249 : お姉ちゃん   2023/06/09 00:01:14 ID:SSj7rLmFtI

練習に身が入らないまま、ついにゲート練習で勝負服のスカートをどこかにひっかけて盛大に転倒してしまった。
血相変えて駆け寄ってくるトレーナーさん。私の身体をいたわる様にいろんなところに触れてくれるトレーナーさん。
アタシは心配や迷惑をかけてしまった申し訳なさを覚えつつも、それらを塗りつぶしてしまうほどの昏い悦びに体を震わせる。

…………今回は練習だったが、もしこれが、大舞台で起きたら? ちょっと転んだでは済まないケガを負ったら?
トレーナーさんはもっと私を見てくれるんじゃないか?
真剣勝負を投げ捨てるような、トレーナーさんも応援してくれる全てのファンすら裏切るどうしようもない思考が浮かび上がり、自己嫌悪に陥る。
ああ、なんてどうしようもない、恥知らずで浅ましい女。

「ヒッヒッヒ……ワルウララだよ。浅ましいと思うならいっそ奪ってしまえばいいんだよ! 恋愛なんて最終的に隣に立っていた者の勝利なんだよ!」
「えっ誰!?」
「だからえっとねー、サッサとトレーナーと手を繋いでデートとか、ちゅーすればいいと思うよ!」
「えぇ……」