あるトレーナーは担当ウマ娘のことで悩んでいた
彼の担当であるローカルストリームは真面目で練習熱心で、最近はレースでも調子を上げて重賞出走も視野に入るようになっていた
それだけ聞けば何も文句など無いのだが、問題はそのローカルストリームが最近微妙にトレーナーのことを避けているのだ
避けているといってもトレーニングをサボったり逃げたりするわけではなく、話をするときに目を合わせようとしなかったり、打ち合わせが終わったらそそくさとトレーナー室を出て言ってしまったりと、明らかに接触を避けられているのだ
もしかすると自分でも気づかないうちに、何か嫌われるようなことをしてしまったのかもしれない……繊細な年頃の女の子が相手なのでそういうこともあるのかなと、トレーナーはため息をつくのだった
ローカルストリーム
選抜レースでは惜しくも入着を逃すが、その末脚を高く買ってくれたトレーナーと契約を結んだウマ娘
トレーナーのことは担当としてそれなりに信用しているが、特別な感情を持ってはいない
持ってはいないのだが……未勝利戦を突破し、1勝・2勝クラスと勝ち上がるにつれ、だんだんとトレーナーの前に立って目を合わせているのが息苦しいような胸が苦しいような不思議な気持ちになっている
トレーナーと2人きりになると、顔が熱くなって心臓の鼓動が妙に早くなって居ても立っても居られない
トレーニング場ならその昂りを思い切り体を動かすことで発散できるが、トレーナー室で今後の予定を打ち合わせたりしているともうどうしようもなくなって、話が終わるやいなや逃げるようにその場を去ってしまう
自分の感情の正体が自分でも分からず悩みながら、それでも頑張ってトレーナーと向き合おうと努力するローカルストリームだった