誰もいない神社の石段の上は空が近くて、星が綺麗で、嘲る様なその月だけがアタシを見ていて――――ふと気が付いたら、あの人の顔がアタシを覗いててさ
そんなに険しい顔してたかなって言うネイチャさんを心配そうに撫でながら――――うん、きっとアタシにも祝福してほしかったんだよね、アタシより年上なのに、アタシよりあどけなさの残る顔でキラキラしちゃっててさ
そのキラキラはアタシにない物で、ターフで見飽きた位にぶつかった主人公の色にそっくりだった
違うのはたった一つ、アタシがその光に戦いを挑めるかどうかって事だけ
テイオーにすら最後は宣戦布告だってできたのに、比べ物にならない細い腕や頼りない足
努力の影もないそれに負けたんだって、嫌でもたどり着かざるを得なかった
下に広がる階段の先はもう真っ暗で、トレーナーさんはもう声だけしかわからない
全部を一瞬で失ったアタシには…あの人の背中を押す事しかできなかった…