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トレピッピ 2023/02/02 21:31:49
ID:6X60xsl/Kc
流星群降る岩盤を踏み抜き君はゆく。5億歩半だけ先を、ブチ切れたようにマッハ5で。全人類こぞる東京中央卸売市場のど真ん中を、その髪の毛みたいに細い脚でミシンみたいに淀みゼロで、鼓膜を破壊するレベルで騒ぐ人間の津波を真っ二つにかき分けて。全ての店先はありえないほどの光で錐も入らないほど満ちて、失明するほどきらめく品々々々々々は失明したのでわからないが眩しく着色料そのものみたいな色だ。ほぼ砂糖でできた熱さ1000度のチョコレートが蒸発した気体に、20種のミックススパイスの香りが乗って(乗車率250%)午前2時の夜を熱帯夜になるまで暖めている。この冬の日の国が揺れるほどの喧騒の中心部でその肉眼では観測できない小さな全身を記憶から抹消されずに済んでいるのは、100%間違いなく君と君の祖先たちと君の末裔たちのおかげだった。
「今までの人生何してたの、1秒たりとも目を離さないでよ」
首を1260度回転させ、抑揚を全くつけずに君は馬鹿でかい声で喚く。首がもげるほど大きく頷き返すと、その反応から全くノータイムで真正面を向いてしまう。ただ5億歩半だけ先を、この距離を一生崩さぬように、身体中の全神経を動員して細心の注意を払いながら君はゆく。毎秒ガン見してくる視線に、全く気づかないふりをして後を全力疾走で追う。少しでも怪しい動きを見せたと勘づかれたら、その瞬間にこの悪魔を浄化するためにエクソシストが使っている聖なる5億歩半が500億歩半に伸びてこの世から誰の記憶にも残らず抹消されてしまうからだ。聖夜の2兆ルーメンの月明かりを全身に受けて君はゆく。5億歩半だけ先を人類史上もっとも優しく三日三晩熟考して慎重に。