『めにしゅき♡ラッシュっしゅ!』のカメラマンをダンナにやらせるイナリワン
1 : トレ公   2025/09/01 23:38:01 ID:VfyhtktnLc
 夏。カレンチャンたちが公開したミュージックビデオの反響を受けて、トレセン学園は選抜したウマ娘たちに、ある曲でライブの撮影をして欲しいと要請した。
 その曲の名は、『めにしゅき♡ラッシュっしゅ!』である。

2 : アンタ   2025/09/01 23:41:19 ID:VfyhtktnLc
「わ、私の全力、受け止め……あーちくしょう!こっ恥ずかしくて仕方ねえ!」
 ダンスルームで練習していたイナリワンが、その場でどかっとあぐらをかいた。
「あたしには、こんな浮ついた曲は無理なんでい!」
「そう言わずに、少しずつやろう」
 イナリトレはCDを巻き戻す。曲はもちろん『めにしゅき♡ラッシュっしゅ!』だ。
「でもよ、ダンナ……今はジャージだからいいけどよ、本番はもっとひらひらした衣装なんだろ?浮ついた曲に、ひらひらした服なんて、恥ずかしくて仕方ねえや」
「バンブーだって頑張ってる。俺たちも頑張ろう。先輩として、見本を示すつもりでさ」
 バンブーメモリーがバンブートレと共に、羞恥心との壮絶な戦いをしていたのを思い出して、イナリトレは気を引き締める。
3 : 大将   2025/09/01 23:45:01 ID:VfyhtktnLc
 イナリワンは立ち上がった。
「てやんでい!よし、もういっちょやってみるか!」 
 曲が再生され、イナリワンが踊り出す。
「わ、私の全力、受けとめて?」
 歌はぎこちなかったが、振り付けは良い感じだ。
 あとは、恥じらいさえ捨てられたら……
 そう思ったイナリトレは、あることを思いついた。
「本番と同じようにやってみるか?」
「本番ってどういうことだい?」
「俺がカメラを持ってるように動くから、イナリは俺を見ながら歌うんだ」
「だ、ダンナを見ながら!?余計恥ずかしいじゃねえか!」
「だから練習になるんだ。やってみよう」
「わ、分かったよ……」
4 : トレーナー   2025/09/01 23:46:05 ID:VfyhtktnLc
 イナリトレがカメラを構えるフリをして、イナリワンはそれに向かって歌いだす。
「私の全力、受け止めて♡」
 意外なことに、完璧な歌い出しだ。
「こんなに大きくなりました♡」
 どういうわけか、全く照れる様子がない。振り付けも完璧だ。
「大事な話だから、もうちょっと……」
 むしろ、曲が進むにつれてどんどん歌声が滑らかになっていく気がする。
「ずーっとよろしくね♡」
 そして、最後まで歌いきった。
5 : お姉さま   2025/09/01 23:48:47 ID:VfyhtktnLc
「すごいじゃないか!完璧だ!今までで一番良かった!」
「な、なんでだろうな。ダンナに向かって歌っていたら、いつの間にか恥ずかしくなくなっていてよ……」
「この調子なら、本番も大丈夫だな!」
「お、おう!イナリ様に任せときな!」
 そして、二人は拳をぶつけ合って、この日のダンス練習は終わったのだった。
6 : トレーナーさま   2025/09/01 23:51:05 ID:VfyhtktnLc
 そして本番の日。専用のスタジオにてライブの撮影が行われたが、そこで問題が発生した。
 センターを務めるイナリワンが、リハーサルで全く歌えなくなってしまったのだ。
「イナリワンさん、お願いします!」
「お、おう!わ、私のぜ、全力……てやんでい!べらぼうめい!」
 ひらひらのカワイイ衣装で、イナリワンが地団駄を踏む。
「すみません、少し時間を下さい!」
 すかさず、イナリトレがイナリワンに駆け寄る。
7 : トレぴっぴ   2025/09/01 23:53:33 ID:VfyhtktnLc
「練習の時は、上手く行ってたじゃないか」
「あ、あれは、ダンナが……」
「俺が?」
「てやんでい!ダンナに向けて歌っていたからできたんでい!」
 イナリワンの声で、撮影スタジオが静まり返る。
 まずい、イナリは勢いでとんでもないことを叫んでしまったのではないか?
 イナリトレが冷や汗をかいていると、
「イナリトレさん」
 とカメラマンが声をかけてきた。
「は、はい」
「カメラをお願いできますか?」
「俺にですか!?素人ですよ!?」
8 : トレぴっぴ   2025/09/01 23:57:39 ID:VfyhtktnLc
 ライブのカメラマンは、専門技術のスペシャリストである。
 複数のカメラによる撮影を前提とした位置取り、最適なピントの合わせ方、さらにはライブの進行に合わせたカメラの移動。
 素人には絶対に務まるものではない。
「むしろこの曲なら、イナリトレさんが適任かもしれません」
 カメラマンは言う。
「センターの目の前に位置取って、カメラを持って移動するだけですし、少々の手振れなら編集で補正できます。それ以上に、イナリトレさんがカメラを持てば撮影が進むというなら、やってみる価値はあると思います」
「でも、位置と言われても……」
「僕がきちんと誘導します。まずはリハでやってみましょう」
「……分かりました」
9 : お兄さま   2025/09/01 23:59:29 ID:VfyhtktnLc
 イナリトレは、指示された位置でカメラを構え、イナリワンの姿を収める。
 カメラ越しに、イナリワンと目が合った気がした。
 曲が流れだす。
「私の全力受け止めて♡」 
 そして、イナリワンは顔から恥ずかしさを消して、はきはきした声で歌い始めた。 
10 : あなた   2025/09/02 00:03:01 ID:.8.WYcp8dw
 こうして、イナリトレがカメラを持ったことで、撮影は順調に進んでいった。
「なあ、ダンナ」
 撮影が終わった後、イナリワンはイナリトレに言った。
「あの歌、やっぱりダンナに向けて歌いてえや」
 そして、頬を赤くして笑うのだった。
11 : トレぴっぴ   2025/09/02 00:07:41 ID:.8.WYcp8dw
 しかし、この出来事の後、またしても問題が起きてしまった。
『めにしゅき♡ラッシュっしゅ!』を歌うウマ娘たちの大多数が、自分のトレーナーにカメラを持って欲しいと、学園に直談判をしたのだった。
「イナリが許されるんなら、ウチだってトレーナーにカメラを持って欲しいわ!」
「ボスがカメラを持ってくれるなら、本官は全力で心を込めて歌えるであります!」
「歌うのは恥ずかしいっスけど、トレーナーさんに対してなら歌えるっス!むしろ歌いたいっス!」
 この直談判を受けて、学園は撮影スタジオと話し合いを行い、この曲の撮影に限り、トレーナーでもカメラマンを務められる体制を確立した。
 かくして、今日も撮影スタジオでは、『めにしゅき♡ラッシュっしゅ!』を歌う担当ウマ娘を、カメラを持ったトレーナーが撮影するのだった。
12 : 大将   2025/09/02 00:11:16 ID:.8.WYcp8dw
【終わり】

13 : あなた   2025/09/02 05:52:29 ID:YGyFEXhXWU
こりゃまた風紀チェックが捗りそうな…
14 : キミ   2025/09/02 13:30:06 ID:v2OmJejSSE
>>13
特別な事をしなくても毎晩捗っているから、それは違う。
15 : アナタ   2025/09/02 15:02:09 ID:AgxStmbefI
…もしかしてイナリって
めっちゃ可愛いのでは…
16 : お姉ちゃん   2025/09/02 17:15:07 ID:JKQZ5bAe9E
>>15
👺

👺👍️
17 : 使い魔   2025/09/02 19:09:40 ID:mT0GLMaoQs
風紀委員のウマ娘が、めにしゅきを歌唱付きで素直に踊るとは思えないから、やはりトレーナーが関わっていると見るべき。

名前 (空白でランダム表示)
画像 ※JPEG/PNG/GIFのみ。最大サイズ合計: 8MB



画像は3650日で自動削除する
キャラを複数結合する他所様の便利なツールはコチラ
コメント スレをTOPへ (age)

※コメントは15行まで
※画像などのアップロードの近道 : http://imgur.com/
※コメント書き込みの前に利用規約をご確認下さい。

- WebPatio -