うまぴょいチャンネル
>
ウマ娘BBS
▲
|
全部
|
前100
|
次100
|
▼
SS:はっ、必死に努力し続けたら誰でも三冠ウマ娘になれるってか?
1 :
お前
2025/04/12 04:23:15
ID:P/2vHxlbPE
・独自解釈独自設定を含みます。おおらかな人だけどうぞ
・細かい部分が気になる方はこの先はご覧にならない事をお勧めします
彼はそう笑った
傑作だというように、私を嘲るように
そして続けた
――そんなんでなれるわけねえのは、お前が一番分かってンじゃねえのか?
――ココの連中はみんなみーんな、お前のいう一生懸命な努力をずぅっとずぅっと続けてるぜ?
――で、その結果そいつらはG1はもちろん、メイクデビューも未勝利戦も勝てねえのが半数ってとこだ、そいつらは一生懸命努力してなかったのか?
彼は睨むように、でもまっすぐに私を見ていた
私は答えた
「それでも――私は三冠ウマ娘になります」
127 :
大将
2025/04/18 17:48:58
ID:6bUpmEOfC6
『で、メイクデビューが決まったから今後の目標を立てていく。』
ホワイトボードに黒ペンでカキカキと描いていく
メイクデビュー
1600Mのレース
朝日杯FS
皐月賞
日本ダービー
(長期休養+合宿)
菊花賞トライアル
菊花賞
『描いてみると予想以上にシンプルだな。』
「……」
『どうしたブルボン。レース数が少なくて不服か?』
「いいえ、マスター。 ステータス:感慨深い です
こうして作戦会議をしてると、私は本当に三冠に挑戦するのだなと」
『確かに……お前はここのレースを全部勝つのが目標だからな。』
『んで、この全体の目標と、お前の心肺……要は「スタミナ」の目標を同期する』
「同期」
『お前のスタミナ、心肺はまだまだ足りない。 しかしクラシックは2000M・2400M・3000Mと伸びていく。 朝日杯も含めれば1600Mから3000Mまで順番にやってくるわけだ。
なら、朝日杯までに1600Mを全力で走りきれるスタミナを、皐月賞までに2000Mを、2400はダービーまでにトレーニングで身につける。それでいい。
最終的にこの坂路トレーニングでしっかり3000Mまでを走りきれる心肺をもって菊花賞に望む。
だからメイクデビューはあえて1000Mにした。 この時点で長い距離を走る必要なんかない。どうせここでスタミナが足りないとわかっていてもやることは…』
「坂路を今まで通り走ること、でしょうか」
128 :
トレーナーさま
2025/04/18 17:52:44
ID:6bUpmEOfC6
『そうだ。 どの道脚への負担や菊花賞までの持続的なトレーニングを考えたら一回二回、坂路を5回に増やしても意味がない。 結局スタミナ足りないと思いますだろうとなんだろうと結果今までの坂路4本をひたすら繰り返すほかない』
「……あの、マスター……質問と提案が同時なのですが」
『珍しいな、お前がそうして聞くのは。 なんだなんだ』
「私はこうして4本の大坂路トレーニングをしています。 現状トレーニング進捗は順調。 ――ならば、5本目に挑戦するのは」
『絶対やらん』
冷たく、厳しい口調だった。 ミホノブルボンが、言葉を飲み込むほどに
129 :
トレーナーちゃん
2025/04/18 17:57:21
ID:6bUpmEOfC6
『模擬レースの坂路あったな? あれは直線が500Mちょい。変則なコースで直線がな長いが、一周が約800Mだ。
一応はそんな大坂路より傾斜がゆるい800Mの坂路も一部の重賞勝利者などが使ってる。
そこで問題だ――シニアのG1級のウマ娘たちがやってるその坂路、1日何本してると思う?』
「……あの坂路は傾斜がかなり抑えられてます。 シニアのG1級であれば5本以上は」
『2本だ。 3本以上やるトレーナーを俺は見てない。』
「……」
『お前は、あんな坂道じゃなく"壁"のような大坂路を1日で4本やってる。
お前のやってる事はお前が思ってるより限界ギリッギリをやってんだよ。』
130 :
お姉ちゃん
2025/04/18 18:04:16
ID:6bUpmEOfC6
『重賞級、G1を勝利してる、させてるウマ娘とその実績をもつ実力派たちがあの坂路で2本。 かたや俺達は大坂路で4本……正直いつお前が故障しても"当たり前の事"でしかないんだ。』
「すいませんでした、マスター……私は、もっと、もっと頑張りたくなって」
『あー……うーん……』
ものすごく落ち込んでるミホノブルボン。 表情は相変わらず無表情だが、耳がこれ以上なく垂れ落ちてる。 質問と要望――それは三冠を穫るため、ではなく
『なあ、ブルボン――お前が5本にしたかったのは、もしかして……俺のためか?』
「……はい。 すいませんでしたマスター。
マスターは私が頑張れば頑張るほど、褒めてくれます。 いっぱい、褒めてくれます。 だから、私はもっと頑張ろうと思いました。 もっとミホノブルボンは頑張れるんだと、マスターに……思って欲しかったんです。」
『馬鹿だな、ブルボン』
トレーナーはソファに座るミホノブルボンに近寄って片膝をついて、ぎゅっと抱きしめる
『お前は毎日毎日、すっげえ頑張ってるよ。 こんなに頑張れるやついないって。
俺はいつもそう思ってる。 だからこれ以上とか考えるな……俺にとってお前は世界一頑張って努力してるウマ娘だよ』
「……はい、マスター」
131 :
キミ
2025/04/18 18:09:05
ID:6bUpmEOfC6
『……と、まあ話が脱線しちまったが。
メイクデビューは正直ぱぱっと踏み台にしたい。 ここで楽勝するのが前提のルートだ。 一番短い1000Mで疲労を貯めずレースというのを体感してこい』
タンタン、とペンでホワイトボードを叩いてから
『で、ミホノブルボン。お前の作戦は『逃げ』一本で行く。 お前の体内時計なら同じペースで走りきって勝つという紛れがないレースが可能だ。
全レースそのハイペースかつ同一のラップを刻んで勝つのがお前のスタイルになる。』
「はい、マスター」
『今回の想定タイムは59秒。 100Mあたり5.9秒だが、できるか? 6秒よりコンマ1速いペース』
「可能です。 私の体内時計はコンマ2桁まで可能です。」
『……いやほんとそれなんで? 普通は1秒誤差でも59秒数えるのきついよ?』
132 :
トレぴっぴ
2025/04/18 18:14:27
ID:6bUpmEOfC6
「私は……ロボットですから」
『……ブルボンロボ、発進!』
「了解しましたマスター・ミホノブルボン、発進します」
ロボットのような起き上がり方でソファから立ち、パントマイムのような動きをする。 ミホノブルボンも多少はノリがいい。
『あっはっは、ああそうだ。 万が一出遅れたら……まあ適当にいけ』
「オーダーに不明な単語を感知しました。 適当、とは」
『いや前に適当についてけ。 ほんと雰囲気でいい、焦って逃げようとすんな。
いいか? お前のその体内時計は最強の武器だが、お前の脚はソレ以上だ。 だからついて行って最後の直線がみえたらスパートして全部抜け。』
「オーダー、承認。出遅れた際には作戦名:適当について行って全部抜けに変更します」
『まあ、そもそも出遅れないのが一番だが――とはいえゲート練習も殆どできないからな。 ここまでやってもギリッギリなのが現状だ』
133 :
モルモット君
2025/04/18 19:48:50
ID:6bUpmEOfC6
ニシノフラワーさんの協力を頂いて、お父さんに電話をした
「お父さん――メイクデビューが決まりました」
――そうか、精一杯頑張りなさい。お前は、頑張れる子だからね
「承知しました、頑張って来ます」
――さっきもね、飯塚トレーナーから連絡があったよ。 律儀にね、レースまでのスケジュールもLaneで見せてもらったよ。
「マスターは優しいです。 お父さんにもちゃんと連絡をしてくれるなんて」
――ブルボン、もしかして飯塚トレーナーが私に毎日Laneをくれてるのを、知らないのかい?
「……毎日、ですか?」
――ああ、毎日、ブルボンはは先日なにをどのくらい食べたとか、今日のタイムはどのくらいだったとか、特に3本目、4本目と増えたときには事細かく報告をくれてね
――父親として心配するだろうと、毎日食欲が落ちてない事や脚に異常がない事を必ず1行だけでも連絡をくれてたよ
――娘さんの脚をこのような形で頂く以上、貴方の心配を減らす手段がこれぐらいしかおもいつかない、と言っていた。
――ああ、29秒9の…坂路の学園レコードを出した時は、凄く嬉しそうに電話をくれたよ。あんなに子どものように喜んでくれるトレーナーはそうそうはいない
――ブルボン、本当に良い"マスター"に巡り会えたね。 頑張りなさい
――私はいつでも応援してるよ
少しだけ他愛のない会話をして、通話を切って
「ミホノブルボンさんのマスターさんは、すっごく優しい人なんですね」
134 :
お姉ちゃん
2025/04/18 19:54:51
ID:6bUpmEOfC6
「フラワーさん……はい、マスターは口こそ乱暴ですが、とても優しいです。
私がミッションをコンプリートすると、かならずいっぱい褒めてくれます。
毎日、長時間マッサージをしてくれます。 マスターの腕がどんなに疲れても、握力がなくなっても、ずっとしてくれます。」
「……私、ブルボンさんがマスターさんと契約をしてから、ずっとずっと、よくない噂を聞いてました。 ブルボンさんのマスターさんは……とても怖い人だって」
「肯定します。 マスターは口調も強く、相手を緊張させる事があります
――ですが、"壊し屋"ではありません。 ウマ娘が壊れるのを誰よりも嫌う人です。」
「はい、ブルボンさんはマスターさんと出会って、契約してから毎日がとても楽しそうです。 部屋に戻ったらマスターさんの話をいつもしてくれます」
「ステータス:不安を確認。 もしかして、ご迷惑だったでしょうか?」
「とんでもありませんむしろばっちこいです!!」
135 :
ダンナ
2025/04/18 20:00:23
ID:6bUpmEOfC6
「だって、ミホノブルボンさんのマスターさんってすっごく可愛いじゃないですか! こう、ガキ大将の男の子!って感じで!
私のトレーナーさんは少しおとなしめの男の子って感じでとっても可愛いんですけど、ブルボンさんのマスターさんみたいな男の子もいいなって思うんです」
「同調します。マスターは――可愛いです。 隠しステータス:萌えが止まりません」
「ですよね、可愛いですよね。 あんな可愛いトレーナーとハグ出来るなんて私もブルボンさんもそれだけでダッシュ3本は出来ちゃいます!」
「いいえ、私は坂路4本はイケます。その先に、マスターのハグがまってますから。」
「あーわかります。でもこっちからハグするとちょっと蕩けちゃうんですよね、きゃー可愛い~♪」
「あの、ブルボンさん。 次のメイクデビューで勝ったら、特別なご褒美をおねだりしてはどうですか?」
「特別な
ご褒美」
136 :
あなた
2025/04/18 20:05:09
ID:6bUpmEOfC6
「はい、 ハグ以上のご褒美です。 デートでも――キスでも」
「………キス」
「さすがにキスは拒否されるかもしれませんが、デートならってなるかもしれません。 メイクデビューの結果次第ではもしかしたら、その場の勢いでキスとか
――っきゃーブルボンさん大胆です♪」
ほっぺに手を当てて身悶えてるニシノフラワー
想像をしたのかオーバーヒートして宇宙ブルボンのままフリーズしてるミホノブルボン
栗東寮は平和である
137 :
貴方
2025/04/18 20:13:28
ID:6bUpmEOfC6
『よし――調子は?』
「ステータス:絶好調 万全です」
『作戦は?』
「ミッションはスタートから100Mラップ5.9秒 59秒以内にゴール」
『よし、十分だ。 緊張してるか?』
「ほのかな高揚は確認されますが、手足の痙攣や行動を阻害されるようなステータスはありません」
『じゃあ、勝つのは?』
「ミホノブルボンです」
『よおし勝ってこい』
パンッと体操服姿のミホノブルボンの背中を叩く。
その手に押され、ミホノブルボンはパドックに向かった
138 :
マスター
2025/04/18 20:28:20
ID:6bUpmEOfC6
――ぶっちぎりの1番人気ですね、飯塚さん
『あ、どうも。 まあ雑誌の記事でデカデカとでちゃいましたからね。』
競馬場にトレーナー専用ルームがあるわけではない。しかし、観客席と控室直通の通路がある席ぐらいは用意されてる。
当然そこにはライバルたちのトレーナーもあつまるわけで
レース当日のミホノブルボンはぶっちぎりの1番人気。 投票者のなんと6割近い得票を得ていることになるほどだ。
――今日は楽勝ですか?
『はは、メイクデビューを黙って勝たせるようなトレーニングはしてないでしょう?』
たぬきとキツネのばかしあいはゴメンだ。もうすぐ始まるレースの手の内を隠す必要もない
ただ
『まあ――正直圧勝するペースは想定してます。』
――ペースっていうと、ブルボンは逃げ想定ですか。ああ、こりゃ奇遇ですね
――うちのホーエーマーチもね逃げなんですが、こいつが凄くてね、ありゃ才能ってやつだ。
(逃げかぶりか。 それでもブルボンのスタートと加速についていける奴はいないと思うが)
――まあ、レースが始まるし、見てみましょうや
だあんという大きなゲートの開く音、その音と同時に飛び出す影がある
まさにロケットスタートというにふさわしいとんでもないスタートだ。 ソレと同時に一気に加速する黒い影
『うわ、えっぐいスタートしたなブルボン。 うちのブルボンはスタートはよくて……いやまてアレ黒くね?』
――うちの子ですねえ……マーチはほんとスタートは才能だ。
『えげつないロケットスタートだったな………で、ブルボンは――出遅れて最下位…え、マジ?』
139 :
トレーナー君
2025/04/18 20:35:47
ID:6bUpmEOfC6
数度のスタート練習以来のゲート
本当のレースのゲートは予想以上に狭かった。 初めて入るそこに緊張の空気がつつまれる。
初めてのメイクデビュー、初レース
緊張するウマ娘たちの空気が伝染し、ゲートすべてを満たすような重い空気になる
ただ一人を除いては
――勝ったら、デート
――勝ったら、キス
――勝ったら、一晩なでなで
気を抜いていたわけではない。いや嘘である本人はそういうかもしれないが完全に上の空であった。
妄想で恥ずかしがるマスターを抱き寄せ、頬に手を当てこっちをむかせる
そして、ゆっくりと顔を近づけて
――ゲートが開いた
「……」
一歩の出遅れが致命的、結果ミホノブルボンはとんでもない出遅れスタート
ゲートを出た瞬間、周囲を壁に囲まれた
他のウマ娘がコースラインを確保するために争っていて先頭が見えない
ペースは、先頭までの距離は
そう、計算しようとして――頭の中に声が響いた
――適当に行け
「……承知しました、作戦――適当についていきます」
140 :
トレーナー
2025/04/18 20:42:44
ID:6bUpmEOfC6
『出遅れて完全に前ブロックで、最後方集団か』
――1000Mだが、大丈夫かい? おたくのブルボン
『さあね、それよりマーチちゃん良い逃げっぷりじゃん』
――あの子は先頭を気持ちよく走れれば、最後まで粘るよ。今日はもらったかもねえ
ぐんぐんと加速し気持ちよく逃げるホウエイマーチ。
1000Mという短さもあって、焦って追いすがる他のウマ娘たちを、マーチのトレーナーが目を細めて見ていた
――ありゃあだめだ、ペースもへったくれもない。 焦って追っても、スパートできやしないね。
――おたくのブルボンは、まだこないね。
『ああ、…出遅れたら適当についてくだけでいい、って言ったからな』
――ふうん、賢い子じゃないか。メイクデビューでここまで我慢できるとはね
『とはいえ、そろそろじゃねえの……ブルボンさん? おーい』
――やれやれ、ウマ娘よりトレーナーがあせってどうするんだい
141 :
トレぴっぴ
2025/04/18 20:49:15
ID:6bUpmEOfC6
(ゆっくりとてきとうに――ついていく。 そして、直線がみえたら――)
第三コーナーからその先のコーナーが消える。
第四コーナーに入った証拠だ。 この先が直線である
(ギアチェンジ――モード、スパートに変更)
――あんな後ろじゃ、流石に届かないんじゃない?
『……そっすね、内側は全部埋まってるし、よし……外に出た』
――いくら中京の直線が長いからと言って流石に無理だよ、マーチの勝ちだ
『すんません、ちょっとあいつは、違うんスよ』
――んん?なにが?
『――脚が、っすかね――まあ、見ましょうや』
142 :
トレ公
2025/04/18 20:56:29
ID:6bUpmEOfC6
コーナーが終わった。でも前が塞がれてる
前が見えるとこに――外に膨らんで、前が開けた
――お前の脚は、最強だ
この脚は――父と、マスターが造ってくれました。
スパート
コーナーでは窮屈そうだったミホノブルボンが直線にはいるころには絶望的な差になっていた。 誰もが出遅れのせいでミホノブルボンは沈んだと思っていた。
だが、彼女は外側に進路をかえ、直線が開けた瞬間
とんでもない豪脚で先頭に迫っていく
――おおっと外からミホノブルボン
――とてつもない勢いで上がっていく、差を詰める差を詰めるこのまま先頭になる勢い。しかしホウエイマーチも粘る
脚が軽い、身体が軽い――もう一つ、ギアを上げれそうだ。
ホウエイマーチは最初のペースが嘘のように粘り、最後の踏ん張りを見せる
残り200Mでまだホウエイマーチは先頭を守り
しかし、残り100Mでさらに加速したミホノブルボンが彼女を抜き去った。
143 :
貴方
2025/04/18 21:01:02
ID:6bUpmEOfC6
――ミホノブルボンは、逃げだって言ってたじゃないか……あれじゃまるで
『……ほんとですよ。 俺は逃げ指示しかしてない。 万が一出遅れて前がつまってたら――適当について行って直線で勝負しろ、って言っただけです』
――めちゃくちゃが、すぎるじゃないか……あんなにも、出遅れて
――それで、コースレコードなんて
身体は軽かった
万全の状態だった、出遅れはしたけど脚はいつもより軽かった
フットワークも軽くて、すっと外に出れた。
疲労なんかなかった――マスターがいつもこの脚を大事にしてくれたから
だから、何も考えずに全力ではしったら、いけるかなって
自分の脚が、自分の脚じゃないみたいに地面を蹴って――自分はどこまでも早くとんでいけるって思えた
144 :
アンタ
2025/04/18 21:05:10
ID:6bUpmEOfC6
「………」
『よ、出遅れ逃げウマ娘』
「マスター、申し訳ありません。 作戦名:59秒 を失敗しました」
『どうでもいい、どうでもいい。 ライブの前に脚、見せろ』
今までになく真剣な面持ちで控室で脚をマッサージするトレーナー
『正直に答えろ――出遅れは、脚の不調が原因か? それとも何か体調不良か?』
「…………」
『ミスならミスでいい、だがお前がそういうくっだらないミスをするタイプじゃないのは知ってる。足の痛みとか、ないだろうな?
いいか、朝日杯を蹴っても皐月賞には間に合う。 もし脚になにかあるなら正直に言え』
「ステータス:罪悪感 罪悪感罪悪感」
145 :
トレぴ
2025/04/18 21:12:33
ID:6bUpmEOfC6
―――こんの阿呆がっ!ポンコツロボットがあっ!!!
今までにない特大のカミナリが、ライブを終えたミホノブルボンに落ちる。
罪悪感から正直にトレーナーに出遅れの理由を言ってしまったのだ。
シミュレーション:デートとキスに没頭した結果ゲートが開いた、と。
あんなにも脚を心配していたトレーナーはにこにこ顔で「まずはライブに行ってきなさいミホノブルボンさん」と背中を押され
ライブを終えて帰ってきたら容赦なく怒鳴られた
『お前俺言ったよなあ? トレウマの関係を続けて3冠を穫るのが目標だって
それを終えて、お前が大人になって、もしお前の気持ちがかわらんかったらって。
そーれーなーのーにー?
お前はメイクデビュー戦のゲートでぼんやりデートの妄想してましたってか!
あほかっ! お前のメモリーDMM製かFANZA版か!』
ばんばんばんばんと、革張りのソファより高いベッドのような寝台を叩いて
『まあいい、しょうがねえ。勝ったんだしこれ以上は言わない。はよここにうつ伏せになれ』
「マスター?」
『マッサージだよ、マッサージ。 はよ疲労ぬくぞ』
146 :
トレぴっぴ
2025/04/18 21:19:52
ID:6bUpmEOfC6
ぎゅ、ぎゅっ
脚をマッサージする、台座が沈む音が響く。
『ブルボン、お前自分のタイム確認したか?』
「……はい、58秒1でした」
『中京のジュニアコースレコードだってよ、毎回お前はレコードだしてくな』
「……しかし、私はマスターの指示を」
『勝てばなんでもいい、正直ぼんやりしてようがあっぱらぱーしてようが勝てるかどうかだ。 そういう意味じゃコースレコード出して勝ってるんだからいいんだよ。』
ぽんぽん、とうつ伏せのままのミホノブルボンの頭を撫でて
『お説教はさっきまで、だ。 よく頑張ったな、ブルボン』
「マスター、私は頑張りました」
『そうだな。 よくやったブルボン、偉いぞ』
「コースレコードも出しました。マスターの造ってくれたこの脚で、一つレースをかてました」
『そうだな、俺も嬉しいよ。 ありがとなブルボン』
「出遅れの原因は私にあるので、キスは要望できませんがデートと1日ハグはできますか?」
『ミホノブルボンさん? お前本当に反省してる??』
147 :
モルモット君
2025/04/18 21:25:31
ID:6bUpmEOfC6
結局のところ
デートというか食事を奢るぐらいはしてもいいだろうと言うことで妥協した
しかしブルボンはそれを固辞。
――マスターとの1日ハグチケットを要望します
と、いうことでレースの休養期間にトレーナーの部屋にブルボンを入れる約束をした。 おうちデートである
🌻「ブルボンさん、ついに大人の階段を登るのですか?」
「はい、おうちデートでずっとハグをしてもらいます」
🌻「ついにキスまでしちゃうんですか? しちゃうんですか? きゃーブルボンさん大胆ですよぅ♪」
「キスは拒否されました、私の出遅れもありそれはこれ以上強要はできません」
🌻「それは残念です、でもまたの機会に」
「しかし」
「マスターは私のハグを、甘くていい匂いがして、幸せ。と形容しました
デバフ:恍惚状態であれば……勢いで間違いが起こる可能性はあります」
🌻「――っきゃー♪ブルボンさん! デート応援してますね」
『……うう、なんだ今の悪寒。』
148 :
トレーナー
2025/04/18 21:26:24
ID:6bUpmEOfC6
5話おしまい
149 :
アンタ
2025/04/18 21:54:48
ID:q9JTyUS3lc
ここのフラワー面白くてすこ
150 :
アンタ
2025/04/19 08:50:10
ID:cExjvntY26
『あの、ミホノブルボンさん?』
「はい、マスター」
『たしかにね、今日はお前のメイクデビューレコード勝利のご褒美に俺んち……つつってもトレーナー寮のアパートだけどさ、そこで過ごすって約束をしたよ?』
「マスター、修正をお願いします。おうちデートです、デート。」
『いいや違うよ? アイ・アムトレーナー・ユーイズ担当ウマ娘だよ?』
「ユーアーですマスター、担当関係であっても男女が一緒に過ごすのをデートというのは何ら問題がありません」
『わざと言ってるんだよ生々しいから――まあ、ハグというのも納得はしてるよ? うんうん勝ったから俺んちでハグね。でもさ』
『――でもなんで俺がお前にハグされてんの?逆でしょ??』
「マスターは"トレ吸い"というのをご存知でしょうか?」
『知りませんねミホノブルボンさん、俺は真っ当な底辺トレーナーなもんでね』
「トレーナー成分であるトレニウムを摂取することでウマ娘の精神の安定ややる気向上によるトレーニング効率の上昇が認められてます」
『なにそれ怖い、トレニウムってなんだ』
「トレニウムはトレーナーとのスキンスップやハグ、キスなどで摂取可能です。
濃厚な接触であればあるほど多くのとレニウムを摂取可能です」
『だからそういう生々しい単語やめてよお』
151 :
トレーナーさん
2025/04/19 09:22:43
ID:cExjvntY26
「マスター」
『なんですかミホノブルボンさん。キスとかは禁止ッスよ』
「そこです、マスター。」
「私はトレセン学園に入学する時、お父さ――父から何度も何度も繰り返し注意されました。」
――男というのは自分の欲求で時には女性を不幸にしてしまう
――そこにブレーキをつけていてもそれは容易く外れてしまう。
――悪い男もいる、そして悪くないはずの男もいとも容易く間違いを犯してしまう。
――だから、男女関係には十分気をつけなさい
『うんうん間違ってないですね、特に悪い男じゃなくても間違いを犯してしまうとかマジでブルボンのお父上はとても素晴らしい教育をされてると思いますよミホノブルボンさん。』
「ですがマスターはいつも欲情に耐えています。」
『そりゃそうだ、耐えなきゃ今言った間違いを犯してしまうからな』
「節度をもった関係を維持すればいいのではないでしょうか?」
『あー……うーん』
ミホノブルボンはカーペットの上にあぐらを崩したように脚を前に出して腰をおろして
トレーナーはブルボンを背にして脚の間、脚の中に座ってる。
ブルボンが後ろから好きなだけハグできる格好だ
152 :
トレぴ
2025/04/19 09:31:07
ID:cExjvntY26
『まあ、結構色んなとこで大事な話だな……
例えばブルボン―――お前今後俺とのハグ禁止、1ヶ月に1回だけにしましょうってなったら――うわおっ?』
ミホノブルボンが後ろからがばっとトレーナーに抱きつく。身体を密着させトレーナーの肩におでこをスリスリしながら
「拒否します――抗議します。拒否します。 そのオーダーは受け入れられません。
むしろ1日1時間はハグをすべきです。
禁止になったら私はマスタニウム欠乏症で死んでしまうかもしれません」
柔らかいものが背中にあたってる。
ものすっごい甘い匂いが鼻腔をくすぐる
正直ずっとこうしていたい欲求にかられる
『落ち着けブルボン、例え話だから一応今は禁止にしないから落ち着け
と、まあ自分がしたい事を取り上げられるのは嫌だし耐えられないわけだ。
これは色んな事に当てはまる。
おやつ、間食、ダイエット
勉強、ゲーム、宿題
不純異性交遊、スキャンダル、行き過ぎた欲求
もっともっといえばドーピング、ドラッグなど明らかに禁止行為、法に違反する行為にも及ぶ。』
「……」
『でだ、お前俺と出会う前までハグなんかしてたのか? 男と』
「いえ、してません。」
『うんうんそうだな、じゃあその間耐えきれなかったのか?』
「……いえ」
『ハグっていうものを知ったからハグをしたい。
こういうのは一回やったらずっとずっとそれをしたくなるんだよ。
だからみんな最初の一回をしないようにする。 悪事も、薬物も、借金とか散在とかギャンブルもそうだ。』
153 :
トレピッピ
2025/04/19 09:38:18
ID:cExjvntY26
『もちろん、恋愛やその延長、愛を確かめ合う行為なんかは犯罪でもなんでもない。悪いこっちゃねえが、俺等の場合担当契約ってものがある。
万が一露呈すれば、間違いなく俺は学園にいられない。 お前は三冠を穫れない。
バレなくても――そっちばっか気になって考えてトレーニングに集中できないなら絶対にあってはならないんだ
――あっるぇー?ところで前のレコードを出したレース、なんで出遅れたんですっけえ? ミホノブルボンさぁん?』
「それは……その……」
『お父さんもいってるだろ? ――善い人でも間違いは犯す。
俺が良い奴悪い奴はさておいて、一回そういう経験をしたら次も、次もとなる。
俺だって彼女いない歴年齢だよ? お前みたいなのが彼女になってそういうコトしたら、そりゃ人生の歯車狂うかもしれない。
だからシない。
お前が気をつけるだとか、トレーニングを疎かにしなくても俺が間違いを犯すかもしれない。 』
「………マスター」
『なんだ?』
「危険性について承知しました。 ですが、マスターに一つだけ確認を」
――私はマスターにとって魅力的に見えますか?
――その、そのような対象に、見えますか?
154 :
お姉さま
2025/04/19 09:49:58
ID:cExjvntY26
『………』
背中からハグをされてるので、トレーナーの顔はミホノブルボンには見えない。
しばしの時間、ゆっくりとトレーナーは口を開く
『そりゃあね、お前はめちゃくちゃ美人だしめっちゃスタイルもいいよ』
「マスター、スタイルがいいとは」
『……そ、そ、そりゃあね、その』
「???」
『だあああ、もういい、おっπがでっかいとか太ももが綺麗とか腰がめっちゃ細いとかそういう身体つきの方! やめてよお社会的な立場のある成人男性に少女が言わせる話じゃないよお勘弁してよお』
「……マスターは、私の身体でそのような欲求を感じるということでしょうか?」
『はいそうです、俺って男は教え子の身体にそういう欲求を感じる男なんです!
わかったらはよハグやめて離れなさい、気持ち悪いだろトレーナーが教え子をそんな目で見てるってのは』
半分以上ヤケクソだ。とはいえあまりに距離が近すぎて支障が出るのならば、このように幻滅させるほうがお互いのためであろう。
155 :
マスター
2025/04/19 09:56:55
ID:cExjvntY26
「マスター、マスターは大きな認識のエラーを抱えています。」
ミホノブルボンはぎゅうっとトレーナーに抱きつきながら言葉を続ける
「男性が女性にそのようないやらしい視線を送るのは汚らわしい事、気持ち悪いことであるという一般常識はたしかにあります。
そこに間違いはありません。社会的同義、道徳観念からしてそのような視線や欲情を表に出すべきではないというのは正当性があります」
「ですが、それは男性だけの問題ではありません。女性も男性にそのようないかがわしい欲求と視線を送っています」
ミホノブルボンのプロフィールは体重や管理のために一応はスリーサイズも含め把握している。
しかしミホノブルボンは腰周りもかなり細く、肩、肋骨周りも他より細めだ。
つまり――B90に至らずともその膨らみは正直B90ステークスに出走してると言って良いのである
そんな双丘を押し当てられ、愛する担当に抱かれているのに――なぜかトレーナーの背に、ぞくっという悪寒が走った
「具体的にに言えば――トレセン学園の生徒の方が、男性――主にトレーナーにえげつない妄想と欲望の眼差しとそのような会話がされます」
156 :
使い魔
2025/04/19 10:04:34
ID:cExjvntY26
――はーなの♡しょうがないの脱げなのブチ犯す♡
――産むから
――トレーナーさんってマゾですよね♡
――12人は産むのよね♡アンタがパパになるのよね♡
――おしるこ!
――お兄ちゃんこの下着履こうね
『やめてやめてやめてもう聞きたくないやめて』
「女子高生や性自認をした女子中学生はこのような話題で盛り上がる事があります。 勿論このような会話――俗的な擁護で猥談とよばれる会話を嫌う生徒もいますがそれはむしろ少数派であり、法的規制のかからない少女漫画などでは実際にそのような行為が規制にふれないよう、描かれています」
『やーーーめーーーてーーー』
「たとえば同室のニシノフラワーさんですが、トレーナーと恋愛的関係になっているというのは生徒内で認知されてます。」
『やめて、ほんとやめて聞きたくないそんななってはいけない周知の事実聞きたくないのやめて』
「ニシノフラワーさんのトレーナーは世間一般の評価でいうと『とてもかわいい』という評価です。 女性だけではなく多くの男性ファンもいるそうです」
『生々しい話やめようよお!ミホノブルボンさん!?』
「そこで私達は寮室でこのような妄想での会話をします」
――ニシトレxマスターのBLがあったら絶対売れるよね
『うわあああああああああああああ』
157 :
トレーナーさん
2025/04/19 10:11:05
ID:cExjvntY26
「マスター、理解して頂けましたか?
トレーナーたちが教え子をそんな目で見てはいけないと思っているその時間、ウマ娘はトレーナーたちを"そういう目"でみています。」
『知りたくなかった……知りたくなかったよお……しくしく』
「もちろん、誰しもが自分が好きな相手以外にそのような視線を送られることは嫌います。しかし私はマスターにそのように見られるというのは――とても嬉しいです。 もちろん私もマスターの事をそういう目で見ます。
そしてニシノフラワーさんとそのような会話をします。」
『やだー、俺等の知らないとこで俺等を汚さないでよお!』
「大丈夫です。 マスターにそのような目でみられるのは、状況:ばっちこい です」
ミホノブルボンが満足し、ツヤッツヤの表情で帰っていった。
その夜のトレーナーは、ベッドの上で横たわり時々枕を涙で濡らした
勿論あのあとミホノブルボンとなにかしたわけではない。
『ああ、汚された。ってこういう気持ちなんだ――』
ベッドの上でトレーナーはそんな事を考えていた
158 :
トレぴ
2025/04/19 10:26:48
ID:cExjvntY26
――ミホノブルボンの勝負服が届いたらしい
トレーナー室に運ばれる2つの大きな箱。縦長で簡易的なキャスターがついてておそらくはハンガーに吊るされた状態での納品なのだろう
『…………2つ?』
「はい、2着お願いしました」
『ああ、予備みたいな?』
「否定します。別デザインのものを2着用意しました。」
『ああ、気分で使い分けるようなもんか。 最近は勝負服複数登録オッケーになったんだっけ』
「2着をまったくの別コンセプトで発注しました。 これがプランΒです」
『β? メイド服じゃん、とはいってもチョコレート色なのはちょっとめずらしいな』
ヒラヒラしたチョコレート色に白のフリルがたくさん。
胸元とエプロンの下部には大きなピンクのジュエル――
「マスター、いかがでしょうか?」
隣の空室を更衣室にして勝負服に着替えたミホノブルボンが入ってくる。
歩くたびに胸元のフリルと宝石が揺れている。 スカートもふわりと広がってかわいらしい。
『いっすね、めちゃくちゃ可愛いぞブルボン。 メイドカフェとかのモデルさんみたいだ。』
「ありがとうございますマスター。
ところで――これはマスターの好みでしょうか?」
『……はい?いや、可愛いと思うぞお世辞抜きで』
「違います。 マスターの趣味嗜好に沿うかどうかの話です」
『…………ノーコメントです。』
「マスター」
『はいおしまい、試着おしまいでーす』
「マスター」
159 :
アナタ
2025/04/19 10:53:10
ID:cExjvntY26
『…………』
「こちらがプランα、 本来注文していたデザインです。
いかがでしょうかマスター、機能美とロボットをイメージしたデザインです」
『ロボ? 水着衣装ってやつじゃないのソレ。そもそもその腰のはどうやって浮いてるの?』
「わかりません、しかし電子機械であれば私が触れると故障しますがこれは故障しません。 ですのでこれは機械ではないと判断します。」
『…そッスか。 で――本来って?』
「はい。 今着ている勝負服が本来予定していた勝負服でした。 ですがある時思ったのです」
――マスターはメイド萌えなのではないかと
『…………はい?』
160 :
あなた
2025/04/19 15:12:37
ID:cExjvntY26
――服装にも幾多の趣味があります。
チアリーダー・メイド服・水着もワンピース、ビキニなど
「つまり――勝負服をマスターの好みに合わせればマスターに喜んでいただけると判断しプランβを準備しました。」
『………お、おう……まずは朝日杯目指して頑張ろうな』
「マスター、どちらの勝負服が好みか、ご指示を」
『ねえやめてよおなんで教え子に俺の性癖言わなあかんのよお』
161 :
トレピッピ
2025/04/19 15:40:30
ID:w9JBfR9oug
「マスターはメイド萌だったのですね」
『いいえ違いますよミホノブルボンさん。 俺はふわふわだったりサラサラな生地がすきなだけですよブルボンさん。
正直萌え萌えキュンとかピンとこねーもん』
「ではメイドカフェには」
『行ったことはございません。
そういやブルボンが好きな男の衣装とかってあるの? こういうコスプレみたいな話ってあんまし女性がキャーキャーいうイメージないんだけど』
「それはマスターにどんなコスプレをしてほしいかという事でしょうか?」
『いや着ないけどね?』
「作務衣とか浴衣が、好きです。」
『あー、まあなんとなく分からんでもない。』
「あとは、マワシでしょうか」
『……相撲の?』
「肯定です。 そしてニシノフラワーさんのトレーナーと相撲を」
『しないよ?』
162 :
トレ公
2025/04/19 16:13:41
ID:w9JBfR9oug
「マスターとカフェに行けるのは嬉しいです。
マスター、ここはトレセン学園。 合法的に担当ウマ娘にサンドイッチをあーんできる場所です」
『しませんよミホノブルボンさん――あ、ニシトレ先輩。ちっす』
🌻「あーあ」
「出会ってしまいました」
『こんにちはニシノフラワーさん、ミホノブルボンさんがいつもおせわになってるようで』
「マスター、口調が違います。」『わざとに決まってんだろ要らん事ブルボンに教えやがって』
🌻「こんにちはブルボンさん、ブルトレさん。 一緒に食べませんか」
『ん、いいかブルボン』「喜んで」
163 :
相棒
2025/04/19 16:23:03
ID:w9JBfR9oug
🌻「ここはクラブハウスサンドが美味しいんですよ。はいトレーナーさん、あーんしてくださいね」
――いや、フラワー今は
『……大丈夫です先輩俺は何もみてないっす』
🌻「……トレーナーさん?」
(びく)――は、はい(もぐもぐ)
🌻「うふふ、可愛いです♪」
『……うっわあ、俺は見てないしこの記憶は消去するけどうっわあ』
「マスター、私もマスターにあーんしたいです、特別ミッション:あーんを希望します」
『しませんよミホノブルボンさん。
てかアレだよ、普通はこういうのって男が女の子にサラダとかつまんで食べさせてあげるもんなんじゃないのか?』
🌻「うーん、そういう方も居ますが結局はスキンシップなので、どっちでも良いと思いますよ、それに――私はトレーナーさんをお世話するのも大好きです♪
こうしてカフェっていう色んな方がいるところであーんをすると――こう――トレーナーさんのリアクションが可愛らしくて♪」
『こわっ』
「マスター、あーんを希望します。マスター、マスター」
164 :
アナタ
2025/04/19 16:33:10
ID:w9JBfR9oug
『トレーニングのコツ、スか? ……うーん………』
🌻トレ「うんうん、ブルトレくんって今すっごい注目されてるんだよね。
坂路でメイクデビュー前の子が学園レコードタイムだしたり、デビュー戦も電撃的な追い込みでジュニアのコースレコード。 坂路調教っていう新境地を開いた新鋭って言われてるよ」
『俺全然新鋭じゃないじゃないスか、もう4年目っすよ、ただの底辺トレーナーです。 俺じゃなくてミホノブルボンが凄いんじゃないんですかね。』
🌻「そんな事ぜったいないですよ、いつも寮室でブルボンさんはマスターさんの話ばっかりしてます。 マスターさんと契約してからブルボンさんはいつもこう、エネルギーに満ちてるっていうか、なんかこう……雰囲気がちがうんです」
『あっはっは、ありがとなニシノフラワー。でもま、俺は坂路のトレーニングプランを出してるだけでトレーニングを全部こなすブルボンが凄いんですよ。』
「いいえ、マスターはいつも私のメンタル面、脚のケアを欠かしません。 トレーニング後にはいつも1時間以上丁寧に脚をマッサージしてくださいます。 その後はかならずハグの時間を儲けてくれます。
私は常時、ステータス:やる気超絶好調 です」
🌻「きゃー♪ハグなんて大胆です♪」🌻トレ「君も担当と…」
『いやまってあと先輩なんスか、"も"ってなんスか』
165 :
トレ公
2025/04/19 16:45:54
ID:w9JBfR9oug
『まって、ニシノフラワーって飛び級でしたよね? ニシトレさん…………』
🌻トレ「聞こえません 聞こえないんです。ただただ、ボクはフラワーが一番大事なウマ娘というだけです……。」
🌻「きゃっ♪ 嬉しいですトレーナーさん♪」
『………間違いが起きちゃったかあ……』
「マスター、間違いは起きます。 しかしその結果幸せになれるきっかけかもしれません。」
『あーんしてあげるから勘弁してよお』
「パアアアア」
166 :
お姉ちゃん
2025/04/19 16:51:15
ID:w9JBfR9oug
『いやまあ、実際のとこブルボンがこんなに強くなったのはブルボンの才能だと思いますよ、ブルボンはとにかく胃腸が強くて――大坂路4本こんだけしててもメシが食える、これはデカいと思います。』
🌻「ああ、トレーニングが激しいと結構食欲落ちちゃいますよね」
「??? そうなのですか?」
🌻トレ「うんうん、身体が資本のウマ娘ってトレーニング後にご飯いっぱい食べれるのは大きいよねえ」
『良いかブルボン、普通はな、ハードなトレーニングをしてバテバテの時は食欲おちたり肉肉しいモノや脂っこいものはちょっと困るんだ。 でもお前は食える、それだけ強くなれるんだ、良いことだぞ』
「マスターが食べさせてくれるなら、もっと私は食べれます」
🌻「ああ、それいいですね♪ トレーナーさん、もっとご飯食べて成長できるように、私にもあーんしてください」
🌻トレ「まってまってここじゃアレだから二人きりのときに」
167 :
アナタ
2025/04/19 17:29:36
ID:w9JBfR9oug
「では、私達は午後の授業へ向かいます」
🌻「また一緒にお昼しましょうね、マスターさん」
『ニシノフラワー、いい子ですね。 飛び級ってことはまだ年齢的には初等部でしょ? できた子だなあ』
🌻トレ「うんうん。まだ身体がしっかりしないのが悩みだけど、才能はすごいし優しくてすっごくいい子。」
『……可愛いし?』
🌻トレ「う"っ、それは、その、あの……まあ実際困るよね、あの子はまだ年齢的には中等部未満だけど、結構積極的でね。 恋に恋する乙女って感じなんだろうけど、最近は距離間近くてね。 くっつくぐらい隣に座ったり、ハグを求められるんだ」
――あれ? 俺ハグしてるけど俺って実は結構ヤバい事シてる?
168 :
トレ公
2025/04/19 17:45:28
ID:w9JBfR9oug
『メイクデビューは出遅れ最後尾――1勝クラスでダッシュつかず2番手か」
「申し訳ありません、マスター……」
『あーいやあまりいいこっちゃないが悪いことばかりでもない。
なあ、前に言った"まぎれのない"レースの勝ち方の話、覚えてるか?』
トレーナー室でのミーティング。 互いに向き合う形でソファに座り、いくつかの資料を右手にトレーナーがミホノブルボンに向き合う。
『有力なウマ娘が負ける――いわゆる波乱や番狂わせの原因の主なものは、掛かり――まあペース配分の問題だな。 それにブロック――バ群、集団に阻まれて抜けない。垂れたウマ娘に押しつぶされる。
スパートのタイミングや調子の良し悪しはまああるが、"勝てるはず"だったウマ娘が負けることは実は結構多いんだ』
特に集団に囲まれたまま視野を保てずスパートのタイミングが遅れて届かない事は多い。 単純にブロックされて前にいけないだけの問題ではない。
『あとは、そのバ群にツッコんでいける思い切りの良さ、恐怖心の克服。 斜行、進路妨害、タックルでペナルティをうけるかどうかの判断。 まあいろいろとめんどくさい。
その点、逃げでハナをとればこの問題はすべて解決する。 なにせバ群もクソもないからな。一番前だし。最も合理的な作戦は逃げだ。』
『しかし――逃げを作戦で選ぶことは実際多くない。 事実差しや好意差しのほうが有利に働くのがレースだ。
これだけのデメリットを抱えても、2番手、3番手、あるいは中団の方が勝率が高い、作戦として選ばれやすいのはなぜかわかるか?』
「……はい、マスター。 ペースメーカーとして利用されるからです」
169 :
使い魔
2025/04/19 17:49:28
ID:w9JBfR9oug
『そうだ。 逃げウマは先頭にたってレースを引っ張る。 ペースもすべて自分が決めることになる。
強いウマ娘が逃げればそれはもっとはっきりする。 なにせそいつをゴール前で抜けば勝ちってシンプルな話になるからな。
ついて行って直線で抜く。 これが今のレースでシンプルに勝ちやすい。』
「メイクデビューの時のように、ですか。」
『そうだ、出遅れようと最後尾だろうと最後に1番を抜いて1番になれば勝ちだ。
ホウエイマーチのスタートは芸術的なモノだったし、序盤の展開は完璧だった。
普通なら、あのままゴールして、レコードタイム。
だが、あのレースの1着はブルボンだしレコードタイムもお前のものだ。』
170 :
トレーナーちゃん
2025/04/19 17:58:36
ID:w9JBfR9oug
『まあ、そもそも逃げに必要なのはスピードと、それをどれだけ持続出来るかだから、脚、というか筋肉の質の適正もある。 直線でキレのある、電光石火の脚。これは爆発力があるが長く続かない。
最近のウマ娘でいうとダイイチルビーがそうだな。 爆発的な豪脚を持ってるが最初は逃げ、先行路線でスピードを活かそうとして燻ってた。
たしかどっかのレースでとんでもない出遅れをして、あの豪脚に偶然気づいたんだっけな。
勿論逆もありうる。 キレる脚や豪脚はないが、持続的なスピードや性格的に前にいって好き勝手走ったほうが強いってやつもいる。』
「作戦というのは個人個人だけでも大きく変わるのですね」
『ま、適正はあるからな。 それで、ミホノブルボン。 お前の適正だが』
「はい、マスター」
『基本的には逃げだ、お前のそのスピードと心肺もそうだが、その体内時計は確実に武器になる。 徹底して同じラップを刻んで走れるのは最も効率的な走り方だからな。 勝てるペースできっちり走って最後の直線しっかり頑張る。
これだけで皐月賞もダービーも菊花賞も勝てる』
「…………」
『なんだ、ブルボン。 いつものパアアアって表情じゃなくなんか複雑なあれだが』
「……マスター。 ステータス:感慨です。私のデータにない感情です。」
171 :
大将
2025/04/19 18:06:13
ID:w9JBfR9oug
「私は、"短距離"の"並"なウマ娘で
三冠は不可能だと、短距離路線に進むべきだと。 実際、それは正しい選択で。」
『……そうだな』
「ですが、マスターとトレーニングをしてると思うんです
私は、本当に三冠に挑戦できるんだなと。G1に出れる、ではなく、三冠を獲りにいけるのだなと。
――ありがとうございます、マスター。 私の心臓を、脚を、こんなにも強くしてくれて」
『……ブルボン、お前は最初からすごいウマ娘だよ。』
トレーナーは手を伸ばし、ブルボンの頭をぽんぽんと頭を撫でる。
『言ったろ、メイクデビュー前じゃあの大坂路は登れないって。お前はそれを登りきったんだ。 それに遊びたい盛りの高等部で、ずっとずっとトレーニングばかりだ。 でもお前はいつも真剣にトレーニングを続けた。
お前の根性と頑張りはトレセン学園全部見たって誰もマネできやしないよ
競争能力が並でも、お前はすごいウマ娘だったんだよ』
「……マスター」
172 :
お兄ちゃん
2025/04/19 18:13:38
ID:w9JBfR9oug
「マスター、もう少しだけ……頭を撫でていてくれませんか?」
『……いいぞ。 お前は頑張った。 いっぱいいっぱいいつも頑張ってるすごい奴だ』
トレーナーは優しくミホノブルボンの頭を撫でて、労う。
マッサージを毎日していると、ミホノブルボンの疲労の蓄積がわかる。 毎日マッサージで抜いても、ミホノブルボンが睡眠時間をしっかりとっても、疲労がどんどん溜まっていっている。
――とはいえ、朝日杯は1600M 皐月賞は2000M、これを走り切る心肺と競争能力を手に入れるためにも坂路4本をやめるわけにはいかない。
脚の爆弾が大きくなっているのも、毎日のトレーニングがどんどんつらくなっているのも、きっとブルボン自身が一番わかってる。
ジュニア級でこれだ。 本数が増えなくても今後どんどん辛くなっていくだろう。
『……辛いか、ブルボン』
「はい――今までより、疲労が残る日が多いです。」
『そうだな、今後も辛いと思う。』
「ですが、三冠は穫れます。 私は、マスターを信じてます。
ですから
マスターも私の脚を信じてください。私は丈夫ですから」
『ああ、全くお前は凄いやつだ、偉いぞ、ブルボン』
わしゃわしゃと髪の毛が崩れるのを構わず撫で回す。 ミホノブルボンは気持ちよさそうにそれを受け入れていた
173 :
トレぴっぴ
2025/04/19 18:37:26
ID:w9JBfR9oug
――その、ホウエイマーチがまだ未勝利なんだよな
スタートのセンスも良かった。 序盤の展開も上手かった
ミホノブルボンが追った事で直線で全力以上のモノがでたとしても、ミホノブルボンが届かなければ彼女がレコードタイムだ。
そんな実力者がまだ未勝利である
『どうなってんだ今年のジュニアは。 こりゃ朝日杯も、クラシックもやべーのがそろいそうだ』
出走表明をしているのは京成杯ジュニアを勝利したヤマニンキセキ
京成杯ジュニアでは3着だがすぐ1400mの1勝クラスで大勝したエーピーターボ
府中ジュニアSで豪脚を発揮して乗り込んでくるマチカネタンホイザ
『エーピーターボちゃんがなあ……正直回避しねえかなあ』
エーピーターボがホウエイマーチ同様にスタートセンスがいい逃げだ。
ミホノブルボンには逃げ指示をするが、おそらくハナは譲ってもらえないだろう。最悪ハナの取り合いになる。 一定のペースとはいっても前に邪魔なウマ娘がいるか単騎でハナを走れるかは雲泥の差だ
恐らくエーピーターボ側も全く同じことを考えてるだろう。たとえミホノブルボンのほうが劣ってるウマ娘だったとしても、逃げがかぶるのは本当に勘弁だ
174 :
トレぴっぴ
2025/04/19 18:52:30
ID:w9JBfR9oug
「あれ、ブルトレ君じゃないか。」
『あ、どうもニシトレ先輩。 デイリー杯ジュニア優勝おめでとう御座います
札幌ジュニア、デイリージュニア、重賞2連勝。 阪神JF、最有力候補っすね』
「あはは、ありがと。 もともとマイル周りは自信あったんだけど、あの子はほんとすごいよ。 ボクなんかにはもったいないぐらいだ。」
『いやあ、真面目にニシノフラワーがティアラ路線で良かったって思ってますよ。 あの子と1600Mで競うなんてちょっとしたくないッスね』
あの小柄な身体で、とんでもない豪脚をもつニシノフラワーはある意味ミホノブルボンの天敵だ。
あの獲物に飛びかかるような末脚は、どのようなペース設定をしていいかわからなくなる。
「ありがと。 ところでブルボンさんのほうはどう?」
『あー、メンバーが強くて』
「うんうん……ああ、ヤマニンキセキさんにエーピーターボさん……あげくに後方からマチカネタンホイザさんかあ」
『くわしいっすね、この子らクラシック路線なのに』
「勿論だよ、彼女たちは素質に恵まれてるし、ティアラ路線でもトライアルでぶつかる可能性があったからね。」
『うーん、全然ゲートやスタートの練習してないんスよね。 本当はさせたいんスけど、スタート良くても"出ムチ"されてハナ取られるかもだし』
「エーピーターボさんがゲート上手なんだっけ?」
175 :
ダンナ
2025/04/19 18:58:21
ID:w9JBfR9oug
『ええ、正直ブルボンはマイペースに逃げてほしいんで。
――ただ、良かったですよ朝日杯で。』
「まあ、いい練習になるよね。 クラシックでいきなり前塞がれるよりは」
『いえ――ここで実力でぶっ潰せば、以後クラシックでハナの取り合いなんかしないでくれるなーって。 最悪、クラシック回避してくれるなーって』
「こわっ!? 怖いよブルトレ君!?」
『あっはっは、冗談スよ冗談。 レース決めるのは自由なんで。 一生に一度のクラシックですもんねあはは』
「目が笑ってないよ!?
――はあ、実際どうなの? みんな短距離路線、短距離路線、距離の壁。っていうでしょ?」
『あー、いつも言われますし記者からも言われますね。 まあ、そこらはアレっすよ』
『勝って黙っていただいて――距離の壁もミホノブルボンなら、って思っていただくってことで』
176 :
トレピッピ
2025/04/19 19:06:48
ID:w9JBfR9oug
『結構寒いな、しっかり身体あっためて行けブルボン』
「はい、マスター」
『どうだ、調子は』
「……」
『大丈夫か』
「……はい、大丈夫です。 ステータス:武者震い レースに支障はありません」
『よし、事前に言ったことだが、恐らくハナの奪い合いになる。
無理して付き合うことはない。譲ってしまって良い。 2番手でもペースを刻んで、その状況で垂れてきたら抜けばいい。 付き合うなよ』
「了解です、マスター」
「ミッション:朝日杯ジュニアに行ってまいります」
『おう、勝ってこいミホノブルボン』
177 :
トレ公
2025/04/19 19:13:35
ID:w9JBfR9oug
🌻「……勝てますか? ブルボンさん」
『ああ、勝つさ。お前だって勝ったんだ』
今やジュニアティアラ王者になったニシノフラワーとそのトレーナーと一緒にレースを見つめる。
支持率65%の圧倒的1番人気。 しかしその実は坂路の学園レコードとメイクデビューのレコードタイムをもつ2勝ウマ娘
ライバルは一流同士で勝利を収めたOP、重賞勝利者たちだ
🌻「ブルボンさんは逃げるんですか?」
『予定ではそうだが、他に逃げウマ娘もいる。 特にエーピーターボがそれをゆるさないだろ。 最初はハナを狙うが無理せず2番手3番手でもいい』
🌻トレ「……ブルトレ君、変わってないね。 その癖」
『え、なんスか?』
🌻トレ「レースの時の神様仏様ってやつ。 両手組んでお祈り」
トレーナーは無意識に両手を組んで、祈るような格好になっていた。
事実レース前にはいつも神様だか仏様だかに祈っている
――無事、レースを終えて帰ってきますように
178 :
トレピッピ
2025/04/19 19:18:55
ID:w9JBfR9oug
――これが――G1
観客席の声も、周囲の空気もはっきりと違う。
彼女たち全員が強い。勝ちたいという気持ちが空気を伝って肌に感じる。
頂点を決めるレース。 一生に一度の舞台
――これが、朝日杯ジュニアステークス
息を吸って、吐いて。
問題はない。 今日は偶数番号――奇数番号が入って、偶数番号が入ってからレースがはじまる。
1600M
それを走り切るだけのトレーニングをしてきた。
(マスター……証明します。
貴方と――貴方が造った大坂路は、貴方が造ったミホノブルボンは、最強だと)
ゆっくりとゲートに入り、準備を整えた。
――ゲートが開くと同時に、ミホノブルボンは会心のスタートを切る
179 :
トレーナー
2025/04/19 19:26:51
ID:w9JBfR9oug
🌻「一人、出遅れ!?」
『いや、別のだ! こっちのスタートは良い!』
🌻トレ「でもやっぱりエーピーターボが……いや、追走?」
『いやまてエーピーターボじゃなくてハナ塞いだのは誰だ』
――ハナはあげるよ、アタシはアンタの後ろで悠々ついてって最後に勝たせて貰う。
――せいぜいペースメーカー、ヨロシク♪
エーピーターボは、あっさりと前を譲り――しかし、ハナをきったのはミホノブルボンじゃなくマイケルアーサーだった
「きゃはははっ、今日はあたいが一番、いちばんいちばんいちばん☆
一番前をずーっとはしってればいっちばーん☆」
スタートからぐんぐん飛ばす。あっさりと先頭を奪って気持ちよく逃げる
「……オーダー通りです、マスター」
180 :
貴方
2025/04/19 19:36:58
ID:w9JBfR9oug
🌻トレ『うわあ、あの子、京成杯でエーピーターボに逃げまけてたのに、完全に開き直ってる』
🌻「あ、あのブルボンさん大丈夫です、大丈夫ですよね? 勝てますよね?」
『当たり前だ、あいつを誰だと思ってる。学園で最もスパルタに耐えたやつだぞ』
――お前には逃げを命令するが、お前は別に逃げ馬ってわけじゃない
――その体内時計を活かすための逃げだが、お前の脚は、お前の適性は
――長い脚で追える、スパートも可能な自在だ
後ろにべったりと張り付くエーピーターボ。 勿論スパートを同時にしかけて追い抜くつもりなのだろう。スピード勝負に絶対の自身があるようで
そしてその後方、逆からはゆっくりとヤマニンキセキがあがってくる。
京成杯ジュニア覇者は、ジュニアの段階で高いレースセンスをもっていた。 スパートではなくジリジリと上がっていき――3角4角で前にでるのであろう
そして――3コーナーに差し掛かった時、調子にノリすぎてすでに体力付きたマイケルアーサーが垂れ落ちてくる。
――モード、追い越し。ギアチェンジします
181 :
トレーナーさん
2025/04/19 19:41:22
ID:w9JBfR9oug
『アイツは素直な性格だからなのか、冷静だからなのか元からレースセンスがよくてね。 俺は一切ああいう捌き方を教えてない。 メイクデビューだって、前がふさがれてると思った瞬間、コーナーの勢いを利用して外に大きくステップできたやつだ。』
🌻「ええっ、でも垂れたマイケルさんをわかってたみたいにあっさりかわしてますよ、あんなのよほど練習しないと」
『多分、自分のペースが狂ってない絶対の自信があるからなんだろうな。
ペースが狂ってない自分と相手の距離が詰まるってことは――前のペースが落ちたから、スパートしながら抜いたんだろう』
🌻トレ「すごいよ……これならこのレース」
『……いや、どうやらもう一人の本命さんが起こしのようだ』
182 :
トレピッピ
2025/04/19 19:49:39
ID:w9JBfR9oug
垂れたマイケルアーサーを外に出てあっさりとかわすミホノブルボン
しかし同時に、その更に外から強襲する影があった
――ヤマニンミラクル、 京成杯ジュニア覇者
「負けません――ブルボンさん」
いつも過酷なトレーニングを積んできた。
期待をされそれに恥じないだけの努力はした
メイクデビューを圧勝した時はさすがだと持て囃され、しかし直後のGⅢでは1番人気だったのに4着
それだけで周囲の目は急に冷たく厳しくなった。
だけど――それでも腐らずに頑張って
頑張って、頑張って、努力して――OPから勝ち上がって京成杯ジュニアを獲ってきた
だから――勝ちたい、この朝日杯で勝ちたい。
ミホノブルボンには―――負けない。
「――ッ!!! 」
背後にとてつもないプレッシャーがのしかかる。スパートのためではなく、ヤマニンミラクルのプレッシャーに潰されたくなくて速度を上げたくなる。
それを――全力で耐えた。
自分はスパートをしない――直線までは
183 :
貴方
2025/04/19 19:54:31
ID:w9JBfR9oug
――スピードが早ければ早いほど大きな負担が脚にかかる
――同時に、コーナーってのは遠心力やソレに耐えるために斜めになった身体、脚が蹴る力が偏ってどうしても軸足――内ラチ側に妙な負荷がかかる
――外の蹴り足だってそうだ。 スピードをだしながらコーナーを回る力で地面を蹴ってるんだからな。
――だから、お前のスピードならコーナーで戦わなくて良い。 スパートするなら直線だ。
スパルタなトレーニング。 脚を壊す前提のようなトレーニング
だからこそマスターはいつもいつも脚を心配してくれる。
1時間以上のマッサージ、ハリが引かない時は2時間でも3時間でもしてくれる。
マスターは、私の三冠のために、私の脚を大事にしてくれる
――だから、私が無意味に、この脚に無駄な負担をかけるわけには行かない。
184 :
お姉ちゃん
2025/04/19 20:04:18
ID:w9JBfR9oug
🌻「ヤマニンキセキさんが!」
『大丈夫だ、大丈夫……あいつはまだ抑えてる』
🌻「抑えてるって――もう直線ですよ!?」
『アイツはお前ほどコーナー巧くねえんだ。 もう、直線なんじゃない――やっと直線がきたんだよ』
正面にみえた右手の内ラチが消える。
ミホノブルボンにとっては、それがGOサイン、外に並んで抜き去ろうとするヤマニンキセキの表情が変わる。
ーー負け、ません――ブルボンさん、貴方には!
「私も、負けません。 私の脚は、マスターが造ってくれたんです」
ヤマニンキセキが、強く強く芝を蹴る。
同時に、ミホノブルボンがスパートをする
――なんだあいつら……なんてスピード、次元が違う
――くそ、くそくそくそっ! アタシを無視すんなお前らッ!!!!
その後ろからエーピーターボが加速してくる。
しかし、その加速よりはるかに速く、ミホノブルボンとヤマニンキセキが競り合う
ミホノブルボンがたった一歩だけリード
勢いのあるヤマニンキセキがもう一歩加速した瞬間
――ッ!?
ミホノブルボンは同様に加速する。
たった一歩――それが足りない。届かない。
――負け、る。 いやだ、いやだ、負けたくない
――あんなに努力して頑張って、それでも負けるなんて嫌だ
――勝ちたい、勝ちたい、勝ちたい、勝ちたい
185 :
アネゴ
2025/04/19 20:13:06
ID:w9JBfR9oug
🌻トレ「また伸びてきた」
🌻「並ばれる、これじゃ」
『ブルボンッ、負けんなもう一歩ふみこめっ!!!』
――最後のひと伸びをしたヤマニンキセキは、ミホノブルボンを抜いた
――しかしそれは、ゴール板を超えた直後
――1着はミホノブルボン、ハナ差でヤマニンキセキ
――1着はミホノブルボン! ヤマニンミラクルわずか届かず
――朝日杯王者はミホノブルボンです!
実況の興奮した声。
ミホノブルボンに惜しみなく注がれる歓声
『勝ったか……勝ったんだよな?』
🌻「はい! ミホノブルボンさんやりましたよ!」
🌻トレ「ははは、実感、なくなるんだよねこの瞬間って」
『そっか、そっか……おおおっ、勝った、勝ったぞ!!よおおおおおおしっ!!
ブルボン、勝ったぞおおおおっ!』
🌻「あは、すっごい勢いで走っていっちゃいましたね」
🌻トレ「あの人、子供みたいで可愛いよね。 あんなに感情爆発させちゃって」
🌻「あはは♪」
186 :
キミ
2025/04/19 20:27:49
ID:w9JBfR9oug
ライブ準備のための控室で、ミホノブルボンがクールダウンをしていると
―――ブルボンッ!
勢いよくドアが開かれて、トレーナーが入ってくる。
そしてそのままミホノブルボンを抱きしめた。
ミホノブルボンは驚いたように棒立ちのまま熱い抱擁を受け止めている
「マスター……はい、マスター。 勝ちました
最初の重賞ミッション:朝日杯ジュニアをクリア、です。 マスター」
『ああ、よくやった。 ほんっとーによくやった。 っと、ああ、すまん。これからライブだな。』
くしゃりと頭を撫で回そうとして――手を止める。 まだライブが残ってる。髪型を崩すわけにも行かないだろう。
「いいえ、マスター。 あとで直しますので――撫でてください。
いつも以上に髪の毛がくずれるぐらい。 G1を勝ったのですから、いつもの何十倍も、ほめてください。」
トレーナーは言われた通り、頭をぐしゃぐしゃに撫で回す。
『ほんとすごいな、とうとうG1まで獲っちまって。 頑張った、頑張った頑張った、偉いぞブルボン。お前は自慢のウマ娘だ、ジュニア最強だぞジュニア最強
……ほんと、すごいな、努力と頑張りでG1獲っちまった』
足が壊れてもおかしくないスパルタトレーニング
故障をしてなくても辛いだろう、手を抜きたいだろう。
目標があっても、夢があっても――それを続けるのがどんなに辛いか
「みんな、努力をしてました。 勝ちたいと思ってました」
『……?』
「ゲートに入った時から、別世界でした。 みんなが勝つ気で、全力でくる空気をかんじました。
特に――ヤマニンキセキさんのプレッシャーは、最後の直線で、ずっとずっと――おしつぶされそうでした。 一歩間違えば」
――差し切られていた
187 :
トレーナーさま
2025/04/19 20:31:23
ID:w9JBfR9oug
ヤマニンキセキがそれだけの強さと、執念を持っていた。という話でもあり、今後はもっともっとそういったレースになっていく。
レースに多く出走して経験を積ませる事はできない。 スタミナを鍛えるためにもそんな余裕は一切ない。
『でもな、お前は勝ったんだ』
トレーナーは優しく、ミホノブルボンを撫でる。髪の毛をやさしく梳くように
『みんなみんな必死に努力して、実際一番努力したやつが勝つ世界ってわけでもない。 1着になれるのは一人だけで、もしかしたら2着以下の奴らには1着以上に人生かけて努力したやつもいるのかもしれない』
『それでも、勝ったのはお前だ。ミホノブルボン』
ぽんぽん、と背中を叩く。そっと身体を離して。
『脚は大丈夫だな?』
「はい、マスター」
『じゃあ、ライブ行って来い。 G1を勝ったさいっこーにキラキラしたウマ娘ってやつを見せてこい』
188 :
トレぴ
2025/04/19 20:38:03
ID:w9JBfR9oug
ライブ会場裏
🌻トレ「おめでとう、ブルトレ君」
『……あ、ども。 なんか実感ないもんスね』
🌻トレ「あはは、わかるわかる。 ボクも阪神JFを勝ったって自覚があまりないや」
『まあでも、勝ったんスね俺等。』
🌻トレ「そうだね。 あの子達がやってくれたよ」
『……いえーい☆』
🌻トレ「? あはは、いえーい☆」
こつん、と拳をぶつけ合う。
ライブは滞りなく終わって
ミホノブルボントレーナーは勝利者インタビューの会場に座っていた
――ミホノブルボンさんの適性はどう見ても短距離路線ですが、この先は短距離マイルで進むのでしょうか?
それとも皐月賞までは挑戦を視野にいれるのでしょうか?
(――ああ、この手の質問がくるよなあ……)
189 :
相棒
2025/04/19 20:44:46
ID:w9JBfR9oug
「否定します。 私の夢は三冠ウマ娘です。」
――えっと、それは
『あー、彼女はクラシック三冠が夢であり目標なのでクラシック路線に行きます。
NHKマイルなどの変則2冠などではなく王道3冠です』
――それは彼女の意思なのでしょうか? 彼女は短距離適正ですよ?
――せめてマイル路線などに進むべきではないでしょうか?
――今回の1600でもハナ差であり圧勝でなかったのは距離の限界だったのでは?
「否定します。 距離の限界はマスターがレースまでにスタミナを作り上げてくれます。」
――? マスターとは
『あーはいはいはいはい!
皆さんのお気持ちもお言葉も凄く理解できますしね、ご尤もな話ですよ
彼女の適性が短距離であるのもそのとおりです
ですが、彼女の夢は三冠ウマ娘なんでね。
きっと皆さん無理だ不可能だって言うと思いますよはい。
――でもさ、皆さんこういうの、大好きでしょ?』
――不可能を可能にするウマ娘って、ミホノブルボンはそういうウマ娘ですよ。
190 :
相棒
2025/04/19 20:51:32
ID:w9JBfR9oug
「マスター」「マスターさん♪」
G1勝利や今までの疲労を抜くことも踏まえ、少しの間だけ大坂路トレーニングをやめ休養期間ということにした。
そんな、冬休み前でありクリスマス前の冬
今年のジュニア最優秀ウマ娘は、特別に2人選出された
重賞3勝、うちG1:阪神JFを獲ったニシノフラワー
メイクデビューで中京の1000Mコースレコードを出し、朝日杯を獲ったミホノブルボン
東西最優秀ジュニアウマ娘として二人が決まったのだ。
🌻「それで、最優秀ウマ娘の表彰ついでにお祝いでトレーナーで集まって」
「酒の場でパーティー、その後むちウマ居酒屋、嬢バ倶楽部へ行ったという嫌疑がお二人にかかってます。」
『え、ああ……その』
🌻「私のトレーナーさんにはもう来てもらってますので」
「ご同行をお願いします、マスター」
――ウマミミにヒトミミは逆らえないのである
191 :
相棒
2025/04/19 21:05:38
ID:w9JBfR9oug
🌻「はい、トレーナーさん……こちらに座ってくださいね」
🌻トレ「はい」
🌻「ソファに座って良いとは言ってません♪ 正座です♪」
🌻トレ「…………はい」
「マスター」
『……はい、マスター正座します。』
マスターが何をしたというのか
単に最優秀ウマ娘ということでニシトレと飯塚トレーナーに学園から報奨金が出た。当然それを知った他トレーナーは祝勝会という名目で飲み会をしたくなるのだ。
なにせ報奨金、なにせ他人の金、なにせあぶく銭
マスターだってたまにはぱっと遊びたい
ニシトレは真面目だが周囲の押しに弱い
だからちょっとみんなで飲み歩いて、ちょっとだけお酌をしてくれる可愛いウマミミちゃんがいる店がいいと◯◯トレが言ってそういうお店にいっただけだ
🌻「ふむふむ、あは♪ 反省の色――ゼロですね」
🌻トレ「ひっ、ご、ご、ごめんフラワー! もうそういうお店行かないから!」
『いいや待ってくださいよ先輩。 俺等は悪いことをした覚えはねえ!』
「……マスター、嬢バ倶楽部というのはどういうお店なのかフラワーさんから聞きました。 浮気です」
『異議あり! そもそも俺らはちょっと露出の多いお姉ちゃんがお酌をしてくれるお店に行っただけで嬢バ倶楽部に行ったのは他トレーナーだ!俺は行ってないしニシトレ先輩はフラワーに悪いからって断ってるのを聞いている!』
🌻「まあ♪ 本当ですかトレーナーさん?」
🌻トレ「う、うん……」
🌻「でも、むちウマ居酒屋には行ったんですね?」
🌻トレ「ひっ」
『そもそも俺らは成人男性だしお前らと付き合ってるわけでも結婚してるわけでもな――いひゃいいひゃいひゃいちふぃれる!ちふぃれる!!!』
言葉の途中でミホノブルボンがマスターのほっぺたをつねって引っ張る。 ものすごくご立腹のようだ
192 :
トレーナー君
2025/04/19 21:13:46
ID:w9JBfR9oug
『なんでだよ不条理だろ、俺等はお前らに手を出したら犯罪なのに、合法のお姉ちゃんの店に行ったら犯罪者のように取り調べを受けるって、不条理だろっ』
🌻トレ「そうだよ、ボクだってそういうお店はあまり好きじゃないんだ。でもトレーナー同士の付き合いとか横のつながりってあるんだよ。」
🌻「トレーナーさん?」
🌻トレ「はい、今後断ります」
『よわっ!? 先輩相手小学生ッスよもうちょっとビシっと』
🌻「トレーナーさんをたぶらかさないでくださいマスターさん」
「私達ではだめなのに、接客業の女性に鼻の下をのばしていたというのが由々しき事なんです、マスター」
🌻「そんなにお酌がされたいのなら――私達がしてあげますね」
「マスターたちが望むのなら、お触りも問題ありません」
🌻「その時は一生分の責任をお支払いいただきますね」
出されるノンアル(どちらかといえば酒のフリをしたフェイクジュース)
寮室のそれぞれのベッドに座らされ、となりにぴったりと勝負服姿で寄り添うフラワーとブルボン。
「マスター、今日はバレンタイン衣装です。 どうぞ――ホットチョコレートです」
『………うす』
🌻「はい、トレーナーさん。おつまみ、お口あーんしてくださいね♪」
🌻トレ「…………やめようよおフラワー、ブルボンさんもブルトレ君も見てるよ」
193 :
お前
2025/04/19 21:17:29
ID:w9JBfR9oug
おめでとう飯塚トレーナー、おめでとうニシトレ
今夜は祝勝会だ
6話終わり
194 :
マスター
2025/04/19 21:34:10
ID:w9JBfR9oug
だそく
※今回の蛇足はパラレルであり本編とは別次元です
「マスター、質問があります。 ミッション:他愛のない雑談です」
『んー、なんだブルボン』
「学園には沢山の美少女がいます」
『そっすね。 ウマミミは美人多いよね、ブルボンも美少女だし。』
「ありがとうございますマスター。マスターの外見に限った好みは誰ですか?」
『……はい? それってブルボン以外の名前出したら俺のほっぺたちぎれたりしない? 絶対つねるでしょ君』
「つねりません。 私という選択肢がないときにマスターがどのような女性をピックアップガチャするのかという好奇心です」
『ガチャってなんスか』 「忘れてくださいマスター」
『見た目、見た目ねえ……アストンマーチャンとか?』
「――身長152cm 86-55-80、なるほど」
『ねえスリーサイズいうのやめようよ生々しいよブルボン』
「どのような部分がポイントですか?マスター」
『えーーーーー? うーん雰囲気とか垂れ目とかおっとりなトコとか、腰が細い、とか?』
「腰が細いのが好きなのですか、マスターは
私は86の54です、いかがですか」
『いやさっき自分は除外しろっていったじゃないの』
195 :
アンタ
2025/04/19 21:37:55
ID:w9JBfR9oug
「他にはどうですかマスター」
『んー、そっすね。 ……スーパークリークとか?』
「………………」
『? どしたん?』
「だめです、マスター。 クリークさんはだめです。」
『なんで、別にアプローチするわけでもないじゃん』
「彼女はだめです、私がマスターのお世話をするんです。
お世話されてはいけませんしでちゅねするなら私がマスターをでちゅねにします」
『ごめん何言ってるかわからん。いや実際背高いし、スタイルもいいしさ
――いふぁいいふぁいいふぁいいふぁい!!?』
196 :
貴方
2025/04/19 21:44:17
ID:w9JBfR9oug
だそくおわり
197 :
キミ
2025/04/20 20:59:03
ID:6FWg3.FBf6
『ブルボン、さんぽ行くぞ』
――マスターとおさんぽ。
――マスターは、いつも私の事を気遣ってくれて
――いつも、私に元気をくれて
――口は悪いけど、いつもいつも私を心配してくれる
――ちょっと子供っぽくて、でも、お父さんみたいに頼りがいがあって
――私は、マスターが大好きです
――今日は、どこに行きますか、マスター
――てきとう。 そうマスターは行って私の手を取って、一歩前を歩く
――河川敷を歩いて、他愛のない雑談をして
――私がハグを求めると、恥ずかしそうに拒否する
――そんな、いつもが、かけがえのない幸せ
――今日は、いつもと違う散歩道
――路地を抜けて、角を曲がって
――……なぜですか マスター?
――どうして? 私を…………騙したのですかマスター
――マスター、どうして、こんなところに
――――目白うまむす病院
『クラシックにもなったし、ちゃんと予防接種しないとな』
198 :
貴方
2025/04/20 21:03:54
ID:6FWg3.FBf6
「マスター…………マスターは散歩だと言いました」
『ああ、言ったな』
「予防接種だとは聞いてません」
『だってお前…というかお前ら予防接種って言ったら逃げるじゃん、ガチ逃げするウマ娘なんて捕まえられないだろ』
「騙したのですか、マスター」
『ああ いや高校生なんだから予防接種ぐらい受けろよ。 毎年毎年毎年この時期大戦争なんだぞ学園。 なんと国から特殊部隊も派遣されるようになりました。 恥じろ』
「……いやです。拒否します」
『はい、予防接種いこうねーいい子だからねー
いやーブルボンはいい子だから予防接種も頑張ってくれるんだろうなあ』
「マスター、マスター、マスター」
199 :
大将
2025/04/20 21:15:50
ID:6FWg3.FBf6
『てかお前どんだけ健康優良児なんだよ、病院つったら健康診断だとか脚の検査だとかあるだろうにまっさきに予防接種を思いつきやがって、まあ正しいんだけどさ』
中は阿鼻叫喚の地獄だった。
柱にしがみつくウマ娘、座ってはいるが一生ガタガタガタガタ震えてるウマ娘
トレーナーに全力で抱きついてトレーナーが泡ふいてるのもいる
『……おうちデート』
「………」
『これ終わったら門限まで俺の部屋来ていいから』
「……ハグは」
『いくらでもしていい』
「……オーダー、承認。 ミホノブルボン、耐えます」
『……はあ』
ハグが嫌なのではない。 実際のところめちゃくちゃ気持ちいいし甘い匂いするし許されるのであれば毎日どころか毎時間したい。
勿論ゆるされる事ではない、いつ間違いを犯すか起きるかわからない。
なので部屋に招くことは基本しないしハグだってトレーニング後にご褒美にするぐらいだ。
200 :
トレーナーさん
2025/04/20 21:23:31
ID:6FWg3.FBf6
――はっ! スカーレット、予防接種なんて余裕だろ。 俺は3本は打ってもらうぜ
――ばかねうぉっか、わたしは5本よ
『予防接種は数競うもんじゃねえよ……なんで予防接種だとみんなIQさがるんだ』
「あの、マスター」
『どうした』
「……カミナリと、注射は苦手です。 マスター」
『そっかそっか、頑張ろうなブルボン』
「あの、手を握っていてもいいでしょうか」
『先生ががいいよって言ってくれたらな』
『ほらブルボン、針じゃなく腕伸ばしたままこっちみろこっち。
はいもう終わるぞ―、ほらほら、よーしいい子だおわったぞー』
「あらー、ブルボンさんいい子でしたねえ。 トレーナーさんも助かります。 ウマミミの方は注射みると興奮しちゃって」
『よーし帰るぞブルボン。 帰りになんか食べてくか?』
201 :
アネゴ
2025/04/20 21:29:13
ID:6FWg3.FBf6
『なあ、ブルボン。 機嫌なおしてくれよー。なあブルボンってばさー』
「拒否します……マスターの声は聞こえません。 マスター」
『うわー、初めてブルボンが反抗期だ。
ん? ………こりゃ雨降るな』
「?」
『おいブルボン、雨降るからアパートまでのバス乗るぞ』
空はたしかに雲が多いが、雨が降りそうなほどではない。場所に寄っては日差しが落ちてくるぐらいだ。
しかし、アパートにつく頃には雨がふりはじめ、すぐに本降りになった
『あぶねーあぶねー、もうちょい遅れてたらずぶ濡れだったな。
まってろブルボン、紅茶いれるから』
「あの、マスター。 天気予報はくもりで降水確率は低かったのに、なんでにわか雨がくるとわかったのですか?」
『あー……俺以前、脚をケガしてさ。映画とか、漫画でよく言うだろ、雨の日は古傷がどうこうって。』
トレーナーはチノパンを履いた右足を軽くたたいて見せる。
202 :
大将
2025/04/20 21:33:54
ID:6FWg3.FBf6
『後ろから……こう、ハグすりゃいいのか』
「はい、お願いします。」
『よしよし、予防接種頑張った頑張った』
「……バッドステータスが、回復していきます。ステータス: ここちよい。です」
『そういやさ、俺ちょっと悩んでる事あるんスよ。ブルボンさん』
「マスターが悩みを」
『そうそう、なんつーのか……語彙力?』
「??? 語彙力、言葉や会話のバリエーション、でしょうか」
『そそ。 ほらさブルボンがこうして頑張った時、いつも褒めてるでしょ?』
「はい、マスターにハグされながら褒められるのは、グッドステータス:幸せ です」
『それなんだけど、いつも大体同じ事しか言わないじゃん?
頑張ったなーとか、偉いぞ―とかさ。 なんか聞いてて飽きたり、同じこといってんなこいつとか思ったりしない?』
203 :
トレ公
2025/04/20 21:39:59
ID:6FWg3.FBf6
「?? 私は十分幸せですが。 バリエーションが必要なのでしょうか?」
『なんか言ってて不安なんだよね、もっとなんか気の利いた事言えなきゃだめかなとか同じことばっかで薄っぺらく感じないかなとかさ』
「そんな事はありません。 私はマスターが褒めてくれるだけで幸せです。
もっと頑張ろうという思いが込み上げて体力値がいつも70回復します」
『100じゃないんだ』
「70が最高値です。 ですがキスをしてくれたら100回復するかもしれません。」
『しませんけどね……あ、光った』
「――ッ!?」
その瞬間、ミホノブルボンがトレーナーの腕にしがみつく。 一瞬の間があって、ゴロロロロと鳴るカミナリの音
「マスター、マスター……尻尾を取られてしまいます。マスター」
『あん? そういやさっき、カミナリ苦手だと言ってたな』
「お父さんが、お父さんが言ってました。 カミナリは、ウマ娘の尻尾をもっていってしまうと。 尻尾を、とられるのはイヤです。 マスター」
『あー……なるほど』
積極的にハグをしたり、キスをあんなにも求めたり、男に性癖聞いたりするわりにやはりちぐはぐなほどに子供っぽいところがある。
204 :
キミ
2025/04/20 21:44:57
ID:6FWg3.FBf6
『しょうがねえな、ほれ、大丈夫だブルボン、そんなガタガタ震えるな。
――ったく、ほら』
「あんッ …マスター?」
トレーナーはミホノブルボンの大きな尻尾に全身で抱きついた
『ほら、尻尾とられないように俺がこうして抱いといてやるから。 かみなりなんかにブルボンの尻尾はやらないぞ』
本気で怯えて震えるブルボンを安心させるために、両腕で抱き枕のように尻尾を抱く。
ブルボンは顔を赤くして俯いてから
「マスター――マスター」
振り向いたミホノブルボンは、がばっとトレーナーを押し倒す。
『ミホノ――ブルボンさん?』
「マスターが悪いんです、 尻尾を、あんなに、抱きつくなんて」
『まって、まってブルボン抱きつかないで顔に胸当てないでうわやわらかっすっげーいい匂いちょっとまって助けてまってまってまって』
205 :
お前
2025/04/20 21:48:15
ID:6FWg3.FBf6
🌻「っっっっきゃーっ♪ ブルボンさん大胆ですっ♪
ついに結ばれちゃったんですか? ウィナーズサークル入りですか?」
「いえ……最後の最後まで固辞されました。 キスを含めキス以上の行為は拒否されました」
🌻「えー、残念です。 」
「ですが、互いにソファに寝ながらのハグはとても新鮮でした。 マスターも最初は抵抗してたのですがしばらくすると、私のハグを受け入れてくださり――」
🌻「うわー、もっと聞かせてくださいブルボンさん」
206 :
使い魔
2025/04/20 21:48:30
ID:6FWg3.FBf6
予防接種終わり、続き明日以降
207 :
あなた
2025/04/21 06:48:46
ID:QC1k5eXN2.
『さて、朝日杯も獲って、このまま皐月賞に直行、のつもりだったが
――1戦挟むぞ。 G2スプリングステークス。 1800Mな』
タンタン、とホワイトボードを叩く音。
『正直これだけのハードトレーニングをしてる中レースに出走はしたくない。
しかし第一目標の皐月賞までくると相手もG1級だ、その中でぶっつけ本番でハナを切った逃げをするかどうかをここで決める。
合わせ――並走を一切してないからな。このレースを含めてレースの感覚を本番で覚えてもらうってのも理由の一つだ。』
出走メンバーを書き連ねていく
『最大のライバルはラジオたんぱ覇者、共同通信杯2着のノーザンコンタクト。
小柄だがその末脚はかなりのもんだ。 』
『それにサクラ軍団――ヴィクトリー倶楽部に所属していたサクラバクシンオーもここをトライアルに使ってくる。
実績は1勝クラスで特別のみだが、ハナを切った逃げにもかかわらず上がり3Fで34.6をマークしてる、あとお前とおなじ先行、逃げだ。 おそらくハナを奪い合うライバルになる』
ノーザンコンタクト・サクラバクシンオー・ダイヤーエース・ライスシャワー・マチカネタンホイザ
「……あ」
『どうした?』
「ライスシャワーさんも――出走するんですね」
208 :
大将
2025/04/21 07:09:43
ID:QC1k5eXN2.
『なんだ、知り合いか。』
「はい。 ライスシャワーさんは小柄で可愛らしくてとても優しい方です。 とても、仲良し、な関係です」
『で、競争能力的には?』
「……」
『……はあ、お前、三冠目指すんだろ? ライスシャワーやサクラバクシンオーとも戦って勝つのがお前の三冠ルートだ。』
「……はい、すいませんマスター」
『……今回スプリングS出走は大正解だったみたいだな。 ブルボン、今後は出来るだけハナを切れ。 友達だとかに気を使ってレースをしない一番の方法は最初からハナ切って並ばせずにゴールすることだからな。』
「はい。 あの、マスター」
『なんだ?』
「委員長、いえサクラバクシンオーさんは」
『ああ、そっちは俺が知ってる。 確か学級委員長してるって言ってたな。
こんなんだろ? ……ちょわっ!?』
トレーナーはサクラバクシンオーのマネをしてみせる。 手の動きまでそっくりだ
209 :
あなた
2025/04/21 07:22:51
ID:QC1k5eXN2.
『まあ、トレーナー同士同じ学園内のトレーニングだからな。 有力なライバルの偵察ぐらいはするさ。
最近、こんな場末の空き地みたいなとこに人が増えたろ? 殆どがお前のトレーニングの偵察だぞ』
見られたところで何かが変わるわけもない。
むしろ、この大坂路のトレーニングはマネのしようもないだろう
せいぜいが学園公式の坂路トレーニングの予約が埋まる程度だ
今更坂路は増やせない――しかしこのトレーニングを見て、結果を見れば必ず要求は増えるだろう
――坂路トレーニング場を増やして欲しい――と
『ま、俺もコンタクトちゃんや、いいんちょのトレーニングぐらい見に行ったさ
そしたら本人につかまっちまってな。』
――おやおやおやおや! 最優秀ジュニアウマ娘ミホノブルボンさんのトレーナーさんではありませんか! この学級委員長の偵察でしょうか!
――いいでしょう!! この学級委員長逃げも隠れもいたしません!!さあさあトレーニングの偵察なり私にインタビューなりしてください!バクシン的にお答えしますよ!
『まあ元気なやつだったなあ……聞いてるこっちが疲れたわ』
「バクシンオーさんはいつも元気な方です」
210 :
あなた
2025/04/21 07:36:16
ID:QC1k5eXN2.
『で、まあノーザンコンタクトは後ろからのレースだから置いといて
ハナを取るのは大前提で、序盤をわざとややハイペースにする
――サクラバクシンオーにさっさと潰れて貰うぞ』
「……バクシンオーさんを……潰す」
『何度かトレーニングを見させてもらったが、あいつは間違いなくスタミナ不足だ。 まあ元々短距離向きなのかもしれないが、明らかにスタミナが足りてない。 今回の1800Mはいっぱいいっぱいだろうな。 それでもジュニア期で上がり34秒を出した脚を持っている実力者だ。 だからそのスパートをさせなくする。
お前がペースを作って逃げ潰せ』
『逃げ同士でつぶしあいはご法度だが、お前には最強の体内時計がある。お前が自滅することはないだろう。』
「………オーダーを承認します。」
『辛いか? 友達をこうやって潰すのは』
「……はい。 ですが三冠を穫るためです。」
『そうだ。 タックルや悪質なブロック、違反ギリギリの進路妨害をする必要はない。 ライバルたちを正々堂々と――その逃げと心臓で潰すぞ、ブルボン。 お前の背中を掴ませさせるな』
「了解しました、マスター」
211 :
アナタ
2025/04/21 07:49:11
ID:QC1k5eXN2.
「あの」
『ん』
「ライスシャワーさんは……その」
『友達、だったっけか』
「はい」
『んー……』
正直言ってデータを見る限り、力不足。 ミホノブルボンの敵ではないしこのレースで善戦出来るウマ娘に見えない。
とはいえ、友達を酷評するわけにもいかないだろう
『お前のほうが強い』
と答えるのが精一杯だ。正直同じレースを戦う者同士を同じ学級や空間で共同生活をさせるのはどうなのだろうと思う。
「……はい」
『さっきもいったが、レースではいくらでも"勝たせない"ためのテクニックがある。 タックル、進路妨害――走りにくくするために肘を開いての双方。
わざと蹴り足を深くして相手に泥や土を被せるなんてものもある。』
「………」
『審議や処罰うけなきゃ勝ちは勝ちだ。 卑怯だとは思うが本当に勝ちたければそういう事もある。 だがお前にはやらせるつもりもない
正々堂々ってのは綺麗事すぎるが、お前の逃げで全部潰せ、背中を捕まえさせるな。 友達であろうとなんだろうと、それで全部カタがつく。
スタートをしくじらずに最初の先頭争いを制してそのまま1着でゴールすれば互いに汚い手段もへったくれもない』
212 :
キミ
2025/04/21 08:02:15
ID:QC1k5eXN2.
『その、ライスシャワーってのはそんなに頑張ってるのか』
「はい、彼女は少々内向的な性格ですが、いつもいつも頑張っています。
状況をエミュレートします」
右手をまっすぐあげて伸ばしてから、両手を胸辺りにおさめて
「がんばるぞ ライスがんばれ、おー」
「――と、いつも自身を鼓舞してます。 私は三冠を獲りますが――彼女にも頑張ってほしいと、ステータス"矛盾"を抱えています」
『あー、いいんじゃね?いいじゃん、友情、努力、勝負だっけか。ウマ少女スポ根の合言葉って。 ブルボン、三冠ってすごいじゃん?』
「はい、三冠ウマ娘は過去にもいますがすべて伝説のような存在です。 栄光と称賛を受けるに値する最強のウマ娘たちです。」
『じゃあさ、なんで三冠ってすげーんだろうな?』
「?」
『2000Mのレースなんていっぱいある。2400Mだってそうだ。
現状長距離レースは開催数は少ないが実際最長は天皇賞春でも菊花賞でもないG2の3600Mだ
でも三冠ってのは皐月賞・ダービー・菊花賞だろ? 』
「それは……」
『皐月賞、ダービー、菊花賞、それぞれみんなすげーやつらが来るからな。
菊花賞は距離的にきつくても2000Mなら、今の仕上がりならってその時の一流どころがあつまって。
中央レースの祭典、一生に一度の晴れ舞台のダービーをクラシックの大目標にしてるトレーナーや一族だっている。
更に春には間に合わなくても夏、秋で実力を開花させた奴らはスタミナ豊富な奴が多い。 そいつらが最後の1冠菊花賞になだれこんで下剋上を狙ってくる』
『どのレースも強者がひしめいてたった一人の1着を狙う。 誰一人弱いやつなんかいない。ワンチャンあれば最低人気でも1着を狙ってくる。
それが皐月賞、ダービー、菊花賞――一生に一度のクラシックだ』
213 :
キミ
2025/04/21 08:06:31
ID:QC1k5eXN2.
『なんで三冠がすげーかってさ、強い奴らがわんさか集まるんだよ。
だからそこで一着になるってのは特別な事だし、それを全部勝ったやつは伝説になるんだ。
お前が夢見た三冠ってのはすげーから三冠なんだろ?
だったら、そこに出走するライバルが強いほうが――勝ったお前はもっと凄いし、三冠らしいだろ。 弱いやつしかいないレースで当たり前にかった栄冠より、よっぽど価値がある』
『だから、いいんじゃねえの? ライスシャワーがいっぱい頑張るのもさ。
頑張れーライスってやってたら、がんばれーライスって言ってやれ。』
トレーナーは、ブルボンの頭をぽんぽんと撫で
『お前はそれより頑張ってライスシャワーに勝てば良い』
「はい、マスター」
214 :
大将
2025/04/21 08:27:58
ID:QC1k5eXN2.
「ライバルの君に相談していい話ではないのは承知してるんだが……このままではライスシャワーが故障してしまう。助けてくれ」
ライスシャワーのトレーナーが頭を下げてきた。
正直他所様のウマ娘事情に首をツッコミたくはないしライスシャワーはクラシック戦線をともに戦うライバルだ
🤖「マスター、ライスさんを助けてください。 バッドステータス:心配 です」
『………まあ、話を聞くだけでもいいなら』
「最近ライスシャワーがオーバーワーク気味でね、どうしてもスプリングSでミホノブルボンに勝ちたいって制止を聞かないんだ。」
『……まあ、故障はだめッスけど、それ当のライバルとそのトレーナーに言われてとまるもんじゃないでしょ』
「それはその通りなんだが、ミホノブルボンが超ハードなトレーニングをしてるのは有名な話なんだよ。 最近じゃ彼女はロボなのかサイボーグなのかと言われているぐらいだ」
🤖「肯定、それは正しい情報です。 私はロボットでありマスターの手によって改造されたウマ娘サイボーグです。」
『あーいいからいいから。で、それがライスシャワーとなにか?』
「まあ、そのミホノブルボンに触発されたというのが問題なんだが、そのハードトレーニングを無故障で続けてる君というトレーナーの手腕も話題になっていてね」
『そんなの明らか俺の手腕じゃないじゃないスか。 ミホノブルボンが滅茶苦茶丈夫なだけでしょ、ライストレさんならそのぐらい分かってるでしょうに』
「ウマ娘たちからしたらそうは見えてないって話だ。 俺達からしたら無茶なトレーニングに見えても彼女たちからしたら君は今ゴッドハンドのような扱いをされてるんだよ」
215 :
アナタ
2025/04/21 08:54:52
ID:QC1k5eXN2.
『ああ、そういう……』
ジュニア級というのは才能とセンスで1年を終えることもよくある。
名家だったり話題性のあるスターが入学しそのままジュニアの最優秀になって、という王道パターンだ。
無名なウマ娘が無敗で朝日杯を勝ち最優秀ウマ娘になれば、ウマ娘もトレーナーもそれなりに話題になるだろう
「僕はライスに故障してほしくない。 だから今のライスの脚の状況をみてもらって、遠回しにでもオーバーワークに釘を刺してほしいんだ。」
🍚「うわあ、うわあ、ブルボンさん!」
🤖「こうして練習場でお会いするのは初めてですね、ライスさん」
🍚「嬉しいな、嬉しいな。 ブルボンさんと並走できるなんて」
🤖「……」
『並走していいぞ、一本。 ただし一本きりな分一杯までやっていい』
「どう、ですか? ライスの走りは」
『身体柔らかそうですね。 バネも良いモノもってますよ。』
「素質は良いんだけど、結果が伴わなくてね。」
『……うーん』
🍚「はあ、はあ、やっぱり、ブルボンさんにはかなわないな、すごいな、ブルボンさんは……すっごく早いし――強いなって」
🤖「ライスさんも、いい走りでした」
『よーし、こっちこい。 ライスシャワー、ここに座ってもらえる?』
芝生の上、ブルーシートにライスシャワーを座らせて――おもむろにお腹を触る
🍚「うひゃうっ!? な、な、なっ?」
「ちょっとブルトレくん?」
『あー、やっぱ骨盤とかまだしっかりしてねえなあ。じゃあ次うつ伏せなって?』
🍚「あ、あ、あのおじさま? おじさま?」
『……ライストレさん教え子におじさまとか呼ばせてるんスね……』
「マスターと呼ばせてる君に言われたくはないよ!? それより急になにしてんの!?」
『え、触診スよ触診。 こうして骨や筋肉や内臓の成長確認してるんス。はい、次うつ伏せね。』
216 :
お姉さま
2025/04/21 08:55:18
ID:QC1k5eXN2.
うつ伏せになったライスシャワーの背中を軽く押すようにマッサージしていきながら
『ふーん、じゃあちょっとくすぐったいかもだけど我慢してね―』
と、膝立ちのままライスにまたがっておしりのあたりを両手で揉む。
🍚「うひゃあっ? ちょ、ちょっとブルトレ、さん? きゃうっ」
🤖「……………マスター」
『黙ってろブルボンこちとら真剣なんだ。うんうん…なるほど』
『単に調子悪いだけ、ってかまだ未成熟なだけっすね』
🍚「へ?未成熟って」
『本格化はきたけどまだ内臓や骨盤の骨がしっかり出来上がってないって事。
だから今焦って強度の高いトレーニングをしても骨の育成に良くないから。
しっかりトレーナーが身体を造るメニューつくってくれるだろうから、それに従ってな』
🍚「まって、まってください。 でも、もうクラシック期で、その……」
『身体が出来上がるかどうかは個人差大きいの。 お前ブルボンに勝ちたいんでしょ?』
🍚「そ、そ、それは……その」
『なに、勝ちたくないの? ブルボンはスプリングS出るぞ。 多分バクシンオーやコンタクトも出る。 そこでブルボンを倒そうって思ってるだろうし、俺等は全員逃げ潰して1着を穫るつもりでいる』
『お前は? ……お前はミホノブルボンに勝ちたくないの?』
🤖「ライスさん」
🤖「私は、ライスシャワーさんと全力で戦いたいです。」
🤖「ライスシャワーさんがいっぱいいっぱい頑張って、努力してるのを知ってます。だから――ライスシャワーさんの全力と、戦って、勝ちたい」
🍚「私も……私もブルボンさんと戦いたい! 全力で、勝ちたいっ……!」
217 :
お前
2025/04/21 09:01:01
ID:QC1k5eXN2.
『……じゃあ、今の全力でスプリングSにぶつかってこい。 勿論負けるつもりもないし、実力差を思い知らせてやる。 でも、レースはスプリングSだけじゃないからな
身体をしっかり作って、いっぱい頑張って……それでまた勝負してこい。
もし、ブルボンが不甲斐なければスプリングSで勝ってみせろ』
「すごいな君は。 触診だけであんな内臓や筋肉が未成熟だなんて」
『え? ああさっきの半分ぐらいは適当っすよ? そんなの医者でもあるまいしわかるわけないないじゃないッスか。』
「………………え?」
『まあでも、身体柔らかすぎでお尻からトモが甘いとか骨盤が弱いとかそのつなぎ目が細すぎて、体幹からしっかりつくらないといけないとは思いました。
あれであの走りができるってのは良い素質持ってると思いますよ』
「…え、えっ? さっきのは?ねえさっきのは?」
『でまかせ半分ですよ。 オーバーワーク、してほしくないんでしょ?
あの子はまだ身体できあがってないってのは間違いないんで嘘ってわけでもないスけどね。 春でしっかり身体できたら良いレース出来ると思います。』
「ええっ、君あんなに自信満々に触診してたじゃん!?」
『まあええ、あれはほらマッサージとかであるじゃないですか』
「普通は女の子のお尻をわしづかみにしてもまないよ!?」
『え、しないんスか?』
「しないよ!?」
『だめですよ、おしりからトモまでしっかりマッサージしないと』
218 :
使い魔
2025/04/21 09:09:52
ID:QC1k5eXN2.
トレーナー室で、トレーナーはミホノブルボンにじっと見られていた
無表情だが、なにかトゲのある雰囲気、オーラだけが出ている
『あー、うんミホノブルボンさん? 何をそんなに怒っているのか、ナ? 僕ぁ親友であるライスシャワーちゃんに適切なアドバイスをしたと思うん、だけど、ナ?』
🤖「ライスさんのおしりは、柔らかかったですか? マスター」
『ええ、お前もソレいうの?
確認だけするけど、俺がライスのおしりや太ももをベタベタ触ったのが気に入らないと?』
🤖「破廉恥です、マスター」
『えー……』
わきわきと動かす自分の手を見つめるトレーナー。
そのような意識がかけらもなかったが、確かにやっていることは、少女のお尻を触りまくっているということだ
『いや、俺お前のマッサージ毎日してるじゃん? なんかこう、お尻を触るのがいやらしい事とか考えもしなくなってんだよね』
『まあ確かにそうだなあ、うーんブルボンにマッサージしてたけどたしかに良くないよなあ、どうするか』
🤖「問題ありませんマスター。 マッサージの継続を希望します」
🤖「ところでマスター、マスターはお尻を触ることで性的興奮をおぼえないのでしょうか? 男性は乳、尻、太ももが好きだと」
『あー俺尻フェチではないんで。 安心しろ魅力とか関係なく邪な感情を抱いたりしない。大丈夫だぞ』
🤖「………」
『ねーなんでそんな不機嫌オーラ出すんだよ―、そんなエロオヤジみたいなのにケツさわれたくないだろブルボンだってさー、俺誠実に向き合ってるよねえ?』
219 :
アナタ
2025/04/21 09:29:25
ID:QC1k5eXN2.
『いやさ、俺思ったんですよミホノブルボンさん』
🤖「?」
『世間一般のトレーナーはマッサージしても臀部までしないんだと。 でも臀部ってトモにも腰にもつながってるから俺はするじゃん?』
🤖「はい、マスターが悪意ある欲求で触れてないのは理解してます」
『ブルボンって理解あるし、そもそも距離近いじゃん?』
🤖「もっと縮めることは可能です。マスター」
『結構ですミホノブルボンさん、いやまあ、今日のライスシャワーもびっくりしてたし、俺ももうちょっとブルボンとの距離感かんがえないとなって
『確かによくよく考えたらセクハラだよなあって、まあでもマッサージはしますよ? 脚の疲労ぬくのはもう絶対に必要だし』
🤖「他の女性に配慮する分私とのスキンシップはもっとすべきだと進言しますマスター、マスターがケツフェチでなければ、おっぱいでも問題ありません。 私は86の54です。カップは」
『やめなさいやめなさいやめなさい。 ブルボンが魅力的なのは知ってるからかわいいから、やめなさい』
220 :
お姉ちゃん
2025/04/21 09:34:18
ID:QC1k5eXN2.
『いつも言ってるけど、お前の本分は三冠なわけですよ。 わかりますよねミホノブルボンさん。』
🤖「はい、そのためのトレーニングでも良好な結果をだしています。 トレーニングは順調です、マスター」
『くそ、タイムも何一つ申し分ないしトレーニングもしっかり集中してるから言い返せねえ』
🤖「よって、その時間以外は私のメンタルややる気を向上させる事で今後更にトレーニング効率が上昇する可能性が高いのでミッション:らぶらぶちゅっちゅを提案します」
『しませんよブルボンさん。俺は犯罪者にはなりたくないんですよブルボンさん』
🤖「なぜですかマスター。 マスターには性欲がないのですか?」
『ありますよブルボンさんでもそんな話を教え子としたくないんですよ、わかってくださいブルボンさん』
🤖「わかりません。 モード力ずくを使用するか、協議が必要です」
『やめてね?マジで人生終わるからやめてね?』
221 :
トレ公
2025/04/21 09:34:37
ID:QC1k5eXN2.
休憩
222 :
お前
2025/04/21 13:09:35
ID:QC1k5eXN2.
『あのね、もう言っちゃったから言うけど、お前は美人だし身体もイイしハグしてると滅茶苦茶いい匂いすんの』
🤖「ッパアアアア」
『でもね、君は学生なの手を出したら犯罪なのバレなきゃOKって思うかもだけど世の中の犯罪ってのはみんなバレないようにしてバレてるんだよ俺は犯罪者にはなりたくない』
🤖「……ステータス:理不尽」
🤖「わかりましたマスター。 その代わりに――先程の「美人」「かわいい」「おっぱい大きい」「いい匂いする」を沢山言ってください。
そうしたら我慢します」
『やだよ恥ずかしい。あとお前はそういうの言ったらかかって我慢できなくなるから無しだ。 スプリングS圧勝したら考えてやっても良い』
🤖「ッパアアアア」
223 :
キミ
2025/04/21 18:04:44
ID:O0V8.L1QMU
『さて――いい話ばかりじゃない。 今後の事もちょっと話しておく。』
🤖「はい」
『今回のスプリングSは1800Mだが皐月賞2000Mの前哨戦だ。 ほどなく日本ダービーが控えてる。
もし、スタミナ、距離適性が原因で敗戦した場合―――2000Mの皐月賞まで時間がない事から皐月賞を走り切るスタミナが足りてない。 と判断する。
――意味は、わかるな?』
🤖「――はい、クラシック路線を走りきれない、短距離路線への変更を考える、という事ですね。」
『随分あっさり言うじゃないか、三冠しか興味ないって感じだったろう』
🤖「私はマスターを信じています。 マスターが鍛え上げた脚と、心臓を信じています。 ですからそれを作り上げたマスターの判断に、すべて従います。
――三冠路線を諦めるとマスターが判断すれば、従います」
『……いいのか?お前の夢だろう?』
🤖「マスターは言いました。 才能があるウマ娘が頑張って、努力してそれで最強が集まるのがG1、クラシック戦線だと。ならば適正を考えるのは選択としては正しいと思います。
朝日杯1600Mの僅差が私の距離限界を示しているとの見解は見ました」
『個人的にはありゃヤマニンキセキが覚醒しすぎた感じだったけどな』
224 :
お姉さま
2025/04/21 18:13:38
ID:O0V8.L1QMU
朝日杯のヤマニンキセキの覚醒した走りは限界を超えたものだった。
あと20Mあれば確実に差し切られていた。
ミホノブルボンの上がりは35秒5 良馬場とはいえ曇りの湿気の含んだ中山11Rとしては十分なタイムだが、ヤマニンキセキの上がりの走りはそれを凌駕した。
『限界を超えるってのはいいこっちゃないんだ。
事実ヤマニンキセキはあのあと骨膜炎を発症、この前の弥生賞で復帰したが走りに影響が出ていいとこなしの4着だ。』
――己のスピードの限界を超えればそうなる
――それはスタミナの限界を超えても一緒だ
『スタミナが切れれば上半身を支えられなくなる。 乗っていたスピードが支えられない身体と脚に一気に襲い掛かる。
当然故障すれば全てはパーだ。
これ以上の無理は出来ない。わかるだろ?
スタミナが足りなくてもレースは勝てない
――故障をしたらレースに出れない』
225 :
マスター
2025/04/21 18:18:30
ID:O0V8.L1QMU
🤖「私は――マスターを信じます。 ですが、私はまだ、証明していまいません」
――スプリングステークスで、マスターに証明します。
――マスターが作り上げたミホノブルボンは、誰しもが認める最強のウマ娘だと言うことを
『……そうか。 わかった、まずスプリングSで俺にも証明してみせろ。 』
個人的には
皐月賞までのスタミナは鍛え上げたと思っている。
しかし、そこからさらに400M――その400Mの距離はあまりにも長過ぎる。
東京の長い長い直線。 あの直線を後続を突き放して走り切るスタミナ。
このスプリングSでもし――スタミナに不安が出れば、その400M いや600Mの距離は絶対に間に合わない
226 :
モルモット君
2025/04/21 18:23:22
ID:O0V8.L1QMU
『……準備はできたか、ブルボン』
🤖「――――」
『……ブル―――』
言葉を飲み込む。 ミホノブルボンは初めてレース前に瞳を閉じて、集中していた。
しばしの沈黙のあと、ミホノブルボンは目を開き、立ち上がる
🤖「システムオールグリーン。 ステータス:超絶好調
ありがとうございます、マスター
――今日は最高の状態だと言えます。」
『……おう』
ミホノブルボンはあまりレースでの自意識が過剰な方ではない。
しかし今日のミホノブルボンには強い自信と――強者がもつ威圧感、風格というものがあった。
最高の状態、というのは間違っていないようだ
『いってこい。 2枠4番、偶数番号はゲートインから開くまでがはやい。 逃げには絶好だ。』
🤖「はい、マスター」
▲
|
全部
|
前100
|
次100
|
▼
|
ウマ娘BBSに戻る
名前
(空白でランダム表示)
画像
※JPEG/PNG/GIFのみ。最大サイズ合計: 8MB
画像は3650日で自動削除する
キャラを複数結合する他所様の便利なツールは
コチラ
コメント
スレをTOPへ (age)
※コメントは15行まで
※画像などのアップロードの近道 :
http://imgur.com/
※コメント書き込みの前に
利用規約
をご確認下さい。
-
WebPatio
-