ。


バクシン「……こんなもの?切れるはずが……ないんです」
鍔迫り合いのような状態で、鎌を徐々に押し返していくバクシン。

バクシン「……あの人がくれたこのネックレスが、あなたなんかに切れるはずがないんです!」
デス「…………ぐっ!」
余裕がなくなる死神。
287 : すまぬ仮面   2025/07/18 07:59:33 ID:wo5LFVvNDY
バクシン「魂は切れても、縁を切ることはあなたにはできないはずだから!」
バクシンは死神デスをオーラの鞭で弾き飛ばし数メートル弾きとばした。
彼女の意思で伸縮自在なのか、ネックレスの先からオーラの鞭が伸びていた。


死神デス「…………恐るべきは両方だったか」


鎌に先ほどエネルギーを込めまくったのか、死神デスには余裕がない。
何度か激しい攻防をやり合うバクシンとデス。徐々に体に亀裂のようなものがはいってゆく死神=バクトレ。
もうだれが見ても、バクシンの勝ちだ。闘気ともいうべき、オーラがバクシンにはあふれるようにほとばしっている。


だが、死神がバクトレの体から出ていかない。
288 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:00:00 ID:wo5LFVvNDY
───答えは出ていた。バクトレごと殺すしかないのだ。
その躊躇をしかしチヨノオーとローレルは敏感に感じていた。

そんな三人の心を読んだのかもしれない。

───突然、
「苦しいぜ」
とバクトレは空(うつろ)な目でセリフをいうと、ぴたっと動きがとまってしまった。

それに合わせてバクシンも動きをとめる。

チヨノオーとローレルはすぐにわかった。これは罠だと。まだ死神の鎌は握っている。最後の抵抗だ。
289 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:00:20 ID:wo5LFVvNDY
バクシンを近くに誘って油断させて殺すつもりだ。

バクシンは攻撃体勢を解き、ゆっくりバクトレに近づいた。
その瞬間、バクトレは鎌で攻撃した。

───だが。
バクトレ「すまない……バクシン、……勝手に…いなくなって」
死神(……こやつ、我が支配を自力で解いたのか)
鎌がバクトレの胸にささっていた。バクトレが自分で自分に刺したのだ。

バクトレ「それと……」

バクトレ「うそをついて…ごめん」
そういうなり、バクトレは浮遊した玉座の部屋から身を投げた。
バクシンもすぐに後を追うように勢いをつけて飛び降りた。
290 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:00:47 ID:wo5LFVvNDY
落下してまもなくバクシンが追いつき、そのままバクトレを両手で抱いた。
(もう離れないでください)
そう心の中で言いながら最後の力をふりしぼって、抱きつきながら両手で結界術を使うバクシン。
これでは死神がバクトレの体から出ていけない。そして落下したら死神もバクシンもバクトレも、助からないだろう。
死神を内包したままのバクトレに
バクシンは再び心の中で、もう離れないでください、
とつぶやいた。
ウソなんかいらないから、ただそばにいてくれさえすればそれでよかった。
いや、ただそばにいてくれればウソはいらなかった。
……そう思い、あとはバクシンは目を閉じ覚悟を決めた。
291 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:01:10 ID:wo5LFVvNDY
だが死神の力はやはり神の力だった。
残された全ての死神の力をバクトレの身体中からあつめ、
結界内で抵抗にあいながらも無理やりバクトレから死神の体に分かれ、鎌を抜き
そのまま無理やり結界をつきやぶると、浮遊した間に高速飛行していった。転移する力はさすがになかったのだろう。
不思議なことに鎌から血がでなかったが、死神が体に宿っていたことの恩恵か宿主が死なないために死神が止血したのだろう。
───そして、そのまま落下してゆくバクトレとバクシン。

再び、浮遊した玉座の部屋のローレルとチヨノオーに姿をあらわす死神。

死神「よもや、こんな目にあうとはな……。」
ローレル「バクちゃん……!」
チヨノオー「……死神、まだ生きてるんですか!」
292 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:02:04 ID:wo5LFVvNDY
死神「ふん」
そういうとドス黒いオーラが死神から二人に放たれた。

ローレル「……かはっ!!」
チヨノオー「……っ!!」
ふきとばされ、血反吐を吐く二人。
だが死んではない。

死神「……トドメすらさせんとはな。」

死神「だがそれも終わりだ。」

もう一度同じようにドス黒いオーラを飛ばそうとした。
だが、その前に、ローレルとチヨノオーの後ろの空中に死神は目をやった。
293 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:03:01 ID:wo5LFVvNDY
───そこには、人間サイズになった妖精メジロドーベルが両手で金の輪っかを持ちその輪っかに右手でぶら下がっているバクトレと
、彼に抱きついているバクシンが空中に浮かんでいた。


メジロドーベル「……ちょっと!!クソ重いわ!!はやく降りて!!」
そういって二人とも輪っかから降りて、浮遊した玉座の部屋に着地した。
マーチャンによって隠し部屋から助け出されたドーベルはそのまま、バクシン達のいる玉座の部屋に飛んでむかっていたのだ。
その時たまたま天から降ってきた金色の輪っかを手に入れて、今にいたる。

睨み合うバクシン達と死神。
バクシンはみんなに目配せをした後、
「まかせて」といった。
みんなはうなずく。どのみち戦えるのはバクシンだけだ。
294 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:04:00 ID:wo5LFVvNDY
死神「……よかろう。くるがよい」
その言葉にコクっとうなずくバクシン。

死神とバクシンはそれぞれ数秒の間、己の気を集中させた。魂までも燃え尽きるぐらいの凄まじくまばゆい光が
二人を包む。黒と白の光が野営地からも見えるぐらいだった。

一瞬だった。

バクシンが一瞬で死神の前に移動し、上段からオーラの鞭を振り下ろした。
それを鎌で受ける死神。だが、受け止める間もなく、鞭は鎌と死神を一刀両断したかのようにそのまま地面に叩きつけられた。
体が真っ二つになった死神は、そのまま強烈な光を一瞬放ったかと思うとそのまま体も魂も粉々になって空気中のちりとなり消滅した。
295 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:04:47 ID:wo5LFVvNDY
バクシンにかけよるバクトレ。
体力を使い果たして、片膝をつくバクシン。
そのままバクトレはバクシンオーの肩を抱いた。

よたよたと後ろから、チヨノオーとローレルも二人に近づくために歩き出す。
296 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:06:19 ID:wo5LFVvNDY
───ゴゴゴゴゴ!
と、突然地割れのような音がしたかと思うと、
全員が空中に投げ出されていた。というより、浮遊した玉座の部屋の床が崩壊し亀裂が入り、今まで立っていた
床が分解され、徐々に粉々になっていく。それと同時に玉座の部屋は落下し始めた。城主がいなくなって最後の崩壊が始まったのだ。
城全体がくずれてゆく。
それで投げ出された格好になった。ドーベルは慌てて金の輪っかをつくる。
落下中に近くにいたローレルがそれをつかみ、チヨノオーがなんとか抱きつく。また二人分の体重を
ドーベルが空中で支える格好になった。

だが、少し離れたところにいたバクシンとバクトレには届かない。
空中にぎりぎり止まっているローレルとチヨノオーとは違い、どんどん落下していく二人。
297 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:06:34 ID:wo5LFVvNDY
ローレル「バクちゃん!!!!」
チヨノオー「バクシンオーさん!!!!!」
二人の声は玉座の部屋の床の崩壊の音と、落下中の風切り音にかき消され、バクシンとバクトレはやがて見えなくなるぐらい
もうスピードで落下していった。
298 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:06:50 ID:wo5LFVvNDY
ー白い世界ー

バクシンは気づくと、全てが霞がかかったような世界にいた。
足元はまるで雲のような煙のような、もやもやがかかっていた。自分は雲の上に立っているのだろうか。ハリポタのハリーとダ◯ブルドアのあの時の世界や
無職転◯の人神とかそんな感じか。
見ると地平線まではっきりみえるほど、広い世界だ。
ふと、自分の手を見ると、一瞬ちょっとだけ透き通ってみえたような気がした。

バクシン「ここは……」
死後の世界だろうか。そんなイメージだった。
299 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:08:09 ID:wo5LFVvNDY

死神「さて」
ふりかえると死神がいた。ただ衣装が違って清潔感があっておしゃれで荘厳で、正装という感じだ。
今までたたかっていた死神のぼろきれとは全然違った。鎌も持っていない。

死神「何から話そうか」
バクシン「……」
死神「ふむ。まずは今までいた、つまり最初からお前に付き添っていたメジロドーベルは偽物だ。そして、私は妖精アグネスデジタルの魂に擬態していた。」
バクシン「化けていた……ということですか?」
その問いにうなずく。
死神「───化けるか、似たようなものだな。主の命により、必要最低限助けるようにとな。」
バクシン「主(あるじ)?」
300 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:08:25 ID:wo5LFVvNDY
死神「そこから話さなくてはならぬか。……この世界においての死神はドラキュラと同化ないし吸収されたトレキュラの腹心、使い走りでしかないが、
正しくは死神とは、主の命により現世にてさまよえる魂をあの世へと導くもの、いわば善に近い役割のものなのだ。放っておけば、地縛霊や怨霊となり
双方に悪影響をもたらす。決してゲームや本における殺人鬼のようなモンスターのことではない。」
それではいま説明してくれているのが、本物の死神ということなのだろうか。

死神「そしてここは、マンガ家メジロドーベルが作りし本の世界だ。お前はその登場人物にすぎない。」
急には受け入れらない話だ。
死神「この小説というか、いずれマンガ化するための簡単な脚本用として短い小説を現実世界でメジロドーベルは執筆中だった。」
死神「我が主は気まぐれにも遊びのような気持ちにも似た同情でこの現実のマンガ家に干渉することを決意し、ドーベルを本の世界を送り込むことにした。ま、理由という理由を気にすることもない。他愛ないことだ。」

死神「送り込んだ直後、ドーベルは本の中の死神と遭遇し捕まってしまった。すぐに殺そうとしたようだが無理だったため、捕まえて研究してみることにしたらしい。
特殊な加護に守られていたようだからな。その後ドッペルゲンガーや死神の力を用いてドーベルそっくりの複製体を作り、その複製体と同化および擬態をしていたようだ。」
301 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:08:41 ID:wo5LFVvNDY
死神「この時の複製体のドーベルは記憶も感情も複製されていた。そして偽死神デスは魂と同化したためその記憶や感情全てが読み取ることができたのだ。
だから偽死神はこの小説世界における先の展開や筋が読めるようになったのだ。それによって貴様らからしてみれば、敵が強すぎたり、攻略上のHPMAXアップや有用なアイテムなどはほとんど手に入らなかったはずだ。」
思わせぶりな部屋はそういうことだったのか。

死神「ただしヤツも誤算があった。お前達の監視が厳しく偽ドーベルは主であるトレキュラの元に帰ることができなかった。トレキュラは不便だと思ったか、使い走りとして最低限の力を使い、死神2号を作り、雑用をさせていた。お前達が到着直前にはその死神2号を吸収したようだが……。」

死神「偽死神のそうした対策を見越して、我が主は手助けをいくつかした。」
バクシン「にんじんジュエルですか」
死神「そうだ」
302 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:09:03 ID:wo5LFVvNDY
死神「また、アストンマーチャンやマンハッタンカフェに夢の中に神として現れ必要な連絡を行った。だから捕まったトレーナーやウマ娘も救えた。」
バクシン「全部は助けてくれないんですね」
少し怒りを込めてバクシンは死神にいった。

死神「我が主は人の成長を尊(たっと)ぶ。橋渡しやお膳立てはするが、労力、苦労はしなければならぬというお考えだ。」
バクシン「……そんなこといったって……いつだれが死んでもおかしくなかった。ぎりぎりしか助けてくれなかったじゃないですか」
と愚痴る。

そんなバクシンに対して、死神がためいきしたようにも見えた。
死神「物事には道理や規則がおのずとできる。干渉しすぎると、世界そのものが滅ぶもしくは望まぬ方にかえって振り切れてしまうものだ。
貴様らの言葉でいう時空干渉や時空復元力のようなルールがな、あるのだ。それは神とて適用される。」
303 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:09:49 ID:wo5LFVvNDY
死神「───神はドーベルの複製体に同化した偽死神が現実世界とこの世界を出入りできぬよう細工をした。そののち、この世界を見守ることにした。
またシンコウウインディの妖精も造った。なぜならこの本の世界は危険で、死んでしまった場合は現実世界に帰ることはできない。通常の死と同じことを意味する。
この世界において、魂が浮遊し怨霊と化すのだ。偽物のドーベルが現実世界からシンコウウインディを召喚する前にそれ(複製)を行った。ゆえにシンコウウインディは
異世界から来たのでなく、この本の世界の別の場所にいたところ、あの場所に転移させられただけの話。」

バクシン「神様は一体何がしたかったのしょうか?」
死神「───さきほども言ったがひとつは人の成長だ。もう一つは……お前が見つけ出せ。またドーベルに同情した理由も同じこととなる。それに全ては帰結する。
今までのお前達のあゆみを繰り返し思い出して見れば、わかるはずだ。慈悲深き神とな。」
304 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:10:18 ID:wo5LFVvNDY
バクシン「───私は、何か成長したんでしょうか?」

死神「この物語がこういう結果になったのは全てお前の心が成長したから、───そういえよう。」
死神の体が少しずつ透明になる。

バクシン「あのっ、───ありがとうございました。できれば神様にもお伝えしていただけ」
死神「直接いうがよい」
───我が主はこの世界に来ているぞ、そういうと死神は完全に消えた。


白く、白く、全てがフェードアウトしていった。
305 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:10:39 ID:wo5LFVvNDY
バクシンは目を覚ました。───よかった、死んではいなかったらしい。
すぐ周りでビュービューいっている風の自然な音が、現実であると教えてくれる。
気を失っている間のことがあやふやでほとんど思い出せない。

バクトレ「よかった。目を覚ましたんだな」
気づくとバクトレの肩に頭を預けるようにしていた。
バクシンは辺りを見回す。ここは、巨大な鋼鉄の手の上にいた。わかりやすくいえば、ガ◯ダムみたいな手の上だ。
辺りを見回すと、シュガーライツ博士のサティを大きくしたようなガンダムが、バクシンとバクトレを手に乗せて空を飛行中だった。
あのあと、このガンダムみたいなのでバクシンとバクトレを受け止めたのだろう。
それを少し離れたところから見ていた、妖精ドーベルは心の中で、「ゼノギアスのクレスケンスに似てる」とつぶやいていた。
306 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:13:15 ID:wo5LFVvNDY
シュガーライツ「ははははっはっはっは!!すごいだろー!!空をっ!!空を飛んでる!!!!」
かなりハイになっている。
シュガーライツ博士「ウソや魔力がなくても夢はかなえらるからな。悪魔城トレキュラなんていらなかった!!はっはっは!!!」
生き別れの妹なんていなかった、なんていいそうな勢いだ。どこかについた巨大サティのスピーカーから声が二人にも聞こえてくる。
ライツ博士はコクピットで操縦しているのだろう。

こんなこともあろうかということで、秘密の地下格納庫を作って準備してたんだとか、声が聞こえる。


ライツ博士の声を聞きながら、バクシンは髪をしばっていた布をほどき、優しくバクトレの片目に結んであげた。傷跡と血が少し痛々しかったからだ。
307 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:13:32 ID:wo5LFVvNDY
バクトレ「……ありがとう」
バクシンはふふふと意味ありげに笑うと次にこういった。
バクシン「…………それで、わたしに何かいうことはありませんか?」
ぎくっとしたが、バクトレはやがて覚悟を決めたようで、切り出した。
きちんと言って欲しいのだろう。
308 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:13:49 ID:wo5LFVvNDY
バクトレ「うそをついていてすまない。君に長距離を」
バクシンは途中で遮るように人差し指をバクトレの唇にあてた。
バクシン「十分です、それで。しってましたから。」
意地悪っぽく笑う。
バクトレ「あと、勝手にいなくなってすまない。」
頭を下げるバクトレ。
バクシン「───もう。うそなんていいですから。」
そういうと、二人の間のわだかまりがとけていくような気がした。
309 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:14:07 ID:wo5LFVvNDY
バクトレはそれからさらに何かを決意したようにはなしはじめた。

バクトレ「……ええと、なんていうか君と僕はもうだいぶ前から、生徒と先生みたいな関係じゃなくなってて…………」

バクトレ「なんていえばいいんだ……。………………。───もし、君が嫌じゃなければだけど…………」
何かにピンときたバクシンオーは、すぐにスマコンとチョーカー型カメラを空に投げすてた。
───中央司令室ではいかにも残念な声の、ああ〜!、が鳴り響いた。みんな固唾をのんでみていたのだ。


バクトレ「──────僕は君と─────────」


二人がその後何をいったかはわからない。1番近くにいたであろうシュガーライツ博士はのちほど質問ぜめにあったのはいうまでもない。
310 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:14:56 ID:wo5LFVvNDY
ー野営地ー

すでに撤収に向けての作業がだいぶすすんでいた。もう少しで解散となるだろう。
野営地内では、最後ということであちこちで名残惜しいのか会話するもの達もちらほらいた。

───そんな中。

野営地の一角で、最後に敵のモンスターが埋葬された墓でお線香をあげてお経を唱えているアキュート達がいた。
ハッピーミーク「……終わったね」
手を合わせたあと目を開けてそう話すミーク。
311 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:15:15 ID:wo5LFVvNDY
アキュート「ほんとに終わったのう」
そういうと最初と同じように、帰るべきところに帰っていいんじゃよ、ナンマンダブとぶつぶつしゃべりだした。
バクシン、チヨノオー、ローレル、ドーベル、デジタル、ウインディも同じように手を合わせ祈った。

アキュート「ところで…………、?」
バクシン「どうかしましたか?」
アキュート「今まで誰かそこにいなかったかのう?」
ローレル「うん?」
チヨノオー「誰もいませんよ。最初から私たち三人だけですよ。」

妖精達は消えていた。
312 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:16:13 ID:wo5LFVvNDY
ー現実世界のドーベルの家の書斎ー

書斎にラジオが流れている。
『───Mr.ChildrenのHEROをお送りしました。さて、次は今人気のお笑い芸人の───さんにゲストとしてお越し───』

ドーベル「はっ!」
机の上で突っ伏して眠ってしまっていた。原稿というか書きかけのSS(ショートショート)の原稿用紙がちらばっている。
雰囲気出すためにアナログで執筆を、と思ったがラジオをつけっぱなしにして途中で寝てしまったようだ。
313 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:16:28 ID:wo5LFVvNDY
今回は脚本からきっちりするぞと意気込んだはいいものの、結局これである。
見本用の仮の完成本は一応できていたものの、修正作業中だった。というかほとんど修正中であった。
最近は1冊から製本を受けてくれて、小説家とか漫画家気分を味わえるのだからいい時代になったものだ。
しかし、いつのまに「千里眼スキルを持つ1000年に一人の美少女妖精メジロドーベル(不死設定)がこの本の世界に入った。サクラ家の案内人をするため。」
とか書き込んだのだろう。我ながらきもい。他にも書き込んだ覚えがないものもある。
314 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:16:53 ID:wo5LFVvNDY
ウインディ「おい!!!どぼめじろう!!!書斎にいるんだろ!!!出てこい!!!!」
近所迷惑なぐらいの大声で編集者がどなっている。例の大阪の警察ぐらいのヤバさだ。
ウインディ「殺すぞ!!!!開けないと殺すぞ!!!!!」
ドーベル「はいはい、今開けるわ」
ドアのロックを解除して開けると、血相を変えてシンコウウインディが入ってきた。
ドーベル「人としてどうかと思うわ、その言葉」
ウインディ「お ま え !!!!」
ドーベル「はいはい。今日はお説教ちゃんと全部聞くわ。あっちの部屋でコーヒーとシュンケル(ユンケルとシュークリーム)決めながら
話聞かせて」
ウインディ「……くっ!!、その太々しさはなんなんだ!!!」
ドーベル「なんかいい案でそうなのよ。説教とシュンケルの組み合わせでね。」
315 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:17:39 ID:wo5LFVvNDY
わちゃわちゃしながら別の部屋に行く二人。
書斎では窓が開けっぱなしなのか、カーテンが風で揺れている。

一陣の風が書斎に入ってきた。
パラパラと見本用の本、「悪魔城トレキュラ」がぱらぱらとめくれる。
そして止まる。
表紙の裏側にはこう鉛筆で書いてあった。


神の許可なく本と現実世界の出入りを禁ず、と記してあった。
316 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:19:39 ID:wo5LFVvNDY
やがて窓からさしこんでくる太陽の光がその文字にあたると、不思議なことにその文字はゆっくりと消えてしまった。
ドーベルの字ではなかった。

そしてまた風によってぱらぱらと本はめくれた。
やがて最後のページで風は止まった。

-fin-
317 : すまぬ仮面   2025/07/18 08:26:32 ID:wo5LFVvNDY
やっと終わりました。
不快なことがたくさんあったと思いますが最後まで付き合っていただいた方、
本当にありがとうございました。ってか完成させるのにいっぱいいっぱいでこれちゃんと
話になってんのかな、という感じ申し訳ないです。どうしてこうなったw
……まぁおおまかに伝わればヨシ!!……です。
39さんありがとうです。バクシン的展開っていってくれた人、かなり気持ち楽になりました。

あと最後にすまぬ。最後の最後まで俺はエアプだったよ……。

以上!!バクシン!!!!ありがとうございました!!!!!!
318 : お兄さま   2025/07/18 11:49:30 ID:ar.2VzXz2M
>>39です

ついに終わりですか?お疲れ様でした!!

名前 (空白でランダム表示)
画像 ※JPEG/PNG/GIFのみ。最大サイズ合計: 8MB



画像は3650日で自動削除する
キャラを複数結合する他所様の便利なツールはコチラ
コメント スレをTOPへ (age)

※コメントは15行まで
※画像などのアップロードの近道 : http://imgur.com/
※コメント書き込みの前に利用規約をご確認下さい。

- WebPatio -