【安価SS】飛び級少女がトレセン学園でGIを目指す話
1 : ◆wuHHR64l1og   2024/07/05 05:30:15 ID:jpgfrBfaDo
がたん、ごとん。だっだっだっ……。
電車に揺られ、乗り換えて、後は駅から走って、合計1時間……今はお昼の1時くらい。
そこに、わたしの目的地はありました。

「わぁっ……!!」
そこは……門の外から見えるだけでも……とっても広くて、大きくて、通っていた小学校の何倍でしょうか?
明日から通うことになる、トレセン学園を目の前にして、わたしは思わず驚いちゃいます。
たぶん、耳もぴょこぴょこしてるはずです。ウマ娘なので!

学園に見とれていると、緑の帽子を被った女の人が話しかけてきました。
「あなたは……明日からの転入生の方ですね?お待ちしていましたよ。私、学園の事務担当……駿川たづなと申します」
「たづなさんですね!よろしくお願いしますっ!!わたしの名前は______」
わたしの方もきちっと自己紹介をした後、たづなさんに案内されて寮にやってきました!
ここはどうやら、栗東寮というらしく、寮長のウマ娘さんが案内を引き継ぐそうです!
「おやおや、本当にポニーちゃんがやってくるとはね。あ、私の名前はフジキセキ。
これからよろしくね」
「はいっ、よろしくお願いしますっ!」
優しそうな寮長のお姉さんに案内されて、私は寮の中をひと通り見て回りました!
そして……。
「______じゃあ、キミの部屋なんだけど……色々あって誰か2人の部屋に3人目として入ってもらうことになっているんだ。その部屋は……」
>>3(公式で判明済み同室コンビの部屋。調べて★)
92 : ◆wuHHR64l1og   2024/07/22 05:54:15 ID:pEiNM.yXqk
その日の夜、寮の部屋で……。
「わぁー!ついにトレーニングが始まるんですね!頑張ってください!!」
「はいっ!ありがとうございます、スペシャルウィークさんっ!!」
トレーナーさんとの練習プランが決まったことを報告すると、
スペシャルウィークさんは喜んでくれて、応援もしてくれました。
スズカさんは……あ、夜の走り込みに行っています。
(今日めっちゃ走ってたよね!?)
むしろあの人のほうが、すていやー……長い距離を走れるウマ娘じゃないかとも思いますね。
「それで、あの……」
「はい?」
わたしはスペシャルウィークさんに、とある頼みごとをしてみました。
翌日……。

「______大丈夫ですか!?ついてこれますか!?」
「は、はいっ!!」
放課後からの併走トレーニングが始まりました。
そのお相手は、昨日頼んだ通りにスペシャルウィークさんです。
ええ、もう、速いですね。手加減はされてると思うんですけど……ついていくだけでいっぱいですっ!!
でも……誰かといっしょに走るって、こんなに楽しいんだなって思います。
「さあっ、ラストスパートですよぉー!!」
「は、はぃぃぃぃっ!!」
誰かといっしょに走っていると、不思議と脚がまだ動くんです。すっごく重いはずなんですけど!
「て、ていうかスペシャルウィークさん!!スローペースですよね!?」
「そうですけど!?」
なんと、今走っているのは坂路です。
遅いペースでもこんなにきつい……レースの世界は思った以上に大変みたいですっ……!!
93 : ◆wuHHR64l1og   2024/07/23 06:19:59 ID:gS3oeRb5A6
あっヤベ!回数設定したのにトレーニング描写合体しちゃった!
失くすか。
94 : ◆wuHHR64l1og   2024/07/23 06:33:17 ID:gS3oeRb5A6
な~んだ、坂路って言う位だから急な坂なのかと思ったら意外と緩やかだなぁ…これを走って登ればいいの?

……なんて、最初は思ってました。
なんというおろか!わたしのおばか!!
何往復もしてたら、もう、脚が、棒みたいに!!

「こっ、こんなきつくて苦しいトレーニングをっ、やりますなんて言ったの……わたしでしたぁぁぁぁぁぁ!!」
これを週5で合計63往復も繰り返すんです。
んなぁぁぁぁぁ……。
……その時でした。
「もう少し~……スローペースで行ってみてはどうでしょう~」
(だ、誰ッ!?)
わたしが走ってるさらに後ろのほうから、ほわほわとした雰囲気のウマ娘さんが走ってきたのです。
「あっ、申し遅れました~。わたくし、メジロブライトですわ~」
「こっ、こんにちは……シュガーライドです……」
メジロブライトさん……そういえば、
すごく涼しそうな顔をしてます……汗もかいてない……。
「そうよ!シュガーライド!もう少しゆっくり目で!!」
トレーナーさんからも声が飛んできました。なるほど、スローペースですか……。
「そうだ~。わたくしと~、併走されますか~?」
「あっ、はい!お願いします、ブライトさん!」
スローペースなメジロブライトさんといっしょに走ることで、ペースのコツを掴めたらいいな……とか思ったりしました。
速いペースのスぺさんを追いかけようとはせずに、自分に合ったペースで……。
95 : トレーナー   2024/07/23 11:40:13 ID:L/LDmwIKQg
合体できる所は自由に合体させても良さそう
いいぞ~
96 : ◆wuHHR64l1og   2024/07/23 15:45:10 ID:gS3oeRb5A6
「きょ、今日のぶん……終わりっ!!」
わたしは息をぜぇぜぇと吐きながら、グラウンドの隅っこに戻ってきました。
これがトレセン学園のトレーニング……すっげぇきついです!!!!!
「お疲れ様!」
「あっ、トレーナーさん!!」
トレーナーさんがドリンクを持ってきてくれました。ごくごくと飲みながら、話を聞いてみましょう。
「シュガー……って呼んでいいよね?で、よ。初日にしては並のウマ娘より頑張ってたと思うわ。昨日走ってもらったのを見て、あなたにはスローペースに走ったりレース終盤に後方から追い抜く戦法が向いてるって感じたんだけど……自分的にはどう思うかな?」
「ごくごく……ぷはっ。わたしてきに……ですかぁ」
考えてみます。さっきは、スペシャルウィークさんのペースにはあんまりついていけなくて、メジロブライトさんのゆっくりなペースで一緒に走ったら、走りはじめよりもあんまり苦しくなくなった感じですね。
授業でやりました。ウマ娘の走り方はだいたい4つにわけることができて……最初から最後まで先頭を行く”逃げ”や”先行”、レースの終わりごろまで我慢して最終コーナーくらいで走り出す”差し”や”追込み”……です。
「速いペースで行くのがむずかしいなら、やっぱり追込みが合ってるんだと思います、わたし」
「そうよね!何より、あなたと出会ったときに見た走りは後方向きだったわ。もっと鍛えれば先輩たちにだって通用するようになるわよ!」
「そ、そうですか!?頑張らなきゃ……!!」
きついトレーニングは、いつかきっと力になるはず……そう信じて明日からも頑張ります!!
でも今日は……帰って寝たいですね!!!!!
97 : ◆wuHHR64l1og   2024/07/25 08:35:48 ID:qT5lgz8ZNI
「ぐぇー……つかれました……」
夕方……。
寮に戻ってきて、制服のままベッドにダイブするわたし……。
全身の筋肉も関節も、ひめいをあげてますね。すっげえ痛いですね。
でも……なんか、強くなっていく気がします!
(……あ、やべーです)
か、体が動かない……疲れてるからでしょうか。ベッドから降りたくない……。
まあ、こういうのも時には良いと思います……ご飯の時間までちょっと寝ちゃおう……。
「ぐー……」
こうして、わたしは初めてのトレーニングを終えたのでした……。

______1時間くらい経ってから、スペさんに起こされました。
「シュガーさんー。ご飯の時間ですよー」
「ご飯ッ!?」
ウマ耳のそばで声をかけられて、わたしはびっくりして飛び起きます。
声をかけられたからじゃなくて、ご飯に反応したからかもしれないけど。
「あ゛っ゛!!!」
「シュガーさん!?」
飛び起きたそのしゅんかん、わたしの体に激痛が走るッ!!
そうでした!全身筋肉痛でした!!痛い!!
「でもっ、ごはん食べたいっ……!!」
わたしは痛みをガマンしながら、食堂へ向かうのでした……。
98 : ◆wuHHR64l1og   2024/07/25 08:57:00 ID:qT5lgz8ZNI
______なんと、いつもの半分しか食べられませんでした。
食欲が、ないです。
筋肉痛がすごいんです。
むし歯?って聞かれたりもしたんですが、そっちじゃないです。
手足の痛みでこんなにも食欲がなくなるなんて……。
(こんな調子で、明日からも頑張れるんでしょうか、わたし……)
部屋に戻って、またベッドに転がり、考えます。
トレーナーさんも応援してくれてて、わたしも走りたい……だけど、
大丈夫なんでしょうか?こんなで。
(そうだ、お風呂)
なにはともあれ、今日いっぱいかいた汗を流さないとです……わたしは重い体をなんとか起き上がらせて、パジャマその他いろいろを持ってお風呂に入ることにしました。


______ちゃぷん。
4、5人は一度に入れるくらいの大きなお風呂です。泳げそうですけどしませんよ。
(たしかこう、痛いところをもむように……)
あったかいお湯でマッサージをすれば、筋肉痛は治るって聞いたことがありました。
なのでやってみてるんですが……効果あるんでしょうか!?
……まだみんな、ご飯を食べてるはずなので、お風呂場にはわたし一人……ですね。
聞こえてくるのは、水道から時々ぽちゃんと落ちてくる水の音だけ。
そう、わたしは今、ひとり……。
ちょっとさみしくなっていたその時、ドアがガラガラと開きました。
入ってきたのは……。
>>99
99 : お姉ちゃん   2024/07/25 08:59:02 ID:vEPoG4L12I
メジロライアン
100 : ◆wuHHR64l1og   2024/07/25 09:17:48 ID:qT5lgz8ZNI
「お邪魔しまーす……って、先客がいたんですね!こんばんは!」
「こ、こんばんは」
なんかすごくさわやかそうな、ウマ娘のお姉さんが入ってきました!
ていうかすごいです!筋肉が!お腹もばきばきで、手も足もすらっとしてるのにムッキムキじゃないですか!
「あたし、メジロライアンっていいます!あなたは……」
「さ、最近転入してきたシュガーライドです」
「そっかぁ、シュガーライドちゃんか!よろしくお願いします!」
メジロライアンさんは挨拶を終えると、凄い速さで髪も体も洗っていきました。
そしていざお湯へ……ん?
「それ、なんですか?」
ライアンさんの手に、こびんが握られているのが見えました。
「ああこれ、入浴剤です。筋肉の疲労回復に効果的で、入るときはいつも使ってるんです!あ、寮長の許可はちゃんともらってますよ」
(ひろーかいふくの、入浴剤!?こ、これは今のわたしに必要なものなのでは)
ライアンさんはその液体を、1人用のお風呂の中に流していきます。
お湯の色が、オレンジ色になっていきました。
「ちょっと狭いけど、個人で入浴剤を使って良いのはここだけだし……ガマンっ!」
そう言って、お湯に体をちゃぷん。
「……ああーっ!!効くなぁー!!」
なんか、すごく気持ちよさそうです。
香りも甘くて優しい感じで……。
「あ、あのっ!わたしも……そのお風呂、入ってもいいですか!!」
「え?うん、いいですよ!」
101 : ◆wuHHR64l1og   2024/07/25 09:17:57 ID:qT5lgz8ZNI
ライアンさんが上がると同時に、わたしも入浴剤入りのお湯の中にちゃぷんです。
(……!!)
こ、これは、効きますッ!!
全身の痛みとか疲れとかがどんどんなくなっていく感じが!!すごい!!する!!
こ、これなら明日も頑張れそうな!!気がします!!する!!!!!
______たっぷり温まって上がってから、ライアンさんに同じ入浴剤をいくつかもらいました。
そしてライアンさんの寮は別の場所らしく、今日は用事があってこっちに来ていたそうです。
走って帰っていきました。また汗をかきそうなんですが?

こうして筋肉痛その他いろいろを、ばっちりいやしたわたし。
食欲も戻ってきたので、今度こそ晩ごはんをお腹いっぱい食べるのでした……。
102 : モルモット君   2024/07/25 18:29:38 ID:PwhrTiLF/o
筋肉痛には筋肉のプロがよく効く
103 : ◆wuHHR64l1og   2024/07/28 06:49:07 ID:pPSKrb0uzU
次の日……。
まだちょっと体が重い気がしますけど、動けないほどではないですね。
昨日のライアンさんの入浴剤がすっごく効いたみたいで、なんだか前より強くなった気もします!
(……ん?)
違和感がありました。部屋暗くないですか?
おふとんで寝てたので、ゆっくりとベッドの方に顔を向けると……
(二人ともまだ寝てるー!! ていうかまだ3時じゃないですかー!!)
すやすやと眠る先輩たちの姿と、置き時計がしめす時間は3時……夜中じゃないですか!!!!!!
(こ、これ……もう一回寝ましょう☆)
そうです、寝る子は育ちますから。
何もあわてることなんてないのです。寝るだけです。

そして、今度こそ次の日……。
わたしはトレーナーさんから呼ばれて、とある場所にやってきました。
じめじめしてて、ちょっとお薬の匂いがつんとする……
プールです!
朝練をするウマ娘さんがいっぱいで、なんか市民プールにやってきた気分です。
「今日は少しばかり負荷を抑えたトレーニングをするわ。そのためにプールはとても最適な環境なのよ」
「そうなんですか……」
トレーナーさんは昨日のトレーニング後のわたしの身体のことをわかってくれてたみたいで、今日は重くないやり方を提案してくれるみたいです。さすがトレーナーさん……。
「よし、とりあえず水着に着替えてきて」
「あ、はいっ!」
やはりサイズを測った覚えがないけどいつの間にかもらってた、トレセン学園指定のスク水さん……これを着て泳ぐみたいです、わくわく。
104 : ◆wuHHR64l1og   2024/07/28 07:32:06 ID:pPSKrb0uzU
着替えるため、更衣室に来ました。
(誰かいる……)
ひとり、着替えてる途中のウマ娘さんがいます。水色の髪の毛と、ウマ耳にシマシマの飾りをしてますね。
「んーっ! ……も、もう少しなのに着れないッ!!」
(ん!?)
「どーしよ、太りすぎたか……」
(んんん!?)
そのウマ娘さん、なんか水着が着れなくて困ってるようです。
なんで??
よくみるとお腹がぽっこりふくよかに……。
「見ちゃいましたね?」
「ひっ」
ドアの隙間から見守っていたんですが、ついに見つかってしまいました。
ウマ娘さんは、ヒシミラクルさんと言うそうです。
ヒシミラクルさんも、トレーナーさんに呼ばれてプールトレーニングをしに来たらしいです。
「いいなー小学生……太ってない」
「えっ!?」
ミラクルさんはお腹を擦りながらぼやきます。なんかオジサンくさくなったような!?
「わたしはもうダメだよ……あるから食べるせいでまた、こんな腹に……」
105 : ◆wuHHR64l1og   2024/07/29 03:21:13 ID:wNqeMeex0c
その後、なんとか水着を着れたミラクルさん。わたしも着替えて、いっしょにプールへ。
「おっ、ヒシミラクルさんと出会ったのね。 ……あなたまた太ったんじゃない?トレーナーが嘆いてたわよ」
「で、ですよね……あはは」
トレーナーさんに指摘されて、なんか申し訳無さそうな顔をするミラクルさん。
そんな彼女に、トレーナーさんはあるものを渡しました。
あれは……泳ぐときに使う、ビート板ですね。
「コレ使ってもいいから、後輩のシュガーライドに、良いところを見せてやりなさい」
「えっ、ええっ!!まさか焚きつける作戦とは……いいですよ、やってやりますとも!!」
(……んん?)
どうやら、わたしに泳ぎの手本を見せてくれるらしいですが……なんか雰囲気があやしいような!?

______準備運動もしっかりやって、いざ水の中へ。
水の温度は……あ、温水ですね。夏でも冬でも泳げちゃいますね。
「よ、よーく見てて!シュガーちゃん! これが、わたしの、泳ぎだぁぁぁぁぁ!!」
ヒシミラクルさんはそう言うと、ビート板ですごく勢いのあるバタ足をくりだします。
さ、さすがウマ娘のきゃくりょくです。水しぶきがとんでもない強さで!
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
こ、これは______。

泳げたor泳げなかった >>106
106 : お兄さま   2024/07/29 03:22:45 ID:3GIhjy/GK2
勿論泳げなかった
107 : ◆wuHHR64l1og   2024/07/29 03:36:35 ID:wNqeMeex0c
「うぉぉぉぉぉごぼぼぼぼぼぼぼ!!」
(えーっ!?)
ほんの数メートル動いただけで、みるみる沈んでいくミラクルさん。
「ごぼぼ……ぶはぁっ。憎い、この腹の肉が……」
(そこーっ!?)
お腹をつまみながら、くやしそうに浮き上がってくるミラクルさん。
いえ、明らかに泳げない人のソレですよね?
小学校でもときどきいましたよそういう子……。
良いところを見せられなかったと、プールサイドで落ち込むミラクルさんを元気づけるために、今度はわたしがやります!
「泳ぎには自信があるのでッ!」
こう見えて結構泳げます。では、やってやりましょう。
「ビート板は……」
「あ、大丈夫です!」
「マジか……」
トレーナーさんはびっくりしてますが、ビート板もいりません!
普通にいけます!!
てことでスタート地点に移動して……。
「……はぁっ!!」
壁をけって、スタートです!!

>>108(どれくらい泳げた?)
108 : トレピッピ   2024/07/29 03:43:32 ID:j9xWhdKWgg
200m
109 : ◆wuHHR64l1og   2024/07/30 08:27:29 ID:2VKatyTAuY
私は念の為、防水仕様のビデオカメラを使用して記録を開始する。
さて、シュガーライドは泳ぎにどれほどの適性が……。
(……!!)
少しばかり、甘く見ていたと思う。その少女の身体能力を。
私はカメラを向けつつ、しっかりと目を開いてその泳ぎを追った。
フォームはまだ荒い。しかし、水圧を苦にもしてないかのようなスムーズなクロール。
25m毎に技法の変更を指示してみたが、どの泳ぎ方でも完走……200mを泳いでみせた。
「な……なんですと!!??」
私の次に驚いていたのはヒシミラクル。それもそうだろう、トレセン学園に入ってきたばかりの年下の小学生が、アスリート顔負けの水泳を披露したのだから。
「ど、どうでしたかっ!?」
水から上がったシュガーライドが、目を輝かせながら迫ってきた。
どうだったか……ソレを答えるには、今受けた衝撃を言葉にしきれないだろう。
「……文句なしよ!とりあえずプールトレーニングを多めに入れて、長い距離をしっかり走れるスタミナを身につけていきましょう!」
「はいっ!」
なんとか言葉を振り絞り、今後のトレーニングプランを確立した。
プールトレーニングを成熟させれば、坂路をスムーズに走りきれるようになるはずだ。
(この娘は……思った以上に……)
わたしは驚き、期待する。シュガーライドという少女に。
この娘となら、トゥインクルシリーズの頂点を目指せる気がする。そう思うほどに。
110 : ◆wuHHR64l1og   2024/07/31 23:47:22 ID:U31jXMk4.I
午後からは……運動もオーバーワークは良くないということで、図書室でおべんきょうです!!
「何を読めばいいんだろう……」
トレーナーさんは”新書”を読めって言ってましたけど、しんしょってなんですか!!
とぼとぼと図書室を歩いていると、オレンジ色の髪のウマ娘さんに出会いました。
「キミ、新書を探してるの?それならマヤ、読み終わったのいっぱいあるよ?」
マヤノトップガンさんは、沢山の本を両手でしっかりと抱えています。
(わ、わぁ……むずかしそうな本……)
トレーニングに関するものから、歴史の本まで色々あります。
全部漢字で書いてあって、タイトルは薄っすらとしか読めないですが!!
「えっこれ全部読んだんですか」
「うん!マヤ、なんでもわかっちゃうから!」
なんと、沢山のむずかしそうな本をぜんぶ理解しちゃったとのこと。何なんでしょうかトレセン学園。ぶんぶりょーどーってやつでしょうか。すごい人がいっぱいです!!!!
(わ、わたしもなれるんでしょうか?こんなお姉さんに……)
そう思うと、むずかしい本でも読める気がしてきました。
「頑張ってねー」
「はいっ!」
とりあえず何冊か受け取って、机に広げて読んでみることに。
「なになに……>>111

本のタイトル。
111 : 大将   2024/07/31 23:49:36 ID:4rO5CqKlGw
「ウマ娘 その誕生から現代まで」
112 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/01 00:23:11 ID:J8rfbQcuLo
「なになに……「ウマ娘 その誕生から現代まで」ですか……」
歴史の本でしょうか?4年生じゃ、まだやらないじゃないですかーっ!!
しかし、読み進めていくうちに、意外とわかりやすく書かれてることに気づきます。
車ができる前はウマ娘に引っ張ってもらう乗り物があったりとか、色々書いてあります。すごいですね、ウマ娘……。
現在でもウマ娘車の需要はあって、浅草の方では人力車が走ってるとかどうとか……。
「あらあら~、難しい本を読んでて、関心ですよぉ~」
「あなたは……?」
夢中になっていると、一人のウマ娘さんが声をかけてきました。
……本当に学生さんなのでしょうか。なんというか、ぼせいをめっちゃ感じるんです。
「わたしはスーパークリークです~。よろしくお願いしますねー」
この時、わたしはクリークさんを甘く見ていたんです。そう、とても甘く……。
113 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/01 00:24:21 ID:J8rfbQcuLo
赤ちゃんにされる.....をセンシティブにならない範囲で案を募集します。なんなのだ赤ちゃんにされるとは。

>>114>>118
114 : トレーナー君   2024/08/01 00:32:01 ID:DlN2q08XVU
ベビー服を着させられる
115 : アナタ   2024/08/01 00:41:23 ID:qvo/MDmS2g
抱っこされる
116 : トレピッピ   2024/08/01 00:47:01 ID:6F0X6Hm9BM
クリークのことをママだと思い込む
117 : キミ   2024/08/01 00:54:34 ID:8LSrmXW.vs
寝かし付けられる
118 : トレぴっぴ   2024/08/01 01:10:48 ID:GO86DyMIvA
おしゃぶりを咥えさせられる
119 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/01 08:34:14 ID:J8rfbQcuLo
「______ちょい待ちいや!」
(……!?)
クリークさんが本を読んでくれるとのことで、専用スペースまで案内されようとしていると……小柄なウマ娘さんに引き止められました!
「ウチはタマモクロスってもんや。クリーク……お前から溢れ出とるで……そのウマ娘を”甘やかしたくてたまらないオーラ”がなッ!!」
「っ……!!」
(ん!?!?!?)
なんか、しゅらばが始まったようですが……まるで理解できません!!
なんですかこれ!!!
「ちょっと見ときや」
そう言うとタマモクロスさんは、クリークさんの背中を軽くぽんぽんと叩きます。
すると、
(……!!!???)
目の前で起きたことに言葉を失いました。
クリークさんのふところから、ちっちゃい子用のイスとか高そうなガラガラとかがどっさり出てきたんです。
どこにしまってたんですか。
「コレが、スーパークリークや。無尽のスタミナで追っかけ回されて最期は捕まり、赤ちゃんにされる……」
「えっ、無尽のスタミナですか!?」
なんか理解が追いつかないところは忘れて、わたしはスーパークリークさんがすごいスタミナの持ち主だってところが気になりました。
「せ、せやで。学園有数のステイヤーで、菊花賞を制覇したこともある……」
「菊花賞を!?」
菊花賞といえば、クラシック3冠レースの最後の1つ。
それを勝てるウマ娘さんが目の前にいるなんて……!!
「あのっ、クリークさん!」
「何でしょうー?」
「赤ちゃんにはしなくていいので、ステイヤーとしてわたしを鍛えてくださいっ!!」
120 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/02 17:54:16 ID:pdKN5rDqNk
「______で、今日も走ることになったと」
「はいっ!やっぱり走ってこそウマ娘じゃないですか!!!!!」
数分後、ジャージに着替えてグラウンドにやってきたわたしとクリークさんと、タマモクロスさん。
「まさか、これほどのウマ娘にトレーニングを見てもらえるとは……二人も」
トレーナーさんは、二人の大先輩ウマ娘さんに驚いています。
わたしは、過去のレースビデオでもお二人のレースを見たことはないけど……どれくらいすごいんだろう?
「じゃあ手始めに、ウチらの走りを見せたるわ!」
「タマちゃん、頑張りましょうねー」
クリークさんもタマモさんも、スタート地点に立って……。
よーいどん______そう言ったしゅんかんに、
まるで目の前にカミナリがびしゃーんって落ちてきたようなしょーげきを受けました!!

たった1000mを走ってもらうだけでしたが、それはもう凄い走りだったんです。
具体的に説明しようとすると……あれ!?
(なにもわからないッ!!)
これは……凄かったとしかわかりません!!
何が凄かったんでしょう!!びしゃーんの部分でしょうか!?
「ふぅ……短距離は専門外やけど、たまには走ってみるのもええな」
「そうですねぇー。 ……あ、シュガーさーん!どうでしたかー!!」
そうこうしていると、二人が戻ってきました。
どうだったかなんてわかりませんー!!
こうなれば……やはり、いっしょに走るしかないですね!!
121 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/03 11:55:43 ID:bHEK10IOco
ってことで、今度は1600mを3人で走ります。
すごい走りをする先輩たちといっしょに走れるなんて、それもすごい!
わたしは心のなかで喜びながら、同時にドキドキしていました。

「ま、気楽にいこーな」
「ですねぇ。私たちの胸を借りるつもりで、自分のペースで走っていいですからねー」
タマモクロスさんもスーパークリークさんも、わたしを気づかってくれてるみたいです。
でも、レースをするからにはフルパワーで走りたいなって思いもあります。

「じゃあ、全員位置についたわね」
ゴール板の前に立つトレーナーさんの合図で、スタートします。
「よーい、ドン!」
合図のしゅんかん、わたしは走り出しました。
ポニー競走以来の、誰かとの全力の競走です。
また、さっきみたいな”びしゃーん!”は見れるんでしょうか?
わたしはとりあえず、前の方を走るクリークさんの背中を追うように、タマモクロスさんと並びました。
「へぇ、ウチと走るんか」
「はいっ!よろしくお願いしますっ!!」
「先輩ムーブ、かまさせてもらうで!」
タマモクロスさんは少しペースを上げます。それについていこうと思ったけど……まだガマンです。
(わたしは追い込み型、追い込み型……)
心のなかでそう言い聞かせながら、わたしは3番手まで下がりました。
っていうか、タマモクロスさんも全然気楽に走ってなさそう!?
122 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/04 13:43:35 ID:JdRu21k2A6
(さ、そろそろ4コーナーやな)
2番手を走るタマモクロス。
その後ろを走るシュガーライドとは3バ身ほど離れているが、
ラストスパートで引き離せないレベルではなかった。
(ウチはどんな勝負でも、加減はせぇへんで。……それが歳下でもッ!!)
最終コーナーを曲がったその時、彼女の意識が変わった。
「ふぅっ……らぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
一瞬であった。僅かな呼吸の後、全身の筋肉を解放する。
そこから放たれる圧倒的な加速力が、彼女を「白い稲妻」と呼ばせる理由であった。

(ここからッ!クリークをぶち抜いて……なッ!?)
超スピードでクリークに迫ろうとするタマモクロスだったが、
その後ろから迫る何かを感じ取った。
(なんでやッ!?)
そう、それはほんの僅かな油断。
圧倒的な力で簡単に引き離せると思った、慢心。
“彼女”は、ついてきたのだ。タマモクロスに。
123 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/04 17:49:09 ID:JdRu21k2A6
シュガーライドは見た。
目の前で、稲妻が発生するのを。
雷が落ちたような衝撃を。
(わ、わぁ……わぁっ!!!!!!)
気分がすごく高揚してきたシュガーは、その本能の向くままに駆け出す。
今の彼女の心のなかには、ひたすら”楽しい”という感情ばかりが巡っている。
そして、3バ身も前を駆けるタマモクロスに迫っていくのだ。
(なんやアイツっ!!ウチの全速力やぞッ!!なのにっ!なんでっ!!)
残り400m。タマモクロスはとっくにクリークを引き離していた。
しかし、そのすぐ後ろにはシュガーライドがぴったりとついてくる。
(なんでついて来れるんッ!?)
タマモクロスが驚いているのは、シュガーライドの尋常ではない加速力だ。
歩幅の大きいストライドだが、加速が始まってからの脚の回転がとてつもなく速いのだ。
ありえない走りだが、今それを目撃した。
“ピッチ走法の回転速度とストライド走法の歩幅”の両方を発揮した走り。
結果、1バ身と迫ったギリギリのところでタマモクロスが先着した。
「はぁっ……はぁっ……危ない危ない……少し油断しとったわ……」
息を荒げるタマモクロス。あまり走らないマイルレースでの強烈なラストスパートをしたことも影響しているが、一番はシュガーライドに追われたことだろう。
そんなシュガーライドはと言うと。
「わぁー!!惜しかったですっ!!」
「うふふっ、すごく速かったですねー」
息を荒げる様子もなく、楽しく走れたことをクリークと語らっていた。
もう一本走れそうな勢いだが……。
(待てや……1600をもう一本走るん?そしたら……)
簡単な計算だった。3200m……長距離の最高峰のG1レース、天皇賞・春の距離である。
(うせやろ……あの年齢、あの体に、まだそんだけの燃料積んどるっちゅーんか!?)
タマモクロスは戦慄した。ステイヤーを目指しているとは聞いていたが、まさかここまで走れるとは思わなかったのだ。
124 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/04 17:53:58 ID:JdRu21k2A6
その光景に一番驚いていたのは、シュガーのトレーナーであった。
(練習の時とは……ぜんぜん違うじゃないッ!!)
坂路トレーニングのときには、なんとかスローペースでの走りをすることが精一杯であった。
だが目の前の現実は、とても凄まじいものである。
後方待機に徹していたところまでは定石通りの走りだ。
だがその後だ。終盤に加速しだしたタマモクロスに追いつけそうなレベルの、爆発的な加速力を見せた。しかも、まだもう半分の距離を走れそうなほど、涼しい顔をしている。
(どういうことなの……この娘、底が全く見えない!!)
そもそもまず、スーパークリークも手を抜いていたわけではなかった。
タマモクロスの追い上げに合わせて彼女も加速をしていた。
追い抜かれはしたが、それでもシュガーが簡単に抜けるレベルではなかった。
しかし現状、シュガーはスーパークリークでさえも抜かしていた。
(本番に強い……のかしら?)
単純な話だが、納得がいく。
これではいきなりデビューさせても戦えるのではないか?そうも思った。
しかし、やはり、まだ身体が出来上がっていないはずだとも思った。
どうする?トレーナーの選択は……

>>125 デビューを早めるor9月の選抜レースまで待つ
125 : アナタ   2024/08/04 18:50:39 ID:EaeKlak1cg
デビューを早める
126 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/04 18:53:29 ID:JdRu21k2A6
>>125
早めちゃったよ!!

あ、1から長く試してしっくり来なかったので書き方を普通に戻してます。
127 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/05 11:25:44 ID:3Gc5tETkaY
まだ走り足りなそうなシュガーライドに、トレーナーは声をかけた。
「……突然だけど、デビューを早めてみる?」
「えっ!?」
シュガーライドは驚いた。まだトレーニングも始まったばかり、今の自分がデビューに値するのかもピンときてはいなかった。
そんな彼女に、トレーナーは説明する。トレーニングのとき以上に走れていた……あとは実践経験を積みながら力をつけていけば良いはずだと。
そしてトレーナーは、改めてシュガーライドに申し出た。
「ちょっと早いけど、トレーナー契約を結ばせてほしい。 ……良いかしら?」
「は……はいっ!これからもよろしくお願いしますっ!トレーナーさん!!」
タマモクロスとスーパークリークも見守る中で、トレセン学園に新たなコンビが誕生した瞬間であった。

______それから数日。メイクデビューに向けての調整を行っている時のこと。
128 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/05 11:27:20 ID:3Gc5tETkaY
「トレーナーさんっ!メニュー終わりましたーっ!」
「あら、もう!?」
タマモクロス達と走ってからというもの、シュガーライドはメキメキと強くなり始めていた。
何が彼女を目覚めさせたのかはトレーナーにもわからないが、それに同調するように先輩のウマ娘たちも気合が入っているので、良しとした。
「ところでシュガー、メイクデビューを走る場所だけど……どこが良いと思う?」
「は、初めてのレースの場所ですか!!すっごい重要なやつですよね!!」
スマホで各地域を調べながら、シュガーライドにも意見を問う。
メイクデビューのレースは殆どの地域で同じ距離が走れるが、遠征に伴う疲労なども考慮にいれる必要があるのだ。それにデビューを決めたら、そこからは早い方が良いが、7-8月はまだ暑い地域が多い。
初っ端からパフォーマンスを発揮できないのであれば、本末転倒である。
「……おや?メイクデビューの出走地域を検討されているのですか?」
「あっ!ジャーニーちゃん!!」
悩む二人の前に現れたのは、これまでもシュガーライドを助けてくれたりした先輩ウマ娘・ドリームジャーニーであった。
トレーナーは思い出す。ドリームジャーニーといえば「遠征支援委員会」を運営しており、これまで海外遠征で輝かしい実績を出してきたウマ娘たちも、彼女のバックアップあってこその活躍だと言えるほどだ。
「ジャーニーちゃんはどこが良いと思いますか!?」
「そうですね……」
ドリームジャーニーの提案>>129(それなりに長文を希望)
129 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/05 19:15:29 ID:3Gc5tETkaY
あげ安価下
130 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/05 21:44:59 ID:3Gc5tETkaY
まあ、なかなか来ないな。
131 : アナタ   2024/08/05 23:12:25 ID:vdpYWH02uo
ドリジャの思考でわりと長文となると全然わからん!
ってなるのかもなった
安価なら下で
132 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/06 01:11:03 ID:mjpd3mx3Mg
>>131
なんで!なんでレスをしたぁーっ!!!


……もう自分で書いてみるか……
133 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/06 06:06:11 ID:mjpd3mx3Mg
ドリームジャーニーは懐からタブレットを取り出すと、慣れた素早い手つきで情報の検索を始めた。そして数分後、結果が出たようだ。
「まずは遠征の必要がない……近場の話からしましょうか。
学園、又は寮からなら、駅で電車を使ってすぐの東京レース場ですね。移動距離が極めて短く、伴う負荷も限りなく最小に抑えられるでしょう。
次点では千葉まで行く必要がありますが、中山レース場があります。ここからでは同じく、そう遠くない距離ですね」

都内近辺の話が終わると、次にジャーニーは遠征となるレース場の話題に移った。
「ここからは遠征の必要があるレース場です。新幹線や航空を使えば遠くはない距離ですが、時間的・精神的余裕を考えて1、2日前からの滞在が有効でしょう。
今の時期でも涼しいのは、中部の新潟や東北の福島、そして北海道の各レース場ですね。逆に冬はパフォーマンスが落ちるウマ娘もいますが。
次に関西方面のレース場です。愛知の中京レース場や京都のレース場、兵庫の阪神レース場があります。この辺りは、レース前後の観光目的で選ぶウマ娘も少なくはありません。
そして最後に九州・小倉レース場ですね。田舎というイメージを持たれることが多いですが、用意された収容人数に見合うだけの観客が毎週やってくるので、他に劣ることはないでしょう。 ……こんなところでしょうか」
134 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/06 06:06:31 ID:mjpd3mx3Mg
説明を終えたジャーニーは、タブレットをしまうと一考する。
それも1分程度であり、すぐに結論を出した。
「ここまでは各地域の説明でしたが、どこがいいかという質問に答えるとなると……私のおすすめは新潟か福島でしょうか。暑すぎず寒すぎず、やはり夏の時期にメイクデビューを迎えるならばこの辺りです」
なるほど……と感心するシュガーとトレーナー。
右も左もわからない状況なので、今回はドリームジャーニーの意見に従ってみようと考えた。
「じゃあ、さっそく選んじゃいます!わたしの初レースの場所は……」
>>135
135 : トレぴっぴ   2024/08/06 06:47:08 ID:PTSdazYk6.
中山
136 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/06 08:14:20 ID:mjpd3mx3Mg
「え、今の話の流れで中山を選ぶんですか」
シュガーライドが出した結論は、メイクデビューの地を中山レース場にするということだった。
それに少し困惑するジャーニー。
「やっぱり初めは近場が良いかなーって。それにわたし、千葉のほうに行ってみたかったんです!!ほら、遊園地があるじゃないですか!!」
シュガーがスマホで見せたのは、千葉にある日本最大のテーマパークのサイトだった。
「なるほど、その目の輝かせ方……千葉でも十分に満喫できそうですね。レースも観光も」
嬉しそうなシュガーを見て、ジャーニーは納得したらしい。
137 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/06 08:14:37 ID:mjpd3mx3Mg
「じゃあ、初レースは中山レース場で決まりね。一番早くて……1週間後。どうかしら?」
「早いですね!でも、すぐレースできるって思うと、今からもうウズウズしちゃってます!!」
「よし、さっそくエントリーを済ませておくわね。芝で、2000m……っと」
トレーナーは専用のスマホで、URAのページからメイクデビューのエントリーを進めていく。
「2000mですか。シュガーさんの適性を見るには無難な距離ですね。私も応援していますよ」
「ありがとうっ、ジャーニーちゃん!!」
ドリームジャーニーからのエールも受けて、シュガーライドは気合を入れる。
そしてその後は、ゲート試験なども難なく突破し……。
1週間後。ついにメイクデビューの日を迎えた。
「私たちも、後で応援に行きますからね!!」
「頑張って、シュガーちゃん」
「はいっ!お二人とも、ありがとうございます!!」
スペとスズカに見送られ、シュガーライドは手荷物とともに寮をあとにする。
外でタクシーを止めていたトレーナーと駅へ向かい、電車に乗って、いざ中山へ。
天気は、良バ場が間違いなしの快晴。少し暑いくらいの夏の天気という感じだ。
がたんごとんと電車に揺られながら、シュガーライドはドキドキしていた。
(やっと、わたしもレースに出られるんだっ!!)
緊張などは一切なく、純粋な楽しみだけがそこにはあった。
>>138->>140
138 : アンタ   2024/08/06 16:27:24 ID:T59fLWlbJg
まずレースコース(本バ場)の様子を見に行ったシュガー
「これが練習じゃない本番のレースコース・・・私たちウマ娘が本気でぶつかり合うターフ・・・」
139 : トレーナーさん   2024/08/07 00:01:00 ID:pwEDu4G8Zs
シュガー「あ、福三の焼きそば美味しそう・・・あっ翠松楼のラーメンも・・・」
140 : アナタ   2024/08/07 06:56:11 ID:6H9Gr89uaM
初めてのレース場を思ったより楽しめたようだ!
141 : お姉さま   2024/08/07 07:04:46 ID:x83C7i/UeY
あれが短い事で世界的に有名な中山の直線…
142 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/07 10:17:46 ID:AVSLer3TOE
「ふわぁぁぁぁっ!!これがレース場ッ!!」
競技ウマ娘とそのトレーナーは関係者用の裏口から入れるので、それを使って入場したシュガー。そして早速足を運んだ観客席……そこから見る本バ場に、シュガーは心を奪われていた。
「ここでっ!ここで走るんですよねっ!たくさんのお客さんに応援されながらっ!!」
「ええ、そうよ」
「ああっ!あれが有名な中山の直線ッ!!」
興奮するシュガーに返事をしつつも、それを見るトレーナーにも自然と笑みが浮かぶ。
(ここまで純粋に喜ぶウマ娘は、なかなか居ないわよね……さすが小学生……)
今まで見てきた中高生のウマ娘たちは、こんなにも目を輝かせてレース場に興奮する者は少なかった……ので、純粋な心で興奮して喜んでいるシュガーを見るのが、うれしいのだ。
今は朝の9時。これからは未勝利ウマ娘たちのレースが始まるが、シュガーの出るメイクデビューは12時過ぎだ。
「まだ時間に余裕があるけど……何する?」
「そうですね……おなか空きました!!」
そういえば、とトレーナーはハッとした。自分もシュガーも、朝は何も食べずに来た。
よくここまで平常でいられたなと驚くとともに、そのツケが回ってきたかのように腹の虫が泣き始める。
「とりあえず……食べに行きましょうか」
二人は観客席から離れ、屋内へ。フードコートのエリアを目指すのだった。
143 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/07 11:26:56 ID:AVSLer3TOE
助けてくれ!!!これ以上、中山競馬場がわからない!!!!

てか小倉しか現地行ったことないです!!!!
144 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/07 12:13:32 ID:AVSLer3TOE
ここはもう、時々登場するめっちゃ書ける人に任せる……>>145から、大体レース時間ちょっと前くらいまで。
中山レース場と食についてを……。
145 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/07 20:13:07 ID:AVSLer3TOE
保守?上げ。安価下。
前スレみたいな文章バケモノの人、来ないかな……(他力本願)
146 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/08 14:39:14 ID:mwqXMn1BNg
二人が地下まで降りてやってきたのは、とても大きなフードコートエリア。
まだ時間が早いため、人並みはまばらだが……お昼時になると飲食用の座席の取り合いや譲り合いが発生するほどに、人であふれかえる場所だ。
「わぁーっ!なんでもあるんじゃないですか!ここっ!!」
シュガーは、ウマ娘としての”食”に対する本能が刺激されるのか、出展している店舗に目を輝かせている。
そして彼女はいつの間にか、雑誌のようなものを手にしていた。
「シュガー、それは?」
「これはですね、各レース場をもーらした、食とエンタテイメントのガイドブックです!!」
持っているそれは創刊号で、590円……次もあるの?とトレーナは少し困惑する。
「昨日の夜はこれをざーっと読んでいたんですが、じっさいに来てみるとすっごくワクワクしますね!!!!」
おそらくシュガーライドは、ネタバレを聞いてもそれを楽しみにするタイプなのだろうと、トレーナーは思った。
147 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/08 14:39:54 ID:mwqXMn1BNg
「あっ、永福の焼きそば屋に……あっちには確か……すいしょーまつのラーメン屋!」
「ちょっ、はっ、速いわよッ!時間はあるから!!」
小柄ながらも圧倒的な腕力差にトレーナーが勝てるはずもなく、様々な店舗を見て回るシュガーライドに引っ張り回される。
だが、不思議と悪い気はしなかった。レース場を楽しめている、緊張もしていなさそう……本番ではしっかり走れるはずだと、トレーナーはシュガーに改めて期待を寄せた。
「な、何を食べるにしてもっ、腹八分目にしといてね!?」
「あっそうだった!レース前に眠くなったら大変ですもんね!!」
シュガーは、自身の体質である血糖値スパイクをまだ克服できてはいなかった。
しかし、十分な野菜や健康茶とともに食事を摂ることで、ある程度緩和はできている。
それでも一般的なウマ娘より食事量を減らさなければならないのだが、ここ数週間で彼女の身体は着実に成長できている。トレーナーはそれを信じていた。


(一人でテンパってましたけど、なんとか解決できそうです。ゴメンネ)
148 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/08 15:19:10 ID:mwqXMn1BNg
「ぷはー!焼きそば、おいしかったですー!!」
永福で焼きそばを腹八分目までたらふく楽しんだシュガーは、とてもごきげんな様子だ。
(か、加減してて、あの量!?さすがウマ娘ね……)
トレーナー1杯に対し、シュガーは大を3杯。これでまだ控えめというのだから、この種族はとてつもないと、トレーナーは驚いていた。
「まだもう少し時間ありますよね!?グッズ売り場行きたいですっ!」
シュガーの希望で次に足を運んだのは、同じフロアにあるグッズショップ。
トゥインクルシリーズで活躍するウマ娘の公式グッズが売られた、ファンなら一度は足を運びたい場所である。
「うおーっ!UFOキャッチャーでもなかなか取れないぱかプチがこのお値段でっ!?あっちにはウイニングライブ用のペンライトっ!!」
たくさんのグッズに、これまた目を輝かせるシュガー。
しかし、ふと、彼女は足を止めた。
「らい……ぶ?」
「______あ」
小さく発した言葉を聞いたトレーナーは、気付いた。シュガーも、気づいてしまった。
「ういにんぐらいぶの……れんしゅう……してないです……」
トゥインクルシリーズのレースと言えば、1着でもそれ以下でも、応援してくれたファンに感謝の思いを伝えるための、ウイニングライブがある。
が、しかし。
シュガーライドはこれまで、レースに出て走ることを考えるしかなかった。それに向けてとても忙しかった。
ダンスレッスンを一切受けていない。
「どどどどどど、どうしましょうトレーナーさん!!!!!」

レースまであと2時間。体操服へ着替えたり、パドックへの参戦の時間も含めると、あまり使えない。
どうする?というか何ができる?
>>149
149 : トレーナーちゃん   2024/08/08 15:25:04 ID:vIEd.MF8a2
トレーナーのスマホでUmatubeの過去のウイニングライブのダンス動画を見て出来る限り覚える
150 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/08 17:25:41 ID:mwqXMn1BNg
二人は急遽、控室へと向かった。
そしてシュガーライドは早々と着替えを済ませ、軽くストレッチを始める。
「んーっ……2時間で覚えられますかねぇ!?」
体を伸ばしながら、シュガーはトレーナーが即興したプランについて改めて尋ねてみた。
「覚えられるかじゃないわ、やるのよ」
いつにもまして真剣なトレーナーの、プランはこうだ。
着替え→ストレッチ→ダンス練習を2時間で終わらせ、パドックに間に合わせる。
レースに向けてのウォーミングアップは、ダンス練習を通して済ませる。
……超突貫のプランだが、やれることはもうこれしかない。
「さ、ウイニングライブはMake Debutよ。動画サイトに振り付け動画があるから、覚えましょう」
「は、はいっ!なんとしても!!!!」
タブレットで動画を再生しながら、シュガーは振り付けを覚え始める。
とある男性俳優の話だが……リズム感がないが運動ができるその男性は、役としてダンスをする際、”リズム通りの振り付け”を1本の動きとして叩き込んだという。
シュガーもそれをするつもりだ。とりあえず今回は、みっちり踊れれば良いのだ。
ところで、見ている動画はセンター……つまり1着のウマ娘の振り付け。
シュガーは、デビュー戦で2着以下になることは考えていない。
楽しく走って、勝つ。だから練習するのはセンターの振り付けだけで、良いのだ。
151 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/08 17:26:03 ID:mwqXMn1BNg
そして、2時間後。
「______どっ、どうですか!」
「なんとか様になってきてるわね。あとはぶっつけ本番だけど、いけそう?」
「はいっ!」
ある程度の振り付けを覚えたシュガー。歌の方は……まあこれも聞けないレベルではないので、今日を乗り切ってから考えようということになった。
蹄鉄をしっかり打った競走用シューズに履き替え、水を飲んで少し一息入れてから、シュガーは表情を引き締める。
「……じゃあ、トレーナーさん。いってきますっ!」
「ええ。楽しんできて!」
楽しく走って、勝つ。その思いを胸に、シュガーライドはターフへ向かうのだった。

『さあ!中山レース場も5Rに突入だ!メイクデビューに挑む9人のウマ娘たちは、どのような走りを見せてくれるのでしょうか!?』
12時をまわり、客席にも人が増えてきた中山レース場。
このレースでメイクデビューを迎えるウマ娘たちが、続々とパドックに姿を見せていく。
『そして最後に登場するのは、期待の飛び級ウマ娘! 、1番人気、シュガーライドです!』
実況の声とともに、シュガーライドがパドックに登場した。
(これが、レースに向かうウマ娘さんからみた景色……)
(ていうか、1番人気……えーっ!?)
観客に向けている表情はキリッとしていたが、内心は自分の評判に驚くシュガー。
だが、彼女はその期待すらもエネルギーに変えようと思った。
なぜなら今、ものすごく楽しみだからだ。そのすべてが。
152 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/08 17:37:25 ID:mwqXMn1BNg
シュガーライドの枠>>153
レース展開>>154
153 : トレ公   2024/08/08 17:42:49 ID:vIEd.MF8a2
1枠2番
154 : 相棒   2024/08/08 17:49:47 ID:LBWhxC3Pkc
ややスローペース、先頭からシンガリまで約10バ身
155 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/08 18:31:20 ID:mwqXMn1BNg
『ターフに集うは9人の新人ウマ娘たち。スムーズにゲート入りが進み、出走の時を待っています』
内枠となる2番ゲートに収まったシュガーライドは、ゲート内でもいろいろなことを考えていた。
自分よりも大きなお姉さんウマ娘たちのことだったり、ターフの感触だったり。
だが、一番は。
(たのしみ、ですっ!!)
細かい作戦指示もされていない。まずは自分の思うように楽しく走ってほしいとだけ。
彼女の心の中はもう、走りたい気持ちでいっぱいだ。
『最後の一人がゲートイン。各ウマ娘体勢完了か……今、スタートしました!』
ゲートが開き、ウマ娘たちが一斉に飛び出していく。
『さあ、誰が行くでしょうか。まずは4番と8番がハナを奪い合っている。1番人気のシュガーライドは最後方、後半届くでしょうか?』
これを出遅れだと思う観客もいるかも知れない。だが、
(よしっ、たぶんいいスタートなんです!!)
シュガーライドにとっては、最良の位置取りだった。
ポテンシャルの高さはわかっているものの、2000mは未知の距離。そして自身の脚質と合わせて、シュガーライドはギリギリまで脚を溜められる最後方を走ることを選んだのだ。
『最初の1000mは60秒ジャスト。ややスローな展開です』
2コーナーを回って向正面。レースは淀みなく進行している。
(すごいっ、これがレース!足音がたくさん聞こえて、わくわくするっ!!)
最後方に居て、その前方を2、3人のウマ娘にカバーされている状態であったが、今のシュガーにはすべてが新鮮で、楽しいものであった。
『先頭からシンガリまでおよそ10バ身。3コーナーを回って最終コーナーへと進みます。誰が最初に仕掛けるか!?』
156 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/08 18:31:46 ID:mwqXMn1BNg
シンガリといえば今はシュガーライドであり、スローペースで10バ身もの間隔が開いているのは、後方からくるウマ娘には少し不利な展開だ。
前のウマ娘の脚が生きていることも多く、先行勢が逃げ粘ることも少なくはない。
そんな状況で突入する最終直線。4コーナーを抜けて、残り400m。
(あっ……ここからっ!!)
もうすぐゴールだと気づき、シュガーが動く。
『おーっとここでシュガーライド!凄まじいまくりで大外から上がってくるぞ!!』
タマモクロスたちとの走りで見せた、大股でありながらもその間隔がとても小さい、高速なストライド走法。
その走りで、内を走るウマ娘たちをどんどん追い抜いていく。
「はあぁぁっ!!」
『シュガーライド、先頭を走る8番を追い抜いて先頭に立った!凄まじい走りで心臓破りの坂も難なく突破し、いま1着で、ゴールっ!!』
ラストスパートを掛けるその間、シュガーライドは終始笑っていた。そしてそのまま、楽しくゴールしたのである。
「よしっ!!」
観客席で小さくガッツポーズをするトレーナー。
そしてゆっくりとスピードを落とし、止まるシュガー。
(あ……デビュー戦……勝ったんですね……)
「はぁ……はぁっ……やっ、やったぁー!!」
あれだけの大まくりをして、息は荒かった。だがその笑顔を崩さず、シュガーライドはデビュー戦の勝利を喜ぶ。
彼女のレースは、まだ始まったばかりだ……。
157 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/08 18:32:27 ID:mwqXMn1BNg
次の展開>>158>>160
158 : キミ   2024/08/08 18:38:31 ID:vIEd.MF8a2
ウイニングライブも大成功
159 : お姉さま   2024/08/08 20:44:13 ID:JI7FkGQuyk
大外まくりの豪快な走りとライブの出来から一躍今期の期待の星に!目の肥えたファンからは今年の菊花賞ウマ娘は決まり、あわよくば三冠も!?との声も
160 : お前   2024/08/08 21:47:32 ID:vIEd.MF8a2
早速、雑誌『月刊トゥインクル』の記者である乙名史悦子から「期待の新星に密着取材を」との要望が。
161 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/09 03:37:09 ID:OCmbApAAho
「トレーナーさんっ!! やりましたっ!!」
控室に戻ると、大喜びのシュガーは改めてトレーナーに勝利報告をする。
力いっぱいの握手に応えながら、トレーナーも称賛の言葉を送った。
「凄いわ。デビュー戦で初勝利、しかもあれだけの結果! ……それと」
「はい?」
称賛と同時に、トレーナーは”あの疑問”を投げかける。
「走ってて、楽しかった?」
それに対し、シュガーは迷わず答えた。
「はいっ!すっごくっ!!」
その表情から飛び出した言葉には一切の曇りがなく、
本気で走れたのだと実感するトレーナー。
「あ、そうだ!トレーナーさん!ライブって夕方ですよね!」
「そうだけど……」
「しっかり1着になれましたし、もうちょっと練習しませんか?」
ダンス練習を提案するシュガーライドからは、レースでの疲れはほとんど見えない。
プレッシャーもなく、先ほど以上に集中して取り組めるだろう……そう思い、トレーナーはライブに向けてのダンス練習を再開することにした。
途中、軽食も挟みながら、数時間後……。
162 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/09 03:37:38 ID:OCmbApAAho
『さあ!ウイニングライブの時間がやってまいりました!センターを飾るのは、圧巻の大まくりでレースを制したこのウマ娘ッ!!』
暗くなってきた中山レース場。ライブ専用の中規模なステージには、すでに多くの観客が詰めかけ、皆それぞれ応援グッズを持っている。
そして、そんな大観衆に見守られ登場したのは……。

『期待の新生ウマ娘、シュガーライド!!』
(わ、わぁ……これが、ウイニングライブっ!)
せり上がりエレベーターでステージにやってきたシュガーライドは、たくさんの観客たちに驚き、息をのむ。
(ま、まだデビュー戦だけど、もしGIで勝てたら、どんなことになるんでしょうか!!)
彼女の脳内では一足先に、GIレースで勝った後の話を想像していた。
観客も歓声も、今の比ではないだろう。
そんな景色を思い描きながら、彼女はスタンドマイクを手に取る。
「えっと、シュガーライドですっ!きょうは、楽しいステージにしていきましょうっ!」
まだ大それた言葉も何もないけれど、今日は楽しい走りができて、それを応援してくれた人たちに感謝を伝えたい……そんな思いを胸に、シュガーは歌って踊る。
活舌は安定していないが、子供らしさのある元気な歌声。そして、何時間も練習したキレのあるダンス。センターに特化したおかげでもあるだろう。
初めてのレースに、初めてのライブ。どちらも、大成功で幕を閉じるのだった。
163 : 貴方   2024/08/09 03:46:00 ID:47WW.AvmxI
>>159
メイクデビュー中山2000mなら菊花賞より皐月賞では?
それとも目の肥えたファンが皆何故かステイヤーだと見抜いてるって事?
164 : トレ公   2024/08/09 03:52:18 ID:OCmbApAAho
>>163
後者でいいんじゃないですかね
165 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/12 04:22:51 ID:cmCOWRzSJk
次の日。トゥインクルシリーズ専用SNS「U」では、すでにシュガーライドの話題で持ちきりになっていた。

『メイクデビューのあの娘、凄かったよな』
『身体が小さいね……ってか小学生!?』
『あのまくり方は並のウマ娘にはできないと思う』
『歌とダンスもよかった。推す』
『3冠も目指せるくね?』

午後3時頃。トレーナーはスマホでそれを眺めながら、屋内トレーニングルームでシュガーを待つ。
(いきなり有名人……胃が痛いわ……)
世間からこれだけの期待がかかっているのだ。トレーナーとしてもシュガーの環境にかかわってくる要素を潰すわけにはいかない。
掛けられた期待が重い。
「トレーナーさんっ!わたし今、SNSで有名人になってるって!!」
(まあ、そりゃそうか)
ジャージを着てやってきたシュガーライドの瞳は純粋なキラキラオーラを放っているようだった。その眩しさは、不安や心配などが混ざっていては絶対に成せないものだと思い、
杞憂だったなと納得するトレーナー。そして、用意していた次の計画シートをタブレットで見せる。
「ほうほう……次のレースはGIII札幌ジュニアステークス……え?いきなりじゅーしょーを走るんですか!?」
驚くシュガーに、トレーナーは説明を始めた。
166 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/12 04:24:06 ID:cmCOWRzSJk
「良い?私は、あなたにそれだけの力があると思ってる。多分、他のウマ娘に決して劣らない、あなただけの力が」
「わたし、だけの……」
「そうよ。この調子で走っていれば、きっとそれが”シュガーライドを形作るもの”になっていくはず。 ……要は、あなたにしかできない走り、ね」
小柄でありながら、勝負どころでは異質な末脚を使うことのできるシュガー。
それは同年代のウマ娘にも、先輩ウマ娘たちにも中々マネできないものだ。
自分だけの走りを確固たるものにすれば、GIどころかクラシック3冠にも手が届く……トレーナーはそれを信じている。
「わっ、わかりました!GIIIにでて、えっと……はずみをつけますっ!!」
少し考えて、納得したシュガーの目が、また熱く燃えだした。
次の舞台は8月下旬の札幌。東京と比べるとこの時期でも冷たいが、きっと温めてくれるに違いないと、トレーナーは期待を寄せるのだった。
そして屋外に出て、トレーニングを始めていると……。
167 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/13 05:38:11 ID:0xVA54Iu4.
「すみませんっ!お時間よろしいでしょうか!!」
トレーナーに、一人の女性が話しかけてきた。カメラや手帳を持っていて、動き回るのに良さそうな服装……これらを見て、トレーナーは直感する。
「……記者の方ですか?」
「そうです!!私、雑誌『月刊トゥインクル』の記者で、乙名史悦子と申します!」
トゥインクルシリーズを特集する人気雑誌の記者を名乗るこの女性。
トレーナーがまだ何も言ってないのに、既に目を輝かせているようだ。
話を聞いてみると、まだ10歳でありながら鮮烈なデビューを果たしたシュガーライドに、
とても興味があるという。
「密着取材、させていただけませんか!!!!!」
なんというか悪意はないが圧が強いこの女性記者に、トレーナーは……。
>>168
168 : あなた   2024/08/13 05:43:39 ID:im.4hB/1Qk
1日(24時間)だけですよ。但し、シュガーが嫌悪感を抱いたらその場で即終了です。それでも良いなら密着取材しても構いません。
169 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/13 06:34:30 ID:0xVA54Iu4.
「トレーニングの間なら構いません。ただし、シュガーやその他のウマ娘たちに悪い影響がないように、お願いします」
「すすす、素晴らしいですっ!!」
どうやら、担当だけではなく周りのウマ娘にも配慮した提案に、いい評価をもらったようだ。トレーナーは一瞬困惑したが、乙名史記者といえばこんな性格だったなと納得する。
「ではさっそく、撮らせていただきますね!」
そして乙名史記者は、持っていたデジカメを構えて、シュガーライドの練習風景を撮影し始めた。 
その日の夜……。
「かんぱーいっ!!」
寮の一室で、小さなお祝いパーティーが開かれていた。
祝われているのはシュガーライドで、祝っているのはスペとスズカだ。
それっぽいグラスになみなみと注がれたなまはげジュースを飲みながら、シュガーはご満悦に浸っている。
「初勝利、おめでとう」
「おめでとうございます、シュガーさん!」
「えへへ。お二人とも、ありがとうございますっ!」
昨日は、帰ってきてすぐにシュガーが眠ってしまったため、今日のこの時間にお祝いパーティーを開くことになっていたのだ。
「ところで、次のレースはもう決まってるんですか?」
「はい!札幌ジュニアステークスです!」
「いきなり重賞ですか!頑張ってください!!」
スペもスズカも、シュガーのことを心から祝い、応援してくれている。
シュガーはそれに応えねばと思った。またこんなふうに祝ってもらえたら、自身にとっても嬉しいものである。
そして、明日からも頑張ろう……そう思えたのだった。

>>170>>173
170 : トレーナーちゃん   2024/08/13 09:32:57 ID:im.4hB/1Qk
トレーニングの合間にお茶をしようと思いカフェテリアを訪れたら、今日は誰かの誕生日らしくケーキが全品半額でラッキー!
171 : お姉さま   2024/08/13 10:07:21 ID:FlAx4OaFDY
そして手にしたスイーツを食べようとすると…
「そんな!?昨日から食べたかったメロンパフェを半額で入手するチャンスが…こんなのあんまりですわ!絶対に許しませんわよゴールドシップさん!」という怒りの声が…
哀れに思ったのでたまたま購入していたメロンパフェを声の主に譲ってあげた
そして話を聞いて見ればなんとそのウマ娘はステイヤー系の名家の期待の星だった!
お礼に後日長距離の極意を教わる事になった!
172 : お姉ちゃん   2024/08/13 10:10:52 ID:FlAx4OaFDY
あ、マックちゃんが怒ってるのはゴルシに振り回されてカフェに行くのが遅れたせいです。無駄にレスしてすいません
後1つ ↓
173 : お姉ちゃん   2024/08/13 10:22:40 ID:5aYnfP5YS.
>>171>>172
(文脈的にゴルシのせいでパフェを買えなかったって事か…?)

ついでにゴルシからも同じ後方からの捲りが得意という事で色々教えてくれる事になった(真面目にレース技術を教えるとは言ってない)
174 : モルモット君   2024/08/14 13:46:04 ID:JuopfQKb/Y
>>173
それです!全然補足出来て無かった…すいません
175 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/15 05:06:08 ID:FVCDezNPk2
そして次の日。
今日の放課後は時間に余裕があったので、シュガーライドはトレーニング前にカフェテリアで糖分補給に勤しむことにした。

「わぁー!この時間のカフェテリア、めったに行かないので……こんなにスイーツがあってびっくりです~!!」
ビュッフェ形式で並ぶ豪華絢爛なスイーツたち。
ショートケーキなどの定番メニューや、パティシエ監修の装飾が施されたスイーツがたくさんある。
(……あ、あれは!!)
ふと、テーブルの端のほうに目をやってみると……”特別なメニュー”が掲示されていることに気がついた。
「なになに……おたんじょうび記念……いつもなら1000円のメロンパフェが、半額以下の250え______」
ビュッフェ外の有料メニューであるメロンパフェは、レースで戦績を重ねた一部のウマ娘しか気軽に手が出ないような、良いお値段の限定商品だ。
それが250円で売っている。なんとオトクなことだろうか。
しかし、それを読み上げていた次の瞬間、押し寄せてくるバ群の波に飲まれていくシュガーライド。
(し、しまった!すっごいオトクすぎて、ウマ娘さんたちがこんなに!! ……でもっ!!)
正直なところ、メロンパフェを買いたい。食べたい。
その気持ちに正直になることを誓ったシュガーは、走る構えをとった。
「わたしは、追込ウマ娘なんだーっ!!」
一気に駆け出す。小柄な身体を利用してバ群の隙間を抜けていく。
そして……!
「め、メロンパフェ、ひとつっ!!」
176 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/17 01:37:44 ID:OSTdwbi4M2
多忙のため更新頻度ダウン
177 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/18 17:33:49 ID:XXF81bYPXI
(か、買えた!!!メロンパフェ、買っちゃいましたぁー!!!)
メロンパフェ争奪ステークスをくぐり抜けたシュガーライドは、席に座ってその最初の一口を頂こうとする。
メロンクリームも練り込まれたバニラアイスから行くか、それとも三日月型に切られた一切れのメロンから行くか、悩んでいると……。
「そんな!?昨日から食べたかったメロンパフェを半額で入手するチャンスが…こんなのあんまりですわぁぁぁぁぁっ!!」
(ん!?)
レジの方から悲鳴のような叫びが。
恐る恐る振り向くシュガー。その目に映ったのは、芦毛のウマ娘が芦毛のウマ娘にプロレス技をかけている姿だった。
「絶対に許しませんわよ!ゴールドシップさん!」
「いでででででで!わ、悪かったってマックちゃん!まずはこれほどいてくれよ!?」
(あ……)
技をかけている方のウマ娘に、哀れみを覚えたシュガーは……立ち上がって、持ってきた。自分の買ったメロンパフェを。
「あの……メロンパフェ、食べます?ぜんぶ」
「ええっ!?いいんですの!?」
その芦毛のウマ娘は、シュガーライドの突然の申し出に目を丸くしたが、どうぞどうぞというシュガーの気持ちを汲み、しぶしぶパフェを受け取った……。

「______はぁ、助かったぜ。サンキューな、えっと……」
「あ、シュガーライドです。そちらのお名前は?」
「アタシはゴールドシップ。で、あっちで嬉しそうにメロンパフェを食べてるのが……メジロマックイーンだ」
(……めじろ?)
178 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/18 17:35:35 ID:XXF81bYPXI
ゴールドシップから名を聞いて、シュガーは何かを思い出しかけていた。
(えと……そ、そうだ!わたし、会ってます!メジロブライトさんとメジロライアンさんに!!)
完全に思い出した。学園に来て以来、メジロという名のついたウマ娘2名と知り合っていたことを。それをゴールドシップに話してみると……。
「へぇ、オメーすげぇな!メジロといえばレースでもエリート揃いのお金持ちのトコだ。学園に来てすぐ二人と知り合えるなんてよ」
(おかねもち!?)
つまりはお嬢様ということになる。
「あの人も……」
パクパクとメロンパフェを食べているマックイーンを見て、”とてもそうは見えない”と思うシュガー。
「______今、お嬢様には見えないとか思いませんでした??」
「ひっ!」
いつの間にかパフェをたいらげたマックイーンが、眼前に立っていた。
驚くシュガーに、マックイーンは話を続ける。
「改めまして、メジロマックイーンですわ。先程のことは感謝してもしきれません、シュガーライドさん」
「あれ?わたし自己紹介しましたっけ……」
「ブライトから話を聞いていましたの。あなたも私と同じく、ステイヤーを志すウマ娘……食後の運動も兼ねて、併走しませんこと?メジロの名を背負う覚悟とその実力、お見せしますっ!!」
179 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/19 16:02:07 ID:KpsCyYsVd.
「……シュガー、あなたの人脈が怖いわ……」
トレーニングの時間になり、グラウンドにやってきたシュガーライド。トレーナーはその隣に立つメジロマックイーンを見て、シュガーが短期間で実力派の先輩ウマ娘たちと知り合えていることに唖然としている。

「では、早速始めましょう」
「はいっ、よろしくお願いしますっ!!」
先の一部始終と併走の件をトレーナーに伝えた後、二人はスタート地点に立つ。
距離は同地点からの一周2000m。シュガーライドの要望に、マックイーンが応えてくれた形だ。
(マックイーンさん、どんな走りをするんだろう?)
(シュガーライドさん……メイクデビューを勝ったばかりとはいえ、ブライトが目をかけるその実力、警戒していきますわよ!)
未知なる相手との走りに心を弾ませるシュガーと、始まったばかりの実績……それ以上の力を警戒するマックイーン。両者思惑は違えど、やる気は十分。
「じゃあ、そろそろ行くわよ。よーい……」
トレーナーの合図で、二人は構える。そして、
「ドン!」
スタート。それと同時に瞬時に走り出す両者。
本番のレース基準で考えても出遅れはないだろうと感心するトレーナーは、すでにかなり先を走っている二人を見守り始めた。
(後ろから……追い込むつもりですわね?)
最初のコーナーを通過し、先頭を走るマックイーン。
おそらく自身の4バ身ほど後ろを走るシュガーの作戦を予想しながら、ペースをキープする。
(それならば、最終コーナーで一気に引き離します!)
180 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/19 16:03:51 ID:KpsCyYsVd.
______時を同じくしてシュガーライドは、マックイーンを追うように走っている。
(すごいっ、これがメジロマックイーンさんの走り……うん、楽しいっ!)
自分の気持ちをわくわくさせてくれる相手との併走……というかこれはもはや模擬レースであるかもしれないが、シュガーライドの気分はじわじわと高まっていた。
そしてそのまま、バ身を維持したまま2コーナーを曲がる。
仕掛けどころはまだ先。このレースの行方は……>>181
181 : お姉さま   2024/08/19 18:51:18 ID:lJkdsk72qI
アタマ差
182 : アナタ   2024/08/19 18:54:21 ID:KpsCyYsVd.
>>181
アタマ差の、……!?
183 : 貴様   2024/08/19 19:00:41 ID:KpsCyYsVd.
勝敗は委ねるってことでいいですね!?!?!?
184 : 貴方   2024/08/19 19:01:06 ID:lJkdsk72qI
>>183
よろしくお願いします
185 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/20 19:21:53 ID:3rDdJ1X6ss
二人ともに一歩も譲らず、余力を保ったまま、最終コーナーを曲がる。
ここからが本当の真剣勝負。逃げ切りか、差し切りか。
「このタイミング……ですよねっ!」
後方にいたシュガーライドが得意の加速走法でメジロマックイーンを追い始める。
前回のレースで勘を養ったのか、踏み込みには自信が宿っていた。
ここでスパートをかければ確実に追い越せる、その気持ちを胸に前へ進出していくシュガー。
(なるほど、これが……!ですが、私もメジロのウマ娘として、負けるわけにはいかないんですのよっ!)
未熟で小柄な身体からは想像も付かない脚を使ってくるシュガーに対し、マックイーンは一歩も引かない、屈することはない。
前の方を走ってはいたものの、脚は十分に溜まっている。
それを、一気に、爆発させる……!!
「はぁぁぁぁぁっ!!」
「だぁぁぁぁぁっ!!」
最終直線。二人は激しい競り合いに突入。
並ばせない、追い抜く……両者の意思もぶつかり続ける。
この場の空気感はもはやGIレースに匹敵するほど熱く、高まっていた。
が、そんな時間も、終わりの時______。
「えー……ビデオカメラによる写真判定の結果、1着はアタマ差でメジロマックイーンでした。シュガーライドもお疲れ。すごい走りだったわ」
ゴールしてから10分もの映像判定が行われ、今回の併走はメジロマックイーン1着という結果で終わりを告げた。
「はぁっ……負けたけど……やっぱり走るのってすっごく楽しいです!」
「私も、併走とは思えないほどの熱いレースができて、とても楽しめましたわね」
シュガーライドとメジロマックイーンは握手を交わし、公式戦での再戦を誓う。
願わくばそれは、GIレースで。
186 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/22 06:45:03 ID:gATzVCGUrs
メジロマックイーンとの併走から数日後。
札幌ジュニアステークスへの出走を間近に控えたシュガーライドは、いつものようにトレーニングを終えていた。
普段通りの生活を送りながらも、毎日少しずつ、何かが違ってきていると心のどこかで思っている。走るたび、鍛えるたびに自身の成長を感じているのだ。
(あれ?なんか今日、まだ走れそうです……)
グラウンドのベンチで水分補給をしながら、シュガーは予感めいたものを覚える。
脚に余裕があり、軽いペースならもう少し走れるかもしれない……と。
そう思うと、はやる気持ちを抑えられなくなっていく。
走れるなら、もっと走りたい。
「トレーナーさん!えっと……」
「シュガー、どうかした?」
「なんだか落ち着かないので、くーるだうん行ってきてもいいですか!!町中を走りたいですっ!!」
こうしてシュガーライドはトレーナーに許可をもらい、学園の外……町中での外回りに向かうのだった。


>>187(外回り中に起きる出来事と、出会うウマ娘)
187 : トレーナーさま   2024/08/22 07:17:54 ID:dAywy.xSII
何かをやらかしたと思われるパーマー、ヘリオスとそれを鬼の形相で追うエアグルーヴに巻き込まれ、何故か一緒に爆逃げするハメに
188 : トレぴ   2024/08/22 07:23:15 ID:gATzVCGUrs
(わたし追込なんですけどね!?)
189 : トレーナーさん   2024/08/22 07:34:31 ID:dAywy.xSII
火事場の馬鹿力って事で…(忘れてた何て言えない…)
190 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/22 10:26:07 ID:gATzVCGUrs
「はっ、はっ、はっ……」
ビル街・商店街・公園______学園周辺のエリアを、スローペースだが軽快に走るシュガーライド。
時間あたりの進む距離は比べものにならないが、走る速度は人間のランニングレベルだ。
「マイル~中距離はよく出来ているから、長い時間・距離を走ることを見据えたスローペーストレーニングを」というトレーナーのアドバイスを受けての走法である。
(これっ、けっこうっ、きますね)
実はランニングを始めてから1時間は経過しているのだが、シュガーは身体的に少し疲れが見えてきたようだ。それもそのはず、5周は走っているのだから。
(そろそろっ、どこかでっ、休憩を……ん?)
公園まで戻ってきたころ、背後から複数の激しい足音を感じるシュガー。
本能的にウマ耳が感じ取る。まだ距離は遠い。しかし近づいてくる。凄い勢いで走っているのは間違いなかった。
「お前らぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ひぃぃぃぃぃぃ!!」
「わぁぁぁぁぁぁ!!」
(……!?)
振り向くと、悲鳴を上げながら逃げるウマ娘が二人。そしてそれを鬼の形相で追い掛けるウマ娘が一人。
逃げるウマ娘たちはとてつもないスピードで、駆け足だったシュガーを追い抜いていく。
「キミ、ちょっと手伝ってくれないか!?後ではちみードリンクをおごろう!」
「手伝うって何を!?」
「あの二人を捕まえたいのだッ!!」
追っていた3人目のウマ娘が、シュガーに声をかけてきた。
前を走る二人を捕まえれば、公園で売っているはちみーをおごってくれるとのことで……。
「わかりました、やりますっ!」
急に元気がわいてきたシュガー。
トレーニング疲れが減っていき、それはどんどんやる気へと変化していく。
191 : ◆wuHHR64l1og   2024/08/23 07:41:41 ID:SaXs3.9nUA
______スイッチが、入った。
そこからはもう、ノリノリである。
シュガーより少し先行したウマ娘を一瞬で追い抜くと、前を逃げる二人にぐんぐん迫っていく。
(……!! とてつもない加速力だ。あの娘は一体……!?)
そのウマ娘______エアグルーヴは、シュガーライドの加速力に驚きを隠せない。
彼女は、自身と同じティアラ路線を目指すニシノフラワーに近いものを、シュガーから感じていた。
そしてわずか数秒後。
「おふたり、捕まえましたぁ~!!」
「……そ、そうか!助かった!今向かう!」
少し離れたところで、逃げていた二人______ダイタクヘリオスとメジロパーマーを捕まえたことを知らせるシュガーの声を聞いて、エアグルーヴは急いで向かうのだった。

「おいしぃ~!生き返りますねぇ……」
「無理させてすまなかったな。2杯目もいるか?」
「いえいえ、大丈夫です!ありがとうございます、エアグルーヴさん!」
救援に来た他の生徒にヘリオスとパーマーを引き渡した後、シュガーは最初の約束通り、エアグルーヴにはちみードリンクを奢ってもらっていた。
「にしても、凄い走りだったな。キミは……シュガーライドは、何を目標に走っているんだ?」
「もくひょう……ですか。なんでしょうね、今はまず……GIで勝ちたいですっ!」
「そうか。走り始めたころの目標は、それくらいがまだちょうど良いだろう。頑張れよ」

こうして、はちみーとエールをもらったシュガーライドは、るんるんとした気持ちで学園に戻るのだった。
(フラワー……だけじゃない。脚質は違うが、”アイツ”に近い何かを感じるな)
エアグルーヴはそれを見送りながら、過去に偉大な戦績を残したあるウマ娘を内心に思っていた。

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