装蹄室の大きな蹄鉄

1 ： トレーナー 2023/08/20 14:00:55 ID:O2b7a5goJM

アカン…蹄鉄買うカネが足らん
しゃあない…また借りるか

日本ウマ娘トレーニングセンター学園スクール、通称トレセン学園
早朝の学園でタマモクロスは靴を手に廊下を急いでいた
持っているのは昨日もトレーニングに使ったであろうウマ娘用の靴、しかし裏にはあるはずの蹄鉄が取り付けられていない

『装蹄室』
蹄鉄を取り付ける練習が行えるこの部屋には練習用の蹄鉄や釘に接着剤や靴底を模した木やゴムの板、取り付け時に靴を固定する道具等がある
普段の教室から遠く教師も生徒もトレーナーも立ち寄るには早過ぎる時間帯にこの部屋の前でタマモクロスは足を止め、そして左右を確認して入っていった

2 ： トレーナー 2023/08/20 14:04:32 ID:O2b7a5goJM

挙動不審とか逢瀬か

自身にツッコミを入れ扉を閉めると先客に視線を向ける
アイネスフウジンだ、彼女もまた蹄鉄の無い靴を持っている
タマモクロスが急いでいた理由、それは先にアイネスフウジンが装蹄室の鍵を借りていた為、入れ違いにならないよう追い付こうとしていたからだ

3 ： トレぴ 2023/08/20 14:07:36 ID:O2b7a5goJM

二人は恥ずかしそうに顔を会わせる、アイネスフウジンもタマモクロスと同じ理由で装蹄室に来た、それも今回が初めてではない
蹄鉄を借りに来たのだ
だが装蹄室の蹄鉄はトレーニングやレースへの使用を禁止されている、大半が誰かの再利用や強度テストの不合格品なうえ、軽い手入れはされているが年月の経過による劣化は相当なものだ
ではどうするのか？
装蹄室には変わったものがある、特に説明書きの無い壁に飾られた大きな蹄鉄、その下に靴箱がポツンと置かれていた
二人はその靴箱の中に靴を、そして硬貨、五円玉を入れると靴箱を閉じ、そして二人は手を合わせる

4 ： アナタ 2023/08/20 14:09:40 ID:O2b7a5goJM

今日もお願いします
今回もお借りします
そう祈るように呟くと二人は装蹄室を立ち去り、鍵を返却して教室に向かっていった

授業が終わって教官、もしくはトレーナーとのトレーニングの時間がやってきた

二人はまた装蹄室へと向かい、靴箱を開き各々の靴を取り出すと靴には蹄鉄が、それも一目で新品だと分かるものが丁寧に取り付けられていた
ありがとうございます、そう感謝の言葉を小さく述べながら
タマモクロスは今にも飛び立ちそうな程に軽い足取りで
アイネスフウジンはその手に感じる蹄鉄の重みを受け止めながら
二人はトレーニングへと向かっていった

5 ： モルモット君 2023/08/20 14:12:58 ID:O2b7a5goJM

イギリスにはある迷信が伝わっている

ある古い墳丘がある、もしウマ娘が旅の途中で蹄鉄を失くしてしまったら、墳丘に硬貨一枚と靴を置いてしばらく離れるといい
そうすれば戻ったときには靴に蹄鉄が取り付けられている

「ヴェルンドの鍛冶場」と呼ばれる民間伝承である

贈った蹄鉄を借りると言って受け取っていく
彼はそんな二人をいたく気に入っている

6 ： トレぴ 2023/08/20 14:13:39 ID:O2b7a5goJM

たぶん誤字無し！

7 ：大将 2023/08/20 14:16:39 ID:O2b7a5goJM

>>6
ウソでしょ、学園の横にスクールが余分にある

8 ： トレピッピ 2023/08/28 07:53:25 ID:Pa4ynxTaGY

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