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トレピッピ 2023/07/18 23:01:06
ID:1.DU094Gfo
兄貴が死んでからというものの、アヤベさんはあからさまに無理をしているように見えた。兄貴の担当ウマ娘ということ以上に、ファンだった彼女のあんな姿は見たくなかった。
だから俺は、兄貴と同じ格好をして彼女に会いに行くことにした。軽蔑されるかもしれない。もしかしたら、殴られるかもしれない。それでも、一瞬だけでも兄貴のことを思い出して、心の安らぎになってくれれば……それだけの、気持ちだった。
玄関から出てきた彼女は、俺の姿を見て……躊躇わずに、右の拳を繰り出した。吹っ飛んでいく俺の身体は、強引に引き寄せられる。胸元に縋りつく彼女からは、小さな泣き声が聞こえてきていた。