「イナリ先輩！見損なったっス！」
「いきなりなんでい！？」
「イナリ先輩がダンナさんを裏切って、身長2m50㎝のムキムキマッチョマンと風紀チェックしたと、ドーベルの部屋の前で拾った、この本に書いてあったっス！」
「てやんでい！そいつをよこしやがれ！……ははあ、バンブー。こいつは同人誌ってやつでい。タイトルは、『トレーナーさんごめんなさい～ビッグなハロン棒でナリタトップロード～』今度のイベントで出す同人誌のサンプルだな」
「同人誌っスか？」
「おうよ。これに書かれてるのは、この本の作者の作り話ってやつでい。ほら、バンブーのことも書いてあるぜ」
「えっと……アタシがいつの間にか、腕が86本付いたエイリアンと風紀チェックしたことになってるっス！アタシはトレーナーさん一筋っス！」
「他に書かれてんのは……ドリームジャーニー、オルフェーヴル、ジェンティルドンナ、カワカミプリンセス、カレンチャン、メジロアルダン、か。度胸あるねえ」
「押忍！作者は、どぼめじろうっていう人みたいっス！空想ならともかく、実際の人をモデルにするのは風紀違反っス！……真剣を用意するっス」
「まあ、待ちなバンブー。この国には、表現の自由ってやつがあるんでい。気に入らねえもんを見せられたからって、暴力に頼っちゃいけねえ。お前さんの名が落ちるし、トレーナーさんにも迷惑がかかるってもんよ」
「それじゃ、どうするっスか？このままだと、この本の完成品が、次のイベントでバラまかれるっスよね？」
「何もできねえさ。今夜、この本に書かれてる奴らを集めて、慰安会を開こうと考えてるんでい。みんなでご馳走を食って、元気出そうぜ、バンブー」
「押忍。風紀委員として無念極まりないっス……」