最近担当のデュランダルが俺の事を「マスター」、自分の事を「サーヴァント」と呼び始めた。どうやら正月休みにアニメを友人のカルストンライトオと一緒に観てすっかりハマってしまったらしい。何でも「聖盃」というどんな願いでも叶えてくれる存在を巡って魔術師である「マスタートレーナー(マスター)」と召喚された過去の英駿ウマ娘である「サーヴァントウマ娘(サーヴァント)」が共に闘うファンタジーバトル系の人気作品らしい。デュランダルとライトオはそれぞれ「セイバー」と「ランサー」という役でごっこ遊びをやっているらしく、ごみ捨て場で拾ったビニール傘とモップの長柄を「宝具」とか言う武器に見立てて割と真剣に戦っているらしい。ちなみにその遊びは他の子も巻き込んでいるらしい。聞いたところではどうやら同期のノーリーズンは「ライダー」、タニノギムレットは「バーサーカー」、シンボリクリスエスは「アサシン」、ファインモーションは「キャスター」、そしてヒシミラクルは「アーチャー」という役らしい。昼休みにノーリーズンが『おい、ミラ子。儂がペガサスを召喚するまで時間を稼いでくれ』といい、ミラクルが『出でよ我が春の盾。〝ロウ・インペリアル〟』とか言って遊んでいた。微笑ましく見ていたのだが、ある日仮眠から覚めるとデュランダルが目の前に膝をついていた。『すまん。眠っていて、起こしてくれたら良かったのに』というと、彼女は『いえ。それよりも、我が君にもマスターの印が現れたようですね』と言って俺の左手を見た。俺の左手の甲には明らかに赤い水性ペンで華丸が描かれていた。彼女曰くそれは「鋼の意志」というマスターの証しであり、契約しているサーヴァントを3回だけ絶対に服従させられる能力らしい。それ以来、彼女は練習が終わる毎に何時になったら鋼の意志を使ってくれるのかと催促するように見てくるのだが、特に命令する事も無いので今まで使わずに取ってある。