消灯時間の過ぎたある月夜、ラモーヌは監視の目をすり抜けて寮を抜け出した。向かう先は学園。本来は全ての鍵が掛かって監視システムが動いている時間帯のはずだが、裏口から侵入した彼女はまるで知っているかのようにくぐり抜けていく
そうしてたどり着いた先はーー生徒会室。ノックもせずにギィと扉を押し開くと、暗い室内に先客がいた。「やあ、約束の時間通りだね」。ロウソクの明かりに照らされたのは見知った顔、生徒会長だった
「こんな時間にこの私を呼び出すなんて、一体どういう了見かしら、ルドルフ？」「まぁ立ち話もなんだ。座りたまえ」
中央のテーブルには淹れたての紅茶が置かれていた。向かい合って座り、紅茶を一口含む
「それで大切な話って……一、体……！？」突如、全身に襲いかかる脱力感。意識が朦朧とする中、生徒会長が不敵な笑みを浮かべている姿だけが鮮明に見えた

ラモーヌが意識を取り戻すと、そこは地下牢の様な殺風景な一面灰色の部屋だった。学園にこんな部屋が？という疑問も瞬時に吹き飛ぶ。彼女は一糸まとわぬ姿で拘束されていた
「お目覚めかな？」「あなた…一体何のつもり？」部屋の中央に生徒会長の姿を捉え睨みつけるが、手も足も出ない彼女に臆する様子はない
「君が悪いんだよ…君が私を弄んだりするから…」生徒会長がゆっくりと近づき、ラモーヌの肢体に触れる。先程飲まされた薬に媚薬作用も含まれていたのか、触れられた箇所が熱く感じる。「誰にも渡さない…君は私のものだ…」。生徒会長の眼は熱い狂気を帯びていた。そして……

今夜は月が綺麗だった。狂おしいほどに