18 : トレ公   2025/01/16 22:01:38 ID:HasJL5wfXc

>>1 とは別だけど、ちょっと展開を思いついたので
 
トレーナーが、過去に事故によって身内を失っていたことは聞いていた。どんな格好か、どんな子だったのか、そこまで聞く勇気はなかった。トレーナーも口にしなかった。その話はそこで終わりだった。
ある日、トレーナーが言った。
「両親に挨拶してくれ」
驚愕するカレンチャンが辛うじて絞り出した「それって」という言葉に、トレーナーは微笑みを浮かべて頷くだけ。お互いの関係が進んだことに、嬉しさと照れくささを覚えつつ、至った当日。めいっぱい可愛くしたカレンチャンを迎えたトレーナーの両親は、既に感極まって涙を浮かべていた。
「初めまして」というカレンチャンの言葉に「そんな他人行儀は辞めて。貴方はもう家族なのよ」とカレンの手を引く母親。その後ろで立つ父親はトレーナーと全く同じ頷き方をしている。
トレーナーの彼女、などという距離感ではない。もはや知人を通り越して身内だと言わんばかりの歓待の受け方。嬉しさの中に、どこか違和感を覚える。
「どうしてここまでよくしてくれるんですか?」
カレンチャンの言葉に、両親が何を言っているんだと首を傾げる。
「だって、本当にあの子が帰ってきたんだもの。ねぇ、あなた」「ああ、本当にあの子だ」
笑みを浮かべ、穏やかな両親の言葉。彼らの視線が、自身ではないどこかを見ていると気付いたカレンチャンの背筋が、ぞわり、と粟立つ。説明と、救いを求めるように、トレーナーに向けた視線。いつの間にかアルバムを開いていたトレーナーは、それに応える。
「どうしたんだ? かれん。いつもようにお兄ちゃんって呼んでくれ」
アルバムの開かれたページ。そこに収められている「カレンチャンそっくりの少女」の写真を優しく撫でながら、にたり、と笑みを浮かべた。