「スカーレット☆ナイトアタック」

夜も更けたトレーナー寮。
しんと静まり返る寮の廊下を、赤いリボンを揺らしながら忍び寄る影があった。

「……ふふふっ、侵入成功！このままトレーナーの布団に潜り込んで――むふふっ！」

そう、ダイワスカーレットである。
彼女の“サプライズ”作戦が、今始まろうとしていた。

――だが。

「……侵入者反応、確認」

ダストレのベッド横に設置された謎のカプセル――ウマレーターが低く唸りだした。
ダストレは眠そうに目をこすりつつ、ひょいとカプセルに飛び込む。

「やれやれ……また来やがったか。起動――フルダイブ！」

次の瞬間。
ウマレーターから伸びるケーブルが青白く光り、自室ドア横の壁から鉄人が出現する。

「量産型ST-2、起動！」

人型の無骨なシルエット。ダストレの意識は完全に機体とリンクし、ロボがギシギシと音を立てて動き出した。

「ちょ、ちょっと！？　何よこれ！！」
「スカーレット……お前の夜襲はもうお見通しだ！」

ガシャン、と腕部ユニットが変形し、ネットランチャーが展開。
ダイワスカーレット目がけて射出されるが――

「甘いっ！」
彼女は華麗なスライディングでかわし、即座に反撃のドロップキック！

ガンッ！
……当然、鋼鉄の装甲はビクともしない。
逆に足を痛めて「痛ったぁぁぁ！」と涙目。

「ぐぅ……でも負けないわ！　私は絶対にアンタと共にしてやるんだからぁぁ！！」
「言い方ァァ！！」

そこから廊下でのド派手な戦闘が勃発。
スカーレットの「情熱のフライング・ボディプレス」VS ST-2の「多段式ロケットパンチ」が正面衝突する。

――そして

ドォォォォォンッ！！！！

寮の窓ガラスが一斉に吹き飛び、夜空に大爆発が咲き乱れる。
爆発の中心、黒コゲになったスカーレットと、片腕を失ったST-2が転がっていた。

やがて、ST-2とのリンクが切れたダストレが部屋から出てくる。

「……なぁ。お前、毎度ST-2を爆破させるのやめてくれない？」
「わ、私はただ……一緒に寝ようと……」
「システムエラー……爆発は想定外……」

――こうして、ダイワスカーレットのサプライズ作戦は失敗に終わり、翌日には青筋を立てたたづなさんの前で、二人仲良く土下座をするのだった。

以上になります。
皆様もぜひ投稿してみてはいかがでしょうか。