>>452(続き)
だけど、私は知っている。
私がレースで負けた時は、負けた本人である私よりもずっと悔しがって、私のいない所でひっそりと泣いている事も。誰もいない控室で、壁に拳を打ち付けて痛めた事も。その日は日付が変わってもずっと遅くまで、翌日からのトレーニングメニューを考えている事も。
そしてその姿を、私には決して見せないようにしている事も、本当は知っている。
逆に私がレースで勝った時は、私が髪型が崩れるからやめろと言ってもお構いなしに、「よくやった」なんて笑いながら頭をかき混ぜてくるその手の温かさを知っている。
そして聞いている私が恥ずかしくなるくらいにはしゃいで、周りの人にしつこく絡んでは軽くあしらわれている姿を見ている。
いつだってトレーナーは不真面目で、私生活のだらしない、頼りないダメな大人だけど、本当は私達ウマ娘の事を真剣に考えている事を知っている。