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トレピッピ 2023/07/18 12:55:05
ID:D/DmdT7T4M
江戸時代、秩父に住むある男が江戸にいる殿様へ急ぎの文を届けるよう命じられた。
彼は無二の友であり、秩父一の駿馬だと言われるウマ娘のオニカゲに文書を届けるように頼み、自身もその後を追うことにした。
オニカゲは最初こそ順調に走っていったなものの、次第に体力が尽き、それでも友を思い走りつづけた。とうとう大和田宿の大樹の根に躓き、力尽きとしまう。
後から追いついた男はその様を目の当たりにし、友の死を嘆きつつも2人の使命を果たすため自身の手で文を届けることを決意する。だが、彼女に渡したはずの文はどこにも見当たらない。仕方なくオニカゲを町人に預け、自身の首を差し出す覚悟で体ひとつで殿様の元へ向かった。
しかし予想に反して彼を迎えた殿様はこう言った「よくぞ文を届けてくれた。友人の無口なウマ娘は先に帰ってしまったが、お主はゆるりとしていくがよい。」
それを聞いて彼は城を飛び出し人目も憚らずオニカゲが待つ大和田宿に向かった。
彼は、死してなお走り続け使命を果たした無二の友を手厚く葬り、彼女の魂の安息を願って1体の仏像と1本の松を植えたそうだ。