56 : トレ公   2025/08/03 02:25:10 ID:kutWAa4cFY

栄光の有馬記念から1か月、メジロアルダンから突然会ってほしい人がいると言われ待ち合わせの喫茶店に行ってみると、待っていたのはメジロアルダンとアルトレの父親くらいの年齢の薄汚い格好をした男だった

「出会ったのは半年前、彼が暮らしている公園のテントを奉仕活動で訪れた時でした。当時体調を崩していた彼を看護しているうちに…最初はなんて強引な人だろうと思いましたが、何度も会っているうちにその情熱的な所に惹かれるようになっていました。メジロの家からは勘当された形になりましたが二人でなら乗り越えていけると信じています。このことを、私の一番大切なトレーナーさんにお話ししたかったんです」

そう幸せそうに語る間も、男はアルダンの胸から片時も視線をそらさず下卑た笑みを浮かべている。男の歯の抜けた口元から洩れるどぶのような口臭とアルコールの臭いがただよう空間で、アルトレはただこれまでアルダンと過ごした日々を走馬灯のように思い浮かべながら、幸せそうに腹部に手を当ててほほ笑むアルダンをぼんやりと見つめていた。