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トレーナーさん 2022/12/29 13:38:11
ID:k5BOkWMm6M
雪被る石段を、彼女は静々と歩む。艷やかな尾とレースの傘はご機嫌に揺らぎ、冴え冴えとした風を纏って鼻歌が聞こえた。
ふと、カメラマンが彼女の名を呼んだ。1度大きく尾を揺らした彼女が緩慢にこちらを振り向き──息をのむ。
美しいかんばせに落ちた傘の陰影。そこにぽつりと咲く紅と、薄く覗く白。
後ろを流し見る目元、力みなくかしげられた首元。お行儀よく傘に添えられた手元に、自分の中の彼女がさらわれていく。
ハッとするほど美しかった。そこにいるのは確かに彼女なのに、それを疑ってしまうほど魅入られていた。
──まるで魔法にかけられたように。
不意に彼女と視線が交わった。心地よさそうに目を細めて、彼女は笑う。
「ふふん、カンペキでしょ?未来の大魔女はいろんな姿になれるんだから♪」