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スティルインラブVS風紀チェック
1 :
トレぴ
2025/08/26 22:11:22
ID:lbSupe2sgE
【このSSには、スティルインラブの育成シナリオのネタバレが含まれています。それに加え、スティルインラブのグッドエンディングの余韻をぶち壊しにする可能性が極めて高いです。それが許容できる方のみ、閲覧して頂きたくお願い申し上げます】
2 :
キミ
2025/08/26 22:11:53
ID:lbSupe2sgE
混濁する意識の中で、いつも……いつも、同じ問いが浮かぶ。
"もしあの時、この結末を知っていたら……どうしただろうか?"
3 :
モルモット君
2025/08/26 22:12:42
ID:lbSupe2sgE
来る日も来る日も来る日も来る日も来る日も来る日も、ひたすらに歩き続けた。
彼女をひたすらに探し続け、探し続け、探し続けた。
彼女に近づくほどに、人としての形を喪っていくのが分かる。
それでも、彼女に会いたかった。
なぜなら、俺は……彼女を……
4 :
トレーナーちゃん
2025/08/26 22:17:06
ID:lbSupe2sgE
気が付けば、見渡す限りの花畑。
理性を蝕む紅い霧も、耐えがたい焦燥も、ここには無い。
あるのは、安らぎだけ。
そう、本能が教えてくれる。
そして、花畑の中に、『彼女』が立っていた。
「トレーナーさん」
『彼女』はこちらに振り向く。
蠟のように白い肌、清らかな光の中で輝く、紅い瞳。
間違いない。ずっと会いたいと思っていた、『彼女』だ。
行かなくては。彼女を一人にしないために。ずっと傍で守ってあげるために。
彼女の下へ走り出そうとした時、背後から威勢のいい声が聞こえてきた。
5 :
大将
2025/08/26 22:19:33
ID:lbSupe2sgE
「おうバンブー!綺麗な花畑じゃねえか!」
「押忍!空から柔らかい光が降り注いでいて、まるで天国みたいっス!」
「そういや、この間、花畑で有名なデートスポットに行ったんだけどな、ダンナのやつ花畑じゃなくて、あたしの方ばっかり見やがるからよ。理由を聞いたら、『花はとても綺麗だけど、やっぱりイナリが一番綺麗だから』って言いやがったんでい!」
「押忍!世界に一つだけの花っス!」
「そう言ってくれたのが嬉しかったからよ、家に帰った後は、一晩中風紀チェックってなもんよ!」
「さすがイナリ先輩っス!アタシもこの間、トレーナーさんと花畑に行ったっス!そうしたら、トレーナーさんが花冠を作って、アタシの頭に乗せてから『なんだか、お姫様みたいだね』と風紀を乱すことを言ったっス!その後は、家でみっちり8時間の風紀チェックを行ったっス!」
「さすがバンブーだぜ!見事に風紀の乱れを収めたってわけだな!」
「押忍!風紀の乱れを収めるのは、風紀委員の使命っス!」
6 :
貴方
2025/08/26 22:21:58
ID:lbSupe2sgE
後ろを向くと、そこには腕組みをして立つ、二人のウマ娘がいた。
「き、君たちは……」
「おうおう!名を聞かれちゃ仕方ねえ、答えてやるのが世の情け!ここに現れたるは、大井の江戸っ子ウマ娘!人呼んで、頼りになるイナリワンでい!」
「風紀の乱れは心の乱れ!風紀乱れるところに、風紀委員あり!風紀委員のバンブーメモリーっス!」
二人が名乗ると、『彼女』がこちらに歩んできた。
すごく怒っている。いい所を邪魔されたかのように。
7 :
トレーナーさま
2025/08/26 22:24:46
ID:lbSupe2sgE
「なぜ、どうやって、ここに来たんですか?私たちの、私たちだけの世界に……」
「お前さんと、そこのトレーナーさんを、こっちの世界に呼び戻すためでい!」
「会長さんに頼まれたっスからね。そのために、風紀チェック次元転移を使ったっス!」
イナリワンとバンブーメモリーが答えた瞬間、花畑がさあっと紅く染まった。
一瞬にして、血の雨が降ったように。
『彼女』……スティルは、哀しそうに言う。
「……私は、そちらには行けません」
「てやんでい!そうと決まったわけじゃねえだろうが!」
「本当は、私だってトレーナーさんと一緒に居たいです。でも、トレーナーさんと一緒に居たら、トレーナーさんの身体は濃い血に耐えきれず……」
8 :
アンタ
2025/08/26 22:26:56
ID:lbSupe2sgE
「というお悩み相談っス」
「てやんでい!風紀チェックでい!」
「ふ、風紀チェック!?」
スティルの白い顔が、リンゴのように赤くなった。
新鮮な反応だ。
イナリワンは威勢よく言う。
「おうよ!あたしには分かるぜ。お前さんの中に、とんでもねえ奴がいて、そいつがトレーナーさんに悪い影響を与えてるってな」
「な、なら、なんで、ふ、ふ、風紀チェックなんて……はしたないです……」
「べらぼうめい!風紀チェックってのはな!生きようとする心でい!」
「そうっス!風紀とは、人が生きるためにあるっス!愛するために風紀チェックをするのではなく、愛する相手と生き抜くために風紀チェックをするっス!」
9 :
使い魔
2025/08/26 22:31:20
ID:lbSupe2sgE
「愛する相手と……生き抜く……」
動揺するスティルに、イナリワンは言う。
「お前さんの本能ってやつと、トレーナーさんの愛を、風紀チェックでぶつけ合わせて、うまく混ぜ合わせるんでい!」
「バケモノとバケモノを風紀チェックでぶつけ合うっス!実験っスよ!実験!」
スティルは、自分の身体を抱きしめる。
「でも、もう私はワタシじゃ……」
「てやんでい!自分を決めるのは自分自身でい!」
「それに、心残りがあるっスよね。アドマイヤグルーヴも、ネオユニヴァースも……みんなが待ってるっスよ」
「…………」
10 :
大将
2025/08/26 22:34:45
ID:lbSupe2sgE
スティルが沈黙すると、イナリワンとバンブーメモリーは俺の方を見た。
分かっている。俺にはやるべきことが、いやスティルに伝えたいことがある。
スティルの傍に駆け寄り、その細い身体を抱きしめる。
「スティル」
「……はい」
「君を、ずっと、この先も愛している」
「私も、ずっと、ずっと、愛しています。永遠に……」
そして、俺とスティルの顔が近づき……
11 :
モルモット君
2025/08/26 22:37:11
ID:lbSupe2sgE
「バンブー!この世界が脆くなったみてえだぜ!」
「押忍!現世への未練が大きくなったおかげっス!」
二人の大声で、遮られた。
スティルは頬を膨らませて、イナリワンたちを睨む。
そんな、あどけないスティルを見たのは久しぶりで、思わず笑ってしまう。
イナリワンたちは気にした様子も無く、話し続ける。
「そろそろぶち壊せそうじゃねえかい!?」
「押忍!イナリ先輩!お願いします!」
「合点承知でい!」
12 :
お兄ちゃん
2025/08/26 22:39:14
ID:lbSupe2sgE
イナリワンが拳を振り上げると、バンブーメモリーがこちらに向かって言った。
「これから風紀の力でこの世界を壊します!そしたら、スティルとトレーナーさんは、ラモーヌが手配したメジロホテルに飛ばされるんで、風紀チェックして下さいっス!」
「なんだって!?」
意味が分からず聞き返すが、時間は無かった。
「行くぜ!ダンナあああああああああああああああああああああああああ!!!」
イナリワンが拳を地面に叩きつけると、白い閃光が視界を覆いつくした。
13 :
マスター
2025/08/26 22:42:24
ID:lbSupe2sgE
気が付けば、ホテルのような部屋の一室にいた。
俺はベッドに腰かけて、ぼんやりと壁を見ていた。
はっと気が付いて、横を見る。
隣には、スティルがいた。
「スティル……!?」
とっさに抱きしめようとした瞬間、視界が歪む。
目の前が真っ赤になる。
まるで、沸騰したトマトスープの中で、氷が溶けていくように。
人間性が無くなっていく。
スティルが哀しそうに、俺を見ている。
冷たいものが、体中に広がっていく。
死の気配が、濃くなっていく。
終わり、なのか。
14 :
アナタ
2025/08/26 22:43:18
ID:lbSupe2sgE
いや、彼女を一人にできない。
せっかく、彼女を取り戻したのだ。ここで倒れるわけにはいかない。
一緒に生き抜くのだ。絶対に負けるものか。
その時、胸の奥から力が湧きあがってきた。
本能で分かった。風紀だ。
風紀の力が、めきめきと湧き上がって、熱い血が身体中を駆け巡っていく。
スティルの手を握ると、信じられないという表情で俺を見た。
15 :
トレぴっぴ
2025/08/26 22:44:15
ID:lbSupe2sgE
「と、トレーナーさん!?」
「スティル」
じっと見つめ合う。紅い瞳を覗き込み、これから相対するものを見据える。
本能と本能をぶつけ合わせて、スティルの中にあるものと正面から取っ組み合う。
そのために、これからすることは、お互いに分かっていた。
「トレーナーさん」
「なんだ?」
「……ふつつかものですが、よろしくお願いします」
リンゴのように真っ赤になったスティルは、とても可愛らしかった。
16 :
あなた
2025/08/26 22:47:42
ID:lbSupe2sgE
一ヶ月後。スティルトレとスティルインラブは、メジロホテルをチェックアウトした。
学園に戻った二人は、友人たちに喜びと共に迎えられ、心配させたことでたっぷりと叱られた。
そして、スティルインラブは寮生活をやめて スティルトレと同棲することになった。
お互いに、二度と離れたくないという気持ちもあったが、スティルトレが体調不良にならないようにするために、定期的にスティルインラブの本能とスティルトレの愛をぶつけ合って、風紀チェックをする必要があったからだ。
17 :
トレぴっぴ
2025/08/26 22:51:23
ID:lbSupe2sgE
夜。風紀チェックで混濁する意識の中で、いつも……いつも、同じ問いが浮かぶ。
"もしあの時、この結末を知っていたら……どうしただろうか?"
……何も変わらないだろう。なぜなら、スティルを愛しているからだ、今も、この先も、ずっと。
スティルトレはそう思いながら、愛する者の紅い瞳を見つめ、全力で紅い本能に愛をぶつけるのだった。
18 :
貴様
2025/08/26 22:51:33
ID:lbSupe2sgE
【終わり】
19 :
トレーナーさん
2025/08/26 22:55:08
ID:GZMDthKjfY
ハッピーエンドなんですかぁ!?
ああそうだよ終わりだよ!
ってアニメのシーン思い出した
20 :
トレぴ
2025/08/27 07:48:37
ID:ZPWa0Y46QI
(;´д⊂)イイハナシダナ-
21 :
アナタ
2025/08/27 08:26:34
ID:uI9yO.34hg
「本能で分かった。風紀だ。」
この一文で久々に爆笑したわ
まだ、まだ風紀の力でこの世界を壊すとかメジロホテルとかは耐えれたんよ
でもそこでツッコミに回ってたはずのスティトレが風紀側に回ったらもう笑うしかないって
22 :
トレーナーちゃん
2025/08/27 16:16:12
ID:6tU9lobF46
もうこれが正史でいいか(錯乱)
23 :
マスター
2025/08/27 16:56:25
ID:7CAFza3./E
このくらい雑で強いパワーじゃなきゃ、アレを覆せないのは分かる。
24 :
トレぴ
2025/08/27 17:42:50
ID:OhuPgiFNgY
後日談で風紀ラジオで話してスティルさんに狙われるのかな?(震)
25 :
お姉さま
2025/08/27 20:13:44
ID:GBDd9bvlVU
>風紀チェック次元転移
さらっとマベサンやネオユニみたいなことをするな
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