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語り部 2023/08/27 20:14:10
ID:5vBlZaO3hk
溺れたヒシミラクルを助けてトレーニングを終えた後、ヒシミラクルのトレーナーは物思いに耽る。
10歳前後の頃、海で溺れたことがあった。
締め付けるように苦しくなっていく肺、鼻の裏にこびりつく塩の味、まともに見えない視界、今までの人生が頭によぎっていた。
走馬灯を見ながら徐々に意識を失って、目覚めれば、海から運び出される自分自身を海の上で佇みながら見つめていた。ただただ、呆然と見つめている中、ふと振り返ると、存在しないはずの対岸があり、知らない人たちがいた。好奇心で対岸へ向かうと、そこにいた誰かに突き飛ばされ、いつのまにか荒れていた海に流され、陸地へと流れ着いた。そこで初めて、自分が病院のベッドにいると気づいた。今思うと、臨死体験というやつだったのだろうか。あれで溺れないために水泳を始めたんだっけな。
そこまで考えた所で、仕事ことを思いだし、ヒシミラクルを泳げるようにする方法を考えるのだった。