「マックイーンちゃん、行くよ」
「はい・・・っ!メジロの名に懸けて、絶対に成功させてみせます」
21時、栗東寮。
ある噂を聞きつけた二人のウマ娘、ヒシミラクルとメジロマックイーンがミッションに挑む。
「足音を立てないように、一歩一歩慎重に」
「あ、その辺りは床板が軋むから迂回した方が良いよ」
キッチンの手前に到達すると、誰かが近付いてくるのが分かった。
「あのテーブルの下に隠れましょう!」
「入れるかな・・・」
「急いで!」
小声でやり取りする二人がテーブルの下に何とか入り込む。
テーブルクロスのおかげで意外と外からは見えにくい。
「アイスアイス〜!トレーナーさんには止められてますけどちょっとくらいなら大丈夫ですよね!」
「夜に食べるアイスは美味しいからね」
「そうです!・・・っていつからそこに!?」
狭いテーブルの下でぴったりくっつく二人はその光景を見て息を飲む。
「スペさん・・・捕まってしまいましたか」
「でも、やっぱりアイスがあるって噂は本当だったんだ」
フジキセキがいなくなったのを見計らい、二人はテーブルから這い出る。
「やっと辿り着いたね」
「ええ」
冷蔵庫の扉を一緒に開ける。
それはまるで宝箱のような・・・。
「「な、無い!?」」
「やぁ」
二人が勢いよく振り返ると、そこにいたのは微笑むフジキセキだった。
「ゴルシにデマを流してもらってトラップを仕掛けてみたんだ。最近トレーナーさん達から色々聞いてね」
二人は青ざめ、許しを乞うように震えている。
「ミラクルはともかく、マックイーンまで・・・」
「「お、お情けを・・・」」
フジキセキは微笑みを崩さなかった。