12月、下旬。師走の中山レース場。
GI開催も最終週を迎えるだけあって、とても多くの観客が足を運んでいる。
日曜日には有馬記念が開催されるが、前日の土曜日に開催されるのは……。
『ここ中山レース場では、ジュニア級GI・ホープフルステークスの発走が迫っています。ここで勝利し、来年のクラシック戦線に名乗りを上げるのはどのウマ娘か!?』
___控室で中継を聞きながら、シュガーライドとトレーナーは"最後の準備"を整えていた。
「一応、サイズ合わせは事前にやったけれど……合ってる?」
「はい!とってもばっちりですよ!!」
それは、GIに挑むウマ娘の誰もが通る道。シュガーライドも、何度それを夢見たことか。
『勝負服』。ウマ娘たちの走る力の源となる、特別な衣装。
どれだけ派手な装飾で彩っていても、それを着るウマ娘一人一人に合ったものなら、
GIでも超人的な走りを発揮できるのだ。
「ゆ、URAのデザイナーさん、すごいです!」
自らが纏っている勝負服を鏡で確認しながら、シュガーは驚いていた。
GIに出るなら、かっこよくもかわいくも走りたい……という願いで、日曜朝のプリファイシリーズを思わせるようなデザインを提案したシュガー。
ポップ感のある黄色の水玉リボンを両耳に装着し、
白を基調としたインナーに制服スタイルの黄色アウターを重ね、
スカートもフリフリ感にこだわった仕立てをしてある。
「ほとんどのウマ娘は片耳に飾りをすることが多いけど……シュガーはこれが良いのよね?」
「はい!なんかしっくりくるので!」
色々話していると、発走までもう少しの時刻となった。
初めてのGI挑戦……勝つことはもちろん、楽しんで走ってこようという気持ちで、
シュガーライドは控室を後にするのだった。