SS:はっ、必死に努力し続けたら誰でも三冠ウマ娘になれるってか?
1 : お前   2025/04/12 04:23:15 ID:P/2vHxlbPE
・独自解釈独自設定を含みます。おおらかな人だけどうぞ
・細かい部分が気になる方はこの先はご覧にならない事をお勧めします

彼はそう笑った
傑作だというように、私を嘲るように
そして続けた
――そんなんでなれるわけねえのは、お前が一番分かってンじゃねえのか?
――ココの連中はみんなみーんな、お前のいう一生懸命な努力をずぅっとずぅっと続けてるぜ?
――で、その結果そいつらはG1はもちろん、メイクデビューも未勝利戦も勝てねえのが半数ってとこだ、そいつらは一生懸命努力してなかったのか?
彼は睨むように、でもまっすぐに私を見ていた
私は答えた
「それでも――私は三冠ウマ娘になります」

27 : トレピッピ   2025/04/12 06:55:33 ID:P/2vHxlbPE
『俺は、実績が欲しい。 実績があればこれの脚部への安全性が認められる』
「……三冠ウマ娘は実績にはなりませんか?」
『そのためにブルボンを実験台にしろってか? 馬鹿言うな。 ウマ娘の脚砕いてまで認められたかねえよ』
「砕けません。 私の脚は強いです、スピードもスタミナもパワーも足りないですが……私の夢と身体はとてもとても丈夫です。」
『……』
「私は、トレーナーを信じます。 トレーナーも私を信じてください。」
「私は、必ずあなたのオーダーを完遂します。」
28 : トレーナーちゃん   2025/04/12 06:59:17 ID:P/2vHxlbPE
『負けたよ、オーケーわかった。 お前を三冠ウマ娘にすりゃいいんだな?』
「はい、宜しくお願いしますトレーナー。」
『その代わり、俺のオーダーは絶対だぞ。 それ以下も、それ以上も許さねえ。
俺の指示以外の自主トレも禁止、食生活にも口出しをするけどいいな?』
「はい、わかりました。」

メシは絶対食え、トレーニングでメシが食えなくてもなんとしてもつっこめ
21時には就寝できるように風呂に入ること

それだけを指示し、翌日ミホノブルボンに尋ねる
29 : マスター   2025/04/12 07:05:42 ID:P/2vHxlbPE
『昨日はメシちょっとは食えたか?』
「おはようございますマスター。 昨日の食事は人参ハンバーグが1kg コロッケが1kgと……」
『いやいやいやいやいやまってまってまって?』
「?」
『聞きたいことがもう複数あるんだけど、まずマスターってなに?』
「はい、私を管理しすべてにオーダーをいただく存在としてトレーナーの事を"マスター"と呼ぶことにしました。」
『……お、おう? で、メシ食えたの? そんなにいっぱい? なんで?』
「??? たくさん運動したらご飯がとても美味しかったので。食事制限をしたほうがいいでしょうか?」
『……嘘だろこいつ、あんだけ心肺限界まで回してメシ食えるのか?』

もちろん喜ばしいことだが競争能力以外の必要な事はすべてクリアしてる事になる
とても丈夫で、トレーニングで食欲が落ちず、愚直になにかをこなす
『……じゃあ、俺も覚悟決めますか。 んじゃ行こうか』
「どこにでしょうか?」
『もちろん――お前の親御さんとこだ』
30 : 相棒   2025/04/12 07:06:05 ID:P/2vHxlbPE
1話終了 2話は明日以降
31 : お姉さま   2025/04/14 10:49:17 ID:eC0EMjgj5.
ほす
32 : アンタ   2025/04/14 18:57:44 ID:hpHokQLCjk
ミホノブルボンと飯塚トレーナーは電車に揺られる
トレセン学園のある都市からかなり遠いそこに特急を使いさらに鈍行に乗り継ぐ
平野から山あいに景色が変わっていき

『嬉しそうだな、ブルボン。』
「はい。 学園に入学して以来父とは殆ど話もできてませんでした。」
『スマホがあるだろ。 親御さん厳しくてそういう電話も嫌がるのか?』
「否定します。 私の体質による問題でスマートフォンで父と通話が殆どできません。
通話をする時は他の生徒にお願いしてスマホを持ってもらう必要があります」
『?? なんでまたそんな面倒な事を』
「私は得意体質で電子機器に触れると壊してしまいます。」

やはり不思議そうな顔で眉を寄せるトレーナー
しかし車窓から見える山々を見つめるブルボンの表情に、細かいことはどうでもいいか。と話を忘れる。
33 : トレ公   2025/04/14 19:04:23 ID:hpHokQLCjk
「マスター」
『そのマスターってのやめろ。 俺はトレーナーであってお前の御主人様でもなんでもないんだ。 お前の親御さんに娘がトレーナーにマスターなんて呼ばせてると思われてみろ。 契約だトレーナーだ担当だの話の前に殴り倒されるわ』
「否定します、マスター。 この呼び方はもう父も承諾済みです」
『……は?』
「昨日、食後寮室のフラワーさんにお願いして父と通話をしました。 その時に新しい担当トレーナーが決まったことと、その手腕から"マスター"と呼ばせて頂く事にしたと伝えました」
『お、おう……で、お父様はなんと?』
「なんと、とは?」
『いやその俺に対してなにかこう、ほら、苦情というかそのマスター呼びにたいして苦言というか』
「理解不能、父は頑張れと応援してくれました。マスター呼びに対しては特に言及はありません」
『…………なんかお前んち行くのこえーなーこえーなー』
34 : アンタ   2025/04/14 19:13:38 ID:hpHokQLCjk
「マスター、私から質問があります」
『ん、なんだなんだ?』
「前のトレーナーは家族に挨拶はしませんでした
周囲でも担当契約を結んだことで家族に挨拶をするという話が私のメモリーにはありません。
担当契約を結ぶ際に"オヤゴサン"に挨拶をするという理由があるとは思えませえん」
『あー……』

トレーナーは電車の天井を仰ぐ。
何かを考えるように、一度車窓から景色を眺めて
ミホノブルボンの瞳をまっすぐ見つめる

『お前、どうやったら3000Mを走りきれると思う?
3000Mを走り切るなんて実は簡単なことなんだ』
35 : 使い魔   2025/04/14 19:20:32 ID:hpHokQLCjk
息を呑み、トレーナーの言葉の続きを待つ
トレーナーは意地悪なガキのような顔をして

『3000Mゆっくりマラソンで走れば良い。 ジョグでもいい。 そうすりゃ3000Mだろうが5000Mだろうがいくらでも走りきれる』
「……」
『もちろんビリッケツだ。
重要なのは"どうやったら1着になれるスピード"で、2000Mを、2400Mを、3000Mを、走りきれるか、だろ。 そもそもお前はスプリンターだ。 それに……そのスプリンターとしてもスピードは足りてない』
「…………はい」
『ないないないない、ないもの尽くし。才能ある奴らが必死こいて努力してそれでも届かないG1、しかも人生一度きりのクラシック三冠を全部勝つための能力
それはスタミナだけじゃない。
今のお前を根本から――お前の身体も脚も全部作り直す必要がある』
「作り………直す」
36 : トレ公   2025/04/14 19:26:33 ID:hpHokQLCjk
『そうだ。 お前は幼少期からずっと続けてきたハードトレーニングで大きなメリットとデメリットを抱えてる。』
「デメリット……ハードトレーニングは、いけない事なのでしょうか?」
『いいや、お前はそのハードトレーニングのおかげで俺のこしらえた坂路を登りきった。 それは今殆どのジュニア級のウマ娘ができるこっちゃない。
お前のやってきたハードトレーニングは無意味な事でも逆効果だったわけでもねえ、自信もて。』
「はい、マスター。 ステータス状況"安堵"です」
『だが、その卓越したパワー……いや馬力のために色々と無駄な筋肉がついてる。
無駄っていうか、非効率的な筋肉だな』
37 : 貴方   2025/04/14 19:32:20 ID:hpHokQLCjk
「筋肉に非効率があるのですか?」
『早く走るために筋肉を鍛える。 筋肉を鍛えるってのは筋繊維にダメージと栄養と睡眠……休息を与え超成長を起こさせるってことだ。 ここまではわかるな?』
「はい、習ったことはあります」
『筋繊維を負荷などで傷つけ、そこに栄養と休息を与えると傷に耐えられるように前より強靭になる。 当然ここで筋肉が重くなる。お前の身体の重量が増すわけだ』
「はい……あーー」
『お前は身体にウェイトを巻きまくった状態で走ってる。あの坂を何度も登り切るための身体づくりからしなきゃならん』
「それは、どのような身体づくりをするんですか」
『簡単なこった――坂路しかしない』
38 : トレ公   2025/04/14 19:58:56 ID:Q/YY/qjh6Q
『簡単なこった――坂路しかしない』
「それだけ、ですか?」
『お前には十分すぎる馬力がある。 さっきも言ったがあの坂路を登り切る基礎体力や身体ってのはまずそこから造る必要があるはずなんだ。
でも、お前はアレを登りきれる能力がある。ならもうひたすらそれをやる。 坂路に不要な筋肉は使われないから勝手にシェイプアップされる。 ひたすら坂路をはしるためのロボみたいにそのための身体になってもらう』
「わかりました、マスター。 オーダー"坂路を登るだけのウマ娘になれ"を今後遂行します」
『いや、まってまって? なんであっさり納得してんの?
不安になったりしないの? 色んなトレーニングがあるのに坂路しかしないとか本当に大丈夫ですか? とかもっと別のトレーニングを混ぜるのが王道なんじゃないですか?とかさ』
「不要です。 私はマスターのオーダーを信じます。なぜなら」

――こんなに私を真剣に、3000Mで1着になれる方法を考えてくれる人だからです
39 : アナタ   2025/04/14 19:59:54 ID:Q/YY/qjh6Q
『……』
「私の適性は短距離です。 長距離どころか中距離にもまったく適正はありません。
過去のトレーナーも短距離路線に切り替えることを推奨していました。
周囲も同様でした。 私は才能があるわけでもありません、短距離なら速いわけでもありません。
長距離にも中距離にも才能のない並かそれ以下の短距離馬です。」

ブルボンの表情には憂いも悲しみも自嘲もない。
ただ、事実を述べるように言って

「だから、マスターがはじめてです。 出来るかどうかではなく――どうしたら――3000Mで1着になれるか
どうしたら、私を三冠ウマ娘にできるかを真剣に考えてくれた人は
だから――私はマスターの言葉をすべて信じます。
脚が折れるまで、いいえ、折れても復帰したらマスターのオーダーに従います。
ですから、私がマスターのオーダーに拒否や疑問を抱く必要がありません」

『そうか……そう、か』

嬉しくないはずがない
学園の関係者には狂人扱い、ときに駆け込み寺としてたった1勝を掴むためにやってはいけないハードなトレーニングをする
そのせいでトレーナーの間では"壊し屋"なんてあだ名がついた
そんな自分の理論をただ信じてくれる人がいる
40 : トレーナー   2025/04/14 20:00:32 ID:Q/YY/qjh6Q
『じゃあ、先に言っておく。俺は超高確率でお前の脚を壊すトレーニングプランをやらせようとしてる』
「はい」
『……もうちょっとなんか、こう、ない?』
「ありません。 その必要があるからマスターがそのプランを選んだのだと推察しました。」
『いやまあ、そりゃその通りなんだけど……』
「それに――そのミッションをクリアしたら、三冠ウマ娘になれるのですよね?」
『ああ、なれる。 菊花賞までにお前に最強の脚をプレゼントしてやる。』
「承知しました。 マスターのオーダー通り、脚を壊さずミッションを完遂します。」
『で、まあ非常識……というか、俺がやるプランってのが"医学的に見てもタブーで絶対やってはいけないコト"をする。
前提が脚が壊れるであろうしこんなのはやってはいけないわけだ。
だから、お前の親御さんにも先に挨拶する。
娘さんの脚をぶっ壊させてください、一生歩けなくなるかもしれません。 でもうまく行ったら三冠とれます。
ってな。 多分俺はお前のお父さんからぶん殴られる』
「それは」
『覚悟決める。って言ったろ? 嘘でも五体満足でお返ししますってのが常識だ。
でもな……こんな非常識なURA人生選ぶならもう正直に言うしかねえんだ。 それぐらいしないと』
「私が三冠を取るのは不可能」
41 : アネゴ   2025/04/14 20:10:55 ID:Q/YY/qjh6Q
『……そうだ。 真っ当な一流どころが毎年毎年毎年3冠を目指す。
仕上がりが早ければ2000Mならと長距離には向かないウマ娘が皐月賞に挑戦し
第一コーナーで勝負を決めたいウマ娘が枠順と奇跡に祈ってダービーに挑戦する
春までに頭角を出せなかったウマ娘、2400でも距離が足りなかった長距離向きも含めて大成したウマ娘が3000Mでぶつかり合う菊花賞
一個取れるだけでとんでもないことだ。それを3つ取らなきゃいかん。 こいつらを全部ぶちのめさなきゃいけないんだ。
そんなの並の短距離ウマ娘ができるわけねえだろ、ちょっと才能あるウマ娘がクラシック回避して短距離路線行ったら無双して伝説になりました~……とか漫画かよ、それと一緒だ。 化け物が揃ってる中そいつらを全員ぶっ倒す化け物になるにはシンプルに一番つよくなるしかねえ』

「それでも、私は三冠を取ります。 マスターのオーダーをすべてコンプリートします。
そして、マスターが正しいことを証明します。 マスターの造る、私の脚で」

『……そうだな。まずは親御さんに承諾して貰うことから、だな』
「? 父はすぐ了承すると思いますが。 きっと喜びます。」
『そんなワケねえだろ……娘の脚を壊すような男だぞ』
『ですが……その坂路を登り切るようになるほどのスパルタなトレーニングをしていたのが父です』
『…………』
「…………」

『サンキューブルボン、俺ちょっと緊張で胃が痛くなってたとこだわ。ちょっと楽になった』
「???」
42 : キミ   2025/04/14 20:23:44 ID:Q/YY/qjh6Q
[遠路はるばるお越しくださったのに、なんのもてなしもできず本当に申し訳ない。]
『いえ、我々も日帰りで帰らなくてはなりませんから。多少複雑な話ですので長くなります、本題に入らせて頂くのは速いほうがいいです』
畳の上
挨拶をしてブルボン父と正座で向かい合うトレーナー
同じく正座をして向かい合うブルボン父、 その様子にミホノブルボンは父に

「お父さん――マスターに異常を検知しました。 非常事態です。」
『……はい?』
[ああ、いや、ひょっとして……挨拶とか喋り方のことかい?]
「肯定します。 マスターは普段もっと――比喩表現"ワイルド"であり"フランク"です。このような喋り方をしません。 マスターのステータス"緊張"の可能性がありあす。 今すぐリラックスさせる事を提案します」
『ブルボンさん? 大人というのはね初対面の相手には敬意をもってお話をするんでございますよ? だからふだんとはちょお~~っと違う喋り方になっちゃうんですよ』
「危険です、マスター、お父さん。」
[あっはっは、申し訳ありませんトレーナーさん。 娘はちょっと変わっておりまして。 マイペースというか独自の感性をもっておりまして。 いやはやお恥ずかしい。]
「いえいえ、とんでもないです。今回はその」
[ええ
私もトレーナーだった人間です。 担当と契約をしただけで挨拶に伺うことが普通ではないのは存じてるつもりです。
娘からは担当として契約をした。 と伺ってますが……なにか大きな問題があったのではないでしょうか?]

『…………』
[もしかして、娘の夢である三冠ウマ娘の事ですか?]
『よく、お気づきで』
43 : お兄さま   2025/04/14 20:30:37 ID:Q/YY/qjh6Q
[ええ、三冠という夢を熱く語った私の影響で、娘はずっと三冠ウマ娘になることを固執していました。
理解はしてます……娘はどう見ても短距離適正です。 親の贔屓目にみても才能ですべてを解決できるわけではない。
それでも――娘は三冠ウマ娘になろうとしてる。]
『……その件で
……その件で今回は挨拶と、お許しを得たく参上いたしました。』
[お許し? それは、一体]
『俺たちは、三冠路線……いいえ、三冠ウマ娘になるためにミホノブルボンのレース人生を歩むことにしました。
しかし、そのためには大きな大きなリスクを背負う必要があると
そのリスクを常に背負ったまま、クラシックが終わるまで戦い続けることが必要だと』

トレーナーの言葉がとまる。
息を飲み込み、吐き出す。 なんども、なんども
大きなトレーナーの呼吸音だけがしばし続いて

『そのトレーニングプランは、前提として
……前提として、 脚を壊す可能性のほうが高い事をご理解いただくためにご挨拶にきました。』
44 : 貴方   2025/04/14 20:36:44 ID:Q/YY/qjh6Q
「……っ、お父さ――」

ブルボンの父は立ち上がっていた
ブルボンが知らない顔をしている。 こんな顔をした父は見たことがない
父は立ち上がり、ブルボンが見たことがない顔で、目で、トレーナーを見下ろしてから……大きく、息を吐いた

[大変、みっともないところを見せました。 申し訳ありません。]

深々と頭をさげて平伏する父を、トレーナーが狼狽したように制する

「お顔をあげてください。娘の脚をこわすような事を言われて黙ってる親はいません。 お父様の反応は至極全うで正統なものです。」
[いえ、貴方の言葉を最後まで聞けなかった。
私もトレーナーだった身です。 ウマ娘の脚が脆いのはよく知っている。 だからこそ、脚に細心の注意を払う必要があるというのも知っている。
――そして、それをいたずらに博打で壊すコトを是とするトレーナーなどいない。
ましてや、それをわざわざ娘の親に伝えるために会いに来るトレーナーがいるはずがない]
『……』
[あるんですね、貴方の中に――娘を、三冠ウマ娘にするプランが]
45 : お兄さま   2025/04/14 20:47:30 ID:Q/YY/qjh6Q
『アスリートのトレーニングの基本は、超回復を目的とした筋肉へのアプローチと心肺機能を高める有酸素運動です。
このうち筋肉の超回復の基本は負荷などで傷をつけた筋繊維に栄養と休息を与え、筋繊維が完全に回復したときにもっとも大きな強化が起こります』

『私のプランでは坂路によって強い負荷と心肺機能の向上の両立のために完全な回復を待ちません。 意図的に筋繊維が完全回復をする手前での同一のトレーニングをします。』
[……それは、ハードというより]
『ヒトミミのマラソン選手などが筋力を維持しながら心肺機能を高めるための手法です。 勿論これは本来マラソンとは比較にならない速度と脚部への反動が生まれるウマ娘のトレーニングとしては禁忌です。』
[筋肉への負担は蓄積します。 その疲労の蓄積は筋肉のクッション効果を減らして甚大な故障、事故へのリスクが増えます
……脚が壊れるのも当たり前。 脚が壊れる前提のプランですね、確かに]
46 : お前   2025/04/14 20:52:41 ID:Q/YY/qjh6Q
『私の知る限り……いえ、他の手法で心肺機能をいくら向上させても限度があります。 3冠になるには、スピード、パワー、スタミナすべてが高次元で必要です
今からどんなトレーニングをしても菊花賞までに3000Mを走り切るスタミナをつけさせる方法が、これしかありませんでした。
もっとも心肺を鍛えられ、筋力を向上させられる坂路トレーニング。 それで限界ギリギリ……いえ、それ以上の危険なトレーニングを、故障させないように続けるしか手がありません。
父親として娘の脚を壊すようなことが許されるわけありません。
ですが、
ですが……』

トレーナーは深く、平伏する。
土下座をして、大きく叫んだ

『娘さんの脚を、俺にください。 彼女を三冠ウマ娘にするには、これしかないんです!』
47 : ダンナ   2025/04/14 20:59:19 ID:Q/YY/qjh6Q
[……]

すぅ
はぁ

今度は、父が深く、深く呼吸をしていた。
なにか考えるように。思い悩むように。

[バカバカしい、とは思いませんでしたか?]
[短距離向きの、長距離の適正なんかこれっぽっちもないウマ娘が三冠を狙うなんて、そんな荒唐無稽なわがままのような事を強請るのは]

『わかりません。 俺はトレーナーです。 彼女たちの夢がなんなのか、どれほど大きいのかはわかりません。 適当に"なれたらいいな"と思うウマ娘もいます。 身の程をわきまえないウマ娘もいるかもしれません。
でも、彼女の根性も、覚悟も、努力も、本当です。
だったら――俺がそれを出来る可能性があるならやらせるしかないじゃないですか。
全力で――必死に――その夢へ向かうのを支えるしか無いじゃないですか』

[でも、父親としては脚は壊してほしくない。
ウマ娘が大きな事故を起こせば、走るどころか一生歩けなくなる事もある]

[ブルボン――覚悟はできているか? 三冠か、脚一本か――お前が選びなさい]

ブルボンは、まっすぐ父を見ながら即答した
「両方です。 マスターは私を壊さず、三冠を取らせてくれます」
48 : トレーナーさん   2025/04/14 21:05:43 ID:Q/YY/qjh6Q
「マスターだけが、真剣に私を三冠ウマ娘にする方法を考えてくれました。」
「私はまだ浅慮で、頑張れば、もっと努力すれば――そうしたらなれると思ってました。でも、そんなことは全然なくて――でも、マスターは真剣に、その危険も考えながら方法を考えてくれました」

ブルボンは正座をして父に向き、頭を下げる。

「お父さん……私は三冠ウマ娘になりたいです。
でも、きっとこのままではなれません。 そんなのはいやです。
私はマスターの事を信じたい……この人といっしょに、戦いたいです。」

[はあ……頑固なところは母さんみたいだ]
[飯塚さん。]
[この子は変わり者で、それでいてちょっと抜けていてね]
[とても不思議なことを言い出したりする。]
[人見知りはしないんだがあまり折り合いがつく相手が少ないんじゃないかと心配していました。でも貴方のようなトレーナーに会えて本当に良かった]

父は深々と頭を下げる。 平服でもなく土下座でもなく、心から娘のことを頼み込むように

[どうぞ、娘をよろしくお願いします。]
[脚一本覚悟した娘です、もし迷うことがあっても――その覚悟で進んでください]
49 : アナタ   2025/04/14 21:13:13 ID:Q/YY/qjh6Q
電車での帰り道

『…………緊張した。もう二度とこんな思いはごめんだ』
「お疲れ様でしたマスター。 マスターがマスターでなくなったときはステータス:驚愕 になりました」
『いや俺だって最低限の礼儀は……って、そういやお土産になんか頂いたんだよな、瓶だと思うけど。水の綺麗そうなとこだったし日本酒かな』
「きっと、バーボンだと思います。 父はバーボンが好きなので」
『へえ……』
「父は気に入った相手にバーボンを送るんです。 きっと、おと――父はマスターの事を気に入ったのだと思います。 嬉しそうでした。」
『そりゃ良かった、今後ともうまくやっていけるといいけど』
「?」
『じゃあ、明日から坂路トレーニングだ。 登り切るかぶっ倒れるかだ。
来月までにまともなタイムにするぞ。 そっから本数を増やす』

『最終的にあの壁を4本、これをずっとずっとやってもらう。
朝日杯までに1600M 皐月賞までに2000M ダービーまでに2400M
……菊花賞までに3000M
それまで時間がない、全力で取り組むぞ』
50 : トレ公   2025/04/14 21:17:12 ID:Q/YY/qjh6Q
だそく

「はむ、あむあむ、あむあむあむあむあむ」
『よく食うな……駅弁10個めか』
「はい、このシュウマイはとても美味しく……はむはむ」
『あーたしかにそれ美味しそうだ』
「……申し訳ありませんマスター。 あげません」
『いやいらんて』
「そうですか、はむはむはむ」
『…………』
「……どうしましたかマスター」
『……(うずっ)一個もらおっかな―』
「がるるるるる!!ステータス:独占欲を開始」
『ごめんごめんうそだってごめんて』
「……」
『普段めっちゃ従順なのにメシの邪魔すると怖いな』
51 : お兄ちゃん   2025/04/14 21:17:49 ID:Q/YY/qjh6Q
2話終了
3話は明日以降
ほすあったので続けた
52 : 大将   2025/04/14 22:28:22 ID:eC0EMjgj5.
ほすしたものです
こういうところでしか読めないSSにしかない栄養素は確かにあるので
ありがとうございます
53 : キミ   2025/04/15 19:28:10 ID:xTwPv0Nb6w
『昨日トレーニング後の食事と就寝時間は?』
「はい、先日の食事量は――」

契約後1ヶ月、毎日食事と就寝時間を確認するのがルーチンの一つだ
ミホノブルボンの食事量をチェックしつつ、トレーナーは難しい顔をする

「トレーナーの表情の変化を検知しました。 食事量に問題があったのでしょうか? シェイプアップのために食事量を減らすのはステータス【はらぺこ】になる懸念があります」
『いやメシは食え。 食えるならもっと食え食えるだけ食え。 こういうハードなトレーニングを毎日してると普通メシを食えなくなるんだよ。 疲労が蓄積していくとどんどん食欲が失せてくもんなんだ。』

呆れたようにトレーナーは言う。 食事を取るのもアスリートの大切な仕事だが通常はこのように厳しいトレーニングを続けると食欲がなくなるのだがミホノブルボンには関係ない話のようだ

『丈夫で内臓も強くて健啖ねえ、完璧じゃんいいねいねえ。
お前マジで強くなるぞ。
――で、痛いところはないか? 痛くなくても違和感とかないか?』
「いいえ、システムオールグリーン、とても順調で……あんっ」
『あ、すこし強かったか? さすがに俺もそんなに慣れてなくてな』
「いえ、このままでお願いします。 とても、気持ちいい……です……んっ」
『じゃあ、もう少し強めにいくぞ。 ここは、んっどうだ?』
「ッ、 ソコ、はい、とても、いい、です」
54 : お姉ちゃん   2025/04/15 19:36:59 ID:xTwPv0Nb6w
『そうか、じゃあじっくり全部ほぐして行くぞ』
「はい、続けて、くだ……さ、いっ」
『あんま大きな声だすな。 トレーナー室だって外に人くるかもしれないんだ、ぞっ』
「はい、しか、し、これは流石にミュートは厳し、くっ」

トレーナーはミホノブルボンに馬乗りになって、ミホノブルボンはうつ伏せでトレーナーが動くたびに声を漏らす

「マスターのこれは、とても気持ちいいです」
『まあ、トレーナーだからな。 マッサージ師の免許はないが資格が取れるぐらいには勉強してるわ』
「しかし、毎日とても長い時間マッサージをして頂いてます。マスターの握力や疲労が心配です。マスターは疲れませんか?」
『そりゃ疲れるさ。 今だって腕がパンパンだ。 それでも、これでお前の脚の疲労がちょっとでも抜けるなら安いもんだ。 』
「……マスターは、厳しいようでとても優しいです。 私の脚の事をいつも心配してくれてます」
55 : 貴方   2025/04/15 19:52:45 ID:xTwPv0Nb6w
『なーにいってんだ、トレーナーが担当の脚を大事に大事にすんのは当たり前だろうがよ』
「マスターの"大事"は、とても優しい気がします。」
『はいはい、そういう事は照れるからやめなさい。 トレーニングのピーク時間は短いけどな、お前がしてるトレーニングってのはトモから脚全体への疲労が半端ないんだ。 それを毎日できる限り緩和してちょっとでも多くトレーニングをするためだ』
「はい、まだ私は坂路トレーニングを2本に増やすことはできません。 トレーニングの目標である4本に至るまでは遠いです」
『ああ、でも焦らなくていいぞ。 菊花賞は3000Mだが道中は1600M・2000M・2400Mだ。 今の目標は1600Mを完璧に走り切るだけでいい。
坂路の本数もそれと一緒だ。今は1本をしっかり仕上げればそれでいい』
「マスターは、私が三冠ウマ娘になれると思いますか?」
『知らん』
「……」
『だが、俺のオーダーを今後も完全にこなせばなれる。』
「はい、マスター」
56 : トレピッピ   2025/04/15 20:19:23 ID:xTwPv0Nb6w
『そのために、こうしてオーダーを完遂させるために脚の疲労を全力で取るわけだ。
怪我をしたらその時点で全部おしまい。 前提が脚を壊す覚悟でといっても脚が壊れたら全部おしまいだし脚を壊すつもりもないからな
――よし、だいたいおしまいだ。 ブルボンちょっと立ってみてストレッチなりなんなりしてみてくれ』

「はい、ありがとうございますマスター」

ソファから起き上がって、身体を動かすミホノブルボン。

「トレーニング直後なのにとても身体が楽になりました。 マスターの手は魔法のようです。」
『ははっ、そうだろうそうだろう。この手でブルボンの脚をURAで一番の脚にしてやるからな。 痛いところや疲労がたまってそうなところはあるか?』
「ありません。 ……ですが」
『ん、どうした?』
「あの、マスター。 マスターの手で頭をさわってみてくれませんか?」
『ん ……こうか?』
「…………ステータス"安堵""安心""充足感"を確認。 マスターの手はやはり、父のように魔法を使えます」

……なんか犬撫でてるみたいだな
トレーナーはそんなことを考えながらミホノブルボンを撫でる手を止める

「……」

じっとトレーナーを見つめるミホノブルボン。 仕方なく頭を撫でるトレーナー
57 : お姉さま   2025/04/15 20:33:18 ID:xTwPv0Nb6w
『ナデナデ……ナデナデ……』
「……」
『満足してる顔なんだよな…多分だけど』
ひょいっと手を離すと、ミホノブルボンはまたトレーナーを見つめる
黙ってまたミホノブルボンを撫で続け
『なあ、そろそろおしまいでもいい?』
「もう少しだけ、この魔法をお願いします」
『じゃ、じゃあほら、明日トレーニング終わったらまたしてやるから…』

パアアア

『お前普段あんまし表情動かさないけどなんか雰囲気を表情にするんだな』
「ぜひ、トレーニング"なでなで"を組み込んでください」
『これはトレーニングじゃねえよ』

『じゃあな、今日もメシたくさん食って早く寝ろよ? それだけでお前は強くなるからな』
「はい、お疲れ様でしたマスター」



『…あいつほんと犬みたいだな。頭撫でるだけであんなに喜んじゃって、まあ…』

トレーナーはスマホを取り出して、なにかを打ち込みながらトレーナー寮にかえっていった
58 : お姉さま   2025/04/15 20:54:11 ID:xTwPv0Nb6w
「はあっ…はあっ……ぜっ、ぜっ、ぜっ――!!」

『止まるな!!!
そのままジョグでゆっくり戻ってこい!!!』

いつものように坂路をゴールし、そのまま進み、1角、2角…短いバックストレート、3角、4角と戻って来る。
脚が重い、心臓が破裂しそう、肺が悲鳴をあげている
しかし

『ブルボンっ!!』
「マス――きゃっ」

トレーナーは興奮しきった様子でブルボンを抱き、背中を何度も叩く

『お前最高だよ、もう2本めやりきりやがった!
ははははっ、お前は間違いなく最強のウマ娘になれるぞ! 誰にも負けない無敵の三冠ウマ娘だ!』
「マスターのステータス:高揚 がレッドゾーンです」
『当たり前だろ、こんな短期間にこの坂路を登りきれるようになるなんてそうそうねえよ、ああ最高だお前は最高のウマ娘だよミホノブルボン!』

まるで子供がはしゃぐように喜ぶトレーナーをじっとみつめて

「嬉しいです、マスター」
『2本を続ければ、これからはもっともっと効率的に強くなれる。 これからは今までの倍以上苦しいし、辛いけどお前は絶対に三冠ウマ娘になれるぞp』
「はい…ですが、マスター」

「私が嬉しいのは、マスターがそんなにも喜んでくれることです。
私は三冠ウマ娘になるために今まで努力してきました。頑張ってきました。
たしかに、ハードなトレーニングは辛いこともあります。
ですが三冠をとるためには必要なことでした。 私は父のもとで、トレセン学園でも、三冠のため…自分自身のためにそうしてきました」
59 : 大将   2025/04/15 20:59:24 ID:xTwPv0Nb6w
「ですが」
「私の走りでマスターがこんなにも喜んでくれる。 興奮してくれる。
そう思うと、私の中に……とても大きな充足感が満ちます。
ステータス:幸福 です。
私が頑張るのを、喜んでくれるというのはとても、とても嬉しい。 私のデータにはなかったことです。
私の走りが、マスターをこんなにも喜ばせるなんて。」

『……お前は、それだけ凄いことをしたんだよ。』

ぽんぽん、と頭を撫でる。はやくクールダウンとストレッチをしてあがろう、と。
ミホノブルボンが、トレーナーの服の裾を掴む

「マスター、あの、"なでなで"を要望しても、いいでしょうか?」

『……先にクールダウンとマッサージをしてからな。 あとでいっぱい褒めてやるから』

パアアア

(ホントに犬みたいだな、なんかわかりやすい)
60 : お兄ちゃん   2025/04/15 21:08:03 ID:xTwPv0Nb6w
トレーナー室・マッサージ後

『明日、暇か?』
「スケジュールを確認。 特にスケジュールはありません」
『オーケー、じゃあ明日昼、なんかメシ食いにいくぞ』
「食事ですか?」
『ああ、お前が坂路2本をクリアしたご褒美だ』

ナデナデ
トレーナーはソファに座るブルボンの頭を撫でる。 気持ちよさそうに目を細めるブルボン。 本来は年頃の少女の頭や髪の毛を撫でるなどよろしくはないのだろうが、所望するのならしょうがない。 それでやる気があがるならいっぱい褒めていっぱい撫でるべきだろう。

「ありがとうございます。」
『ところで、メシは食えそうか?』
「…………???はい、今日は2本の坂路をクリアしたのでお腹が減っています。 ステータス:非常に空腹」
『マジか、すっげえ健啖だな。まあそれは良いことだ。 ほんとにお前最高だよ。
ところで何が食べたい?』
「はい、…………あの」
『なんだ?』
「ご存知だと思いますが、我々ウマミミはヒトミミより大量の食事を摂取します。
それは、大丈夫なのでしょうか? お腹いっぱい、食べてしまっても」
『ああ、もちろんだ。 ブルボンへのご褒美なのになに遠慮してんだ。 腹いっぱい食べに行くんだぞ』

ッパアアアアア

あまり表情が変わってないが雰囲気でめちゃくちゃ喜んでるのがわかるのでトレーナーは苦笑する。
61 : マスター   2025/04/15 21:12:35 ID:xTwPv0Nb6w
『じゃあ、お疲れ。明日な』
「今日もありがとうございました、マスター
…あの」
『?』
「明日、楽しみにしています」
『ああ、おう、ゆっくり休めよ』


『しかし、こんなに早く2本め突入か。 しかも連日のハードトレーニングに加え今日は一番辛かっただろうに、食欲がまったく失せない。 メシが食えるうちはトレーニングの強度は落ちないし精神も折れない。
…………親御さんはとんでもない娘さんを作ったもんだ』
62 : 相棒   2025/04/15 21:28:03 ID:xTwPv0Nb6w
「おまたせしましたマスター」
『よう、ブルボン。 時間通りだな』
「しかしマスターのほうが早く到着して…あ」
『ん? どうした?』
「これが、クラスメイトの方々が言っている
特殊ステータス:ごめん待たせちゃった? ううん、いま来たところ
という挨拶でしょうか? 失礼しました、挨拶を最初から修正します、マスター」
『いやいやデートじゃないし別に待ってはいないからな?』

昼食には早いので買い物、ウィンドウショッピングをする。
ゲーセンのプライズコーナーにて

「……あ」
『ん? UFOキャッチャーか……ああこれ取れそうだな』
「本当ですか、マスター。 このうさぎが取れるのですか?」
『おう、やってみるか? ってああ、お前機械触れないのか……よし、まあ見てろ』

チャリーン…ピロピロ…デッデッデッデ…パラリラリーン

『よし楽勝…ほれ、ブルボン』
「ありがとうございますマスター、 うさぎ男爵さんを入手します」
『男爵? それそういう名前なのか?』
「はい。 いつも部屋の留守を警備してるうさぎさんのバディになります。」
『……? あー、寮室にもううさぎがいるのか?』
「はい、留守番をしてもらってます」
『ああ、そういうことか。 まあ仲良くしてくれるといいな』
「はい……はいマスター。 うさぎさんはとても優しいのできっと仲良くしてくれます。」
63 : モルモット君   2025/04/15 21:40:14 ID:xTwPv0Nb6w

もともとマイペースというか個性的なタイプだとは思うが、時たまとても幼い情緒をしてるんだなと思う。 この年でぬいぐるみ、人形とこのように戯れるのは年頃の少女だと恥ずかしがって思ってはいても本人の趣向に反して離れてしまうこともあるが。
ナデナデの要求が強かったり、子供っぽいところも多い
―――しかし、高身長とも言えないがそれなりに背は高く、腰はすごくくびれてるが発育も良い、下世話な言い方をすれば女性的なボディラインをした美少女だ。
そんな美少女がこんなに幼い情緒をしてることが不思議でならない。

『そっか、きっとその男爵も紳士なうさぎさんだから仲良く出来るな』
「……パアアアア」
「はい、うさぎさんはいつも完璧に留守番のオーダーをこなしてくれます。 とても優しいウサギさんで」
――これ、テンションあがってるのか
うさぎさん談義をしつつ、昼食のためにちょっとだけお高めのハンバーグ屋に入る。 ウマミミOKで学園のウマ娘からも評判がいいお店だ
『ここのハンバーグがうまいらしいぞ、栄養バランスのためにサラダもしっかり食べてもらうがいくらでも喰っていいぞ』
「ステータス:期待・高揚を確認しました。 とても楽しみです」

『うまいか?』
「はい…あむあむ、もぐもぐもぐもぐ」
ミホノブルボンは元々淡々と何事もこなすタイプだが、食事もあまり会話をしない。
これは淡々と、というより食事に集中してるのだろう。
夢中でハンバーグを食べるミホノブルボンの邪魔をしないように黙ってる。

「……はっ マスター、ごめんなさい。 食事に集中しすぎていました」
『いいんだよ、お前のご褒美のためにここにきたんだろ? まずは腹いっぱい食え。 話なんていつでもどこでもできる。』
「はい、マスター。」
64 : トレぴ   2025/04/15 21:45:21 ID:xTwPv0Nb6w
もぐもぐもぐもぐ
――よく食べる。 昨日も空腹だと言っていたし翌日も食欲が落ちる様子がない
今後もこの調子であればありがたい、ありがたいのだがそうそうはいかないだろう。
正直坂路1本でも食欲が失せるもののはずだ。 平地のトレーニングと違って坂路…いや、ミホノブルボンが"壁"と例えたあの大坂路でのトレーニングはそれほどに身体に負担がかかる。 負担をかけるためのものだから当然だ

『おいブルボン、おい』
「……ふぁい、マスター」
『いっかい手を止めて顔こっち向けろ。 ソースついてる』
「はい、むぐむぐ、むぃむぃ」
『ほれ、きれいになった。 汚れたらまた拭いてやるから食え食え』
「はい、マスター。 もぐもぐ、むぐむぐ」

「マスター、ありがとうございます」
『おう、腹一杯になったか?』
「はい、ハンバーグをこんなにいっぱい食べたのは初めてです」

チラッ

『……あれか、いいぞ。あとであのでっかいパフェも食べような』
「パアアアアア」
『お前の喜んでるときの顔なんかわかったような気がするわ。』
「ところでトレーナー、父から連絡がありました」
『おう』
「父は、私が坂路を二本クリアしたことを存じてました」
65 : 貴様   2025/04/15 21:51:53 ID:xTwPv0Nb6w
『そうか、まあ俺が伝えたからな』
「はい、父から教わりました。 マスターはトレーニングの進捗や状況、脚や身体の具合などを毎日のように必ず教えてくださると
大坂路の画像や私のトレーニング風景の動画も送っていただいたと。
父はとても感謝していました。 心配は尽きないが、マスターのおかげで安心できると」
『そりゃ心配するだろ、特にお前の親御さんは元トレーナーだ。
お前が今やってるトレーニングがどんだけ危険か、よく分かってる。』
『インターバルトレーニングってのは高負荷と低負荷を繰り返す。ここまでは一般のトレーニングとしてやれる。
坂路も元々心肺向上と脚力、スピードの効率的な向上のためのものでむしろ故障率は下げられるはずだ』
66 : アンタ   2025/04/15 22:00:07 ID:xTwPv0Nb6w
『だが、お前さんのしてるのは坂路でのラストスパート……心拍を限界まで上げた状態で長い距離を全力疾走させられてるようなもんだ。
心肺を鍛える、スピードを鍛える。 しかもクラシックの全ウマ娘最高の脚と心肺を得るための負荷をかけ続けるんだ。
今はまだ坂路の本数が2本だが3本、4本になればもっともっと危険になっていく。
親御さんからしたら毎日爆弾抱えて走ってる娘の姿を想像しちまうだろうよ』

「ですが」
『ん?』
「私は、マスターのトレーニングをこなしているのがとても楽しいです」
『楽しい?』
「はい。 マスターは私をいっぱい褒めてくれます。 私をいっぱい撫でてくれます。 タイムが良いとまるで自分の事のように喜んでくれます。
だから、トレーニングをしながら頑張ろうと思えます。」
『そっか、俺も楽しいよ。 ブルボンが走ってるのを見るのは好きだ』
「はい、私もマスターが大好きです。」
『はいはい、そういう言葉は聞くやつによっては勘違いをされるから程々にな?』
「ステータス:疑問を検知しました。 勘違いというのはなんでしょうか?」
67 : トレぴ   2025/04/15 22:05:45 ID:xTwPv0Nb6w
『あー……んー……、 お前、お父さんは好きだろ?』
「肯定です、おと――父のことは尊敬していますし大好きです」
『うんうん、人参ハンバーグ好きだろ?』
「肯定です、 とても美味しくて大好きです」
『うんうんそうだなそうだな。 でも、男と女でいう「好き」はちょっと違うだろ?』
「理解できます。 少女漫画などでいう恋愛の好きですね。 LikeとLoveの違いだと表現されるものです。」
『おおおお良かったブルボンちゃんとわかるんだなあ偉いぞ偉いぞ』
『つまり、お前はお父さんや人参ハンバーグのように俺を好きだというが、人によってはLoveの方の好きと勘違いされる事もあるわけだ。』


「理解不能、それは問題があるのでしょうか」
「私は、両方の意味で好きだと表現しても差し支えないと思っています」
68 : モルモット君   2025/04/15 22:15:03 ID:xTwPv0Nb6w
『………………………………えっと
一応聞くが、それは告白とかそういう?』
「否定します。 一般用語:愛の告白 とは違う感情です」
『あ~~~~よかった。 そうだよね? 違うよね? びっくりしちゃったよ
ごめんごめんごめん、俺が勘違いしちゃったよごめんな?』

「マスターは父のようです。 厳しいところも多いですが優しくて、いつも私のことを見てくれてます。 マスターに撫でられると安心できます、充足感に包まれます。」
「同時に、そのようなマスターを恋愛的な意味でいう好きという男性を見る意味で好きだと思っていても私は問題ないと思っています」
69 : アンタ   2025/04/15 22:20:31 ID:xTwPv0Nb6w
『…………えっと、それはどういう?』
表情に照れとか恥じらいとか、そういうものは出ていない
相手はミホノブルボンだ。 年不相応の情緒を持つ無表情の少女である。
きっと、まだ男性女性の恋愛という感覚がわからないのだろう
わからないからこそ親御さんとにている、だから好きというのを混同してるのだろう。
「マスター、質問があります」
「マスターは私の事をどのような人物だと思っていますか?」
『んー? んー……高等部にしては情緒が幼くてマイペースで、努力家で、感情が表面に出にくいけれど実際の感情は強くて周囲から無感情と思われることに困ってるタイプ?』
「はい、私には感情があります。 そして高校生です。」
「マスターはなぜ」
「そんな私が恋愛感情や男女の性欲を一切理解してないという誤解があるのでしょうか?」


『…………え?』
70 : トレーナー   2025/04/15 22:30:22 ID:xTwPv0Nb6w
やばい
本能的に感じた。
それはトレーナーと担当ウマ娘という意味合いのものではなく
ヒトミミとウマミミという生物の根源としても警鐘

「私はまだ子供です。 ですからマスターの言う通り【父への愛情】と誤解して混同してしまっているのかもしれません。 ですが」
「私は私の中でそれとの区別をつけたうえで【そっちでもいい】と思っています」
『いやいやいやストップストップ。俺等まだ1ヶ月の契約だし、更に言うと君は学園のウマ娘、俺は学園のトレーナー。 オーケー?』
「はい、世間一般で学生とトレーナーが公に交際をすれば大事になるのは理解しています。マスターにそれを求めたりはしません。
ですが――実際にそのような事例が多く存在してるというデータも存在しています。」
『いやいや待って待って待って、まずブルボンのお父様に殺されるよ俺!?』

「先日の坂路の件で父にも相談しました。 父は私が本気なら構わないが三冠をとるまで本分をおろそかにするなと許可をくれました。」
『お父さん!?まってなんで?』
「はい、父は言っていました。 一介のトレーナーが契約の許可を取るために娘の脚をくれと言いに来る胆力が非常に気に入ったと。」

店内の白い天井を仰ぎ見る。
ミホノブルボンはこう――見た目に反して頭の中身幼女というか子供と勝手に思っていた。まあ年相応の情緒というわけではないようだが
愛情として好きだから告白というわけでもなく
そっちの感情であっても構わないと――そう、好きを伝えているのだ
71 : アネゴ   2025/04/15 22:39:00 ID:xTwPv0Nb6w
――なんとかその時の話をうやむやにして
栗東寮まで送るために河川敷の横を二人で歩く。
トレーナーは身長もそんなに高くない、というより低い、ちびだ
顔だって童顔なほうで、背格好と相まって「子どものよう」という評価を異性同性とわず受ける。
ミホノブルボンのような美少女は将来もっと良い男性との出会いがあると思う
そもそも自分と彼女は担当契約の間柄だ。

「あの、マスター」
数歩、ミホノブルボンが前にすすみ、トレーナーの前を塞ぐように向かい合う
「私は、トレーナーから見て魅力的に見えませんか?
担当としてではなく、女性として魅力的には見えないでしょうか?」
『お前は美人だし魅力的だよ。女としても』
「っ…」
『そのパアアアってのやめろ。 でもそういう付き合いはする気ないぞ。
お前は三冠ウマ娘、俺は自分の理論と坂路などの運動学トレーニングの普及のために互いに頑張る間柄だ。 恋愛ラブラブイチャコラするための関係じゃない』
「…………はい、あの」
「トレーナーには、そういう女性はいるのでしょうか?」
『いねえよ悪いか、トレーナーなんてのは年齢イコール彼女いない歴ばっかだ。
安心しろ彼女のためにトレーニングをおろそかにするマスターはいねえよ。
……クソクソクソっ、なんで高校生にこんな事ッ、クソクソクソ』

呪詛のように彼女いないモテない自分にクソクソ言っている

「良かったです――マスター」
『なんだ?』
72 : トレピッピ   2025/04/15 22:46:49 ID:xTwPv0Nb6w
「マスターは故障を覚悟してやりきれ、そして三冠を穫れると言いました。
私は、三冠を獲ります。 故障はしません。
恋のレースも、出走できるなら獲ります。
三冠を獲ったら――もう一度、マスターに【好き】を伝えようと思います」

ミホノブルボンは表情の変わらないウマ娘だ。
しかし、その時のミホノブルボンは――笑っていたように見える
恋する少女のような――捕食者のような
トレーナーは逃げるように、真っ赤にした顔をそらした

『………知らん、勝手にしろ。もう知らん知らん知らん!
明日からまた坂路だからな! 二本に増えるからしっかりストレッチして寝ろよ!』
「了解しました、マスター」

翌日
『おはようブルボン』
「おはようございます、マスター」
『よし、アップ軽くしてストレッチだ。 今日から坂路2本きっちり走るぞ。
覚悟決めて全力でいくぞ』
「了解しました。 ミッション:大坂路2本トレーニングを開始します。」
73 : お兄ちゃん   2025/04/15 22:51:56 ID:xTwPv0Nb6w
『昨日のアレはなんだったんだ……』
特になにもなく――何事もなく、今日のトレーニングが始まったことに安堵と肩透かしをくらったように、ため息をつく。
まあ、実際ミホノブルボンは魅力的な少女だ。
顔立ちだって超がつく美少女だし身体は正直めちゃくちゃスゴい
胸もお尻も出るところは出てるくせに全体の骨格はそこまでなので、相対的に胸が更に強調されて大きく見える。 腰はアスリートとは思えないほど細い
表情の変化は薄いものの感情がないわけでもないし、機微の変化は結構わかる。
なんというか、可愛げがある子供なのに美少女なのだ。
実際トレーナーもそう思うし、学園に"間違い"がそこそこ起きるのもあんな美少女達と間違いが起こるのはまああるだろうな、ぐらいは思う。
とはいえ、彼女は三冠ウマ娘を狙う存在で自分とは契約した関係だ
間違いが起こってはいけない
74 : トレぴっぴ   2025/04/15 22:55:20 ID:xTwPv0Nb6w
「マスター、忘れ物をしました」
アップに向かったミホノブルボンが戻ってきた
『ありゃ、そうか。 まあ早めに戻れよ?』
「いいえ、マスターに忘れ物をしました」

ミホノブルボンはマスターの前に立って、無表情のまま

「マスター、好きです。 行ってきます」
『っ!?』

表情を変えず、いつもどおりの距離で、いつもの口調で
ミホノブルボンはトレーナーにそれだけ行って、アップに向かっていった。
呆然としたままのトレーナーはしばらくその場に硬直していて

――心拍、激しく上昇
――緊張、緩和
――ステータス:歓喜を確認
――トレーナーのステータス、戸惑いを確認
75 : トレーナー君   2025/04/15 22:55:36 ID:xTwPv0Nb6w
3話おしまい
4話明日以降
76 : トレ公   2025/04/15 22:59:26 ID:xTwPv0Nb6w
だそく
「と、いう状況です。 マスターは私の【好き】を信用していません」

🌻「それなら、ちゃんと毎日アピールしなきゃですねブルボンさん」

「アピールですか。 考察…考察」

🌻「ちゃんと、ブルボンさんが好きだっていうのをトレーナーさんに理解してもらわないと。 こう、誘惑したりちょっと際どい格好をしたり、きゃー♪」

「好きをちゃんと伝える……理解しました」

🌻「応援しますねブルボンさん!」
77 : アナタ   2025/04/15 23:22:04 ID:oU9XjjpFyM
フラワーGJ!
78 : 使い魔   2025/04/16 13:43:27 ID:xi55cQe5Lg
多分、本気ではないだろう
情緒がまだ育ちきってないであろうブルボンが一般的な女子高生程度の恋心や性欲、二次性徴を迎えていたとして……それでも恐らくブルボンがやたら投げかけてくる【好き】は一般的な愛の告白ではない。
本人も混同してるかもしれないと言っていたし、本当にソッチであれば情緒が幼い故もっと照れたり恥ずかしがるはずだ。堂々とそのような言葉を発して反応を楽しむ小悪魔的な性格でも情緒でもない。
要は父親やうさぎのぬいぐるみに言う【好き】であり、そこに男性要素があっても構わないと思い込んでるだけだ
そう、思わないとやってられない

『いやこれが学園関係者だとか記者さんだとか……外部のちゃんとした大人ならなあ……まあ、しゃーねーけど』

ちび、細、ガキのような物言い さらに実績ゼロの底辺トレーナー
要は「子どものよう」と形容されるトレーナーには色恋は全然縁が無い
そんな出会いも個人的な縁もあるわけない。彼女居ない暦=年齢を舐めるな

「トレーナー、クールダウン終わりました」

ノックの音がして、トレーナー室にミホノブルボンが入ってくる

『おう、ソファにうつ伏せになってくれ』
79 : トレ公   2025/04/16 13:47:33 ID:xi55cQe5Lg
アップ、ストレッチ、有酸素運動、それらが終わってから高負荷のトレーニング
心肺に大きく負担をかけてから一切止まらせず低負荷の運動に切り替える。心拍に負担をかけ、それをゆっくりと運動をさせながら下げ、今度は坂路で一気に身体を追い詰める。
脚にかかる負担だけでも、マッサージで最低でも1時間かけて疲労をぬきたい。筋肉をもみほぐさなくても皮膚を撫でて刺激と血行をよくするだけでもいい。

「あの、マスター」
『動くな動くな。なんだ重いか? またがってるけど痛かったり重かったりしたら言うんだぞ』
80 : お前   2025/04/16 14:38:22 ID:xi55cQe5Lg
「いえ、マスターの体重はとても軽いので問題ありません。
クールダウンのあと、シャワーを浴びては居ますがそれでもトレーニングの影響で汗をかきます。」
『そりゃそうだ、あんだけのトレーニングをしてんだからしょうがない。
ちゃんと汗かいたら肌着は寝る前に変えるんだぞ。 睡眠も重要なトレーニングだ』
「いえ、その……マスター」
『なんだなんだ、珍しく歯切れが悪いな……もしかしてなんか違和感とか故障か』
「否定します。 私が危惧してるのは、マスターがマッサージをしていて…………汗臭くないか心配です」
『あーーーーなるほど。 安心しろ言われて初めてそんな事考えたぐらいだそんな臭いしたことがない。
なんつーか、果物みたいな甘い匂いはするなと思ってる。 制汗剤かシャンプーの匂いなのか知らんが』
「よかったです、マスター。」

そんな事気にしたことはなかったが、この状況は確かに距離も近いしいやらしい行為ではないが少女の身体をベタベタ触っていることになる。
逆に大人のはずのトレーナーが意識してしまう
81 : モルモット君   2025/04/16 14:44:02 ID:xi55cQe5Lg
「マスター、気分を悪くしましたか?バッドステータスでしょうか?」
『ふわへっ? あ、いやなんでもない…ど、どうしたブルボン』
「マスターがマッサージ中ずっと黙っていたのは初めてだったので」
「……ああ、すまんすまん。なんつーか、その、そういう話されて、その、意識しちまった。すまん」
「……やはり、汗臭いでしょうか?」
『いやいやそうじゃなくて、その……うーん、そういう話で、ブルボンも女の子だから、俺がこうやって脚をべたべた触るのは良くないなって。
まあ? とはいえ? 他所にマッサージを頼めるような大富豪でもなく?
マッサージは絶対毎日やらなきゃだから? やるんだが』
「マスターは、ちゃんと私の事を女の子として見てくれてますか?」
『え?あ、ああ。そりゃお前は女子高生としてもウマミミとしても美少女だしスタイルもいいだろうよ、脚長いし腰細いし』
82 : トレーナー君   2025/04/16 14:54:00 ID:xi55cQe5Lg
「―――」
『わっ、おいおいおい尻尾をばたばたすんなマッサージできなくなる』
「つまり、マスターの評価として私の外見、容姿は対象として見れるということですね?」
『はいはいお前が女子高生じゃなく成人した大人で学園の関係者だとかURAの記者だとかでこういう関係なら一回はデートにさそったかもねーうんうんうんそうだねうんうんうんうん』

わざと茶化すトレーナー

「では――卒業したらいいのでしょうか」
『あほか、そんな担当とトレーナーがホイホイホイホイ入籍してたら学園にトレーナー残っとらんわ。っと、ほら、マッサージ終わったから。軽くストレッチして座りな』
「了解」
『てかさ、お前なんで俺がいいんだよ? みろよ、俺お前と身長もかわらんちびだぞ?もっとほら、高身長イケメン高収入だとかさ』
「??」
『いや、万が一お前がもうちょっと身長伸びちゃったら俺のほうが小さいことになるんだが』
「……」
ミホノブルボンはしばし考え
――――
『え、なんでお前ちょっとうれしそうな顔してんの?!』
83 : モルモット君   2025/04/16 15:02:41 ID:xi55cQe5Lg
『ちょっとまって俺の身長が伸びるわけじゃないんだよ? 高校1年の君の身長が伸びるかもって話だよ?』
「はい、理解してますマスター」
『なんで嬉しそうなの? 女子って高身長イケメンとか高身長マッチョとかが好きじゃん!?』
「肯定します、女子の多数は高身長な男性に惹かれるというデータはあります。
ですがマスター、私は身長を気にしません。
マスターはニシノフラワーさんのトレーナーをご存知ですか?」
『そりゃまあ勿論。 童顔でそういうのが好きそうな奴にはモテるな』
「マスター、マスターもそっち側です。 私はマスターのような容姿は好きです」
『はあ!?』
84 : マスター   2025/04/16 15:13:57 ID:xi55cQe5Lg
ニシノフラワーは飛び級で学園に入学した天才少女だ
マイル、スプリントの類まれなる才能があるウマ娘でもありまだ幼さの残る年齢ながらもうすでに将来を期待されている
彼女のトレーナーは確かに小柄で童顔、まあそういうのが好きなお姉様がたから人気なのもトレーナー間で話題になることがある
というか変な気を起こしたトレーナーから襲われるんじゃないかとよく心配されるような所謂「可愛い」系の男性だ。
同じ低身長でも目つきも口も悪いトレーナーとは存在が違う

『いやまって? ニシトレさんと俺を比較したり一緒にするのはニシトレさんに失礼だろ? 』
「この前、カフェでフラワーさんとお茶を飲んでるときにマスターと遭遇したときの事を寮室でフラワーさんは『可愛いトレーナー仲間』と称されてました」
『………いや俺大人の男性ッスよブルボンさん? 可愛いとか言われてもあんましちょっと』
「……お嫌ですか? 気分を害しましたでしょうか?」

耳をしゅーんとペタンとさせるブルボンにトレーナーは難しい顔で

『いや、嫌だとかムカつくってのはない。 意外とそういう気分にならないのは俺自身意外だけど……でもなんつーか手放しで喜べないと言うか複雑というか』
「それに、マスターの容姿外見は好きですが、マスターの事をすきなのはそこではありません」
85 : トレぴ   2025/04/16 15:23:08 ID:xi55cQe5Lg
「私が初めて坂路を登りきった時、興奮して私を抱いてはしゃいでるマスターにステータス困惑と――ステータス:嬉しいを覚えました。
自分が自分のためにやりきったことなのにトレーナーはこんなに喜んでくれる。 自分自身のための事なのにマスターは真剣になって夢中になって本気で喜んでくれる。
私は三冠ウマ娘になる夢を叶えるために、自分のために努力してきました。必死に努力してきました。
でも――マスターはそんな私の事を真剣に見て真剣に怒って、真剣に喜んでくれました。 きっと、そんな人はトレーナー業をしていてもマスター以外に見つからない気がします。」

『うーん……うーん……』

「マスターはよく怒ります。 口が悪い時もあります。
でも――とても優しくて私の事を真剣に考えてくれます。
そんな人を好きになるのは、男性を好きになるとは違うのでしょうか」
『…………わ、わ、わ』

『――わかるわけねえだろ、年齢イコール彼女居ない歴を舐めるな小娘!』
86 : アネゴ   2025/04/16 15:30:19 ID:xi55cQe5Lg
ミホノブルボンは、トレーナーが見たこと無いような顔をしている
怒ってるとか悲しんでるとか失望してるとかじゃなく、ただただポカーンとしてるような顔―――こんな表情の猫がネットのミームでいた気がする

『あ――いや、その――俺だって女性経験豊富じゃないんだ。その――すまん』
『……な? ほらな? 俺こんなみっともねえ男なんだ、ほらブルボンもこんなのが彼氏とか恋人とかイヤだろうなーって』
「否定します、その狼狽は私の感情にステータス:高揚を与えます」
無表情のまま耳をピコピコ、尻尾をブンブンしている
『まてまてまてステイ、ステイだブルボン。 お前が真剣なのはわかった、 なにかの勘違いという事ももう言わない!
だが、アイ・アムトレーナー、ユーイズ担当ウマ娘アンド未成年、オーケイ?』
「はい。 菊花賞を勝つ時は17歳です。 その翌年には18歳です」
『生々しいからやめて!? 』

87 : モルモット君   2025/04/16 15:38:43 ID:xi55cQe5Lg
「マスター、提案があります。」
『……なんスか? もうなんでもいい……』
疲れ切った表情のトレーナーにブルボンは
「いますぐ私の好きに答えて頂かずとも、三冠を取るまで期間があります。
ですのでその間を猶予期間にしていただけないでしょうか?」
『猶予期間ってなんだよお俺はなんも悪いことしてねえよお……』
「どの道、三冠達成まで私にもトレーナーにも遊び歩く時間はありません。
本分を達成するまでを、私からマスターへの【アピール期間】と考えていただければ。
もちろんオフの日にマスターをデートに誘いますし、断られたらやる気はさがりますしもしかしたら片頭痛や寝不足気味になるかもしれません。」
『ねえまって!? バッドステータスを人質にしないで? 君の夢の三冠だよ?』
「私は三冠のためにも全力で努力をします。
――同時に、大好きなマスターと結ばれる事も全力で努力します。」
『あーもう好きにしろ、どうなろうと知らん。トレーニングおろそかにしたらその瞬間契約切るからな、絶対にトレーニングを最優先しろよ!?』

「その事ですが、マスター」

「次回のトレーニングで―――"4本"に挑戦したいです」
88 : トレーナー君   2025/04/16 15:50:06 ID:xi55cQe5Lg
いつもより1日多い休養、その休養明けのトレーニング日

『調子は?』
「ステータス:絶好調 体調:万全
全力を出せます、マスター」
『しかし前倒しも良いところだぞ? いけるのか?』
「いけます。 マスター、最近の私は――ステータス:最強 です」

坂路を3本に増やしてから明らかに負担と疲労が増えた
今までの坂路前の高負荷トレーニングが全部坂路に置き換わるんだから当然だ
正直、トレーナーとしてもこれはもう、4本ではなく菊花賞まで3本で行こうかという感想すらあった。 しばらくは――クラシック期に入るまでは3本で行く予定だった。
ジュニアのメイクデビュー前にするような行為ではない。
ブルボン以外のウマ娘なら一番ハードなトレーニングでごく稀に1日3本をいれるかどうかだろう
だが、最近の彼女の躍進はめざましい。
毎回毎回、メキメキとタイムを伸ばしていく。 上半身はいい具合にシェイプアップされ前よりしなやかに、下半身――特にトモと呼ばれるおしりから太ももに流れる大きな筋肉は、明らかに筋肉で力強いラインを描くようになった。
――いいケツしてる――というのは一般では完全にセクハラだが、学園に限って言えば競争能力を評価する見た目、筋肉の付き方として重要な言葉だ。

『そういや……』

――菊花賞を勝つ時は17歳です

『はっ、三冠を"勝ちたい"と言ってた奴が今は"勝つのは"になってやがる』
「……?マスター?」
『ああ、独り言だ、すまん。じゃあアップと柔軟してこい』
89 : 使い魔   2025/04/16 16:07:34 ID:xi55cQe5Lg
――正直言って、ミホノブルボンの評価は"並"だった
よくいる短距離適正のウマ娘。 OPに行ければトレーナーからよく頑張ったなと手放しに褒めてもらえるような、G1勝利どころか出走にも縁もない程度の短距離バ
しかも、トレーナーだった父親からハードなトレーニングを受けて学園に来たというのは、それは"伸びしろが少ない"という可能性も高い。
三冠路線ではなく短距離路線を強要して契約を破棄したトレーナーが悪いわけではない。むしろ一人のウマ娘の人生としては正しい。短距離路線で並の才能のウマ娘が三冠路線を進んで――そもそもが皐月賞どころか、そのトライアルにどうやって出走するというのか。 並というのはそういう事だ

彼女のハードなトレーニングで身についた、坂路を登り切るパワー
淡々と黙々と、トレーニングを続ける事ができる性格、集中力
そしてずっとずっとハードなトレーニングをしても疲労で落ちない食欲
睡眠時間や就寝時間、食事を指示通りずっとつづける勤勉さ

トレーナーが作った大坂路でのハードトレーニングを続けるための条件をすべて兼ね備えてる、"並"であっても稀有な才能をまとめて持ったウマ娘

一本目――二本目
タイムは落ちない。想定タイムより良いタイムを刻む
『……タイム、一緒だな…最初から、最後まで』
『………1本目も、2本めも…………まさか、な』
90 : お姉さま   2025/04/16 16:25:02 ID:xi55cQe5Lg
――3本目
100mごとにラップを刻むストップウォッチを持つ手が震える…………
『おい、おいおいおいおい……? いやそんな事が可能な訳が
いや、待て現実を受け入れろ。偶然でこんな事が出来るわけない』

3本目を終え低負荷のジョグを続けるミホノブルボンを3角で待って

『ブルボン、同じタイムで4本目いけ。 登りきれなくてもいいから"3本目までと同じタイム"だ』
「オーダー了解しました」

ミホノブルボンの表情も声も、もう余裕がない。
当たり前だ、3本でもシニアでも厳しい強度のトレーニング、ジュニア級でやれるものではない、クラシック級でも倒れてもおかしくない。

なのに――この"並"のはずだったミホノブルボンはジュニアで、メイクデビューなのに

『すげえな……本当に努力だけで、ここまでなっちまった』
91 : ダンナ   2025/04/16 16:33:28 ID:xi55cQe5Lg
根性、努力、丈夫さ、馬力
そして、さっき確信したもう一つの才能
それはもし本当にそうならば――ブルボン以外が持ち得ない才能になる
そんな才能がある訳が無い、もしその才能を持つウマ娘がいたら――それは最強のスキルでありギフトだ

――体内時計

心拍が限界まで上がっていて疲労で身体も脳もすべてが悲鳴を上げてるのに?
歩くだけでもその時計は正しくないのに?
機械のような少女は――本当に機械のような正確さをもっていると?

『ありえない――ありえないが』

ただ走ってるだけで完璧に坂路のinからgoalまで同タイムというのはもっとありえない。しかもインターバルをはさんだ2本め、常識的な限界であろう3本目まで同じラップを刻んでいるとかありえない。
トータルタイムだってかなり良い。 断言できるがこのタイムを出せるウマ娘は恐らくクラシックですらいやしない。 シニアの、G1ウマ娘でもこのタイムを全員が出せるとは限らない。

――そんなレースのペース同然の状況で、全く同じラップを刻み続けるなど、かの三女神ですら不可能な芸当だ
92 : お兄さま   2025/04/16 16:50:32 ID:xi55cQe5Lg
――嬉しかった
自分の夢を笑わないでくれたことが
真剣に聞いて真剣に考えてくれたことが
頑張った結果を本気で喜んでくれたことが
だから、自分のため以上に――マスターのために
頑張りたいと思った、努力じゃなく、マスターが喜ぶことをしたい
自分の走りを褒めてくれるマスターのために、走りでマスターを喜ばせたい
私が、4本のトレーニングを続けるためには全力で頑張るだけじゃなくて
想定するタイムから逆算したラップで走り続けること
淡々と機械のように同じ事を続けること
マスター、貴方のつくってくれた"脚"は――とても強いです
お父さんが作ってくれた身体で、貴方が作ってくれた脚なら

―――――私は、三冠を穫れる


『ブルボン!!!』

最後の最後、ゴールまであと100Mで失速し
ほぼ意識もなく、それでもふらふらと前に進み
最後はもう、たった100Mを50秒以上かけて――ブルボンは4本目の坂路をゴールした

『止まるなブルボン!』

トレーナーの声に、ブルボンの上半身がまっすぐ起きて――ゆっくりと、歩く。
ヒトミミの少年が簡単に追いつけるような、ふらふらの歩き方で

『よくやった、よくやったぞブルボン! お前は最高のウマ娘だ!
最高だよブルボン、お前は本当に最高だ!』

嬉しいのか、心配すぎて泣いたのか
くしゃくしゃのぐずぐずの顔で、ブルボンを褒めちぎる言葉をつづける。
横に立って手を伸ばし、くしゃくしゃと頭を撫でる
93 : お前   2025/04/16 16:51:06 ID:xi55cQe5Lg
「……ミッション未達成です。 4本目を走りきれませんでした」
『いいんだ、いいんだ、そんなのはこれから走りきれるようになるから。
お前はずっと同じラップで想定タイムを出そうとした。 間違いないな?』
「はい……私は体内時計で一定のペースで走ることができます。 それを4本分に当てはめれば、4本を走りきれる計算でした。
ですが、スタミナ切れというのが――距離の壁というのがどういうものか、よくわかりました。」
努力や根性、精神でどうしようもない領域。 心臓の、肺の限界。脚が自分のものでなくなるという錯覚、動かない身体。
スタミナ、という言葉だけでは表現できぬ距離の限界


『大丈夫だ、それはこれを続ければ必ず伸びる。 そのための坂路だ。
お前は誰よりも厳しいトレーニングをやりきったんだ。 俺はもうどんな事でもおまえにしてやりてえよ』
「ほんとう、ですか? ではコンプリートのリワード:ごほうびがほしいです」
『ああ、なんだっていいぞ。 そうだな、前にいったハンバーグ屋でも、もっと高い店でもいいぞ』

「マスターに、ちゅーをしてほしいです。キスです」
『アホか』

結局なんやかんやで、ハグで許してもらうことにした
94 : お兄さま   2025/04/16 16:58:50 ID:xi55cQe5Lg
『しっかし、100mごとのラップを全部体内時計でね……負荷とか感覚じゃないんだろ?』
「はい、数えているような感じですがうまく説明はできません。 ですが距離の目測と所要時間は完璧に計算ができます」
『それ、最強のスキルだぞ。 一定のペースを保てるかどうかって大事だからな。
例えば2000MのとあるG1のレコードタイムが1分58秒2だとするだろ?
これを最初の1000Mで59秒 後半1000Mで59秒で走りきればこのレコードをあっさり塗り替えることになる。 後ろもまずついてこれない』
「……それは合理的な作戦だと思います」
『まあ、まず1000Mを59秒、残り1000Mを59秒で返ってこれる能力が必要って前提が辛いが……普通はまずこのペース配分ができない。
理論上できたら最強だけどできないよね、というやつだ』

――でも、ミホノブルボンは出来る
95 : トレーナー   2025/04/16 17:04:44 ID:xi55cQe5Lg
この、何を考えてるかわからん事も多いやたらトレーナーに積極的に見える機械的少女はそれを可能にする能力を得られる。そして、天賦の才であろう体内時計が本当に壊れない時計であれば

『ブルボン――お前メイクデビューまでずっと坂路でいくぞ。 合わせや合同訓練もしない。 正直メイクデビューは今走っても楽勝なだけの能力があるが、今は1600を完璧に走り切るスタミナと、皐月賞に向けた能力向上をしたい。』
「了解しました。ミッション:一生坂路 を遂行します」
『んっ、しかし流石に、筋肉もパンパンというかいつもより張ってるな。 痛かったり違和感がすごいとか、ないか?』
「ありません。 疲労感の大きさは確かにいつもの数倍ですが、マスターのマッサージがとても気持ちいいです。」
96 : あなた   2025/04/16 17:11:15 ID:xi55cQe5Lg
そんなこんなで、マッサージも終えて

黒のスパッツに白基調にシンプルなパステルペイントの水玉のおちたようなTシャツを着たミホノブルボンがぶ厚めのソファに座ったまま両手を広げる

「マスター、私の準備は万端です。」
『あ、あー……どうしてもしなきゃだめっスか?』
「? マスターは私が初めて坂路を登りきった時、感情を爆発させて私を抱きしめてくれました。
あのような行為は常識的範囲でハグと呼ばれる行為で淫行にはあたらないので社会的にも問題はないと思います。
ですので、今、ここでマスターが私をハグする行為は問題はないと判断します」
『あのね、倫理ってやつもあるんスよ社会には。 気持ちが高ぶってハグはいいけど、こうして準備しましたバッチコーイでするのは倫理的にヤバいんすよ……』
「…?? 理解できませんマスター。
私はマスターにハグをされるのは大好きです。 もっともっと頑張ろうと思えるようになります。 つまり、これは心の栄養の摂取です。
なので
さあ」
97 : お姉さま   2025/04/16 17:34:02 ID:xi55cQe5Lg
『あーもうわかったわかったわかった、しょうがねーな』

かがむような格好で、ミホノブルボンをハグする

――うっわ身体やわらか――てかすっげえ甘くていい匂いする……

ミホノブルボンが少し強引にトレーナーを抱き寄せ密着する。
ブルボンの肩に顎をのせ、あまりにも近すぎて横のブルボンの表情が伺えない
栗色の髪のシャンプーの匂いと、ブルボンの身体の匂いであろう甘い果物のような匂いを同時に嗅ぐと、頭がとろけて力が抜けて、このまま目を閉じて眠ってしまいたくなる。

「マスター 私は今、ステータス:幸せ です。」
『うん……俺も、気持ちよくて幸せ……』
「………」

なにか変なことを言った気がするが脳が完全に溶けたトレーナーは自分の言葉すら覚えてない。 ブルボンは何も言わずに、優しくトレーナーをハグして



『――言っとくが今日だけだからなハグは』
「否定します。ステータス:不満を主張します、トレーニング後には毎回マッサージとハグをしてケアをすべきです」
『しません、アイ・アムトレーナー・ユーイズ担当ウマ娘』
「マスターも気持ちよくて幸せと言っていました」
『言ってません、てかトレーナーが言ってたらやばいだろソレは』
「…………」
『なんだよまだ不満かよ』
「いえ、なんでもありません」
『なんか怖いな。 はよ寮にもどって飯食って休め。 2日ぐらいはオフにするけど自主練とかは禁止な』
「了解しました。 マスター、ご褒美のデートはありませんか?」
『あるわけねえだろ。 まあこの前のハンバーグ屋さんならつれてってやるぞ』
「楽しみにしています、マスター」

ミホノブルボンは振り返り、トレーナーに歩み寄って
ぎゅ♪
「まだ"今日"ですから。 おやすみなさいマスター」

そう言って、ミホノブルボンは踵を返しトレーナー室を出ていった
98 : トレぴ   2025/04/16 17:54:36 ID:xi55cQe5Lg
だそく

トレーナーが
なんで女子高生に本気でときめいてるんだ俺は
とトレーナー室で発狂してる頃

ミホノブルボンは坂路トレーニングとは違う胸の高鳴りと、男性とはいえ柔らかく細いトレーナーの身体とその匂いを思い出し、尻尾をブンブンさせながら「心の栄養」と口ずさみつつ、寮に帰っていった。


「と、言うことでミッション:ご褒美ハグ作戦 成功しました」
🌻「おめでとうございますブルボンさん、ブルボンさんのトレーナーさんも可愛い方ですね♪カフェで見た時ああ、私のトレーナーさんみたいに可愛らしい方だなあって」
「恐縮です、前で言うとおこられますが私のトレーナーさんはとても可愛いです」
🌻「ですよね~」
「はい、うさぎさんもそういっています」
🌻「ブルボンさんはスタイルもいいし、美人ですしきっとうまく行きますよ!」
「はい、マスターも言ってました。 私とのハグは気持ちよくて幸せ、だそうです」
🌻「わあっ♪ほ、ほ、ほんとですか? うわあっ♪」
「はい、マスターは言った記憶がないようでした。陶酔上の言葉であれば本心だと革新します」
🌻「と、と、陶酔っ? そんな蕩けた声だったのですかブルボンさん!」
「はい、あれはとても気分が高揚しました」
99 : マスター   2025/04/16 17:54:52 ID:xi55cQe5Lg
4話おしまい
100 : キミ   2025/04/16 17:58:47 ID:xi55cQe5Lg
おかしい
ちょっとスポ根めの必死で泥臭い話の予定が変な方向いってる
101 : 大将   2025/04/16 18:09:13 ID:NrCVlEnEvA
このまま三冠取ったらマスコミの前で結婚宣言(一方的)してその夜に夜のゲートイン(意味深)でも全然いいよ
102 : アナタ   2025/04/16 18:10:28 ID:xi55cQe5Lg
>>101
ダイワスカーレットじゃん・・・
103 : >>1   2025/04/16 21:13:56 ID:xi55cQe5Lg
>>1です
個人的にインモラルなものや誘惑などの妖艶、色気があるものが好きなのですが皆さんはどうですかね とは言ってもミホノブルボンの場合素直クールの延長のようなものになると思いますが
正統派の純情のほうがやっぱみんなみたいものなんでしょうか
104 : トレーナー君   2025/04/16 22:04:34 ID:mRyyLqidEo
お疲れ様です
個人的には、「作者の思う物」を書いて貰えるほうが好きなのですが、人を選ぶ自覚があるようであれば、軌道修正してもらってもいいのかなと思います。
ただ、基本的には俺はこういうブルボンの話が書きたいんだ!で始められたと思いますので、その気持ちのままでいいのではないでしょうか?
105 : 貴方   2025/04/17 00:36:34 ID:5AusdZVO8Y
個人的に実はバリバリそっちの知識あって周りが思ってる程幼く無いブルボンばドストライクなので規約に引っ掛からない程度にぬちょぬちょして欲しい
106 : トレーナー君   2025/04/17 07:25:51 ID:rJU9jBX5Zs
>>104>>105
ありがとうございます。 ガイドラインを遵守する範囲で書きます
基本的にこのブルボンには性欲も性知識もそれなりにはありますがちょっとズレてる感じです。
107 : あなた   2025/04/17 20:33:17 ID:c7.9i4fNpQ
『ブルボン、来月メイクデビューな』

マッサージをしながらトレーナーが言う
低負荷と高負荷を繰り返すトレーニングは坂路を4本にしてから、すべての高負荷を坂路で行うことになった
ゲート練習すらまったくしてない、バ群を想定した並走もしてない
ただただ大坂路を走り、登りきったらゆっくりと降りてくる。 そして再び坂路に向かう。

『不安か?』
「いえ、ペースを上げても身体がついてくるようになっています。 私は着実に力をつけているのは自覚しています。」
『そうか。 まあ安心しろ、今のお前ならメイクデビューは問題にならん』

ぎゅ、ぎゅ、とマッサージを続けていく。最近ではブルボンの尻尾の動き方で心地いい力具合が分かってきた

「私は、大した実力もないウマ娘でした。 ですからメイクデビューが楽勝、という感覚がよくわかりません。」
『まあ、才能と実力にあふれてても同じレースに出走する中に、ウマ娘の歴史に残るようなバケモンがいて負けるとか普通にあるからな――今年デビュー組はちと不幸かもな』
「不幸、ですか?」

『ああ、ミホノブルボンっていう絶対に勝てない三冠ウマ娘と同期とか不幸でしかねえよ』
108 : トレピッピ   2025/04/17 20:39:35 ID:c7.9i4fNpQ
「マスター」
『とはいえ、坂路4本っていうトレーニングばっかのブルボンにはピンとこないか
と、いうことでメイクデビュー前に一本、普通のトレーニング場での模擬レース出るぞ』
「模擬レース」
『ああ、ジュニア級の有力馬、目玉になるウマ娘を探せみたいな記事の企画でな、トレセン学園が公開トレーニングに応じることになった。
デビュー予定の模擬レースを行う。
模擬レっていっても3人1組で行う500Mの直線トレーニングと思って良い、コーナーもなしの直線500Mのタイムを計測する。』
『で、そのコースがトレセン学園で新設した坂路トレーニング場らしい。』
「坂路」
『勿論"大坂路"のようなのじゃない低勾配のもんだ。 そこで今のお前がどうなってるか、実戦に近いコースではしってみりゃいい』
109 : 貴様   2025/04/17 20:46:12 ID:c7.9i4fNpQ
トレセン学園、坂路トレーニング場
新設された新しい試みということで、トレーニング場もかなり綺麗で新しい
そこに沢山のトレーナー、記者、見学のウマ娘が集まっていた

『どうだ、これだけの人に見られながらの模擬レース。 緊張するか?』
「感情、異常ありません。 緊張も問題ありません、マスター」
『そっか、じゃあ多少短いがここの連中を驚かせてやれ』
「オーダー了承しました。 ミッション:模擬レースを開始しま――」

ミホノブルボンの言葉が止まった。ブルボンの視線を追うように振り返ると別のトレーナーが立っていた。ベテランで堅実、腕の良さはブルボンのトレーナーも認める存在だ。

「ミホノブルボンくん、久しぶりだな」
「……お久しぶりです、トレーナー」
110 : アネゴ   2025/04/17 20:46:42 ID:c7.9i4fNpQ
めちゃ眠いんで今日はねます。4話明日以降続きます
111 : お姉さま   2025/04/18 05:18:32 ID:45NzUEcmiU
「飯塚トレーナー――君が今の担当トレーナーか」
『……そッスね。』

ミホノブルボンはコースに向かい、それを遠巻きに囲むトレーナー、記者陣
バツの悪そうな顔でトレーナーは、ベテラントレーナーと並んでいた

「彼女は、まだ三冠路線を」
『ええ、勿論穫る気ッスね。 短距離路線に行く気はゼロですか』
「……それで――君のような"壊し屋"を"駆け込み寺"に使ったと?」
『……まあ……誰が見てもそんな構図なんでしょうね。しかも、"並"かそれ以下のタイムすらなかった』
「夢に掛ける、人生に掛けるのは私も悪いことじゃないと思う。 彼女たちの人生は彼女のものだ。
――でもね、もっと良い方向がある。良いやり方があるのにそれを示し、導けないなら、私は彼女と契約を続けてはいけないと思ったんだ。」
『まあ、見てられないッスよね。 明らかに破滅に向かって頑張ってるウマ娘なんて』
「彼女は2000Mを走れるような適性はない。 それでも、新しい担当とならマイルのオープンを勝って出走ぐらいはできるのかもしれない。 」
『ウマ娘の競争能力は天性のもの。 それを引き出すのがトレーナーの役割
天性以上のものを求めたらまっているのは』
「故障、破滅だよ。残念ながら努力は才能をひっくり返せない。ウサギとカメの話のようにはいかない。 なぜならここのウサギたちはみんな努力家だからね」
『俺ぁ、あんましそう思ってない方なんですよ。 まあ、見ててください
ベテランの1流トレーナーのアンタならわかるはずだ、 たった500Mのコレでその常識がひっくり返るのがわかる。』
112 : アネゴ   2025/04/18 05:37:30 ID:45NzUEcmiU
3人1グループとなってウマ娘たちが模擬レースを始めていく
その様子を見ながら、ベテラントレーナーは少し目を見開き、しかし飯塚トレーナーの方には目を向けず

「強気だな。 そんなにいいタイムが出せるようになったのか?」
『ここの記録のレコードってわかりますか?』
「坂路かい? なにせ出来たばかりのコースだからね。 ジュニアだと、えっと……」
『ああ、いえ……全部ので。 シニアも含めた記録ってどうなのかなって』
「……30.4だ。シニアでも31秒前半をだせればG1級だろうな」
『じゃあ、ジュニアでそんなタイムを出せるようなウマ娘なんていないッスね』
「当たり前だ、今走ってる子たちのタイムを見ればわかるだろう」

『そっスね――常識的に、ね』

「……私は、君が苦手だ。 根性論やスパルタトレーニングはウマ娘の人生を奪うやってはいけないことだと思ってる。
君のその態度が悪意のないものなのはわかっているがね、そんな態度でそんな事をしていたら、本当に君は未勝利のウマ娘をつまむ、壊し屋でしかないぞ。」
『……そっスか。 俺はアンタを尊敬してますよ。 アンタは優しいし適正に合わせ他指導で決して無理をしない。だからブルボンが破滅の道を歩むのをそばで見てられなかった。』
113 : お兄ちゃん   2025/04/18 05:43:42 ID:45NzUEcmiU
『それでも――ウマ娘の自由も意思も強制して捻じ曲げたくはなかったんでしょ?
ブルボンは、アンタの愚痴や文句をいったことがない。
的確なトレーニング指導をする優しいトレーナーだった、ただ…三冠路線だけは認めてもらえなかった。 私では、その可能性を示せなかった。
そう、言ってましたよ』
「ああ、そうだ。 彼女では短距離路線のオープンにいければ良いほうだ。」
『だから俺も、アンタが間違ってるってあんま思ってないんスよね。
アイツが可能性を示せなかった、だから俺等トレーナーは……アイツに方法を示せなかった』
「…………」
『常識的に、それが間違ってるわけじゃないんスよ。 ただ……あいつは』

『あいつには、常識を打ち破る事ができる事ができる、武器があったんで』
114 : トレーナー   2025/04/18 05:51:14 ID:45NzUEcmiU
ミホノブルボンが出走する。スタートは良い。 そのまま一足で加速する

『……はあああ、良かった。ゲート練習全然してなかったからゲートだけが心配だったんスよね』
「彼女は胆力もあるし反応もいいからな。スタートの良さは間違いなく才能だよ
しかし――良い加速をしてる。」
ミホノブルボンは残り2人をどんどん引き離していく。まるで全力で短距離走を走るように。
「500Mとはいえ坂路だぞ。 ジュニア級であのペースで保つ訳が」
『いやあ、良いペースだ。 それで良いぞブルボン』

ベテラントレーナーが飯塚トレーナーの方を向く。 もはや飯塚トレーナーはベテラントレーナーにではなく。 キラキラした目でコースを見つめていた。

『よおし、行けブルボン――常識をぶちのめせ!』
115 : トレーナー君   2025/04/18 06:06:38 ID:45NzUEcmiU
300Mを超える頃には観客席がざわついていた。
二人をぶっちぎり圧倒的なペースで走るミホノブルボンにトレーナーも、記者たちも注目した。
スパートをかけたような序盤のスピードから一切落ちない。もっとも心肺に、脚に負担がかかってスピードが落ちるであろう坂路の直線をその最高速でかけていく

――おい、あれ誰だ?
――本当にジュニアかあれ
――このタイムって…シニアじゃないの?

「――飯塚さん、何をしたんです。」
『なんにも……ただあいつは頑張っただけですよ。
スパルタなハードトレーニングを黙ってずっとしたんです。』

残り100Mの白い標識で
――ミホノブルボンは更に加速し、スパートをかけた
どよめく観客。 ストップウォッチを握りしめる飯塚トレーナー

ミホノブルボンという、並の短距離ウマ娘が出した記録は
29秒9という学園のレコードタイムだった。
500M坂路という場で、シニアも含めた学園すべてのウマ娘の頂点のタイムを出したのだ。

――見たか? おいおいおいおい見たか見たか見たか?
――アレがミホノブルボンだ、見たかあの走りを?
――最高だろ! あんな走りが出来るウマ娘なんかいやしねえぞ!
――ブルボン、あいつは最高のウマ娘だ!

観客席で子どものように歓喜し叫び周囲のトレーナーに抱きつく飯塚トレーナー
その姿が記者によって写真を公に公開されるのはブルボンのメイクデビュー前週の話になる。
116 : ダンナ   2025/04/18 06:26:06 ID:45NzUEcmiU
『お疲れ、ちゃんとクールダウンしたか?』
「戻りましたマスター。クールダウンはいつも通りの時間行いました。
各部位異常なし、心拍、体調すべてオールグリーンです」

トレーナー室、ミホノブルボンはゴール後会心の走りができた実感から、すぐにトレーナーのいる観客席に向かってきて

『あほかっ! さっさとクールダウンしてストレッチしてシャワーだ!』

と、トレーナーに怒鳴られた。
耳がぺたんとなるほど落ち込みながらクールダウンを終え、シャワーに向かおうとした時。 ベテラントレーナーに声をかけられた
ベテラントレーナーは、ミホノブルボンに一言だけ
――応援してるよ、君の三冠挑戦を
とだけ言って、踵を返した。

『よし、模擬レースおつかれさん。 ちょっとそこに立て』
「はい、マスター」

ミホノブルボンがトレーナーの前に立つ。 すると
がばっと、情熱的に抱きしめられた。 トレーナーはバンバンバンバンとミホノブルボンの背中を何回も叩きながら

『よーしよしよし、よくやったよくやった! 29秒9だってよ!
お前本当によくやった!学園レコードだぞ学園レコード!』
「……はい」

口調も、態度も子どものように、嬉しさを爆発させたようにミホノブルボンを強く抱きしめて背を叩き後ろから頭を撫で回す。 ミホノブルボンの髪型が崩れてもお構いなしだ。

「今日はスタートもよく、ペースも完璧な運びでした。 結果:よくやった という事になります」
『ばか、そうじゃないだろそうじゃないだろ』

ブルボンの言葉を否定しつつも、トレーナーはハグをやめずブルボンの頭を撫で回す。 それがブルボンにとってはとても心地よく、髪の毛が乱れることなんかどうでもよかった。
ずっと撫でてもらいたいしずっと褒めていて欲しい。
きっと自分が今日頑張ったのはこの為だったのだろうと思えるぐらいに嬉しいし、幸せだった
117 : アンタ   2025/04/18 07:18:14 ID:45NzUEcmiU
『お前が学園レコードを出したのはな、今日頑張ったからじゃなくて今日までずっとずっと頑張ってきたからだ。
だからお前は本当によくやったんだよ。 見たか? トレーナーや記者たちのあの顔。 お前はこれから学園で一番注目されるウマ娘だ』

――マスターは
――自分が頑張るとこんなに喜んでくれる。 褒めてくれる
――三冠ウマ娘になるとかなれないかじゃなく、自分の努力をこんなにも全身で喜んで、褒めてくれる。
――それがたまらなく、嬉しい

『っと、すまんすまんちょっと頭なでくりまわし過ぎた。髪の毛ぐちゃぐちゃになっちまった』

トレーナーは我にかえってブルボンから一歩離れる。
するとブルボンはいつもの感情を出さない表情のまま一歩前に寄り、トレーナーと同じぐらいの身長のまま顔を近づける。

「マスター」
『な、なんだよ』
「要望:おかわり を希望します。 もっとハグをしてもっと頭を撫でる事を希望します」
『あー……』

今日は確かに頑張った。 そのぐらいはしてやっても全然いい。
しかしさっきまでの自分の感情に任せたものと違ってこうして冷静でいるときにハグをしたりしてると、やはりミホノブルボンが女の子であることを意識してしまう。
おそらくは香水や制汗剤でおしゃれをするようなタイプではない。
しかし距離がちかいと、こう――少女がもつ甘くて頭が幸せにとろけるような匂いがするのだ。

「マスター。 私は頑張りました。 よくやりました。」
『う"っ……』
「マスター」
『わかった、わかったわかったわかった』
118 : アネゴ   2025/04/18 07:27:32 ID:45NzUEcmiU
ぱああああ

ミホノブルボンは嬉しそうな雰囲気で両手を広げる
はあ、とため息をついてトレーナーはミホノブルボンをぎゅうっとハグして、頭をポンポンと撫でてやる。
長くて綺麗な尻尾がぱたぱたぱたと揺れてる。 よほど嬉しいのか止まる気配もない

――うっわー、すっげー甘くていい匂い

ミホノブルボンは担当ウマ娘であり邪な感情や劣情を抱いてはいけない対象だ
それでも、鼻腔から脳に直接くるような甘い匂いは心地いい
色々と、間違いを犯して担当と永遠を刻んでしまうトレーナーが毎年現れる気持ちが少しわかる気がする
きっと彼らも理性を鋼のように固く抗ってはいたのだろう

「マスター、私はマスターにハグをされるのが好きです」
『……おう』
「マスターは、イヤですか? 私とハグをするのが」

ミホノブルボンが両手でぎゅっとトレーナーを包むようにハグをしてくる

「私はマスターとこうしているのがとても好きです」
119 : トレーナー君   2025/04/18 07:36:25 ID:45NzUEcmiU
『嫌、じゃない』
「じゃあ、もっとハグをしましょう」

ミホノブルボンは更に身体を密着させる。 大きく柔らかい胸が強くあたってたわみ、太ももが互いに絡み合うような格好

『――はいストップ! おしまいだ!』
「マスター」
『そんな顔してもだめだ。 ほらソコソファに座れ』


ソファに座るブルボンの対面に座って
『お前は三冠ウマ娘になりたい。そのためには俺の指導と大坂路が絶対に必要だ』
「はい、マスター」
『つまり俺達はトレーナーと担当という関係をずっと維持しなきゃいけない。 ソレ以上踏み込んだ関係になってはいけないということだ。
万が一ソレ以上の関係になったのが外部にバレたら俺はクビ確定。 そうじゃなくても担当契約は学園で解除されるだろう』
「……」
『わかるな? お前が俺のことを好きだと言ってくれるのはまあ……嬉しいは嬉しいんだが、それを受け入れるつもりは一切ない。
お前の夢を叶えるための担当契約を破棄する状況はあってはならない。

…………わかるな?』

ミホノブルボンは、しゅんとしたような雰囲気でこくりと頷いた
120 : アナタ   2025/04/18 07:42:51 ID:45NzUEcmiU
――危なかった
あのまま身体を絡め合っていたら本当に間違いが起きていたかもしれない
心臓がまるで心臓破りの坂を走ったようにバクバクしてる
こんな美少女がいい匂いさせながら抱きついてπだ太ももだ密着させるのだから頭壊れてしまう。

「……あの、マスター」
『なんだ』
「わかりました。 過度なスキンシップは禁止だとメモリーに記憶させます
ですが、一つだけ教えて下さい」

「もし、私とマスターが担当契約関係のない状況であれば、マスターは私をうけいれてくれますか?」
『知らん、それなら俺はお前の魅力に気づけてない。お前の走りをみてもいない。
美少女でめちゃスタイルの良い女だとは思うが接点がない』

こう答えるのが精一杯だった。
そりゃこんな美少女が年齢的な問題もトレウマ関係でもなく言い寄ってきたら間違いなく付き合うし結婚したい。しかもミホノブルボンは性格も良い子だ。
多少世間とズレてる部分はあるがわがままであったりとか他人に悪意をむけるような子ではない。
それに、こんな腰が細くてπが大きい子は正直めちゃ好みだ
だが――だからこそ間違いはあってはいけない。
多少冷たい言葉を使ってでも距離感を保たねばいけない
121 : アネゴ   2025/04/18 07:47:30 ID:45NzUEcmiU
『まあ、ツキナミな言葉だが』

手を伸ばして、ソファに座るブルボンの頭を撫でる

『お前が学園を卒業して大人になって
それでも俺のことを今みたいに思ってくれてたら、その時はそれはそれでデートとかしような』

妥当な逃げ口上だが、実際こんな好みの美少女と付き合えるなら付き合いたいものだ。 そこは嘘ではない。

ブルボンは耳をピンっと立ててコクコク頷く。
ふう、と安堵のため息を胸の中でついてから

――立ち上がって近くで見下ろすミホノブルボンを見上げる事になる
122 : トレーナーちゃん   2025/04/18 07:56:15 ID:45NzUEcmiU
「マスター」
『……なんスか?ミホノブルボンさん』
「私の頑張りに、努力に、マスターはいっぱい褒めてハグをして、頭を撫でてくれました。 それは"担当契約"の範囲なので問題ありません」
『………そっスねそのぐらいは大っぴらに見られなければ問題ないと思いますよミホノブルボンさん。』
「では」

「今度はマスターの"頑張り"に私が感謝を伝えるべきだと判断しました」
「ミッション:マスターをハグ&なでなでを開始します」

『………はい?』
「これは男女の行う行動ではなくあくまで担当トレウマのスキンシップです。問題ありません、さあマスター立ってください。
立たないと私がソファでマスターを抱きしめることになります。」

トレーナーは素直に立ち上がった。
その後ミホノブルボンのハグ攻勢を――マスターは耐えた。
甘い匂いと柔らかな感触で間違いを起こしてしまいそうになったが――耐えた
123 : トレーナーちゃん   2025/04/18 07:56:30 ID:45NzUEcmiU
4話おしまい。
5話明日以降
124 : お姉さま   2025/04/18 08:26:23 ID:7B3IeuRaaA
あまあああああい!!!(井戸田)
125 : トレーナーさま   2025/04/18 17:37:13 ID:6bUpmEOfC6
『メイクデビュー決まったぞ、9月1週の土曜日。 開催は中京 距離は1000Mだ』

トレーナー室
書類を片手で、パンパンと音を鳴らしてブルボンの視線を誘う。
追い切り――というわけではないが全開の模擬レースを見るにミホノブルボンの能力はもうメイクデビューに十分すぎるだろう、9月予定ではあったが予想以上の仕上がりに安堵していた。

「了解しました。 1000Mというのはなにか理由があるのでしょうか?」
『ある。 お前は3冠のためにもっと長い距離を走りたいと思うか?』
「肯定しますマスター、今の自分がもっと長い距離のレースに耐えれるかテストしたい気持ちはあります」
『じゃあ先にそっちの回答だけしてやる。 今のお前は3000Mどころか2000Mの皐月賞も距離的には耐えられん。 試す必要すらない』

トレーナーはばっさりと言い切った。ミホノブルボンは表情を変えない。
変えないが――尻尾が垂れ耳がへにょっと下がったのを見るに少々落ち込んだらしい。 ミホノブルボンというウマ娘は感情が表情にでないだけで内部ではとても感情豊かなのだろう。 最近は耳や尻尾、雰囲気でその機微を感じられるようになってきた。
126 : お兄さま   2025/04/18 17:38:08 ID:6bUpmEOfC6
『そもそも今からあと1年以上ある菊花賞もそうだが短距離ウマ娘がそんな数ヶ月で3冠を穫れるほどのスタミナを得るというのは不可能だ。だからお前が弱いとか努力不足という話じゃない。
むしろトレセンの坂路500Mで30秒を切ったという現実を誇れ。お前は今でもスタミナは足りないが最強に一歩も二歩も踏み込んでる。
お前はめちゃくちゃ頑張ったしつよい。 ずっといっしょにいた俺が保証してやる。
ミホノブルボン、肯定か否定かで答えろ。 俺はウマ娘にきやすめで慰めるために誇大的な評価をする男か?』
「っ! 否定します。 マスターは事実のみで評価をします。」
『そうだ、俺はお前が三冠を穫るために気休めは言わない。 黒を白とも言わない。
そんな俺がお前は強いと言ってるんだ。 十分頑張ってるぞ』

ぱあああ
――あ、立ち直った。
このミホノブルボン、無感情どころか表情がマスクデータなだけで非常に単純で感情がこうしてすぐ明るくなる。基本的に犬のような性格だ
あまり浮かれたり調子に乗ってケガややけどをするタイプでもないので常時褒めちぎってる。

名前 (空白でランダム表示)
画像 ※JPEG/PNG/GIFのみ。最大サイズ合計: 8MB



画像は3650日で自動削除する
キャラを複数結合する他所様の便利なツールはコチラ
コメント スレをTOPへ (age)

※コメントは15行まで
※画像などのアップロードの近道 : http://imgur.com/
※コメント書き込みの前に利用規約をご確認下さい。

- WebPatio -