それはウマ娘のレース、菊花賞での出来事だった。圧倒的人気に推されたゴールドシップ。過去の圧倒的な成績から、トレーナーである俺も勝利を確信していた。しかしゴルシはゲートから出た瞬間、とんでもない行動に出たのである。何があったのか？それは……ゲートインする他の出走者たちに向けて、お経を唱え始めたのである！ お陰さまであれよあれよという間に、ゲート内で念仏が大合唱されてしまった。ゴルシのお友達も大爆笑！おかげで全員が大混乱に陥り、スタート直後から大乱れのレースとなった。結果としては勝ったものの、この作戦には問題があったと言わざるを得ない……。あの時の歓声やざわめきは今でも忘れられずにいる。まさにゴルシの伝説に相応しい事件と言ってもいい。このレース以降、俺はゴールドシップをレースの世界からは遠ざけていた。そのつもりだったのだが……。