3レス毎に湿度が増すナイスネイチャ
1 : 使い魔   2023/05/17 08:34:41 ID:x6ORtBQkds
お金持ちのイケメン彼氏募集中だぜ⭐︎
レース頑張ろうぜ⭐︎

685 : アナタ   2023/11/04 22:36:39 ID:sSq96mAMiM
一応これが、人髪醤油の上位互換だね
686 : トレーナー君   2023/11/07 13:44:32 ID:OtZSuYVugU
外すげー雨だと思ってたら
やっぱ新しいのあったのな
687 : トレぴ   2023/11/12 00:43:53 ID:qCuP0v88I2
このスレまだ生きてたのか
688 : トレ公   2023/11/12 10:58:42 ID:nISXtjYVqY
>>687
ネイチャの湿度を人が求める限りは不滅…
689 : トレーナー君   2023/11/12 21:40:38 ID:MfkKmdu4PI
湿気のあまり腐った草が枯れてる……
690 : 貴方   2023/11/12 22:57:48 ID:Fe.PMOO5JI
言い方
691 : お兄さま   2023/11/16 20:08:46 ID:FfHaEQ8/Ss
なんだこのスレネチャネチャしてんな
692 : モルモット君   2023/11/17 06:27:32 ID:nx1R45Mg5Q
いいだろ?
吹きだまりだぜ?
693 : 貴様   2023/11/17 13:55:41 ID:PGyVW6EXw2
湿度が最後に行き着く場所
694 : お姉ちゃん   2023/11/21 06:32:26 ID:9cUqoycgAk
ここらで一気にドバーって来て欲しいもんだな
695 : トレーナーさま   2023/11/23 07:45:01 ID:KHyG5Oxs/g
笑顔が一番だぜ☆

696 : トレぴ   2023/11/25 19:33:25 ID:8UR/DCR5qc
湿度なんてダセーよな!!!!!

697 : トレーナーさん   2023/11/29 19:25:28 ID:HXnNQSLVko
もう十一月も終わりか
698 : アナタ   2023/12/03 23:44:53 ID:tPwrobzOaw
じゃあ、12月分行こうか
699 : 貴方   2023/12/03 23:45:28 ID:tPwrobzOaw
遺骨ダイヤは洗脳見てなきゃ話判らないからまず洗脳からね
700 : 貴様   2023/12/03 23:46:29 ID:tPwrobzOaw
吾輩はトレーナーである
担当はまだ――――ない

恐らくほとんどの者が聞いた事のある書生の言葉を引用してみれば、似たような言葉の帯が己にも降りかかるような錯覚を、沈む夕日の窓から仰いだ瞬きを、外に入り混じる様々な色の残響を皆全てが愛しいと思わずにはいられない。
ただ僕は失った身であるがために、こうも思う――――ああ名もなき猫よ、お前は何も考えず、ただ撫でられるだけで幸せであったと思うべきだった――――と
果たして書生はこう綴っている
どこで生れたか頓と見当がつかぬ、とは
……果たしてどこで僕という確たるものが生まれたか――――そんな僕の逡巡にかかり
何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している、とは
……事の重さもわからぬままただ甲高く鳴いていたことを記憶している――――そんな僕の無力感にかかり
吾輩はここで始めて人間というものを見た、とは
……僕はここで初めて姉からの憎悪と言う物を見た――――そんな僕の後悔にかかり
しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪な種族であったそうだ、とは
……それはトレーナーという姉の知る人間の中で最も姉という存在に好悪問わず爪を立てつづけた人間であったそうだ――――そんな僕の呪縛に繋がっている
僕は長い溜め息と共に、どこで僕という確たるものが生まれたという疑問をもう一度空に投げかけ――――いつもと同じような帰着にて諦観を迎えるのみで。
701 : アナタ   2023/12/03 23:47:00 ID:tPwrobzOaw
いつからなど――――言うまでもなく決まっている、二十年前のあの時に彼と、同時に僕は死んだと結論をつけざるを得ないと漂着を見た。広い背中をしていた彼の悼みを事故と、一言で片づけられればどんなに楽になっただろうか、だがあれは間違いなく人災でなによりその主犯の片棒を担いだのは紛れもない僕自身であって――――
只何て事の無い日のはずだった、記憶にも残らないような心地良くも悪くもない。一年前の適当な日付を暦で指示して、その日の天気を記憶のみで語れと言われたら、大体の人間は首を横に傾げよう。では二年前のその日は、三年前は――――二十年以上前の天気は、僕にとってはそんな程度の事であってほしい筈の出来事だった
因果であるか、運命であるか、三女神様がデータの中ではなく現界に本当にいらっしゃるなら、よりにもよって僕にこの部屋を渡したのはどういった思惑ですかと問いたい心地を抑えきれず、外と隔絶された冷ややかな部屋の中で一人眦を天に向ける
果たしてこの部屋は――――かつてとあるウマ娘と、それを支えるトレーナーが小さな城としてこさえた二人の歴史の語り部を成す空間であった。その城はたった数年の治世の下で、持ち主を移ろう時よりも早く次々と変え、その度に歴史に綴られた本の題名も主人公も変わっていったが、それでも煤切れかけた古びた本の一説に細々と残るであろうそのどちらの名も、僕はよく知っている……
702 : アナタ   2023/12/03 23:47:34 ID:tPwrobzOaw
二十年前のあの日、姉や母、姉のトレーナーさんに連れられ公園であそんでいた僕は、母がトイレに行っている際に、恐らく道路の中ほどで鳩が集まっていたのが面白かったのか、巡る風に好奇心を誘われたのか、ともかく姉の静止を聞くことなく幼かった故の僕は周りを見る事無く外に出てしまった――――らしい
当時の歩行者信号は赤で、当然やってくる己よりも大きな車の陰
そこからの光景は想像するに難くなく、一際高く響くブレーキと、何か重い物が吹き飛んだような音と、聞きなれた声の姉が生まれてこの方漏らさなかったような悲痛。それらをないまぜにした坩堝を思わせる一瞬のフラッシュバックが罪を糾弾するように、或いは自戒を求めるように、僕はいまだに時たま夢に見る。月の裏側の様な巨大なかさぶたは塞いだ傷裏を治すどころか腐食させてゆきながら、まだまだ僕自身についてくる影のように剥がれてくれそうもない
まだ物心がついていたかすら怪しい僕は、ただ立ち尽くすばかりで、恐らく事の重大さに気が付いていたかどうかだろう。ただそれでも記憶に深く根ざしているのは姉に本気で頬を叩かれて、火が付いたような痛みにたまらず泣き出した事と、肩を掴まれて更に大きな声で姉が叫んだ事。耳の奥に火が付いていたような感情を盾に、何も聞こえないと周りの状況を全て幼稚な拒絶で抑え込んだ炎を思わせる感情のさらに上からぽつりとつぶやいた、聞こえないはずの姉の冷ややかな一言
あの時の姉が放った言葉は、恐らく永遠に僕を苛む呪いになるだろう
ふざけるな――――
アンタは一人の人生を奪ったんだから、アンタがあの人になれ――――
その言葉をトレーナー、……元トレーナーの容体が不明な状態で発したという事は、逆説的に見た時点ですでにそれとわかる状況、……手遅れだと分かる様相であったのだろう
703 : アナタ   2023/12/03 23:48:03 ID:tPwrobzOaw
僕の姉――――かつてナイスネイチャと呼ばれたウマ娘は、少なくとも僕の前では優しい姉だった、時折変な事もしてくるけど――――主にチアガール衣装で応援の動画送り付けてきていたりしたとか、……まあそんなレベルでだが
ともかくとして中学生だった姉は、恐らく儚いというには力のある輪郭の整った恋心を抱いていて、姉もそれを自覚していたはずだ。――――だが彼女にとって幸であり不幸であったのは姉がまだ中学生の身空だったことだろう、その人を失って尚立ち上がれる強さはまだ姉にはなく、心模様は地に鏡を叩きつけたような有様になった
例えば粉々になった物、例えばまだ形を残している物、例えば鏡の役割を放棄し切っ先が天を向いている物、粒子になり風に吹かれてどこか遠くに行き僕からは見えもしない物
だがそれは形を変えても全て鏡で、それは例外なく姉の姿を映していた――――大小の像を同じように結びながら細断された心の全てに姉がまだ生きて、その所為で姉の人格に揺らぎが生じていたんだ
――――アンタは一人の人生を奪ったんだから、アンタがあの人になれ――――
その揺らぎが全て、様々な色の感情をそれと同じくらいの色をした炎に宿しながら僕を見て、同時にその後ろのトレーナーを見ていた
もしも姉が例えば、トレーナーとの間に落胤を授かっていたならばまだ目はあったかもしれない。姉の心を繋ぎとめる機会さえあれば、姉のトレーナーが血脈と共にその子の中に面影でもあれば、金継ぎのように鏡は――――またいつの日か離散から収束へと向かったかもしれない、ブロンズコレクターに金継ぎってある種の皮肉ですよね、などと言うひねくれた様な軽口をいずれは見せていてくれたかもしれない
だが、姉は中等部の身でそれを望むべくはなかったわけだ――――
704 : キミ   2023/12/03 23:53:27 ID:tPwrobzOaw
故にあの人が、トレーナーの生きていた証は、姉の走りの中にしかなく、しかして既に時は姉に背を向け始めていた。残酷の一途である、最後の寄る辺であるその身体能力ですら衰えさせていくという事実を前に――――本格化の時期を終えるにつれて段々と姉は焦っていったのだと思う
それは同時に、今度こそあの人が消える――――……劇的な刹那にして彼が奪われ、緩やかな漂泊に再び彼が完全に奪われる事を予見しており、それを是としなかったからこそ姉は最後の手段として、自らを吹き出す熱で焚き続ける絶望のような希望に縋り付いた
闇の中で探し物をするのに、場を照らすのに必要な火は、自らをくべ燃やす事でしか得られなかったのである。
だからこそ、だからこそ――――自らが灰になる痛みをおしてでも……物心のつく前の純粋さがまだ残る僕に――――自我の無い内にトレーナーである彼を継承させようと目論んだともいえる。善悪や倫理、可能か不可かなど論外の範疇で、姉にとってはそれが全てだった。全てと言えるほどに姉の中にある彼の占有率は高かった、先に上げた善悪や倫理などの芥を前にひとたび躊躇でもすればその陰で僕はお構いなしに成長し、時間は待ってはくれない。
705 : アンタ   2023/12/03 23:54:19 ID:tPwrobzOaw
姉はすぐさま彼の親御に会いに行き――――当然あちらからすれば、息子を奪った仇と言えど過言ではない。口に出すのも憚られる罵声と思える謗りを姉は受けながらも、それでも一切の反論をすることなく頭を下げ懇願し、幾度も追い返されてもそれでも諦めずにトレーナーさんの全てを理解しようとした。思考、嗜好、技能、癖、食生活、生活環境、服装、利き腕、口調、筋肉の張り、……なぜか時折の折り紙、その他の諸々姉がおぼえているトレーナーさんの特徴は全て僕に引き継がせるつもりの様で、彼の親から聞いたトレーナーさんの友人関係や、恋愛経験等々を含めおおよそ人の身に再現不可能だという結論に真っ向から爪を立て、牙をむき、心を摩耗させてでも、そうすればトレーナーさんは生きていてくれるという盲目的に近い衝動のみを武器に、僕の中に段々と自我が目覚めてくる前にトレーナーさんの一部でも残そうとしてそうなったのだろう
故に僕の人生は、ナイスネイチャのトレーナーの人生であると言える。節目節目に彼がしたことと同じことをし、彼がウマ娘のトレーナーを志したのは六歳の頃にレースに連れて行ってもらい、当時のダービーウマ娘に頭を撫でてサインをもらったことが原因だそうだ。僕も同じことをまるで洗礼の様な面持ちでなし、トレーナーを目指すと宣言した――――させられた、とは口が裂けようとも天が割れようとも言えない
つまりそれは言い換えれば、僕の全ての夢は六歳の頃既に生まれる前に潰えたとする事に通じる。ウマ娘のトレーナーに興味などない、僕がそんなことを口にする事は勿論、それに通じる思考の一端にすら気をつけねばならなかった、だが姉がそれを許さなかったのではない……そういってしまうと語弊がある、姉は勿論その思考すら許さないだろうが、その禁則自体を口にだした訳ではないのだ。
706 : トレーナーさん   2023/12/03 23:54:49 ID:tPwrobzOaw
振り返ってみれば僕は、僕が、もしもそんなことを考えれば即座に姉の感情に狂奔が生じると確信し、逃げよう、或いは逃げたいとすら思いつかぬほどに追い詰められていたのだ。僕の罪の意識が、何より強く僕自身を縛る鎖となる――――だからこそ、僕は恐ろしかった
先の通り姉の心は細断している、だから一見矛盾に思える物でも姉の中では共存を果たす。彼女にとって僕は、彼女のトレーナーさんであり、同時に弟と言う事であり。さらに言えばこの二人は姉の中では同一人物と言う事に落ち着いている、だから――――今日もトレーナーさんは励んでマスネー、立派立派などと言う軽い口調で僕を揶揄するかと思えば、どこかで彼との相違点が見え隠れした場合に、トレーナーさんはそんなことは言わずにただウマ娘の為に努力し行動する、お前はトレーナーさんなんだ――――トレーナーさんなんだよ、という口調の静かな恫喝を僕に向けながらも、時折に弟として僕の頭をやさしく撫ぜる。
二律背反、どころの話ではない――――
故に僕は、あれほどの事があったにもかかわらず、事故当時における激情からの行動を除いて当の姉から肉体的な暴力を受けた記憶が一切ない
707 : 相棒   2023/12/03 23:55:19 ID:tPwrobzOaw
真綿で首を二十年間は締められ続け、いっそ殺してくれと心のどこかで願いながら、圧倒的な力を秘めて表に出さぬ姉の、それでも尚漏れ出る狂気的な感情に、現役時代をはるかに超える八方睨みを行う彼女の未だ衰えぬ視線にただ慄くだけだ
ところで姉はウマ娘の例に違わず、弟の僕から見ても美人な方であると言えた。中等部から高等部になるにつれて、大人への変遷を終えるにつれて、性格に捻くれた部分が持つシニカルな可愛さと言う物は年相応の美しさに、どことなく影のある雰囲気はさらに深みを増し、少し緩くなったとはいえ体は見苦しいと思えるほどではなく、ところどころの締まりを保ったままで言うなれば高嶺の花というよりは、多数の男が自らの手で摘み取ってもよいと思えるような隙がある野花であった
群がる男性からの誘いは少なくなかったはずだ、だけど浮ついた話の一つもないと言う事は、姉はそれをすべて断ったと言う事で、一度恐る恐るその理由を聞き、てっきりトレーナーさんはアタシにそんなことは言わない、言外に察しなさいという回答が来るかと思ったが、存外トレーナーさんは朴念仁であったようだ。寧ろその質問の仕方に褒められた僕への回答は、食事をしていても話をしていても、誰かさんの顔がちらついて胸が痛くなるから――――あの人以上の男性はこの世にいない、……らしい
誰かさんと、あの人と。ぶれる三人称を冠する同一人物、その分身と言っても間違いのない、姉の左薬指に輝く光。
708 : お兄ちゃん   2023/12/03 23:55:57 ID:tPwrobzOaw
その光から目を逸らすように視線を捩れば、その行為自体を糾弾するかのように、昔販売されていた、今はもう手に入れようと思わなければ手に入らない姉のぱかプチが僕を見た。昔トレーナーさんに取ってもらって、そのまま捨てられずに鎮座しているようだが、ただ少し前に見た時と違うのは、その腹が、腹の部分が不自然に膨らんでいる事だろう。一見すれば臨月を間もなくに控えた妊婦の様な様相だが、明らかな異物がそこにあると言わざるを得ず、わざわざ元々入っていたであろう綿を抜いてまで何を――――逡巡を覚えた僕に姉の……黙ってないでトレーナーさんに挨拶しなさいと、冷ややかな言葉が僕の胸を強かに撃った――――そこから考えられる可能性は、一つしかない。
トレーナーさんの骨壺をその腹に収めた姉のぱかプチ、間違いなく法に抵触するであろう静かな狂気が込められたそれを目しながら、そこで僕は、今更ながらに自らの見通しが甘すぎた事を悟る。つまり姉はもう、何年も前……高校生になってからか、あるいはもっと前かに、その若い身空で誰かと添い遂げることをやめた――――ただ生きて生きて、天へのお迎えが来る日を一日一日と待ちながら夭逝すれば天にてトレーナーさんに会えるという希望と、同時に己が眠ると同時にトレーナーさんが自らから消えるという二律背反をその身に孕んでいる
709 : トレーナーさま   2023/12/03 23:59:39 ID:tPwrobzOaw
あえてまだ希望がある方に言い換えれば、明日にも消えそうな雰囲気を持つ姉の命は、しかしトレーナーさんが生きた証という抑止力に守られていると言う事だろうか
ところで――――トレーナーさんはトレーナー試験に一度落ち、そこから一年かけて奮起したそうだ、当然僕はそれをも再現し、一度目はわざと落ちるような点数を。そこから一年かけて今までよりもさらに血反吐を吐き捨てるような努力を続けた結果、当然の如くに合格し姉の前で合格の喜びを抑えきれないトレーナーさんの仮面をかぶらされる羽目になった。
そして今日僕は、電脳世界へと潜る。その目的とは、二人の旅路を目すためだ――――果たしてナイスネイチャが現役であった時代にもその技術のはしりが実用化に至っていたVR世界だが、二十年を経てその技術は遙かに進化しており、今はもう過去数十年のレースの結果だけでなく、ナイスネイチャの世代まで遡った初代機器からも吸い出した多数のウマ娘の練習データが――――互換性を持った女神の一部になっている物や、女神に不具合があった時のためにライブラリに保存されている。言い換えれば様々な色の人生の一部、当然ナイスネイチャが歩いてきた道筋の一部がまた、データとして三女神様の中に保存されている――――それを僕はこれから、体感するわけだ。名目上は、新人トレーナーの経験値の底上げと質の向上。学園側もこちらの複雑な事情をすでに理解しているようで、通常このような処置はほとんど行われず今回を特例という形でもって封殺するようだ
さて電脳世界のメモリーには当然、外界での出来事はない。だが二人の出会いは、姉から散々と聞かされた。百聞は一見にしかずとは言うが、その逆というならば、三百万聞はやがて一見を超えるのだろう。ありとあらゆる情報を総合して加味すれば、その場にいたのと同じようになるのかもしれない
710 : お兄さま   2023/12/04 00:00:48 ID:L97eqYhcFM
ジュニア期の、クラシック期の、シニア期の――――様々な苦楽が、姉の三百万聞と補完を成していく
そういえば、二十年で七千とんで三百日、閏年も入れればもっと行くが、三百万をそれで割ってみれば……一日約四百回は話を聞くことになった――――のか?
さすがに無理がある故、あくまでも比喩だろうが、まあ彼の体感ではそのくらい……
――――? はて……彼? ……とは?
生まれた疑問の種は、しかし情報の奔流に上書きされて消えてしまう
そうしてようやく、三年目の最後の節目、キラキラした輝きに爪を立てて挑むナイスネイチャ本格化の上でも恐らく最後になるであろうG1、事故の寸前にして、旅の終着点――――違う。ここに来るために、僕は二十年を積み上げてきた。
それを忘れてはならない
711 : お前   2023/12/04 00:02:13 ID:L97eqYhcFM
つまりは、ここが。ここからが本当に俺の始まり――――ああ、そうかこれが……俺の――――……俺?
ふと僕は、自らが口をついて出した言葉に尋常でない衝撃を受ける。平素ならば頭をかくだけで終わっていたその事態は、今この時に置いてその限りではなくなっていた
果たして今の言葉は、誰の口から出た誰の言葉であったか――――俺の、そのあとにどう続くはずであったのか。姉の三人称のブレを憐憫で覚えていた自分が、一人称にブレを起こすとは――――意味を問うのが、怖い

ふざけるな――――この憤りは僕の言葉ではない、ましてや俺の言葉でもない
姉の言葉が頭の中に根を張り、生まれたてのそれを守るかのように包み込んでいく。消さなければいけない物、その冠が僕に。生まれたての俺ではなく、たまらず首を横に振った僕に……

アンタは一人の人生を奪ったんだから、アンタがあの人になれ――――
ヘッドギアを外し、強制でログアウトしようとした――――はずだった
人生で最初の、そして本能的に最後になると理解できるたった一度の反抗は、行動を起こそうとした矢先に思い浮かべた長く鬱屈した姉の恫喝が、その反抗が生まれる二十年前既にその威勢を押し留めていた
手から、足から全ての意志と力が抜けていく。ネイチャとの、いや姉との、昔隣にいた愛バとの、いや違う……違うんだ……
僕は、僕なんだ――――俺という存在でしかないんだ――――……
ああやめてくれ、やめてくれ――――俺の心の中を歓喜の形で黒く塗りつぶさないでくれ……
712 : ダンナ   2023/12/04 00:03:19 ID:L97eqYhcFM
吾輩はトレーナーである
担当は、まだない――――
713 : トレピッピ   2023/12/04 17:48:31 ID:eNwjgtaq2s
深度が700を超えました
危ないですので速やかに避難してください
714 : トレーナーさん   2023/12/07 14:15:31 ID:7zsItuWROo
1つの世界でネイチャが成功した裏で
10000の世界でネイチャが曇り湿気ている
715 : トレーナー   2023/12/09 20:11:07 ID:rQlbgzcsxc
エゴだよそれは!
716 : トレーナーさま   2023/12/13 02:46:27 ID:uhVsWjUZXU
怖いよこのスレ
717 : アネゴ   2023/12/16 14:47:52 ID:fiWRk89TCQ
みんな生きてるか?
718 : お姉さま   2023/12/16 16:23:49 ID:X4v8hhVJg6

うん
719 : お姉さま   2023/12/20 00:07:55 ID:AEr3scpBmg
もうこのスレも終盤かぁ
720 : モルモット君   2023/12/23 12:39:01 ID:pldrEIkRlo
流石にもうネタ尽きたよな…?
721 : お姉ちゃん   2023/12/23 13:21:30 ID:RWhotgw4pw
>>673で4つ持ってるって出てる
その内2つが出たとして
同レベルのがあと2つはあるって事になる
722 : トレぴ   2023/12/23 13:46:01 ID:RWhotgw4pw
いや本命ってのもあるな
3つはあるのか
723 : トレぴ   2023/12/26 19:19:35 ID:xg8s9uJ8VA
そろそろ今年も終わるってのにまだ海にいやがるのかお前ら
724 : キミ   2023/12/30 02:13:55 ID:WMKHMEHjz2
2024年はどんな湿度が現れるのだろうか…
725 : アンタ   2023/12/30 15:57:30 ID:RFHJaRUq8c
正直300行かず落ちると思ってたわ
726 : アナタ   2024/01/01 10:26:24 ID:V6iOn9ps92
あけましておめでとう!
年も明けたしカラッとして行こうぜ!
727 : お前   2024/01/01 20:17:51 ID:agakFwgNHM
んじゃあ年もあけましたし雑においていきましょうかね
一月分、洗脳の裏側というかネイチャサイドの遺骨ダイヤ
728 : お兄さま   2024/01/01 20:18:59 ID:agakFwgNHM
スマホから流れたアラームが、ぼんやりしていたアタシの思考を舫いで繋ぐ。時計の針は、どうやら些か手を抜いていたようだ。遅れたそれらに手を入れて正しい時刻に直した後、あの人が良く聞いてたあの人の時代の曲をかけ、空気の色に少しの郷愁を混ぜた。秒針の音が、耳の良いウマ娘とは言え今日はやけにアタシの耳に煩わしく響く――――
ふざけるな――――
アンタは一人の人生を奪ったんだから、アンタがあの人になれ――――
その言葉は……今でも一言一句違わずに思い出せる、そして――――そのあとに何を言ったのかも。ともかくアタシが弟にそんな呪いか枷をかけたのが、もう二十年程前の話になる。アタシが叫ぶようにこぼした一人の人生とは、言い換えればその一人は果たして本当にトレーナーさんのことだけを指していたのかと言えば、答えは多分、違うと思う。少しばかり落ち着いた今でこそ述懐すれば、あの時のアタシはトレーナーさんだけでなく半々の割合でアタシの人生を狂わせた――――なんて憤りが籠ってても特段おかしくはないと思うから
アタシの大事な物が、輝きが、本当に欲しかったものが一瞬にして崩された日にアタシは弟にその激情をぶつけた。
729 : トレぴ   2024/01/01 20:19:25 ID:agakFwgNHM
後から考えれば、裏切られたような気がしたんだろうね――――大切にしていた弟が、アタシにあんな仇を向けるなんて。その時の事は、未だに夢に出るものの、どこか擦り切れたようで、ところどころがぼんやりとしたおぼろげな物になってきている――――或いはそれが、ナイスネイチャという魔女が放った魔力。呪いの終を予兆する物なのか、それともトレーナーさんがまたアタシから少し消えていった証左なのか他の誰でもないアタシには判断が付かない。
――――アタシがかけた呪いの言葉は一言一句ですら忘れられないのにね、不思議だね…
そうして過去に浸っていたアタシも、もうそろそろ店は閉めて、トレーナーさんの月命日に行かねばと水仕事で少し荒れた手を撫ぜながら、煙草の独特な香りが染みついたカレンダーに描かれたバツ印をみた。線香の残りはあったかどうか思い起こし、すっかりとアタシに馴染んだ現在の勝負服――――殊更色に深みを増した喪服をそう自嘲して、左手の薬指をさすりながらそれに唇を落とす。そうしてその光景を見ていたアタシのぱかプチは、いつも通りトレーナーさんの骨壺を腹に収めたまま、変わらぬ笑顔だ
なんでカレンダーのバツ印を丸にしないかって?
……それはこれが罰だからだよ、…なんてね
730 : トレ公   2024/01/01 20:20:06 ID:agakFwgNHM
今のアタシは常に喪服を着て、左手の薬指に輝くものを身に着けた中年の一人身の女――――勘の良い人はそれで何があったかわかるし、或いは何が……ではなく最低でも何か……があった――――って理解してくれるんだけど、それでも踏み越えようとしてくる奴はいてさ、だからそういう奴には現役時代の睨みを利かせながらこう言ってやったんだ
今あそこに見える高速で向かってくるトラックに突っ込んでぐちゃぐちゃになったら考えてやるって、さ――――ふふ……
それで終わり。やろうとする奴はだれ一人いなかったし、アタシの言う事を無視して纏わり付こうとする奴はアタシが力ずくで車道の前に持って行ってやった。アタシの拒絶が本気を通り越して狂気の域に入っているのを知ったらそいつももう顔見せ無くなったけどね………

ざ ま あ み ろ――――
731 : アナタ   2024/01/01 20:20:44 ID:agakFwgNHM
たまにアタシの心は万華鏡のように二転三転する事があるっておふくろからは聞いたけど細分化された心の共通認識はそれでもトレーナーさんを至上に置くことを善しとしているみたい。だからアタシの一つが弟に生涯を費やすであろう難題を振りかけた時にもナイスネイチャの誰も文句は言わなかったし、それはそれとして弟を弟としてかわいがることも、逆に仇としてみる事も全てのアタシが一つのアタシを尊重し全てが許容されていた。ただし、トレーナーさんの肉体を傷つけるわけにはいかないから――――弟に暴力をふるう訳にはいかなくて、それでも逆に恐怖を感じて勝手に追い込まれていったのは好都合だったかな。寧ろ暴力を奮っていたら、あそこまで素直にはならなかったかも。
たはは……なんてシニカルな笑いを忘れたのも、今はもう昔――――
今のアタシの職場がある商店街からは少し距離があるけど、トレーナーさんの実家が例えば北海道とかじゃなくて日帰りで行ける距離でよかったよ。日がとっぷりと暮れたとある寺、墓地が施錠されてなくて誰でもいつでも通れるようになっている感じの、誰の視線にも当たらない裏手にあるトレーナーさんの所の墓石はいつも通り綺麗で、花はアタシが持ってきたものに差し替えておく――――先に置かれてたのも状態のいい花ってことは、遠からず既に誰か来たんだろうな。
732 : マスター   2024/01/01 20:21:23 ID:agakFwgNHM
うん、既に周りは暗いけど、明るい内からきて万一でもトレーナーさんの親達と鉢合わせるわけにはいかないしさ、後ろ暗い事があるアタシには、夜に擬態できる喪服も合わせてまさしくちょうどいい。そんな面持ちで線香に火をつけて、月白にかき消されるような煙と、線香の先の火を拠り所に手を合わせてみれば未だに黄泉返ってくる、あの全ての終わり、もしくはこの宿痾の始まりの日――――
まだこの手に皺もなく、心に波のような感情の揺らぎを残し、今でこそ緩みや綻びの見えるこの体にまだ力が残っていたころの事、十数年前の事――――遥か昔のトレーナーさんの葬式の日に、久しぶりに……アタシはトレーナーさんと対面して、あんな有様だったトレーナーさんの体は、事故にあったとはわからぬほどに綺麗になっていた。本当は何もかも悪い夢で、頬を叩いたら情けない声を出して目が覚めるのではないか――――なんて、そんなことはあり得ないってアタシが一番よくわかっているはずで。眠っている彼の肌は、アタシが落とした涙の雫よりも冷たかった、アタシはナイスネイチャのトレードマークともいえるもふもふ髪を斬り落とし、彼の棺の中にそっと置く。せめてあの人の近くで、あの人と共に死んでくれと、一緒に燃やして、灰にして、せめて一部でも煙になってアタシはあの人の傍にいたかった。
733 : アナタ   2024/01/01 20:21:59 ID:agakFwgNHM
でもアタシは、自分で思ってたよりも強欲で、何より焦ってたんだよね――――本格化の時期は既に半ばを過ぎ去っていてトレーナーさんはアタシの中から段々と、或いはどんどんと消え去っていく。弟の完成を待つにも時間が足りなさすぎる、だからアタシは生涯でこれ以上の無い我儘をこぼし、アタシ以外の全てから諌められた。でもまあそりゃそうだよね、アタシが逆の立場だったら同じことしてるよ。それでもアタシは、どんなに恥知らずと罵られてもここで引くわけにはいかなかった。たった一つ、たった一つの願いを口の中から吐き出すように呟いて、それでまた罵られる。折れたのはアタシでもトレーナーさんの遺族でもなく、アタシのおふくろだった。
味方に後ろから撃たれた――――なんて言おうものなら場の空気がさらに悪くなってたね、間違いないわ。ただおふくろも子供を育てる苦しさと喜びは知っているからこその――――英断、まあそう評するしかないよねーって感じ、だけど、だけど、だけど、だけど、だけど……さあ――――アタシはどうしても諦めきれなかったわけ、トレーナーさんの骨の一部だけでもアタシにくれって、ただそれだけ。それだけの事だったのに――――
うん、まあ――――アタシは結局見てることしか出来なかったんだけどさ。結局アタシの願いはかなわず、彼の骨は全て骨壺に収められてアタシの手元には一つも残らなかった。
734 : キミ   2024/01/01 20:22:46 ID:agakFwgNHM
それでも――――それでも――――それでも――――諦められないアタシは、石の下に消えていくトレーナーさんを見てふと心模様の万華鏡。その間仕切りにある悪魔の存在に気が付いた。ナイスネイチャはもう、トレーナーさんに触れえる事はない。そんな前提を受け入れるのもいいけどさ――――なんて言葉で接触を図ってきたそいつは、とんでもない事を言ってきて……でもお墓って、どこもかしこも似たような作りで、どこもかしこも――――不用心だと思う、あんなただの野ざらしにされた石なんかウマ娘の力なら無理矢理こじ開けて納骨堂から誰かを取ってくるなんて簡単じゃん……だってよ
…すごいこと言うよねこのアタシ、もう常識も何もあったもんじゃない
そんな悪魔がアタシの耳元でささやいて、そんな悪魔がアタシの背中を押した。ナイスネイチャの誰もアタシも、止めるべき天使の言葉どころかその姿すら視認できないままで、もとからアタシたちの中にはそういった良心は見せ掛けだけでなかったのだろうと納得するのと同時に、懲役とか罰金とか、そんな小さなことはもう何でもいい、失うものは何もないのだと、不日に墓の下のトレーナーさんの骨壺から大小問わず形の残っているそれらを適当に見繕い一見それとわからないように戻して。いよいよ後に引けなくなったアタシは、保存という観点からあらゆる全ての情報を欲し、どこから聞きつけてきたのか、或いはアタシの様子を心配で見に来たカノープスの面々に問い詰められながらも、全てを知ってやがて哀れに思ったイクノがアタシに教えてくれたそれ。ナイスネイチャの琴線に引っかかった、その輝きに全てを賭けた。永遠を冠するその輝きは、女の子であれば大体が知っているある意味憧れであるダイヤモンド――――
735 : 相棒   2024/01/01 20:26:03 ID:agakFwgNHM
つまり――――トレーナーさんの骨、髪、肉、その他もろもろの部分から取り出した炭素を使いダイヤモンドを結晶化する遺骨ダイヤモンドの作成をアタシは矢も楯もたまらず依頼した。ダイヤモンドの大きさにもよるけど、勿論費用は学生に払える額じゃない。
0.1カラットでざっくり15万円、通常作れるダイヤモンドは最大でも1カラット、つまり最大でざっくり150万円――――給料の三ヶ月とかいうレベルじゃないね、でも……さ? それはアタシを躊躇こそさせたけど、止める理由にはなりえなかった。
とはいえ当時アタシはまだまだ高校も卒業していない学生で、そんなアタシにそれほどのお金を借りられる信用なんてものはなかったに等しい。だからおふくろに頭まで下げて、アタシの大学進学資金――――それを全て費やす事で納得してくれた。将来の可能性を全て燃やし尽くしても、なんだかんだで工面したアタシは、それでも足りない台座部分の指輪をこさえる為にもう一度頭を下げて――――そこからは借金の返済生活が始まって、ナイスネイチャって言うウマ娘はそんな激動の中で完全に潰えた。つまりそれは、走るという能力が潰えたアタシからトレーナーさんが完全なる消失を果たしたという事であり、何も行動を起こさなかった場合でのナイスネイチャの絶望をも意味している。そんな折、注文を入れてから大体数か月で、アタシの手元に輝きになったトレーナーさんがやって来た。熱も言葉もないけれど、その輝きからは確かに昔見た笑顔の面影がある様な――――アタシの髪も入っているから、その輝きの残滓をも持ってアタシとトレーナーさんとの思い出を編み込み積み込んだ一つの希望は、アタシの手をこれでもかと汚した後にようやくアタシだけのものになったんだ――――当然ここまで妨害が入らなかったと言う事は、カノープスの面々が誰にも話さず墓まで持っていく事を決心してくれたと言う事でもある
736 : トレピッピ   2024/01/01 20:27:09 ID:agakFwgNHM
そんな過去から現在に戻ってきたことを知らせる虫の鳴き声に呼応するかのように、アタシは長い長い息を吐いた。少しの間だと思っていた逡巡は、どうやら線香が燃え尽きるまで長くかかっていたようで、同じ姿勢でいたからか膝のあたりが少し痛みを発している
もう帰れ――――と、トレーナーさんに言われたようなアタシは、彼に語りかけたくなり指に輝く証か、目の前に座す魂の寄生木かどちらに話しかけようかと迷ったけれど結局は両方に話しかけ始めた
……トレーナーさん、聞こえる――――?
今アタシは、弟を使ってアナタをアナタにしている途中なんだ。まだ担当はいないけど、きっとトレーナーさんになればまた自分の使命を思いだしてトレーナーさんの人生を歩んでくれるはずだよ、だってアタシはそう育てたんだから。自分の半生を使ってまで、ね
――――ん? 月は太陽にはなりえないって? またまたキザなこと言うねー、それならアタシだって、月が太陽になるまで続けるだけだよ?
聞いてトレーナーさん、アタシはトレーナーさんがいい人に逢って、弟に子供ができたら、アナタが取りえなかった未来に祝福されたら――――アタシはその娘か息子にも同じことをするよ、何回も何回も成功するまで、それこそこの命が尽きるまで、ううん。
737 : トレーナーちゃん   2024/01/01 20:27:28 ID:agakFwgNHM
この命が燃え尽きた後でも、アタシは手の善悪を問わず魂だけでも何らかの干渉をつづけるよ。例えば昔アナタと入ったウマレーター、あの機器ももう何度か世代交代を果たしているようだけど、まだあそこにはアタシとトレーナーさんが残っている。だからあの中にある限りアタシは、決して諦めず消える事も出来ない。弟が自分の子供をトレーナーになるように教育させるように仕向けて、アタシにとって甥か姪かになるその子も自分の将来の子供にトレーナー教育をさせるように仕向ける。親と同じ人生を子が歩み、子と同じ人生を、また孫が歩む。はっきり言っちゃうとあの子には、自分の血が絶えるまで永遠のループを人生という形で続けてもらうんだ――――だってトレーナーさんは、結婚なんてしてなかったでしょ? 血が続いていくなら、それはそもそもトレーナーさんじゃないじゃん? そこにハッピーエンドなんてないよ、七代先までも、もっと先も、呪いが解けるのは血が絶えた時だけ――――それでももしもトレーナーさんが弟たちを哀れだと思うんならさ、もしも魔女の呪いを解きたいと思うんなら、さ……
アナタに口づけを落とすから、この永遠のなかで、せめて月よりも輝いていて――――
738 : トレーナーちゃん   2024/01/01 20:28:27 ID:agakFwgNHM
遂にあと一個になっちゃったね
つまり二月終わるまでに書きあげなきゃね
ループものコピペの分際でここまでつくるのに苦労するとは思わなかったよ
739 : マスター   2024/01/01 23:29:11 ID:7vlx6b3kko
新年からなんてもん見せるんだ…
740 : トレピッピ   2024/01/01 23:32:32 ID:hSY05H0SWs
あーもー絶対明日雨だよ
741 : トレーナー君   2024/01/04 19:49:02 ID:skEyBMJ0IU
もうこれ以上湿度上げてなんになるってんだ
742 : アナタ   2024/01/04 21:46:52 ID:6ZDB1Ny.wY
いいんだよ
昨今はハッピーエンドが飽和してるどころか
しすぎてるきらいまであるんだから
少しぐらいのビターエンドもバランスのためにいるってこった
そういうことだろ深海ネイチャ!
743 : 使い魔   2024/01/06 13:18:11 ID:iBJ02SSr4k
湿度を上げろ!
もっとだ!もっと湿度を!
744 : お兄さま   2024/01/08 22:11:45 ID:J5Rbe1aw0E
新衣装イベントの期待が高まる
745 : お兄さま   2024/01/09 07:06:46 ID:6zpt/nYzwQ
ああ~
失恋させてぇな~
曇らせてぇなあ~
746 : モルモット君   2024/01/09 13:53:46 ID:OFjyA7sWHs
乗り換え上手ですか…

たいした物ですね
747 : トレーナーさん   2024/01/09 22:18:14 ID:66X1Jo9pfE
ついにネイチャが目覚めたか
748 : トレピッピ   2024/01/11 13:05:57 ID:S9JcEBxvu6
雨雨曇雨雨雨曇
ぐらいがネイチャにはちょうどいいよ
749 : 貴様   2024/01/15 13:51:20 ID:COdCSY14us
あと半月暇っちゃあ暇だな
750 : トレ公   2024/01/16 17:46:20 ID:unob2vbgjM
まあ一ヶ月ごとに落としてくれる分どぼめ先生よりマシです
751 : トレぴ   2024/01/16 22:48:48 ID:KN5EO9NaSU
そもなんで一ヶ月に一度になったんだ?
752 : あなた   2024/01/19 21:02:42 ID:W1XzWPUJ7w
振袖ネイチャ引けなかったんだけど衣装のイベントどんな感じだった?
753 : ダンナ   2024/01/23 13:47:49 ID:UuswAld0zA
あと1週間
754 : アンタ   2024/01/29 16:31:50 ID:Sg0yenbswE
755 : ダンナ   2024/01/29 16:32:06 ID:Sg0yenbswE
756 : トレーナーさま   2024/01/29 16:32:28 ID:Sg0yenbswE
ネイチャ!!
757 : マスター   2024/01/29 16:33:45 ID:Sg0yenbswE
なんてね
758 : トレーナーちゃん   2024/02/02 13:53:10 ID:0S0HTf2IZE
ログインボーナスまだ?
759 : トレーナーさま   2024/02/03 00:21:53 ID:Bh67dbOU6Q
鬼は外!湿度も外!!フクも外!!!
760 : トレーナーさん   2024/02/04 09:51:10 ID:3JfCv1Yuy.
おまたせ
じゃあ、二月分いこうか
761 : お前   2024/02/04 09:52:15 ID:3JfCv1Yuy.
セミの鳴き声が少しずつ耳に煩わしさを落としていくようになったとき、風の中に熱がこもり始めアタシたちの体を煽り始めてきたのと同時に、気の早い蝉が地面に足を開いて横たわり、死を待つだけの状態になって落ちている様をアタシは睨みながら、少し大回りをしつつ寮に帰る。
夕凪に照らされた命の行く末は干物か、アリにたかられて活け造りか、明日になればわかるだろうか
そういえば、アタシの誕生日から逆算すれば――――丁度このあたりでおふくろはアタシを仕込んだろうなーって思ったのが始まりだった。
ウマ娘の誕生日というか誕生月というかは、なぜか大体偏る傾向にある。
レースに全てを注いでいる周りの子も、こうやって少しその事を忘れて季節の声にでも気を向けてみれば、きっと同じようなことを考えると思う。
だってアタシたち、一皮剥いたら例外なくアスリートの前に思春期の女の子だし――――そこで少し、アタシのおなかが痛くなった。アタシが女の子であるべくしてある理由の一つが、まあ月の物って言っちゃった方が早いよね。
それが、なんだか少し重くなったような……そんな感覚が最近大きくなってきたんだ。
762 : トレーナーさま   2024/02/04 09:53:25 ID:3JfCv1Yuy.
レース直前に生理になったらそりゃあ勝負どころじゃないから、レース前に体調を鑑みて薬で一時的に止めてレースに集中できるようにっていうあれでピルは学園から配られててアタシも貰っているんだけどさ、ウマ娘って毒の効きが悪くて逆に言えば薬も効きにくくて……特にアタシは最近症状が重くなってから、さらに効果が薄くなった気がする。
でも男性のトレーナーさんにどうやってその事を伝えるかは、アタシの中に答えがあるものではなくて――――保健室の先生に相談するのが関の山かな、トレーナーさんに生理なんてこないし、来ててもトレーナーさんならなんか軽そうってイメージあるわ。
テイオーとイクノは症状がすっごく重い方なんだけど、なんか想像つくって言うか、……わかるでしょ?
そんな時だったわ、アタシとのトレーナーさんと同室のあの子がなんか楽しく話しているんだよね。目を輝かせて――――……ってのはなんか違うかな、あの子の目なんかそもそもあれだし、いやそもそもどうなってんのあの目。
しかも学園にもう一人いるんでしょ、同じ造りの目、昨日も奇声発してたよ。
……ともかくとして、あまりいい気分ではないよね――――そもそもアンタには自分のトレーナーがいるでしょうが、人のトレーナーさんに何色目使ってんのさ?
トレーナーさんもトレーナーさんだよ……他の子褒めた口でアタシと話すの……?
763 : お姉さま   2024/02/04 10:02:27 ID:3JfCv1Yuy.
今はその影すらないけど、きっとトレーナーさんにいい人ができたら、その人に触れた手で折り紙を折ってトロフィーを作ったり、他の女と重ねた唇でアタシを激励したり、他の女に汚された心で、それでもナイスネイチャの面倒を見る――――そう思ったらまた一段とお腹が痛くなって、脂汗まで出てきた。
まあその時点であっちもなんか察したのかな、マーベラスの方が駆け寄ってきてアタシの崩れ落ちそうな体を支え留めてそのまま部屋まで運んでくれた。
それでもなんかアタシの気持ちがアタシの手を離れて勝手に舵を取っているような違和感が残ってて、思えばそれが既に初期症状の現れで――――アタシの体調が本格的に変化し始めたのは、その日を境に超えてからだ。
ある日の事、いつもより早いなーと思っていた女の子の日の出血が、何故かすぐに――――と言ってもいつもよりは、って言う頭が付くけどね、大体二日以内かそこらで止まっちゃって、そこからアタシは長い微熱と眠気に襲われるようになった。
保健室にいってはいたんだけど、どうやら夜更かし気味とは根を異にするタイプの眠気らしく、何なら通っている途中で肌荒れも目立つようになってしまってさ……そんな時かな、アタシが不注意で自分の勝負服を破っちゃったのは。
764 : アネゴ   2024/02/04 10:04:04 ID:3JfCv1Yuy.
バッドコンディションに次ぐバッドコンディション、精神の不安定さも加わってナイスネイチャは荒れに荒れた――――それでもトレーナーさんは見捨てないでいてくれたんだから、もう感謝しかない。
ともかく元の勝負服を治すか、新しい勝負服か、どちらにしろアタシはしばらく前の汎用勝負服を着る事になったんだけど、きっとそこでトレーナーさんは優しいからアタシを元気づけようとしてくれたんだろうなーってことはわかるよ
ナイスネイチャに新しい勝負服をと言う名目でアタシのやる気を出させようとしたけど――――勝負服って高価なんだね、アタシとトレーナーさんの財布を空にしても尚足元に及ばないレベルの、でもまあそれもそうかって……そもそもあれなんだろうね、特に気にせず着ちゃってるけど、どう考えてもあの衣装で走るのかって言う娘もいるでしょ?
一見走りにくい姿でもきちんと早い所を見るにオカルトの領域の話なんじゃって思ったこともなくはないかな。
どうやらデザイナーさんが、ウマ娘の力を引き出せるような力を持つ服にするために糸から選んでいるらしい、素材を遠心分離器にでもかけて能力引き出せる因子を濃く注いだ糸ーとか、引き出せる力のある布ーとかだったら楽で便利なのにね。
逆にウマ娘の力を引き出せない、一般人レベルにまで制限するレベルの素材は――――縄にでもして柱にウマ娘を繋いでおくとか、そういえばスペちゃんから似たような話聞いた気もするな
765 : お姉さま   2024/02/04 10:11:36 ID:3JfCv1Yuy.
ああ、話を戻すね。元の勝負服の方は学園が費用出して治してくれるけど、新しい方はさすがに自費でやってくれと……クラウドファンディング、だっけ? まあ寄付って言っちゃったほうが近いわ、学園の許可を持ってそれを募ってみたんだって。
そうしてやって来た服は、よりにもよってお腹の出ているチアガールを思わせる佇まいの服、後地味に耳カバーがない。
本来はウマ娘がデザイナーさんに要望を伝えてそれにそったつくりになるんだけど、今回は寄付をした人のみのコメントを残せる掲示板があってさ、寄付金額も表示されるから、まーそこで割と醜い争いがあったみたい。寄付金額でマウントを取り合うのはネイチャさんも予想できたんだけどさ、俺はこれほどの寄付をしたんだから勝負服のモチーフに口を出す権利だってあるはずなだなんていったバ鹿がいたみたいで、レースで輝く為にあるはずの勝負服は、不特定の欲望の手垢が付いたアタシにとっても煮え切らない物になった。
チアガールのモチーフは、それでもトレーナーさんがバ鹿どもに最大限の配慮をしたものだってことはわかる。
けど露出が高いってことは、勝負服の部分にコメントしたような奴らがアタシに注目する機会も時間も増えるってことで、ちょっと胸がざわっとするよね。顔も知らないやつが、中学生のアタシに女――――それを見ているって思っただけでも、正直気味が悪い。
766 : トレーナー君   2024/02/04 10:14:38 ID:3JfCv1Yuy.
その心地悪さが、ナイスネイチャの体を更に悪い方に変質させていく――――今だけはアタシに視線を向けてほしくなかったって、ずいぶん贅沢な望みだってことはそりゃわかってるよ、でも、さ――――やっぱり見てる人は見てるんだよ、天網恢恢疎にして漏らさずってまさしくこのことだわ、悪い事なんて考えない方がいいみたい……配信サイトでちょろっと見てもさ、ライブやダンスの内容の是非とは少し毛色の違ったコメントが増えてきててさ、ネイチャ少しお腹出たか……とかネイチャ少し胸が大きくなったのか……とかさ、いやこれ控えめに言ってもセクハラデスヨネ?
まあ実際アタシもそういう部分が張っているような自覚はあったから何も言えなかった。
ただそれらのコメントをもとにしたのか、そういう特徴を鑑みたのか何なのかは知らないけど――――これネイチャもしかして妊娠してないか――――なーんて意見が出たのにはさすがに、どうしようかと思って。
以前に一度レースを熱があるという形で直前に回避したのも、それに拍車をかけた。
37度前後の微熱が続く、下腹部痛やお腹の張り、胸の張り、胃のむかつきや吐き気、付随する特定の臭いへの拒否感、むくみ、気持ちの不安定さ、だるさ――――全部妊娠した女性に起こる可能性のある症状で、全部にアタシの自覚が乗って、勿論トレーナーさんもそのコメントに何か思う所があったんだろうね。問題発言は炎上と共にまとめサイトにもあげられて、なんならアタシの検証動画までつくられたみたい。
主に体型等々から説を唱えたようだって、まあトレーナーさんに見ないように止められてはいたからそれ自体は見なかったけど。ただそれでも耳に入った理事長からすぐさま通達が来たんだろうね、妊娠検査薬を持ってきて複数人立会いの下検査をすることになってさ。
言うまでもなく……とんでもない大ごとですよこりゃ
767 : 相棒   2024/02/04 10:15:13 ID:3JfCv1Yuy.
んで結果は――――陰性、……いやそりゃそうでしょ! アタシが誰と致したってのさ!
陰性に対する安堵の様な、逆に原因が他にある事への苦悩の様な、その時のトレーナーさんの何とも喩え様のない顔がアタシは忘れられない。ともかくとして、理事長が公式にナイスネイチャの体調について声明を出したおかげで、事態はだんだんと下火に向かい。この一件でアタシも、今ナイスネイチャに起こっていることが何なのか、ぼんやりと輪郭を掴んだ心地だった。
うん、アタシはきっと――――妊娠しているんだ。
たった今陰性が出た分際で何をのたまってるんだとか思うでしょうねー、でも実際ウマ娘だけでなく人間の女性にもそういう症状――――所謂、想像妊娠ってことはあるみたい。症状としては少量の出血、着床の際に起こる着床出血を思わせる短い期間のそれ、微熱が続くとか勿論思い返してみれば自覚はあったし、話を聞いて行けばいくほどに、ああと胸に納得がすとんと落ちてきて憑き物が落ちた気にさえなった。
768 : アンタ   2024/02/04 10:16:00 ID:3JfCv1Yuy.
相変わらず生理はこないし、体のあちこちに異常の後は見え隠れして――――けど、アタシはそれと付き合っていく覚悟を決めてそのまま生理がまた始まらないように、提供されているピルをまた飲み始めた。お腹の中にあるアタシであってアタシでない何かに怨嗟の言葉を吐くこともなく、母親気取りで……さ
成分は十割ナイスネイチャだから当然なんだけど、どうやらこの子はアタシに似て我儘なようで――――時折食欲が消えたり、つわりに似た症状も現れたり、お腹が痛くなることもあったけど、それはこの子の偏食だとかお腹を内側から蹴っているからだとか、そういう理由で納得をしていた。
でも、夏は過ぎ去る物なんだね。
ある日遂に――――時間が動き始めたんだ。
熱風の中に時折違う景色の匂いがこもり始めアタシたちの体を煽り始めてきたのと同時に、夏の間に攻められ苦しめられ体力を使い果たしたであろう蝉が地面に足を開いて横たわり、死を待つだけの状態になって落ちている様をアタシは睨みながら、真正面に歩き、躊躇なくそのまま踏みつぶした。短い悲鳴が彼の命が最後に瞬いた証なんだと思う、そういえば蝉と言えば鬱陶しい鳴き声だけど――――主に鳴くのはオスだけで、メスは鳴くこともできないんだなあ、鳴く必要がないのかもだけど。
769 : トレーナー   2024/02/04 10:16:36 ID:3JfCv1Yuy.
一生声を出さず、ただ消えるのみ――――そう考えた途端、今までにない位の息が止まる激痛が、お腹の底から響いてくる。明らかに異常だと理解したアタシは同時にそれが……
それがあの子のあいさつで、声なき産声でも……遺言でもあったことをすぐに理解する事になった。
一生声を出さず、ただ消えるのみ――――ああ、この子もメスの蝉だったのか。
青い顔を隠さず、寮長に連れられて部屋に戻り、トイレに体を預けるように或いはうずくまる様に体勢をとりつつ、アタシは自分の体から流れていく感触に――――それが意味するその光景を見るのを何度も躊躇して、それでも、それでも、それでも――――顔の無い我が子の顔を意を決して覗き込んだんだ
一粒種なんて言葉があるけど、一粒どころかデシリットルで表されちゃうなんて、もうこれは白旗を上げるしかないよね――――ああ……アタシは、ナイスネイチャは間違いなくただの病気だったんだなあ、と納得するしかなくて。
770 : あなた   2024/02/04 10:17:25 ID:3JfCv1Yuy.
トレーナーさんには何でもっと早く言わなかったんだ――――なんて、まあ……言われちゃうんだろうなー……うん。
……でもさ、素直に言ったとしてどうなるって言うの、そんなん治されちゃうに決まっているでしょ? 以前から長い療養に入るべきだなんて言ってたんだし、この子に対していい印象を持っているわけがない。
想像妊娠――――なんて病名は、断じてアタシのこの鬱屈した感情や、この世に産んであげられないナイスネイチャの凝った部分を指す物じゃない。
トレーナーさんの言葉から始まった、あの人とアタシの忌児。あの人には言えないし、当然認知もしてもらえないならせめてアタシだけはその子を大事にしてあげたかったんだ。
そのはずだったのに、さ――――トイレで流れたアタシだったもの、惨々たる様相だったけど一周回ってその状況にアタシの悲しむ心まで全部流されてしまったような、胸の中がぽっかり空いたような、空虚が心を占めているというそんな感じだった
帰りに見た蝉の姿がちらついてしばらく動けず、アタシは何も考えずぼんやりしてた。
トイレは部屋で共用だからあの子がそろそろいいかって催促してきてそのままアタシは明け渡したのね。アタシがベッドに横たわるのと、あの子が便座カバーを開けて叫ぶのはほぼ同時だった――――うん、トイレの中が凄い事になっているって言うのはよく分かってるよ。
結構な出血した感がアタシの体を巡ってるし、何よりいつもとは違うリズムで痛むお腹がアタシの思考力を半分ぐらい削り取ってて、それでも相変わらずナイスネイチャの頭の中には、蝉がけたたましく鳴いていた。
771 : トレーナー君   2024/02/04 10:18:00 ID:3JfCv1Yuy.
半身を起こして覗いた窓から寮の門の前に、先ほどとは違う蝉がアリに解体され切った様相が目に入る。もうバラバラになって、どこがどこだかわからない死骸が――――そのままの姿を持ってアタシの忌児に降りかかってきて、アタシのお腹で抱えたその子は蝉とは比べ物にならないほどにバラバラになって水に流れて、アリの命ですらを繋ぐこともないと糾弾されているようだった。
――――こんな袋小路に迷い込むなんて、アタシはどこで間違えたんだろう。
月の物が来ないうちは大丈夫だと思ってた、なんならそれが来ないように薬にも頼った
想像妊娠なんて、アタシ自身に身重だと騙されていた体をさらに騙して使って、レースなんて激しい運動をしすぎたせい?
それとも、勝負服が敗れたせいで別種の勝負服に変えたがためにお腹を出して、それが冷えたせい?
772 : トレピッピ   2024/02/04 10:19:05 ID:3JfCv1Yuy.
――――ウマ娘だから、薬が効きにくいから、……ピルの薬効をトレーニングで強くなった体が超えたせい?
理由の所在が、体をいじめたせいなのか、鍛え抜かれた体の逆襲なのか正負どちらにも押し付けられない現実にも、引き裂かれた心臓の鼓動が叫んでいる
血相を変えて飛んできた同室のあの子の言葉も半分だって耳に入らないで、それでもアタシの体調とトイレの処遇については聞こえた――――悪いとは思ったけどもうアタシの堰は決壊寸前で……
お願いアタシとトレーナーさんの赤ちゃん、やめて、流さないでって――――つい言っちゃったんだよね、いや……言っちゃったって言うよりは半狂乱で叫んじゃったっていう方が正しいかも
そしたらいつもは何かある度マーベラースって言ってたあの子が、見た事もないとんでもない顔して黙っちゃって、こちらの顔までつられて青くなったわ。
ああ、とんでもないこと言っちゃったなーってアタシは気絶した体で狸寝入りを決め込んだ。あっちから見れば、きっとナイスネイチャの顔が青くなって意識も朦朧としている状況かな――――救急車を呼ばれたら困るから、あっちが混乱しているうちに、先手を取って誰にも言わないでってうわ言のように呟いたんだけど――――聞こえたみたいだね、返事したもんね
773 : アナタ   2024/02/04 10:19:49 ID:3JfCv1Yuy.
足音からすれば、もう一度トイレに向かって、流すかどうか決めきれずにやっぱりこっちに帰ってきたようだ。
……ふふ、そうだよね、母親の心情としては自分の中に宿った命が流れちゃってトイレにあっても、自分の手で水を流すなんてまるで物のように扱えなんて言われても割り切れないよね――――わかるよ、今アタシが本当にそんな状況だからこそ、わかる。先延ばしにはしているけど、いずれはアタシがアタシの手であの子を、ナイスネイチャの鬱屈を水に流さなければならない。ああ、もう――――それこそ背筋が凍っちゃうよ。
やりたくないというのは簡単だけど、だからと言ってその心情を慮れる明るくて優しい子が、その母親の了解を得ずに流せるかって言ったら、やっぱり無理だわね
しかも誰にも言うなって言っちゃって、あっちが承諾もしちゃったからその時点であの子には心理的な枷がかかっちゃうのよ。
あっちも自分のトレーナーにも言う訳にはいかないし、事態がそもそも異常だもん。アタシは陰性って言う公式発表が出てきたのに、アタシの口から出てきたのはその逆。しかも父親がトレーナーさん――――うーん、意味わかんないよね。
誰にも事情を離せず悶々というか、そのまま悩んじゃって頂戴ね?
そもそもアンタがアタシのトレーナーさんに話しかけなければよかったんだから、さ。
774 : トレピッピ   2024/02/04 10:20:02 ID:3JfCv1Yuy.
いや……違うな、アタシは結局誰のせいにしたいんだろう……?
まあこんなに汚れちゃってるんだし、もう少し汚したって誤差の範囲かな――――?
さよなら、アタシの忌児。
誰にも祝福すらされない熱した鉛の様な、アタシの虚ろ――――
775 : トレぴっぴ   2024/02/04 10:23:10 ID:3JfCv1Yuy.
これで私が持ってた四大問題児は全部消化したね
じゃあ三月までにまた一つでもかかなきゃね
ループものより別のが先にできそう
あと生理に関してはよくわからない生理エアプだからこれが全部正しいかはわからないや
776 : アナタ   2024/02/04 12:47:17 ID:3JfCv1Yuy.
Female Athlete Triad
って本当にあるみたいだね
利用可能エネルギーの不足が引き起こす骨粗鬆症や運動性無月経って
書いて貼った後に知ったわ、もうちょっと早く知りたかった
777 : アンタ   2024/02/05 15:55:04 ID:iKTrtS9ewY
ついに雨どころか雪降らせたぞ
778 : トレーナーさん   2024/02/09 18:06:03 ID:KCSMKV.4ws
怪文書
779 : トレ公   2024/02/09 18:07:06 ID:0vZarWiUZM
軽い気持ちで開くべきではなかった…
780 : アナタ   2024/02/09 18:12:10 ID:KCSMKV.4ws
はい寝スズカさんのところとは別ベクトルでいかれてるからここ…
781 : トレ公   2024/02/14 18:09:03 ID:jxnCpdHxtg
ハッピーバレンタイン
782 : 相棒   2024/02/19 19:50:36 ID:qIUriguQSg
ねいちゃの幸せとトレーナーさんの幸せは
必ずしも一致しない
783 : お兄ちゃん   2024/02/21 00:30:04 ID:/Mq7okjmds
重い…
784 : お兄ちゃん   2024/02/23 19:25:13 ID:tbuOwS.sts
アニバーサリーとか関係ないのだ

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