バクちゃんが控室で私の勝利を祝ってくれた後、しばらくしてから唐突にぶつけられた言葉だった。

「　……バクちゃん？」

私はだいぶ前にウィニングライブを躍って、足を椿さんに冷やし続けてもらっていた。
チームの皆は、私達……というよりバクちゃんとトレーナーさんを気遣って観客席に移動している。
バクちゃんは既に鮮烈な桜色に着替えを終え、最後の儀式をする為に彼女のトレーナーさんを呼んでされるがままになっていた時だった。
彼女の儀式。鏡前で、髪型を整える。
レースでバクシンする前の、大事な手順。
ヴィクトリー倶楽部では見なかった作業。
椿さんは虚を突かれた様な面持ちで彼女を振り返っていた。