ネイチャとの「最初の3年間」を乗り越えた俺はいよいよチームを持てることとなった。
出世してうれしいかうれしくないかで言われれば、まあうれしいのだが、苦労も多い。
多数の少女を導かねばならないというのは単に責任の重大さが人数分増えただけにとどまらない。1人ににかけられる時間も人数割で減少してしまうのだ。
ネイチャ1人のことだけを考えていればよかった以前と違い、試行錯誤する日々。人手が足らずにネイチャに頼ることも多くなってしまう……。
これではいけない。トレーニングで実力を伸ばすのがトレーナーの仕事のはずなのに。担当ウマ娘を事務員のように扱うような今の状況はトレーナー失格だろう。
ネイチャはこんなものじゃない。もっと輝けるはずなのだ。ネイチャの走りを一番身近で見てきた俺は確信している。
要するに、今の俺ではネイチャの真の実力を引き出せていないのだ。
走りだけじゃない。中等部から高等部に上がったネイチャは幼さが少しずつ消え、女性的な魅力を日々増している。ダンスレッスンをもっとよく見てやることができればより多くのファンを魅了できるはずなのだ。
…………ネイチャにはチームの移籍を勧めた方がいいのかもしれない……。