631 : アンタ   2023/04/12 20:03:11 ID:AlY6gmTMa2

「メジロアルダンさん、ご相談したい事が・・・」
「桐生院さん、何でしょうか?」
桐生院葵はメジロアルダンに話しかけた。
キョロキョロと周囲を警戒し、小声で続ける。
「トレーナーさんが今どこにいらっしゃるかご存知ですか?」
「先程トレーナー室で資料の整理をなさっていましたが・・・トレーナーさんに何かご用ですか?」
葵は安心したように声量を少し上げた。
「いえ、むしろトレーナーさんに見つからないようにしなければいけないんです・・・」
アルダンは近くのベンチに座るように促し、話を聞く事にした。
「今週末はトレーナーさんの誕生日です。プレゼントを贈りたいのですが、こういう時にどんな物を贈れば良いのか分からなくて・・・。そこで、トレーナーと近しいアルダンさんにアドバイスをいただこうと思いまして・・・」
桐生院は恥ずかしそうに指を組む。
「・・・ちなみに、どのような物を贈るのか、候補はあったのでしょうか?」
「はい。恥ずかしながら、プレゼントの類には疎くて・・・。ちょっぴり豪華なシャンプーや、指輪なら喜んでもらえるのではと思ったのですが」
楽しげに歌っていた小鳥は息を飲み、踊るように飛んでいた蝶は地に落ちた。
近くにいた生徒は本能で危険を察知し、そそくさと立ち去った。
変わりないのは葵のみだ。
「・・・桐生院さん。プレゼント、一緒に探しに行きましょうか」
アルダンは表面上はにこやかに提案した。
「はい!ありがたいです!」

「こっちはどうでしょうか?」
「トレーナーさんは水色がお好きだと仰っていました。こちらのカラーにしては?」
「そうですね!これにします!」
水色のネクタイを仲良く選んだのだった。