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トレーナーさま 2023/02/28 09:59:38
ID:MwrKZsoMME
星降る石畳を踏んで君はゆく。一歩半だけ先を、怒ったように忙しなく。
もろびとこぞる市場の中を、その細い脚で縫うように淀みなく、騒ぐ人波をかきわけて。
店先は光で満ちて、きらめく品々は眩しく鮮やかだ。
焼き立てのローストチキンの湯気に、ローストビーフの香りが乗って夜を温めている。
この冬の日の喧噪の中でその小さな肩を見失わずに済んでいるのは、間違いなく君自身のおかげだった。
「何してんの、はぐれないでよ」
振り向いて、ぶっきらぼうに君は言う。
頷き返すと、すぐに前を向いてしまう。
ただ一歩半だけ先を、それ以上決して引き離さないように、
細心の注意を払いながら君はゆく。
時折、ちらちらと振り返る視線に、気づかないふりをして後を追う。
気づいたことがわかったら、そのとたんにこの聖なる1歩半がぐんと伸びて消えてしまうからだ。
聖夜の月明かりを受けて君はゆく。
1歩半だけ先を、誰よりも優しく慎重に。
そして最後は、私がその一歩半先をゆくのだ。
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