「へっくしゅん」
カウチで私の隣に座ってテレビゲームをしているフジがくしゃみをした。私はスマホを置きテーブルがティッシュを取り彼の鼻に当ててあげた。フジはコントローラを掴んだまま、ドラゴンの暴れる画面から目を離さずに首を少し傾け静かに鼻をかむと、「ありがとう」と花粉でしょぼつく目をパチクリさせながら言った。
「この時期は何も匂いがしなくて困っちゃうねえ、隣の君の匂いも全然わからない。」
嬉しくなった私は「そんないい匂いする?」と、尋ねる。
「うーん?ただ汗臭いだけじゃないかな」
と言い、ふふふと目を細めにっこり笑った。
お前ぇ…私は小声で低く唸るとフジの細く引き締まった脇腹を人差し指で突っついた。するとくすぐなったフジは
「アハハ、ちょっとやめ!」と情けない声を上げながらコントロールを誤った。テレビの中のキャラクターはドラゴンの吐き出した火の塊に当たると力なく地に伏せる。
「一乙!」
得意になって画面を指差す。
「おいたの激しいポニーちゃんには…」
コントローラーをローテーブルに下ろしながら脇目にこちらを見る。
「こうだ!」
フジは私の首と肩に腕を回しソファに倒れ込み私も釣られてフジに倒れ込むと、そのままシャツの裾から中に手を入れられ脇腹をくすぐられた。私はフジのお腹の上で身悶えしていて声を上げて笑っていた。