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『――バ体の成長は順調で、位置取りのクセの改善も見られます。…トレーニングへの意欲も高く素行も良く、レース終盤の集中力は特筆すべきものがあり……』
テーブル越しの両親の手元には分厚い資料。わたしはトレーナーさんの隣に座って、心の中でポンポン持ってがんばれー!がんばれーっ!って応援
指導の話なら、口下手さんじゃないもんね。いっぱい褒めてくれてうれち…顔に出ないよう努力。ぁでも耳動いちゃう…。お母さんは感心してるみたい。お父さんは…ちゃんと話聞いてる?
『――さんの半年の記録は以上となります。…何かご質問があれば』
『すみません、経歴についてお聞きしたいのですが』『…っ』
お父さん待って、その質問練習してない。トレーナーさんはパッと見いつものぶあいそさんだけど、わたしにはつらそうなのがわかる
『前に担当されていた娘はレースで大怪我を負われたとか…それは誰に問題があったと?』
『…………その件の全ての責任は…私にあります』
なんでそんなこと聞くの??思わず声をあげそうになる。でも、トレーナーさんが"大丈夫だから"っ目をしたから口は開かなかった。
安全管理は、またそれが起こらない保証は?とかイジワルな質問の数々。答え切れないよ、そういう世界だもん。
『なあ、今からでも他のトレーナーに変えてもらわないか?お父さん学園に話つけてあげるからさ』
――!!なんで今さらそんな気づかいしてくるの!?お父さん、わたしに怒んないクセに昔から心配するタイミングがいっつもヘン!そういうのは(クビになった)前担当のアレの時に言って欲しかった!!