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あなた 2023/07/07 19:54:06
ID:l1XbU1AuIo
陽光注ぐ石畳を踏んで君はゆく。
一歩半だけ先を、怒ったように忙しなく。
もろびとこぞるプールサイドを、その細い脚で縫うように淀みなく、騒ぐ人波をかきわけて。
プールは光で満ちて、きらめく水は眩しく涼しげだ。
甘いかき氷の冷気に、レモンの香りが乗って君を冷やしている。
この夏の日の喧噪の中でその小さな肩を見失わずに済んでいるのは、間違いなく君自身のおかげだった。
「何してんの、よそ見しないでよ」
振り向いて、ぶっきらぼうに君は言う。
頷き返すと、すぐに前を向いてしまう。
ただ一歩半だけ先を、それ以上決して引き離さないように、
細心の注意を払いながら君はゆく。
時折、ちらちらと振り返る視線に、気づかないふりをして後を追う。
気づいたことがわかったら、そのとたんにこの聖なる1歩半がぐんと伸びて消えてしまうからだ。
盛夏の陽射しを受けて君はゆく。
1歩半だけ先を、誰よりも優しく慎重に。