中世ヨーロッパにおけるウマ娘の権利向上について
1 : 相棒   2023/01/12 21:00:16 ID:ce6CECZqQ2
現在でこそ世界の多くの地域において人間とウマ娘は少なくとも法的にはほぼ対等と言える関係を気付いているが、そこに至るまでには先人達の多くの艱難辛苦があった。
一般的な人間とは異なる外見を持ち、女性にしか発現せず、基本的に人間より優れた身体能力を持つウマ娘は、人類史のかなりの時代と地域で人間から虐げられる存在であったか、あるいは逆に人間にとっての脅威であった。
歴史のほとんどの部分において、ウマ娘側に突出した指導者が現れた時代や地域においては団結したウマ娘達は人間達にとって恐怖と畏怖の象徴になり、そうでなかった時代や地域ではウマ娘達は人間達の数と組織、狡知さによって奴隷と家畜の中間の地位に貶められた。

本稿では以上のような一般論を踏まえた上で、中世ヨーロッパ後期に起こったウマ娘の権利向上運動を発端とする一連の騒動に関して概説したい。
2 : お兄さま   2023/01/12 21:00:46 ID:ce6CECZqQ2
中世ヨーロッパは内部に様々な矛盾や腐敗を抱えながらも、封建制を中心とした強固なシステムが社会全体を支配していた時代であり、ウマ娘達も当然ながらそのシステムへと組み込まれていた。
この時代の他の多くの地域と同じように、ウマ娘達はヨーロッパにおいても基本的に人間とは別の生き物として扱われ、その労力は農耕や移動、輸送において欠かせない存在として奴隷と家畜の中間の存在として使役されていた。
そして9世紀以降、東方騎バ民族との接触により、中世ヨーロッパでも自力では動く事が困難な重武装を身に付けた状態でウマ娘におぶさったり、あるいは肩に乗ったりして戦闘を行う騎士と呼ばれる身分が登場した事でウマ娘は重要な軍需物資の一つともなった。
ウマ娘は騎士たちにとって戦争の勝敗と個人の生死を決する存在となったが、彼女達の身分はあくまで騎士達の所有物であった。ウマ娘が戦闘に参加して直接相手の騎士を傷付ける事は決して許されず、仮にそれを行ってしまった場合は例え主君を助けるための行動であっても貴族身分に対する反逆として処断される事さえあり得た。
3 : あなた   2023/01/12 21:01:10 ID:ce6CECZqQ2
当然ながらウマ娘達はその容姿の美しさから主に性的対象として見られる事も日常的だった。
当時のカトリック教皇庁は人間とウマ娘の生殖を禁忌と見做していたため公の記録に残る事は稀だったが、当時の大衆文化からは人間がウマ娘の生殖行為が、特に貴族達の間では一般的であった事が伺える。
多くの場合は抵抗できないように拘束した上での虐待行為が行われていたようだが、稀に愛人として主人と密かに比較的円満な関係を築く者もいた。
一方、前述の騎士達の場合はいささか事情が違っていた。
戦場に出て戦う騎士達にとっては自分が所有するウマ娘との信頼関係は必須と言える物であり、ウマ娘を大切に扱わない騎士で名を上げる者はいなかった。
騎士達にとってはウマ娘は自分達の移動手段であり、戦場でのパートナーであり、そして戦場で倒れた場合には自分を連れて逃げ延びてくれる最後の頼みの綱だった。
そのため、戦場をウマ娘と共に過ごした騎士達の中には彼女達を単に性欲の対象としてではなく、伴侶として扱う者達が数多くいた。
無論それも公の記録に残る事は少なかったが、この時代の騎士達の不自然な独身率と離婚率の高さの記録がその事実を裏付けている。
4 : トレーナーさま   2023/01/12 21:01:36 ID:ce6CECZqQ2
そのような騎士の中で最も高名で、そしてヨーロッパにおいて一番最初に公的にウマ娘と結婚した人物が、アイルランド卿にして後の初代アイルランド国王デインヒル一世である。
デインヒルは彼自身著名かつ英雄的な騎士であり、その人生は生まれた時からウマ娘と共にあり、ウマ娘を愛していると半ば公言して止まない人物であった。
当時のアイルランドは全土がイングランドの属国であり、豪放で型破りなデインヒルの性格に危惧を抱いたイングランド王室は婚姻によって彼に首輪をはめる事を試みるが、デインヒルは自分にはすでにウマ娘の妻がいる、と言う事を理由にしてそれを拒否した。
この当時のキリスト教の教義に真っ向から反する宣言に対してイングランド王室はローマ教皇庁にデインヒルの破門を要求する事によって彼の退位を画策した。
教皇庁からの使者に破門を告げられた翌日、イングランドから派遣された退位を迫る使者に対してデインヒルはこう答えた。

「ウマ娘が嫁で何が悪い!」(意訳)
5 : お前   2023/01/12 21:02:23 ID:ce6CECZqQ2
彼の宣言は多くの貴族や聖職者から反発を受け、そしてそれ以上に多くの騎士達から支持を受けた。
出来得る事ならかけがえのないパートナーであるウマ娘達と堂々と添い遂げ家庭を持ちたい、密かに願っていた騎士達は、誰が想像していたよりも多かったのである。
かくしてアイルランドとイングランドの間で愛英独立戦争とも愛バ戦争とも呼ばれる戦争が始まった。
イングランドの側には教皇庁を中心にしたカトリックの支援があり、アイルランドの側にはウマ娘を愛する各地の騎士達からの支援があった。
戦いの結果は最初から決まっていた。
アイルランド側の騎士達の士気は高く、イングランド側の騎士達の士気は総じて低かった。
イングランドの騎士達も多くはウマ娘を愛し合っており、戦いに意義を見出す事が出来ず、そうでなかった少数の騎士達は戦場で自分達のウマ娘に見捨てられた。
いくら教皇がウマ娘と交わる者は地獄に落ちると唱えても、目の前、手が届く所にある楽園の魅力に抗える物では無かった。
直接ウマ娘をクロスボウで狙い撃ちにする事によって戦局を好転出来るのでは、と言う物もイングランド軍にはいたが、それをすれば相手がウマ娘に武器や防具を持たせ直接戦わせ始める事は容易に予想が付いた。現在手加減しているのはこちらではなく相手なのだ。
6 : トレ公   2023/01/12 21:02:57 ID:ce6CECZqQ2
事ここに至ってはイングランドも教皇庁も次の事実を認めざるを得なかった。
自分達の権威と権力を維持する軍事力は騎士とウマ娘の絆に依存しており、そしてこれからはその絆を公に認めない国家は衰亡して行くだろうと。
かくしてイングランド、アイルランド、教皇庁の間で「コナイア(※1)の和約」と呼ばれる約定が結ばれ、アイルランドの王国としての独立と共に、ウマ娘に関する教義の全面的な変更が行われた。
これにより、ヨーロッパでは人間とウマ娘が公的に婚姻可能になり、さらに一部の権利も保証されるようになったのである。

※1 アイルランドで最初にウマ娘レースを行ったと言われる伝説の王の名に由来する
7 : 貴様   2023/01/12 21:03:34 ID:ce6CECZqQ2
もちろん、これによって人間とウマ娘がただちに対等の権利を持つようになったわけではない。
また、デインヒルを始めとするアイルランド側の騎士達が現代的な人権感覚に基づいてウマ娘の権利向上運動を行った、と考えるのも軽率であろう。
ただ、彼ら、そして彼らと共に戦う事を選んだ勇気あるウマ娘達の行動が、現在の人間とウマ娘との関係に密接に関わっている事は事実である。

最後に、教義変更を渋り、最後まで強硬姿勢を崩さなかった枢機卿に対してローマ教皇が語った言葉もってこの章を終えたい。

「神はウマ娘に関して聖書には特に何も記さなかった。それはつまり人とウマ娘の差異など、神にとっては些細な事だ、と言う事ではないか」
8 : アンタ   2023/01/12 21:05:31 ID:DRLZm9wE9I
昔の時代だと「食糧を大量に消費する」のが案外でかいデメリットになってそう
9 : 相棒   2023/01/12 21:24:44 ID:BaHGl2Vg2c
面白かった

>>8
輸送手段が発展した近代以降でも大規模な戦争だと糧食の輸送は大きな問題になるからねぇ
10 : アナタ   2023/01/12 21:26:19 ID:ce6CECZqQ2
お目汚し失礼しました。
仕事中にもうろうとした意識の中で考えた与太話を仕事終わった勢いでまとめたものなので文章が雑なのは許して。
11 : 相棒   2023/01/12 22:05:00 ID:AspZvtsBBc
現実世界においては女性の権利について取り沙汰されるのは
1800年代のメアリ・ウルストンクラフトによる『女性の権利の擁護』まで
待たなければならないわけだが
ウマ娘世界においては、ウマ娘の権利が確立されたことによって
一般女性の意識改革に繋がった背景があると言えるのか
実に興味深い
12 : マスター   2023/01/12 22:27:02 ID:1spI5b0qGk
宗教とか政治的に弾圧されかけてもその国や都市の軍事力に直結するから最低限の生活は保証されてそう
でも増えると飢えるから人数調整とかはされてそうだな
13 : モルモット君   2023/01/12 22:28:01 ID:M8OVBxVgJU
魔女狩りの時代とかヤバそう
14 : 貴方   2023/01/13 00:52:33 ID:9DDoQt.O9A
現実には途絶えてしまっているアイルランド王室がウマ娘世界では健在なのにはこんな背景があるのでは…と妄想してみたり…
15 : モルモット君   2023/01/13 05:16:26 ID:qYlw1N3pHk
いや、聖書において神がウマ娘を書かなかったことは重要視すべきである。
ヒトとウマ娘の差異が些細であるならば、男と女の差異も些細と考えるべきだが、聖書においてアダムとイヴは完全に男女として区分けされている。
また、ウマ耳を持つ天使が存在していないことも着目すべきである。
基本的に天使は両性具有と解されるが、ガブリエルのみは女性とされる。しかし、両性を持つものであり、女性的な要素も併せ持ちながらウマ耳の天使がいないことから、ウマ娘は神が作ったものと考えるべきではない。
他にも、修道院で修道士がたびたびウマ娘の誘惑に負け禁欲に耐え切れなかったことを鑑みれば、ウマ娘はヒトを堕落させるために悪魔がヒトの劣化コピーとして作成したと考えるのが妥当であると思われる。(過激派)
16 : お兄さま   2023/01/13 07:36:56 ID:5y8W.dfGrU
>>15
だがちょっと待ってほしい
アニメ版の冒頭でウマ娘の伝承らしき絵画が紹介されている以上
キ○○ト教では或いは認められなかった神話が存在するか
こちらの世界の○リス○教とは違う聖書があちらには存在するのかもしれない
ひょっとしたらあちらのイ○スはウマ娘の処女受胎で誕生した可能性すらある
17 : 貴方   2023/01/13 12:53:42 ID:CZ/wgPL8Mg
ウマ娘世界では、ウマ娘になってそうな人物は、誰だろう。
18 : トレーナーさま   2023/01/13 17:31:15 ID:mHlHVi3tWs
一方ローマ法王はカレンチャンのウマスタにウマいねした。
19 : アンタ   2023/01/13 20:52:41 ID:5FUoTtNT5U
スレの独立戦争時を舞台にした史実(ヒストリー)だか創作(マイソロジー)だか定かじゃないヒト×ウマのラブロマンス作品とかめっちゃ刷られてるんだろうな…うん、観たい(切実)
20 : トレーナー君   2023/01/13 21:35:56 ID:9DDoQt.O9A
ダイワスカーレット「(そうよね…ウマ娘が愛する人と結ばれるためには戦うべきなんだわ…例え相手が国家権力でも…)」 本を閉じる

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