ローズブーケトス
「トレーナーさんはどうして私のことをスカウトしたんですか?」
担当契約を交わしてから間もないある日、ローズブーケトスはそんな質問をトレーナーに投げかけた
競争ウマ娘を志してトレセン学園の門をくぐったからには、それなりの気概とやる気をローズも持っていたが、入学時点で将来の活躍を期待されているようなウマ娘と比べれば突出した走りもしておらず、5着争いがせいぜいだった模擬レースを見たトレーナーがピンポイントで自分のところへスカウトへ来たのが疑問といえば疑問だった
そしてその質問に対してトレーナーは
「おっぱいが大きかったからだ」
担当ウマ娘とまっすぐに目を合わせながらそう答えた
ローズは耳を疑った。ついでにトレーナーの正気も疑った
「驚かせてすまないな。だが俺は担当ウマ娘に嘘をつくようなことをしたくないんだ」
いやそこは嘘をつけよ、キリッとした表情でかっこよさげに宣言するなよと、ローズは心の中でツッコミを入れる
「だが勘違いをするなよ。スカウトのきっかけがキミの胸だとしても、キミに対して邪な気持ちを抱いたり欲情するようなことはしない。そのへんはわきまえている」
わきまえてねーよ、本来わきまえるべき段階は2つか3つ手前だよ。心の中のツッコミは加速する
「ところで、今後のトレーニングについてだが──」
「待てや!!」
何を話を終わらせようとしているのかとついに声を荒らげてツッコんでしまったローズだった