鋭い眼光でお父さんをにらむと、お父さんはヒッて後ずさった(どんな顔してたか覚えてない)
2人に見えないようテーブルの下でトレーナーさんの手をぎゅって握る。わたしはあなたがいいの、あなたじゃなきゃイヤなの、って伝わりますように。
つらそうなトレーナーさんの顔つきが、少しやわらかくなった。
『……ご懸念はもっともです。月並みな言葉且つ、当然の事ではありますが…彼女を担当するにあたり、私のトレーナー人生を賭けています。何よりーー』
『充分な選択肢も、時間も、与えられませんでしたが…1人の競技者たる彼女が、私を選んでくれました。どうかそれを、信じて頂きたく思います』
トレーナーさんが深く深く頭を下げる。ウソつき。わたしのため2か月も仮契約して候補探しも大変だったの知ってる
『お父さん、あなたの負け。今頃契約書類に目を通して慌てたあなたが悪い』『で、でもなぁお前…』
……おーとーうーさーん?本契約したのもう3か月も前ダヨ?
『面談前に4人でご飯食べに行った時も一言二言しか喋らない人だったから、何考えてるかわかんない人~って最初は思ったけど、今の聞いていい人だと思った。去年大荒れだったあなたの面倒見てくれたんだし』
その後はお母さんに、年末わたしが実家であばれしてたのバラされたり。結局最後はわたしのことよろしくお願いしますってことで帰っていきました……
うぅーー……お父さんのバカー…