それが積もって、大きなエネルギーを生み出す。
俺も、ある種の魔法を見せられたような気分になった。
「よし、じゃあちょっと染まってる部分が残ってるから、磨くぞ」
「ここまでが長い!休み時間もうすぐ終わっちゃうわよ!?」
「すまん!」
物思いにふけりすぎて現実時間に追いつかれそうになったので、俺はすぐさま……そしてしっかりと、この娘の歯磨きをしてあげた。子供向けの、甘ったるすぎないさわやかなタイプのいちご味の歯磨き粉と、まだまだ小さなヘッドの歯ブラシで。
後日、ニシノフラワーに教えてもらったことだが。
スイープが、白い歯を自慢してくることが増えたり、鏡を見ながらにんまり微笑んでいる瞬間がたまにあるという。
そんな時間が訪れるなら、俺はそれをしっかりと守っていきたい……そう思うのだった。
が、そのことを本人の前で言ってしまい、俺はガッツリ噛みつかれてしまったのは別のお話。