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アナタ 2025/02/17 00:52:18
ID:4GFqAxXZFg
「贈り物の意図は、ご理解いただけたようね。
それではどうぞ、想いに応えてくださる。
……私に恥をかかせないでね?」
彼女は、不敵に笑いながらそう言った。
俺の手には、先ほどジェンティルドンナから手渡された、バレンタインの贈り物がある。中身のお菓子の意味は俺も知っている。添えられたメッセージカードの文末には「x」のマーク。そして口元を隠しつつ、頬を赤らめて熱を帯びた視線を向けてくる彼女。
つまりはそう言うことだ。なんと彼女らしい、優雅で力強く真っ直ぐなメッセージだろうか。
それに気付けないほど朴念仁ではないし、それをはぐらかすほど軟弱でもないつもりだ。
「ええ、喜んで。マイ・フェア・レディ」
そう応えて、彼女の手を優しく掬いあげた。
「あら、そちらなのね」
ジェンティルドンナは小さな声で呟いたが、すぐに優雅な笑みを取り戻し手を差し出した。
俺はその手の甲に顔を近づけ、彼女を見上げる。相変わらず余裕の笑みを浮かべる彼女にニコリと笑いかけると、不意にその手を引き寄せて、彼女の頬に口付けをーーー。