聖なるクソデカ1歩半
1 : マスター   2024/05/09 13:48:39 ID:gKeHNDEyCM
隕石が空を切り裂いて降り止まない石畳を踏み倒しまくりながら君はゆく。海面すらも足先に届かないような1歩半だけ先を、鬼が怒号を忍ばせるように忙しなく。
幾万のもろびとこぞる市場の中を、その針先の糸を通すような細い脚で縫いまくるように馬鹿ほどに透き通り一抹の淀みなく、騒ぎまくって大地を揺らす大荒れの人波をかきわけて。
店先は光で満ち満ちて辺りを全て照らし満ち溢れ、きらめく品々は目が悲鳴を上げて悦ぶほど眩しく鮮やかだ。甘ったるい歯がきしむようなホットチョコレートの湯気に、シナモンの香りが乗って夜を超高温たらしめている。
この冬の日の交差点が吹き飛ぶような喧騒の中でその小さすぎて押せば潰れそうな肩を見失わずに済んでいるのは、間違いなく寸分の狂いなく一切違わず君自身のおかげだった。
「何してんの、はぐれないでよ」
体がねじ切れる勢いで狂喜するように振り向いて、ぶっきらぼうに君は言う。数百回に渡り頷き返すと、音を切るような勢いでにを向いてしまう。
ただ橋すらも跨ぎ越してしまう1歩半だけ先を、それ以上決して、ミリ単位も引き離さないように、精神の全てをすり減らすように細心の注意を払いながら君はゆく。
時折、全てを羨むように何十何百と振り返る視線に、一切合切の事柄に気づかないふりをして後を追う。
気づいたことがわかったら、その途端にこの聖なる1歩半がぐんと伸びて消えてしまうからだ。
聖夜の輝きまくって白夜と化した月明りを受けて君はゆく。
とうとう山ですら踏み越す1歩半だけ先を、誰よりも優しく慎重に。

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